ダーニックは流麗な顔を僅かに強張らせて戦況を見守っていた。
常に余裕を持って行動し、敵対者がいたとしても、自分の手の平の上で動かして勝利をもぎ取るのが本来の彼の戦い方である。
今回の聖杯大戦も、イレギュラーが重なり魔術協会の干渉を受けることになったとはいえ、考え得る限り最高の英霊をサーヴァントとして召喚することに成功した時点で、ダーニックの勝利はほぼ確定したはずだった。
だが、現実は思惑通りには運ばない。
“
“赤”のアーチャーは未だに健在。“黒”のランサーが圧されているわけではなく、二万本の杭という圧倒的な物量を前に、“赤”のアーチャーは回避に専念せざるを得ない状況になっている。
ルーマニア国内でなら、勝るもののいない大英雄。それが、ダーニックのサーヴァント
しかし、そのランサーであっても、必ずしも勝利を手にできるというわけではないのだ。
聖杯戦争とはそういうものだ、という思いはある。
七十年前に、冬木の聖杯戦争に参戦したときに、サーヴァントという存在の規格外さ理不尽さは身をもって経験している。
だからこそ、より確実な勝利を実現するために“黒”のランサーを召喚した。
だが、こちらの陣営全体で見れば、サーヴァントは低位の者が多い。
身内同士の戦いというある意味での出来レースを想定していたダーニックと聖杯大戦のために英霊を選別した魔術協会との戦略の差が露呈した形になる。
フィオレが偶然にも引き当てた“黒”のアーチャーとゴルドが召喚した“黒”のセイバーがいなければ、敗北はほぼ確定していた。
当初の聖杯戦争であれば、この二騎はダーニック最大の敵となっただろうが、今となっては良き兵として戦ってくれている。
聖杯大戦そのものが想定外であった以上、ダーニックの基本戦略――――自らは高位のサーヴァントを従え、他のマスターには低位のサーヴァントを召喚させることで、聖杯戦争での自らの勝利を確定させる――――は、完全に裏目に出た形になる。
さらに、これに加えて“黒”のランサーが敗れることになれば、これまでのすべての努力が徒労と化してしまう。
それだけはなんとしてでも避けなければならない。
ダーニックは、自らの令呪を見る。
三回限りの絶対命令権。
これを使えば、“黒”のランサーに切り札を使わせることができる。
『
“黒”のランサーの最強宝具であり、それと同時に彼が最も忌み嫌う災厄の宝具。
発動させれば、“黒”のランサーは肉体面も精神面も伝承に謳われる吸血鬼へと変貌することになる。英雄ヴラド三世ではなく、恐怖の体現者たる魔物吸血鬼となってすべてのサーヴァントを殲滅することだろう。
ただし、使えばダーニックは死ぬ。
他ならぬ“黒”のランサー自身がダーニックを殺しに来る。
彼は、ヴラド三世の名に張り付いた吸血鬼という屈辱の伝承を取り払うために聖杯を求めているのだ。吸血鬼化する宝具を使うことは、彼の存在の全否定に繋がる。
さらには、サーヴァントという枠組みから逸脱した吸血鬼には、令呪が効かない可能性もある。
不確定要素は極力排除して事に臨みたい。
宝具の強制は、ダーニックの死と引き換えに聖杯を獲得するという結果に繋がるだろう。そこに、ダーニックの勝利はない。
しかし、“黒”のランサーに切なる望みがあるように、ダーニックにもまた叶えなければならないユメがある。
ならば、無駄死にはできない。なんとしてでも、己の願望を叶えなければならないのだ。
そのためには、何者をも犠牲にする。
己のサーヴァントの望みも、自分の命も。
勝利しなければ滅亡は必至、勝利することが最低条件のこの聖杯大戦に於いて、誇りのために潔く散る、などという選択肢はそもそも存在しない。
醜くくしがみ付いてでも、勝利を希求しなければならないのである。
彼に戸惑いはない。
他者を蹴落とす人生を送ってきたダーニックが、今更誰かの願いのために勝利を捨てるはずもなく、己の願望のためならば、他のすべてを亡ぼしても平然としているだろう。
コーヒーを口にしたダーニックは深く息を吸って、ゆっくりと吐いた。
イスの背凭れに体重を預けて、思考を巡らせる。
必要なのは死ぬ覚悟。
そんなものは、とうの昔にできている。
「ままならぬものだな」
呟いて、天井を見上げた。
後は状況次第か。
敗北が決まったわけでもないこの状況で、慌てて宝具を使わせる必要もない。だが、敗北が確定しかけたその際には、躊躇することなく令呪を行使しよう。
ダーニックはそう判断すると立ち上がって、私室を辞した。
■
城塞宝具『
英雄が覇を競う大地とは裏腹に、城塞内部は実に静かなものだ。小蝿のように煩わしかった“黒”のライダーを撃墜した今、ここは正しく安全圏である。
「戦況は五分五分と言ったところか。さすがに敵も英霊。質を気力で押し戻すだけの覇気はあるというところか?」
“赤”のアサシンは、戦場全体を舐めるように眺めてほくそ笑む。
敵サーヴァントの真名は、“黒”のアサシン以外はすべて把握している。
ネーデルランドの竜殺しジークフリート、ワラキア王ヴラド三世、シャルルマーニュ十二勇士が一アストルフォ、人造人間フランケンシュタイン、ゴーレム使いアヴィケブロン、そして、正体不明のエミヤシロウ。
一流のサーヴァントと呼べるのは、“黒”のセイバーと“黒”のランサーの二騎。ジョーカー足り得る“黒”のアーチャーは、注意深く様子を見る必要がある。
額面上の数値は決して恵まれたものではなく、大英雄が揃った“赤”の陣営の面々からすれば最低ランクであろう。無論、“赤”のキャスターは考慮の外である。
しかし、さすがにアーチャーというだけあって、射撃の腕は一級品。さらに、こちらのアーチャーと異なって矢そのものが宝具というのだから厄介だ。
サーヴァントのステータスは、近接戦闘を行う際の指標にはなるが、『アーチャー』や『キャスター』といった、遠距離戦闘を主体とするクラスの場合は英雄の格を図る程度の意味にしかならない。遠距離攻撃に『耐久』や『敏捷』のステータスがどれほど貢献するというのか。
どういうわけか、“黒”のアーチャーは接近戦を好むと見えて、“赤”のライダーに対しても互角に斬りあっている。
武術に縁のないアサシンからすれば、奇妙奇天烈なことであり、最速の大英雄に喰らい付く“黒”のアーチャーはそれだけ近接戦闘にも秀でたサーヴァントなのかとも思ってしまう。
近接戦闘ができるアーチャーというだけで、距離の有利不利が大きく変わってしまうので攻略が難しくなる上に、無数の宝具を使用するという謎の能力がある。
あのサーヴァントは、陣営による削り合いという聖杯大戦に於いてこの上ないスペックの持ち主なのだ。
「もっとも、それもこちらのライダーに倒されなければの話だが……」
そもそも、あのライダーに勝るサーヴァントなど、そうそう召喚できるものではない。
綺羅星の如き英雄たちを輩出してきたギリシャ神話の中でも、一、二を争う英雄なのだ。生まれながらに神の恩寵を受け、最高の師から教えを授かり、数多の戦場を駆け抜けた根っからの英雄。彼が召喚された時点で、“赤”の陣営は勝利したといっても過言ではないのだ。
早々にあのジョーカーを潰し、後顧の憂いを断ってくれるとありがたい。
「さて、我がマスターは上首尾に終わるだろうかな」
アサシンは、ポツリと呟いた。
彼女のマスターは、無事敵手から逃れこの城塞に帰還を果たしている。死中に生を見出したことが自信になったのか、シロウは即座に計画を次の段階に進めることにしたのだ。
最大の敵であるルーラーが“赤”のバーサーカーに梃子摺っている今が好機だ。仮に、ルーラーがシロウと出会ってしまえば、計画は頓挫する。それでは面白みがない。計画を知らされている“赤”のキャスターと加担者である“赤”のアサシンを除いて城塞内にはサーヴァントがいない。これもまた絶好の機会である。
彼女たちの真の目的を知るものしか城塞内にはおらず、今を除いて計画を遂行する機会はない。
“赤”のアサシンはマスターたるシロウの安全が確保できた段階で、計画の成功を確信していた。準備に費やした時間は十分にあり、そして彼女自身の毒まで使っているのだ。これで失敗するようなら、マスターと雖も見限る他ない。
無論、失敗することなど万に一つもありはしないのだが。
■
最後のサーヴァントが討ち果たされて、聖杯大戦は終わりを告げた。“黒”の陣営のサーヴァントは強力ではあったが、“赤”の陣営のサーヴァントに尽く討ち取られ、敵マスターも絶望と失意の中で果てた。魔術協会を裏切ったユグドミレニアは完全に地に墜ちて、二度と這い上がってくることはないだろう。
いい様だ、と誰かが言った。
魔術師を愚弄する血族、魔術協会に泥を塗ったダーニック。それらすべての望みが絶たれたのも自然の摂理だ。その滅びは、嘲笑にも値しない。魔術協会から目をつけられるような行動した者が辿る、極ありふれた結末でしかない。
“赤”のマスターたちは、イスに腰掛けて各々疲れを癒していた。この戦い、今までにない規模の聖杯戦争ということで、半ば死ぬ覚悟までしてきたが、まさか誰一人かけることなく戦いを終えることができようとは予想だにしなかった。
「それだけ、敵が弱かったということだろう」
「まあ、我等は狩猟の専門家。二流三流の寄せ集めでしかないユグドミレニアなど、この程度さ」
紅茶を楽しみ、談笑する。戦いの最中ではありえなかった光景だが、戦が終わればこのようなものだ。戦友たちは、互いに商売敵。もしかしたら、この先激突するかもしれないが、それはそれ。今は、共に戦場を駆け抜けた友として、語り合おう。
「お楽しみの最中に申し訳ありません」
マスターたちの会話に割り込んできたのは、もう一人のマスターであるシロウ・コトミネだ。“赤”のマスターたちの中では、最年少のマスターであり、監督官。当初は、教会が送り込んできた刺客かとも疑い、警戒していたが、実に精力的に働いてくれた。彼が身を粉にして利害調整などを行ってくれたからこそ、空中分解することなく、戦い抜くことができたのだ。
「どうかしたかね?」
「聖杯戦争も終了したことですし、皆様から令呪をお預かりしたいと思いまして」
「令呪?」
「はい。私は監督官ですので、余った令呪を回収して次回の聖杯戦争に備えなければならないのです」
「そうか。そういえば、そうだったな。すっかり失念していた」
令呪はサーヴァントを律する鎖。聖杯戦争に於いては何よりも重要な刻印である。しかし、聖杯戦争が終わり、サーヴァントの離反に備える必要もないのなら、持っていても宝の持ち腐れである。引き渡したところで、何一つ損害を被ることはない。
「なんでしたら、教会に費用請求されてはどうでしょう。この戦いはいつ命を落としてもおかしくはない過酷なものでしたし、令呪を教会に引き渡す際の交換条件にでもすればよろしいのではないでしょうか?」
「いいのかね。君は教会の人間だろう?」
「請求されるのは私ではなく教会ですから、私の懐は痛みません。それに、私も聖職者ですから、皆様のご期待に沿うだけの財産はありませんし。これは、まあ、このような戦いに若輩者を送り込んだ上に対する、意趣返しのようなものです」
悪戯好きの少年が見せる、無邪気な笑顔そのもののシロウの顔を見て、思わず冷徹な魔術師たちも顔を綻ばせる。
「まあ、確かにそれくらいしてもいいだろう」
「そうだな。我々は命まで懸けたのだからな。教会からも報酬を受け取らねば割に合わん」
「魔術協会からの報酬と合せれば、最高級のスクロールを購入してもおつりがくる額になるだろうな」
魔術とは、とりわけ金食い虫だ。彼らが命懸けで任務に臨むのも、すべては魔術を極めるための金を得るため。聖杯戦争などという、考え得る限り最大の戦いに身を投じたのだから、それに見合った報酬が期待できるはずだ。
「しかし、君には損な役回りだな。教会からは我々ほど報酬が出るわけではないだろう?」
「ええ、清貧に甘んじるのも主の教えに適う行動ですから、それは受け入れますよ。それに、私も皆様から働きに見合うだけのものをいただけますので」
「何か約束したかな?」
「お忘れですか? 戦いが終わった暁には、マスター権を下さると仰ったではないですか」
マスター権。
それは、サーヴァントとの契約を示す、何よりも大切な聖杯戦争への参加権。
それがなければ、サーヴァントを御することはおろか魔力供給すら行えない。サーヴァントとの契約が切れてしまえば、ただの魔術師に成り果てる。襲われても、誰も助けてはくれない。決して、勝利することなどできないし、生きて帰ることができるか怪しい。
「まあ、いいだろう」
だが、そんな不安が僅かに頭を掠めただけで、一同は了承した。思考は正しい。令呪もマスター権も聖杯戦争には必須で、それがなければ、いつ命を落としても不思議ではない。だから、それらは何よりも重要。
正しく理解している。
そして、それらの権利も、
「ありがとうございます。では、移譲の儀式に取り掛かりますので、暫しご歓談ください」
シロウは深々と礼をして去っていく。
魔術師たちは、深いことを考えることもなく再び会話に没入する。外の様子を一切気にかけることもなく、自分のサーヴァントと顔を合わせたことすらないにも拘らず、それを不審に思う様子はない。
確かに、そんな彼らにとって、令呪もマスター権も必要ないだろう。
何せ、彼らの聖杯戦争は始まる前から終わっていたのだから。
■
ミレニア城塞の一室で、カウレスは脱力してため息をついた。
傍らには、彼のサーヴァント“黒”のバーサーカーがいる。戦場で猛り狂い、果てるまで戦うのが彼女の役目だったし、カウレスもバーサーカーもそれを承知していた。
しかし、それは無駄死にを肯定するものではない。
出会ってから、共に過ごした時間は僅かでしかないが、それでもこのバーサーカーが聖杯に託す望みを抱いて聖杯大戦に参戦し、カウレスのサーヴァントになってくれたことを踏みにじるわけにはいかない。バーサーカーに戦略的な思考ができないのならば、カウレスが失われた理性の役割を担うしかない。
文字通り、カウレスとバーサーカーは一心同体を為している。
“赤”の陣営の空中要塞から放たれた雷撃は、現代の魔術師では再現できないほど強大な魔術だった。それが、“黒”のライダーのような高い『対魔力』のスキルを持つサーヴァントならば、なんとか耐えられたかもしれないが、『バーサーカー』のクラスには、『対魔力』のクラス別能力はなく、フランケンシュタインという英霊にも魔術に抵抗できるような固有スキルはない。近代に入ってから成立した英霊だけに神秘も浅く、とても神代の魔術を受けて無事でいられるとは思えない。
あの空中城塞からの攻撃は、バーサーカーを一撃で屠れるものだ。
三流とはいえ、魔術を齧っているカウレスは、一目で空中城塞から放たれる魔術の威力を見抜いていた。
よって、バーサーカーが狙われたと分かれば、例え臆病者の謗りを受けようとも即座に令呪で撤退させる心構えでいられたし、それ故に“黒”のキャスターのゴーレムが消し飛ばされた時点で、カウレスは令呪を発動させる決心をすることができた。
結果として、カウレスはマスターとして最高の仕事をしたと言える。
聖杯戦争に参加するマスターの役割とは、窮極的にサーヴァントの維持と補佐に集約される。カウレスはバーサーカーの宝具の能力によって前者の役割を免除されているに等しい状態のため、とにかくバーサーカーをどう運用するかという点のみが彼のマスターとしての実力が問われるところと言えた。
それを考えれば、一秒先の死が確定したサーヴァントを令呪を用いて救うというのは、マスターとして最高の仕事と言う外ない。
バーサーカーが雷撃に撃たれる直前、カウレスが発動した令呪の強制転移がバーサーカーを救ったのだ。
令呪はサーヴァントの行動を縛る役割もあるが、使い方次第ではサーヴァントに利する方向で一時的な奇跡を具現することも可能だ。
魔術師としても三流を自負するカウレスでは、空間跳躍の魔術が執り行えるはずもないが、令呪の膨大な魔力にものを言わせれば、その奇跡にも手が届く。三回だけの奇跡をどのように消費するかは考えどころだろうが、サーヴァントを失えばすべてが無駄になる。
敵前逃亡という結果になってしまったが、判断は決して間違いではなかった。
この部屋に他のマスターがいれば、居た堪れなさに閉口してしまっていたかもしれないが、幸い、ここはカウレスの工房だ。他にマスターはいない。
「怪我は大丈夫か、バーサーカー」
カウレスはバーサーカーに問いかける。機械仕掛けのバーサーカーに怪我という言葉を投げかけるのは聊か奇妙な感じもしたが、意思ある彼女をただのからくり人形と同義に扱うつもりは、カウレスにはない。
「ゥー……」
バーサーカーは頷いた。
神父の黒鍵によって受けたダメージは微々たるものでしかなく、“赤”のアサシンの魔術攻撃で受けた傷も治癒魔術で瞬く間に塞がる程度でしかなかった。
だが、傷を完全に治療した後も、その顔には明確な不満が張り付いている。
「どうしたんだよ」
「ヴヴ、ゥ」
苛立たしげに、バーサーカーは唸る。言葉のやり取りができないので、カウレスは彼女の表情や行動から気持ちを推し量ることしかできない。
「あの神父にしてやられたことが不満なのか?」
あてずっぽうに尋ねてみると、バーサーカーは唸りながら石床を踏み鳴らした。ただの人間にしてやられたことが、よほど悔しいのだろう。狂化していても尚、地団太を踏むほどには彼女の思考力、感情は維持されている。
カウレスは、シロウと名乗った神父を思い返す。
サーヴァントを相手に、単身日本刀で立ち向かった黒衣の僧。教会の代行者ともなれば、死徒を相手にも戦えると言われているが、このバーサーカーも低位ではあるがサーヴァント。まして、人造人間だ。そのスペックは誕生時点で人間を上回っているはずである。
人を超えた存在である彼女に、手傷を負わせるまでに迫ったあのマスターは一体全体何者だ。
考えても仕方のないことであるが、思考の海に沈んでしまう。
あのマスターを危険と判断したバーサーカーの本能は正しい。理性的に見ても、あれは異常だった。
「バーサーカーはしばらく待機だ。今は迂闊に出るときじゃない」
“赤”のアサシンと“赤”のキャスターが戦場から離れている今、戦場にいる敵サーヴァントは四騎。こちらはここにいる“黒”のバーサーカーを除いて計六騎だ。バーサーカーがいなくても、数的優位に立っているので、あわてて戦場に戻る必要はない。状況をよく観察して、必要なところに戦力を割くほうが重要だ。今のバーサーカーは、墜落した“黒”のライダーと同じく遊軍として、自由に動けるという強みがある。
なによりも戦場に残っている敵サーヴァントは、このバーサーカーの手に負える相手ではない。
最終宝具を使わなければ手傷すらも負わせられまい。そして、最終宝具を使うということは、即ちバーサーカーが消滅するということでもある。ならば、尚のこと迂闊に戦場に出すわけにはいかないのである。
Cパート
わたし、遠坂凛高校生。
最近、聖杯戦争が近付いてきたのに触媒が用意できてないのが悩みかな。
そんな時に出会ったのがこのアーチャー!
一晩たったの六時間で壊れた天井を直しちゃう優れもの。
ポイントを押さえてあるから紅茶を淹れるのだってプロ並みよ。
そして、実力も申し分なし。あっという間にどんどん勝ち進めるの。
今なら赤ザコ先生の添削指導が一回無料で体験できる特別講座がついてくる! これはもうやるっきゃない!
聖杯戦争対策は早めが肝心。
戦いに勝ち残って、みんなの夢を叶えましょう!!
提供、冬木の未来を愉悦する冬木教会