ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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さて、何話書けるかなぁ・・・・


後日談1章 それぞれの道

戦いに勝利したユーリ達はリンが戻ってくるのを中庭で待っていた。

リンは今、たった1人の家族と会っているそれを邪魔する無粋な人はこの中には居なかった。

 

しかし、その中で1人だけこの場所を立ち去ろうとしている者がいた。

既に、気づかぬうちにいなくなった盗賊もいたが・・・

 

『もう、行くのか?』

 

「せめて、リンが戻って挨拶していかないの?」

 

ユーリとマークが呼び止める男性は、それでもゆっくりと歩みを進めていった。

 

「目的は果たした・・・俺に出来ることはもう無い」

 

ラスは戦いが無事に終わったことで、自分の役目はもう終わったと考えていた。

自分は所詮傭兵、戦うことしか出来ないと。

 

『止めても無駄か?』

 

「お前なら止まるか?」

 

『違いない・・・』

 

ユーリも、誰かに止められたところで決心を変えるような人間ではない。

なら、自分には強く引き留めることは出来ないだろう。

 

「また、会えると良いね」

 

ラスの対応や、瞳を見て、ユーリ同様にマークも説得を諦めた。

 

『敵で無いことを祈りたいが・・・』

 

「ふっ・・・俺もだ」

 

その言葉を最後に、ラスは馬の腹を蹴り出し、去っていった。

 

「これからどんどん居なくなっていくんだろうね」

 

ラスの去っていった方向を見てマークは呟く。

 

『俺らだって、ずっと残る訳じゃないだろう?』

 

目的が果たされた今、自分たちはこれからの道を自分たち自身で、選ばなければならない。

ラスのように旅立つもの、ケントやセインのようにこのキアランで誠心誠意努めていくものもいるだろう。

 

「僕も、いつ旅に戻ろうかな・・・

 ユーリは?」

 

『俺も、いつかは旅に戻ろうとは思ってる

 この先、俺が居たって仕方ないしな』

 

この時、ユーリはラスと自分は似ているのではないかと考えた。

自分も戦うことしか出来ない人間だと。

 

「さて、それはどうだろうね

 リンは案外、ユーリに残って欲しいかもよ?」

 

『あいつ自身、ここに残るんだろうが

 なら、他に頼れる人はいるだろ?

 俺なんかがいたって変わらないさ・・・・

 おっ!リンが戻ってきてるぜ』

 

そんな、これからの話をしている間に、どうやらリンは戻ってきていたようだった。

それに気づいたユーリとマークはリンがいるところへ近づく。

 

「リンディス様、この館に残られるって本当ですか!?」

 

近づくと、セインがリンから何かを聞かされたようで騒いでいた。

 

「ええ、少なくともお爺さまが元気になるまでは離れないわ

 私の大切な・・・最後の家族だから、長生きしていただきたいわ」

 

『家族は・・・その・・・大事にしないとな・・・』

 

喉の奥に突っかかるような言い方をするユーリ。

ユーリも、家族は大事にする気持ちはある。

しかし、現状を顧みて、思うところがあったのだろう。

 

「リンディス様!!」

 

近くにいなかったフロリーナとウィルがどこからかやってくる。

その顔はうれしさを隠せていなかった。

 

「私、キアラン侯爵家で雇ってもらえることになったの!!

 これからもリン・・・いえ、リンディス様とずっと一緒に居られるわ!」

 

「リンディス様はやめて、一緒に居られるのはすごく嬉しいけど

 リンで良いじゃない?」

 

喜びを全身で表現して、リンに主張するフロリーナ。

そんなフロリーナに嬉しそうに、しかし、不満を漏らすリン。

 

「けじめはつけないと・・・

 それに、そんなことよりリンディス様と一緒に居られることの方が大事だから・・・」

 

「わかったわ・・・ちょっと納得はしたくないけどね」

 

「ありがとう!!リン」

 

フロリーナはリンに抱きつく。

その姿は仮に主従関係だとしても、正しく親友同士の姿だった。

 

『(ふっ・・・やっぱり、俺が居なくても大丈夫だろ?)』

 

ユーリは2人のそんな姿を見て、安堵していた。

2人にはお互いに頼れる相手が居る。

そんな相手が居るなら、これかれ何があっても乗り越えて行ける。

そう信じさせてくれる光景だった。

 

少しして、離れた2人。

そこで、ようやく、話し出すタイミングを失っていたウィルが口を開いた。

 

「なんか、話すタイミング見失っちゃったんですけど

 俺もここに残ります」

 

『あれ、前に故郷に帰ろうかなみたいなこと言ってなかったか?』

 

ウィルはそれに、恥ずかしそうに頬を描きながら返す。

 

「いやぁ・・・それが俺すっかり”リンディス傭兵団”が気に入ったんで

 なんだかんだ離れると考えると寂しいですし・・・

 故郷へはそのうち便りを出しておきます」

 

「そう。 したらこれからもよろしくね」

 

「ウィル、これからもよろしくな!」

 

着々と今後の道を決めているみんなを見ていると、このまま何も決めずに

居るわけにはいかないと思わされる。

焦って決めることでも無いが、なぁなぁとこの先忙しいここに居続けるわけにもいかないのでは無いだろうか

 

「そういえば、ラスはどうしたの?」

 

リンは辺りを見渡し今、気づいたように聞く。

 

『もう、行ったぜ』

 

「早かったね~」

 

見送ったユーリとマークはそのことをリンに告げる。

 

「そう・・・お礼を言いたかったんだだけど・・・」

 

「また、会う機会もあるでしょう。

 そのときに言えばよろしいかと・・・」

 

ケントらしい、まともな意見だ。

人生長いが、この広い世界で同じ人に偶然で会える可能性は低い気もしたが・・・

 

「そう・・・・ね

 また、会えると良いんだけど」

 

祈るように、ユーリが指したラスの出て行った方向を見るリン。

 

「みんなは、これからどうするんだ?」

 

セインの疑問には、これからの選ぶ道と、いつ頃までここにいるかを

聞いているのだろう。

 

「私はどうしようかしら・・

 オスティアには戻るのだけど、もう少しこの街を見ていきたい気も・・・」

 

「もう、良いだろう?

 明日にでも、出発しない?

 君だって、だいぶ期間を延ばしているんだろう?

 僕もいい加減解放して欲しいんだ・・・・」

 

この旅で、一番疲弊したのはエルクな気がしてならないと感じたのはユーリだけでは無かっただろう。

本来なら、もう終わっているだろう任務で、セーラが余計なことに首を突っ込み続けたが為に

ここまで、時が経ってしまった。

彼をいい加減、解放してあげてくれないのだろうか・・・

 

「エルクは私の従者なんだから。私の言うことを聞きなさいよ」

 

「だから、君の言うことを聞いていたら、いつまで経ってもオスティアにたどり着けないだろう?

 だいたい、いつも・・・・」

 

『これは、当人同士の問題だ!!

 次、行こう!』

 

この、言い合いはしばらく続く・・・

そう判断したユーリの行動は早かった。

それに、乗っかるようにみんなして少しづつ2人から距離を取る。

 

「ドルカス殿はいつ頃、出立するので?」

 

少しずつ位置をズラしながら、ドルカスに話を転換する。

 

「俺も、明日には出ようと思う

 ナタリーを・・・妻をいつまでも1人にはしておけないからな」

 

「確かに、早く帰ってあげて

 ナタリーさんも心配してると思うから」

 

「ああ」

 

『ルセアさんに、ニルス、ニニアンはどうするんだ?』

 

「私は、巡礼の旅を続けようかと思いましたが、ここにしばらく残りたいと思います」 

 

「私たちは少ししたら、旅を続けようと思います」

 

「といっても、今日、明日とかすぐにいなくなる訳じゃないから

 もう少しの間よろしくね」

 

「ええ、ユーリは?」

 

『・・・』

 

いざ、聞かれると何も決まってはいないために困る

これは、先のことが決まっていないのは本格的に自分だけなのかも知れない・・

 

『どうするかは、まだ決めてない・・

 また、旅に戻るしか無いかなとは思ってるけど

 落ち着くまでは雑用なりでも手伝うよ』

 

「僕もユーリと同じように、ここが落ち着くまでは手伝わせてもらうよ」

 

2人もとりあえず、少しの間は残る道を選ぶ。

そんな中で、きっと残るであろうと思われていた人物が声を上げる。

 

「リンディス様!!ワシはこの後旅に出させてもらおうぞ!」

 

「あれ、残るんじゃないんですか?」

 

「ワレス殿、このような時にあなたに抜けられると・・・」

 

てっきり、このまま残ってくれると思っていたセイン・ケント両名。

しかし、ワレスはそんな思惑を壊し、豪快に笑って告げる。

 

「ふははははははは!!今回の一件でワシの中の血が騒いだ!!

 これから、また旅に出しかないとワシの中の血が告げておるわ!!

 それに、これからは若い者がやらんでどうするのだ!?」

 

『あはは・・・リンどうすんの?』

 

いまだ豪快に笑う、ワレス止められるのはリンくらいだろう。

これからのキアランに必要なら引き留めるべきだろう

 

「止められないわよ、折角引退していた身で手伝ってくれたんだから」

 

「まぁ、若い人が頑張るべきっていうのは確かに

 そうなのかも知れないね」

 

「これから、私も頑張らないと!」

 

奮起するリンだが、内にはもうすぐみんなと別れることになる

現実に、少し悲しい気持ちもあった。

 

 

 




後書き

やっぱり、多少短くなる・・・・

後日談は全4章を予定しています。

3章投稿してから1週間をアンケートの締め切りとしたいと思いますので
よろしくお願いします。

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