ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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アンケート実施中ですよ!

リン編の後日談終了までを目途にしておりますので、是非よろしくお願いします


間章5 小休止

ユーリ達一行はカートレー領まで、戻りエリウッドに近隣の諸侯への働きかけを

お願いした。

快く快諾したエリウッドは、時間が少々かかると言った。

 

そのため、一行はキアラン領にある村でエリウッドの期間を待つことになる。

 

 

「これで、4日目・・・」

 

この先、大一番の戦いになる。

その前の良い休息になると、考えていたが、時間が経つに連れ、リンの焦りも増してくる。

リンの祖父、キアラン侯の病は・・・盛られた毒が今も祖父の身体を蝕まれていると思うと

リンは落ち着いては居られなかった。

 

「リン、そんな状態じゃ、周りも焦っちゃうし、大事なところでミスにも繋がるよ?」

 

「わかってる!! でも・・・」

 

頭ではわかっていても、心はそうはいかなかった。

 

「はぁ・・・・ユーリ!!」

 

『ん?』

 

少し離れたところで、ウィルやセインと話していたユーリがマークに呼ばれ近づく。

 

「ちょっと、この先、武器の消耗が激しくなりそうだから

 予備の武器でも買ってきてくれる?」

 

『はぁ?』

 

ユーリの記憶では、そこまで武器に困っていた記憶は無い。

確かに、ここまで、戦ったため多少なりとも壊れた武器もあったが

足りなくなるほどでは無かったはずだ。

 

「察しが悪いな、リンを連れて、出かけて来てっ言ってるの」

 

リンには聞こえないように、マークは言う。

 

『・・・・・あぁ、そういうことね』

 

ユーリ落ち着きの無いリンを見て、マークの言ってることの意味を理解した。

 

「実際に買ってきても、良いけど、別に買ってこなくても構わないから

 リンに気分転換になればとね」

 

『俺より、適任もいないか?

 フロリーナとかさ』

 

ユーリより親友であるフロリーナの方が気楽に行けるんじゃないかとユーリは思った。

 

「フロリーナは、そんなに振り回せるタイプじゃないでしょ?」

 

言われて、ユーリも確かに・・・と納得してしまった。

仮に、フロリーナがリンと行っても、無理矢理振り回す姿は想像出来ない。

むしろ、空回りして、逆に気を遣わせるイメージしか浮かばなかった。

それに、リンが親友ということもあるため、幾分かマシだが元来フロリーナは内気であるため

適役とはあまり言えない。

 

『わかったよ、とりあえず、気を遣わせないようにするから

 合わせろよ?』

 

そういって、ユーリは声を普通に聞こえるように戻して言う。

 

『そこまで言うなら、行ってくるよ

 だけど、ちょっと買い物ついでに余計な物まで買ってしまうかもよ?』

 

ユーリは普段通りのイタズラ顔で言う。

それに、合わせるようにマークも乗っかった。

 

「大丈夫、ユーリのストッパーとして、リンにも行ってもらうから」

 

「え!? 私も」

 

『そりゃ、光栄だね・・・』

 

リンの驚きも無視して、行くことを前提に話を進める2人。

 

「そういうことなら、この俺も!!」

 

リンが行くなら、自分も付き合わない訳にはいかないと声を上げるのは

当然のごとくセインだった。

 

「私も買い物に行こうかしら!!誰か荷物を持ってくれる頼もしい男が欲しいわね」

 

セーラがわざとらしく買い物に行こうとすれば、女好きの騎士様(セイン)は誰よりも早く反応する。

 

「俺が!!是非ともお供を」

 

「仕方ないわね、行くわよ」

 

「はは!!」

 

恭しく礼を取りセインはセーラに着いていく。

ユーリはセーラが横を通ったときにしたり顔でウインクしたのを見た。

 

2人が宿屋の入り口に着いたとき、セーラが振り返る。

 

「エルク、何やってるのよ!!行くわよ!?」

 

急に呼ばれたエルクはびくっと身体を震わせ、入り口の方に振り返る。

 

「なんで・・・僕まで?」

 

「雇い主様が行くんだから、その護衛も行かないでどうするのよ! ほら行くわよ」

 

「ちょ、離して!」

 

セーラはエルクのローブを掴み、容赦なく引っ張っていく。

残るのはエルクの嘆きの声と、何とも言えない微妙な雰囲気だった。

 

『ほら、リン俺らも行くぞ』

 

「えっ!? ちょっと、ユーリ!?」

 

「行ってらっしゃい」

 

ユーリは羞恥心を隠して、リンの手を取り、先ほどのセーラのように引っ張っていく。

それを結託したマークは手を振り見送った。

 

 

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「さて、何を買うの?」

 

『特に無いが?』

 

現在、ユーリとリンはとりあえず買い物という名分で出てきている為、市場の辺りをうろついていた。

さすがのリンも納得するまで、この手を離す気は無いというユーリの言葉に折れ、素直に着いてきていた。

 

「・・・・・・・」

 

間髪おかずに返されたその返答にリンは顔をしかめた。

買う物があると、連れ出されたのに、買う物は何も無いとは、どういうことかと

 

これなら、わざわざ、外出せず、エリウッドが来るのを待ちたかったのがリンの本音だ。

それにも関わらず、横を歩くユーリは楽しそうに店をのぞき込んでいる。

 

「どういうつもりなの?」

 

『言い訳するなら、軍師様の命令だが・・・・

 いや、俺からも言わせてもらおう』

 

ユーリも真剣な表情でリンに向き直る。

 

『焦る気持ちがわからない訳じゃない・・・

 だけどな、周りを不安にしてどうする?

 リンは俺たちの旗頭なんだよ

 そんなリンが不安な顔をすれば、みんなも不安になる。

 まぁ、セーラとかセインみたいな例外もいるが・・・』

 

あの2人は暗い感じが似合わないと言うか、落ち込むことがあるのだろうか?

あそこまで、前向きに考えてくれとは言えないが、ひたすらと後ろ向きの思考に

入っていく、リンを放っておけなかったのもユーリの本音だ。

 

『それに、この先戦いは避けられない

 今までよりもラングレンの攻撃も辛い物になる。

 なのに、リン・・・全然休めてないだろ?』

 

「ユーリ・・・・」

 

ユーリの言うとおり、リンはエリウッドが出立してから今まで、ろくに休めてはいない。

1人になれば、祖父の病のことや、エリウッドが駄目だったら?

そんな暗い考えに飲み込まれていた。

 

『リンが1人で抱え込む必要は無いと思うぞ?

 ここまで、みんなリンの為に戦ってきたんだ。

 難しいことはマークが居る、戦いに関しては俺や、セイン、ケント達だって居る

 だから、今くらい、気分を変えて、エリウッドが戻るまで心身ともに休めようぜ?』

 

「そう・・・・ね

 そうよね、1人でここまで来たんじゃないものね」

 

『あぁ(まぁ、1人で抱え込む必要が無いなんて俺が言えた台詞では無いか・・)』

 

ユーリ自身が周りに話さずに、仇のことを探しているし、聞かれても答える気がしてない時点で

ユーリが言ってはいけないのかもしれない

 

 

「ユーリ、気分転換に付き合ってくれる?」

 

『勿論、俺が連れ出したんだから』

 

申し訳なさそうな笑みを浮かべたリンに、ユーリは明るい笑顔で応えた。

 

歩きながらユーリは、店の品揃えを見ていると、一角に目がついた。

 

『そういや、リンってあんまり装飾品着けてないよな?』

 

「そうだけど、大した理由は無いわよ?

 サカに居たら、あまりそういう物に縁が無いから」

 

『だが、今は公女様なんだから、何かしら持ってた方が良いんじゃないのか?』

 

ユーリもあまり詳しいことは知らないが、貴族同士の集まりに参加している人は

何かしら、装飾品で着飾っているイメージがあった。

中には自分を目立たせるために、過剰な装飾品を着けている貴族もいると聞くが・・

 

「別に私に、そんなつもりはないわよ」

 

『でも、俺はリンが着飾ったところも見てみたいけどな』

 

「あら、サカの衣装じゃ不満かしら?」

 

『そ、そんなつもりで言ってる訳じゃないって!!』

 

リンは、からかうように笑っていた。

からかうことは得意でも、からかわれることに慣れてないユーリは少し焦ってしまう。

 

「冗談よ・・・でもこういうのって、戦う時に邪魔になる気がするのよね」

 

『あぁ、慣れないうちはそうかもな・・・』

 

ユーリも左手にバングルを付けているが、ユーリの場合は剣を持つ手が右手だから

そんなに深く関係してきてはいないが、それでも慣れないうちは若干の違和感を覚える。

武器を持つ手に付けるなら、もう少し違和感を感じるだろう。

 

『なら、ラングレン倒したらさ・・・買いに来ないか?』

 

「え?」

 

『ラングレンを倒せば、すぐに戦うってことにはならないだろうしな』

 

「それも良いかも、その時はユーリまた一緒に来てくれるんでしょ?」

 

『勿論』

 

「じゃあ、今は行きましょ」

 

ユーリとリンはまた歩き始めた。

そのとき、近くで見知った声が聞こえたような気がした。

甲高いシスターのはしゃいだ声と、女好き騎士のヘトヘトそうな声と

苦労人魔導士の声に

 

ユーリは、巻き込まれまいとリンを連れて足早に去っていった。

 

 

 

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「さて、ユーリは上手くやってくれるのかな?」

 

いつ、エリウッドが来ても良いように約束の宿屋に残ったマーク。

近くには、同じく出かけていないケント、ドルカス、ラス、ウィルの男4人の姿があった。

 

「リンディス様、結構追い込まれてましたもんね」

 

「ちょっと前の、ドルカスさんみたいでしたよ?」

 

リン精神的に追い込まれた状況は少し形は違えど

ナタリーの病を治すために山賊の仲間として働いていた時のドルカスに似た印象を受けた。

 

「あの時は、迷惑をかけた・・・」

 

本当に申し訳なさそうにするドルカスを見て、例えとして出したマーク自信が

申し訳ない気持ちになってしまった。

 

「ドルカス殿、マーク殿もそんなつもりでいったわけでは無いでしょう」

 

「そうそう、あのとき戦いが始まってすぐに手を貸してくれたじゃないですか」

 

ケントとウィルもあの場に居た者として、ドルカスをフォローする。

どんな形であれ、彼は愛する妻のことを第一に考えていたのだから。

 

「話を戻さないか?」

 

唯一、その場にいなかったラスは、当時のことは知らないが

このままでは堂々巡りになりそうな気がしたため、話を戻すように促す。

 

「そうだね・・・でもユーリに任しておけば大丈夫じゃないか?」

 

「悔しいことに、多分ですがリンディス様が一番心許している相手はユーリ殿でしょうから」

 

「夜に密会してるしね!」

 

マークが聞こえが悪く言ってるが、2人の名誉の為に言っておくがそんなに桃色なものではない。

この仲間内において剣を使う人は多くいるが、ちゃんとした剣士はユーリとリンだけ。

そのため、2人で鍛錬をしているだけである。 

稀に本当に密会地味たものが無くもないが・・・

 

「嘘を吐くのはやめておけ

 俺らだけならともかく、他のやつが聞いたらどうする?」

 

ここにいる面々はそんなことを気にする人はいない。

しかし、今居ないメンバーには過剰に反応するのが()()()いる。

 

「わかってて言ってますって」

 

マークも今居るメンバーだからこそ言っている。

ここにその()()()がいたらこの話題が更にヒートアップして

収拾つかなくなっていただろう。

 

「私としては、セインの方が心配だ・・・」

 

ケントには町でセインが問題を起こしてないかが心配だった。

セーラがいるため、ナンパはしていないと信じたかった。

 

「「「「・・・・・・・・」」」」

 

4人が一斉にケントから目を逸らした。

それがセインの信用の表れなのかもしれない。

 

「きっと大丈夫だよ・・・いや、多分・・・」

 

マークが遠い目で外を見ていたのが印象的だったが、彼は何を思ったのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やりきれば道は開かれる!!

これをモットーに頑張っているwhiterainです

後書きに書くことが無いなぁ・・・・


ちなみに装飾品面に関しては、予想で書いておりますので
もしかしたら変なとこあるかも・・・・


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