ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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後日談3章目です!

今のところ変動は無し
このまま決定か!?


後日談3章 誘い

あの買い物からまた幾ばくかの時が経った。

 

『やっぱり、抜けてくれないか・・・

 何が不満なんだか・・・この我が儘娘は・・・』

 

ユーリは自分の愛剣を手に持ち、鞘から抜こうとするが、びくともしない。

ラングレンの時には抜けたこの剣だが、あの時から今日まで再度抜けたことは無かった。

 

『俺のことを見放したのかね・・・』

 

自虐気味に呟く。

だが、実際にユーリが剣に愛想を尽かされているわけでは無いのはわかっている。

 

この剣に愛想を尽かされれば、いまこの手に持つことも叶わないだろう。

それだけ、この剣には強い精霊が宿っている。

ユーリには体験は無いが、マーニ・カティのように抜けないのではなく、この剣は

持った相手をフィンブルの魔法で攻撃する。

そのため、ユーリは愛想を尽かされている訳じゃないと判断している。

 

中には使えないなら、置いていけば良いじゃないかと思う人もいるだろう。

しかし、この剣・・・

 

難儀なことに置いていこうとすれば、いや、一定以上離れようとすれば自分にも

攻撃しようとしてくるのだからたちが悪い。

 

『やっぱり、しばらくはこっちに頼るか』

 

剣を背に戻したユーリは、つい最近買った銀の剣を手に取る。

倭刀が折れ、出来れば同じ倭刀が欲しかったのだが、そんな運良く出回っているものではないため

しばらくは、銀の剣を使うこととした。

 

『最良は旅に出る前に問題が解決すれば良かったんだけど・・・』

 

問題とは勿論、今背中にある剣のことである。

 

 

コンコン

 

「ユーリ今いいかい?」

 

ノックの音が響き、そのすぐ後にマークの声がする。

 

『あぁ、入ってくれ』

 

ユーリは銀の剣を仕舞い、入り口の方を向く。

振り向いた時には既にマークは入ってきていた。

 

『どうしたんだ?』

 

「今日はちょっと大事な話があってね・・・」

 

『大事な話?』

 

大事な話と聞いて、ユーリ真剣な顔をする。

そして、ユーリにもマークが話そうとしている内容が何となく想像が付いていた。

 

「そう・・・僕も明日にでも旅に戻ろうと思ってね・・」

 

ここは居心地が良い、だからいつまでもここにはいられない。

ここに長く留まれば、それだけ離れにくくなる。

そう、マークは告げた。

 

『そうか・・・俺もそろそろ旅に戻ろうと考えてる』

 

「ユーリにはここにいる道もあるんじゃないの?」

 

『・・・・』

 

確かにそんな道もあるのかも知れない。

でも、それで良いのだろうか?

つい、そう考えてしまう。

 

『いや、俺がここにいてもいなくても何も変わらない。

 それなら、自分の旅を再開するさ』

 

「なら、僕と一緒に旅する?

 僕は、戦いはからっきしだからね。

 ユーリが守ってくれるなら嬉しいし、一人旅はユーリも寂しいじゃない?」

 

『軍師らしくない、俺にあまりメリットの無い誘いだな・・・

 まぁ、あまりにも打算的に誘われるのも嫌だが・・』

 

「ユーリに打算的に話すのもねぇ・・・

 これでも友人相手には駆け引きもせずに素直にいくんだよ」

 

『なるほど・・・・即決は出来ない

 明日の朝まで待ってもらえるか?』

 

そんな簡単には決められない。

自分の進む道は明るい道じゃない。

手がかりがないから、自由にやってきたが

そんな悠長なことを言っていたらいつまでも、目的が果たせないかも知れない。

 

マークと行くということは、確かに楽しく行けそうだが、自由に動けなくなる。

 

マークと違って、打算的に考えてしまう自分が嫌になる。

それでも・・・・

 

「勿論、ただ、明日の昼頃には出ようと思うから

 それまでにね」

 

『あぁ!』

 

「じゃあ、僕は戻るよ」

 

マークは、真っ直ぐ部屋から出ていった。

 

 

 

 

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マークは部屋を出て、もう一つの目的の人物を捜しに向かった。

 

「あぁ、見つけた」

 

「あら、どうかした?」

 

運良く、少し探しに出ただけで目的の人物は見つかった。

旅立つことを彼女に伝えずに旅立つのはさすがに不義理だろう。

 

「リンに話しておきたいことがあってね」

 

「私に?」

 

リンは立ち止まり、マークへ身体を向けた。

 

「単刀直入に言うよ、僕は明日ここを立つよ」

 

「・・・・そう、マークも行くのね」

 

リンは寂しそうな顔をする。

それもそうだろう。

今まで、旅したメンバーで残っているのは別にユーリとマークというわけではない。

それ以外にもフロリーナやウィル達を含めればまだ残っている人もいる。

 

しかし、リンをキアランの公女ではなく、草原の民・・・ロルカ族のリンとして

接してくれるのは、ユーリとマークしか残っていなかった。

 

「もう、僕がいなくいてもキアランは充分やっていける・・・

 なら、僕は自分の旅を続けようと思う

 あと、残念なお知らせだけど、多分ユーリももうすぐいなくなるよ?」

 

自分が誘ったとは言わない辺り、マークもあまり良い性格とは言えないのかも知れない。

それに、恐らくユーリは自分の誘いを断っても、近日中に旅に出ることには変わりないだろう

 

「そう・・・・・」

 

「リンはユーリに残って欲しい?」

 

マークはリンに問いかける。

自分に残る気は無いが、ユーリなら、あるいは可能性はある。

 

「・・・・・・・・・・」

 

「ユーリに気を遣ってるの?」

 

「ええ・・・ユーリにも自分のやりたいことがあると思う

 それを私の勝手で、私の我が儘で引き留めるなんて・・・」

 

本音を言えば、ユーリには残って欲しい。

 

「我が儘でも良いじゃない?リンはユーリに残って欲しいんでしょ?

 なら、それを素直に伝えれば良いんだよ」

 

「自分の思いを素直に・・」

 

「ユーリなら、部屋にいるよ」

 

「ありがとう!」

 

リンはユーリの部屋の方向へと駆けていく。

それを見送ったマークは苦笑いで口に出す。

 

「リンはやっぱり、ユーリのことが大事なんだね

 言われても、残る気はないけど、僕のことは引き留めてくれなかったな

 ちょっと寂しい気持ちか」

 

自分から、ユーリの話題を出しておいて言うのも変かなと思いつつも

明日の準備をするために部屋に戻った。

 

 

 

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『さて、どうしたものかな・・・』

 

ユーリにはまとめるような荷物は無い。

普段から、剣と身1つだけで旅しているといっても良いくらいだ。

 

だから、旅に出るにはユーリの決断1つあればすぐにでも始められる。

 

コンコン

 

『さて、次は誰が来たのか・・・

 はい、どうぞ!』

 

「ユーリ今良いかしら?」

 

訪れたのはリンだった。

 

『どうした?』

 

「ユーリがもうすぐ旅に出るって聞いたから」

 

あちゃーとユーリは頭に手を当てる。

頭に浮かぶのは何を考えているのかわからない軍師の姿。

 

『マークに聞いたのか・・・

 まぁ、もうそろそろ旅立とうとは思ってるよ

 マークにも誘われてるしな』

 

「マークに?」

 

『あぁ、一緒に行かないか?って』

 

そんなこと一言も言わなかったマークに少しばかりの怒りが湧くが、

何も言わずに行くことも出来たのにわざわざ教えてくれたのだから、今回は見逃そう。

 

「ユーリは私が行かないでと行ったら、ここに残ってくれる?」

 

遠回しに言うよりは真っ直ぐに気持ちを伝えた方がユーリには伝わる、

リンは、聞きたいことをそのまま告げた。

 

『・・・・・・・・・・・・・』

 

ユーリはしばらく、無言だった。

リンはユーリのその反応を見て、彼はマークの言うとおり悩んでいる。

 

『俺は・・・・』

 

ユーリは迷いながら、リンの願いに答えを出す。

 

『俺は・・・・・・・・・俺の答えは・・』

 

 




アンケートは7月12日を締め切りさせてもらいます!

よろしくお願いします!


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