ファイアーエムブレム~凍土の剣~   作:whiterain

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全然、意見もらえなくて、泣きそうなwhiterain

これは、もう自分の思ったように好きにやるしかないのか!

本当に、回答もらえると嬉しいです。




7章外伝 黒い影

ユーリが服を予備の物に取り替え、身体に付いた血を落とし、

みんなのところへ戻った時にはエリウッドはもう立ち去っていた。

 

『リン、エリウッドは?』

 

ユーリは近くにいたリンに問いかけた。

 

「エリウッドはもう行ったわよ

 しばらくは近くの村にいるみたいなこと言ってたけど?」

 

それを聞くと、ユーリは残念そうな顔をした。

 

『そうか・・・もうちょい話してみたかったんだがな』

 

「私は、さっきのユーリのことの方が聞きたいわ」

 

単刀直入にリンは切り出す。

先ほどまでのユーリは明らかにいつもと違っていた。

そして、一瞬、自分と重ねてしまった。

そのことが、先ほどのユーリへの関心を深めていた。

 

『・・・・・・・・』

 

「・・・ユーリ?」

 

ユーリは語らず、沈黙を貫いたまま、目を反らす。

 

「ユーリ、こっちを見なさい」

 

そんなユーリの顔に手を当て、無理矢理視線を合わさせる。

 

『近いって、近い!!』

 

目の前にリンの顔が広がり、ユーリは顔を赤くする。

 

そんなやりとりの中、ニニアンは目を覚ました。

 

『ほら、彼女も起きたから!!』

 

「仕方ないわね・・・でも、後で聞くからね」

 

そう言って、リンは手を離した。

 

『マジで、勘弁してくれよ・・・』

 

ユーリもため息をつきながら、ニニアンの方に近づいていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ニニアン・・・気がついた?」

 

ニルスはようやく安堵の表情を浮かべる。

それに合わせて、周りもほっと胸をなで下ろす。

 

「・・・ニルス! 無事だったのね!?」

 

目を醒ました、ニニアンは目の前にいる弟の姿に同じく安堵した。

自分を犠牲に逃がしたまでは覚えていたが、その先逃げ切れたか、

心配していた。

 

「うん、この人達が助けてくれた」

 

「といっても、ほとんどユーリだけどね」

 

マークは違う違うと手を横に振り、ユーリを指さす。

 

『そんなことを言うなら、助けたのは今居ないエリウッドだろ?』

 

ユーリが突入したときには、既にニニアンはエリウッドに助けられていた。

 

「ふふ・・・皆様、ありがとうございます

 わたしはニニアンと申します。弟のニルスと、芸を見せながら旅をしています」

 

「へぇ、ニルスは笛だったけど、君は?」

 

「私は、踊りを・・・」

 

「お、お、お、踊り子さんですか!!!」

 

「セイン・・・」

 

『ほら、下がってろ』

 

周りを突っぱね、飛び出してきたセイン。

しかし彼がここまで、飛び出してこなかっただけ彼なりに自重していたのかもしれない。

 

「あ、あぁ、ユーリ殿、相棒離してくれ!!」

 

『あぁ、たっぷりお話してやるよ』

 

「いい加減、その癖を直したらどうなんだ?」

 

右側をユーリ、左側をケントに抑えられ、セインは退場していった。

 

「改めて、踊り子なの?そうは見えないけど」

 

セインが止めた話をリンが再開する。

 

「ニニアンは、神捧げる踊りの舞い手なんだ」

 

「特別な物なのか?」

 

「はい・・・普段、踊るのは普通のものですが・・・

 お礼に見せようにも先ほど、捕まったときに

 足を挫いてしまって・・・」

 

言われてニニアンの足を見る。

確かに彼女は少し、足を庇い気味に立っており、その足は少し腫れていた。

 

「気にしなくて良いわよ、あなたが無事だっただけで嬉しいわ

 それに、マークも言ったけど、あなたを助けたのはほどんどユーリと

 エリウッドよ」

 

「エリウッドさんはもう行っちゃったけどね」

 

ユーリも少し前に出て行った。

先ほどから、誰も気にしないようにしているが、セイント思われる男の断末魔が聞こえた気がした。

 

仮にユーリがいても、同じようにお礼を断っていただろう。

ユーリも言っていた、俺は何もしてない、助けたのはエリウッドだと。

 

「ありがとうございます」

 

『気にするな・・・でもその足で旅なんて出来るのか?』

 

折か・・・もとい、お話を終えたユーリとケントが戻ってくる。

 

「・・・セインは?」

 

マークは断末魔が聞こえたセインの安否を聞く。

そして、ユーリが黙って指を指して方向を見ると、モザイクがかかりそうなセインがいた、

いや、セインだった者がいた。

 

『気にしたら負けだ、話を戻した方が有意義だ』

 

今度はユーリの言葉に従い、話は再開された。

心配してすらもらえないのは普段の行いのせいだろうか・・・?

 

「ねぇ、僕らもみんなに着いて行っちゃ駄目かな?」

 

「駄目!私たちは命を狙われてるから、どんな危険な目に遭うか・・・」

 

『・・・・・・多分、この2人も大して、変わらんだろうがな』

 

ユーリはボソッと呟く。

さっきの連中は誰彼構わずで狙っていたのでなく、確実にこの2人を狙っていた。

そして、その狙っている相手がユーリの追い求める人物である以上、ユーリも葛藤していた。

 

この2人を連れていれば、いつか手がかりに巡り会える可能性は高い。

しかし、そんな打算的な考えで良いのか?この2人が心配じゃないのか?という良心も

存在していた。

 

「それなら、僕らは力になれるよ!ね?ニニアン」

 

「そうね・・・私たちの特別な力でならご恩を返せるかもしれない・・・」

 

『特別な力?』

 

「自分たちに起きる危険を少し前に感じることが出来るんです」

 

「第6感みたいなものなのかな」

 

『わかってても、防げるかは別じゃないのか?』

 

わかるだけでも大違いではあるが・・・とユーリは付け足す。

 

「ユーリさんの言う通りなんだけど、その点は心配ないかなと思うよ」

 

「どうしたものかしら・・・」

 

「連れて行った方が安全かもよ?」

 

「マーク?」

 

あの敵が狙っていたのはこの姉弟。

ならば、いずれにしろ狙われる危険があるのは変わらない。

ならば、戦えるリンたちの側に居てもらった方が安全なのかもしれない。

 

その代わり、リンたちの襲われるリスクも高くなるが・・・

 

「自分も同意見です」

 

マークの意見に同調するケント。

 

「ユーリは?」

 

『2人の安全を考えるなら、連れて行った方が良いだろ?』

 

ユーリはこのとき、嘘をついていた。

彼の心には確かに心配だという心もあった。

しかし、やはり大多数は違う意味での同行だった。

 

「じゃあ、2人とも一緒に行きましょう」

 

「よろしくね!リン様」

 

「お願いします・・・・・あ・・・」

 

そこで、ニニアンは何かに気づいたように声を上げた。

 

「どうしたの?ニニアン」

 

「指輪が無くなってる・・・」

 

「指輪? 大切なものなの?」

 

「はい、ニニスの守護と言って、私の母の形見でした」

 

「氷の精霊の加護を受けた、この世に1つしか存在しないんだ・・」

 

2人の空気が暗くなる。

 

『さっきの奴らが持っているとするなら、残党は南の方に逃げられたが・・・

 まだ、追いかければ間に合うぞ?』

 

先ほど、ユーリが今居る建物まで攻め込んだ際に、戦わずに逃げるように去っていったのが居た。

ユーリも、ニニアンを助けるのを優先し、追いかけなかったが、

こんなことなら全員捕まえておけば良かったと後悔する。

 

「私も、指輪は取り返してあげたいけど・・・」

 

あの敵を追っていくとすれば、さらなる危険が待ちかまえているだろう

戦いは避けられないだろうし、背後に控えている数も不明だ。

 

「取り返しに行こう! ちょっと気になることもあるしね・・・」

 

マークが含みを持たせて言う。

 

『決まりだろ?』

 

ユーリはリンの方を向いて、そう言う。

 

「そうね、ケント、セインを起こして2人で南に逃げたという敵の消息を追ってくれる?」

 

「はっ!!」

 

ケントは倒れた、()()()()()()を引きずって、建物の入り口へ向かった。

 

「良いんですか・・・?」

 

『後戻りは出来ないさ・・・それに可能性があるなら、それを潰すだけだ』

 

「私たちも行きましょう」

 

少し遅れて、リン達も出発する。

足を怪我したニニアンはフロリーナのペガサスに乗せてもらい、一行は南へ向かった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『ここか・・・・』

 

ケント達に導かれ、ユーリ達は古城へとやってきた。

古城とは言った物の、だいぶ作りはしっかりとしていた。

 

「中には、結構の数がいるみたいですよ」

 

「でも、この手の城は道が狭く造られてるから、今は好都合だと思うよ」

 

マークが城を眺めて言う。

 

「どう攻めるの?」

 

リンはマークに問う。

この戦いは指輪を奪還するための戦いであり、逃げられてはならない。

更に、現在怪我したニニアンがいるため、ニニアンを守るための人も必要になる。

 

「そうだね、2つに分けて戦おう。

 狭い道だから、人数を多くしても邪魔になるし

 こんなところで挟まれるわけにも行かない」

 

そう言い、マークは班分けをする。

 

A班

メンバーはリン、ウィル、エルク、セーラ、ドルカス

 

B班

メンバーは、ケント、セイン、ラス、マシュー、ルセア

 

といった分け方だ。

 

その班分けに、ユーリは明らかに不満ですといった顔をした。

 

「A班は東側の細い通路を攻めて・・・B班は少し場所が広くなるから、騎馬を中心に押し切ってくれ」

 

『何故、俺を外した?』

 

ユーリの顔は味方を相手にしているため、先の戦いのような顔はしていないが

怒りに満ちあふれた物だった。

 

「ユーリには、ニニアン達の護衛をして欲しいから

 フロリーナも同様の理由。それに、建物内じゃペガサスは上手く使えないだろうしね。

 それに、いざとなったら、フロリーナにはニニアン達を乗せて逃げてもらいたい

 そんな時でも、ユーリなら1人でも逃げ切りそうだし」

 

利には適っていた。

現在、この一行で単独で戦えて、逃げ通すことを考えれば、ユーリが身軽で一番良いだろう。

それを、頭ではわかっても、心が納得しない。

 

『・・・だが!』

 

「それに、そんな顔のユーリを行かせるわけには行かない」

 

ユーリの表情は敵を前にして、先の戦いでの雰囲気に戻りつつある。

そんなユーリを、戦わせれば、どうなるかわからない。

 

「ユーリ、何があなたをそうさせるの?」

 

再三問われた質問。

 

『さぁな・・・まぁ、わかった・・・俺が残れば良いんだろ』

 

ユーリも、これ以上の追求を避けるためなのか、残ることを選ぶ。

 

「ユーリ・・・・・いや、聞かないでおく」

 

マークは、ユーリの苦悶に満ちた表情を見て、自分も追求しようとしていたのをやめる。

 

「みんな、行こう!」

 

納得はいってないが、時間が多くあるわけでは無い。

みんなはそれぞれの持ち場に散っていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

『どうした・・・?』

 

残ったユーリ、フロリーナ、ニニアン、ニルスは古城の入り口で腰を下ろしていた。

その中で、フロリーナは、ユーリを少し離れたところで見ていた。

これが、ユーリ以外なら、男性が苦手だからで済むが、何故かユーリは大丈夫なフロリーナ。

ユーリは理由がわからず問いかける。

 

「ユーリさん・・・恐い顔してます・・・」

 

少し、泣きそうな顔でユーリの顔を指摘する。

ユーリの顔は、自分で、諦めたとはいえ、納得しておらず、目がつり上がり

殺気にも似たものを出していた。

 

『ごめん・・・・』

 

フロリーナを泣かせる気は無かった。

 

ユーリは、自分の気持ちを再度落ち着かせる。

 

『(・・・を泣かせてまで、こだわることじゃない・

 それじゃなくても俺は・・・・・・・・だから)』

 

目を閉じ、深呼吸をする。

 

そして、フロリーナの方を見たユーリはいつもの顔・・・

いつもの雰囲気のユーリだった。

 

『ごめん、俺が悪かった・・・』

 

ユーリはいつもの用にフロリーナの頭を撫でた。

 

「・・・・お兄ちゃん・・・」

 

『!!!』

 

心臓が掴まれるような感じがした。

ユーリは、手を離し、固まった。

 

「あ・・・ごめんなさい・・ユーリさんの感じがお兄ちゃんに似てたから・・・」

 

『そうか・・』

 

ふぅ、とほっとするユーリ。

 

「フロリーナさんにはお兄さんが?」

 

まだ、フロリーナのお兄さんのことを知らないニニアンとニルス。

 

「はい・・・・」

 

そして、フロリーナも兄に会うべく、2人にお兄さんのことを話す。

 

少しでも、手がかりがあればと

 

『(・・・ごめん・・・・)』

 

再度。心の中で謝るユーリは一体、何を思っていたのか・・・

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

フロリーナの話が終わる頃、リンたちは戻ってきた。

 

『指輪・・・取り戻せたのか?』

 

「ええ、でも・・・」

 

「彼らは普通の賊じゃないと思う・・」

 

マークの話では、指輪を持っていた男は最後に毒を自ら飲み死んだらしい。

そして、失敗には死あるのみが最後の言葉であったと。

そのことから、彼らはただの賊ではなく、訓練された組織の一員ではないかと推測をたてた。

 

『(・・・そいつなら、手がかり持ってたのか・・・)』

 

「なぜ、ニルス達を・・・そして、ユーリは何であいつらを・・・」

 

『「「・・・・・・』」」

 

3人とも黙して何も語らない。

ニルスとニニアンからは不安が、ユーリからは拒絶の意志が現れていた。

 

「ニルス、ニニアンそんな顔しないで

 私たちと一緒に居れば安全よ」

 

「でも・・・・」

 

「大丈夫・・・マークの戦略、私の剣の腕・・・

 それから、みんなの力を合わせれば、どんなことだって乗り切れる

 どんな奴らだって追い払ってみせるわ。

 それに、そこにいるユーリは私より強いんだから」

 

「ほんと?」

 

「ええ、ねぇ、ユーリ?」

 

問いかけられたユーリは困惑する。

 

『どちらの本当かはわからないけど

 前者にしろ、後者にしろ本当だ

 油断したら、リンには負けそうだけどな』

 

そう、ユーリは笑って見せた。

ユーリのいつもの笑みを見たリンたちはいつものユーリに安堵していた。

 

「リン様・・・ユーリ様・・・」

 

『様はやめてくれ、リンと違ってご立派な身分じゃないから

 なんかむずかゆい』

 

「なら・・・・ユーリさん」

 

『それなら、まぁ良いか』

 

「私も様は慣れないんだけど・・・

 あ、指輪返すわね」

 

話し込んで、指輪をニニアンの手に戻していなかったリンはニニアンに

先ほど、取り返したばかりの指輪を渡す。

 

「[ニニスの守護]って名前だった?」

 

「リン様ありがとうございます」

 

「いいえ、気にしないで」

 

「ユーリ」

 

『ん?』

 

ユーリの横に、マークが来て、ユーリに耳打ちする。

 

「リン、ユーリが何であいつらにムキになるのかはもう

 聞かないって。ユーリが話してくれるのを待つんだってさ

 感謝しなよ・・」

 

『・・・・そうだな』

 

ユーリも、苦笑いでそう返し、リンの方を見る。

 

そして、誰にも聞こえないように呟いた。

 

 

いつか、話せるときが来たら・・・・と

 

 

 

 




後書き

うーむ・・・後書きに書くことがない・・・

皆様から、意見・感想・質問をお待ちしております!



以上、whitetrainでしたー!

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