機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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ひさーしぶりの更新。

最近忙しくて加筆修正すらまともに出来ない……。

ま、まぁ趣味なんで、のんびりやっていきます。

………こんな調子で終わるんかね?


第六十一章 夕爆雨

強い意思。

 

確かな覚悟。

 

堅い決意。

 

揺るがぬ信念。

 

だから、人は争う。

 

自分の中の、何かの為に。

 

 

 

U.C. 0079 9.2

 

 

 

「少し、風が出て来たな……ブレイヴ02、"180mmキャノン"の残弾は?」

 

 青く晴れ渡る空の下、中尉が"陸戦型ガンダム・ジム頭"(ジムヘッド)を歩かせ基地の正面に向かいながら聞く。中尉はありったけの武装とともに基地正面塹壕でアンブッシュする事で先制攻撃を加え、敵に捕捉され次第囮になろうと言う考えだった。

 

 "ジムヘッド"の踏みしめている以前の戦闘で焼かれた地面はまだ熱を持っている様で、対地センサーの精度はあまり高いものでは無い。陽炎揺らめく地表面では、湯気を出す地面の発する熱が空気を掻き混ぜ、小さな渦を巻いては消えて行く。

 アンダーグラウンドソナーも掘り返された地面と土中の構造物が多過ぎて稼働しづらいと上等兵がこぼしていた。決してコンディションは最高では無い。

 そのため、整備班達の血反吐を吐く様な徹夜生産により増産されたマントを上半身を覆う様に羽織り、両腕部、背中にシールドを装備していた。

 

薬室(チャンバー)に、一発………マガジンに、一発の…計2発だ……》

「──狙撃も、最大2機か………CP、ブレイヴ02の配置をどうするつもりでした?」

《こちらCP。ポイントデルタ72の予定でしたが、ポイントアルファ56に変更しましょう》

 

 悩む中尉に、上等兵が淀みなく答える。ここは上等兵に任せるが吉だろう。やはりオペレーターの存在は重要だ。しかし、まだ確立されていないMS戦術においては軽視されがちであるのが実状であるらしい。現にパイロット育成機関こそ極秘裏ではあるが各地で進行しているものの、オペレーター育成は"ジャブロー"のみにおいて細々と続けられているのみである。

 地球連邦軍は下士官からは特殊技能を持つ職業軍人集団であり、階級は職務・権限と密接な関係があるが、訓練生であり臨時で組み込まれたとは言え、上等兵では階級が低過ぎるだろう。地球連邦軍における二等兵、一等兵、上等兵は階級でなく給与水準に関する指標であり、権限・職務・指揮系統に全く関係ないのだ。また、この三者は兵士である。因みに整備士達は特殊機能持ち、つまりは下士官扱いとなる。即ち、現在"ブレイヴ・ストライクス"で最も階級が低いのが上等兵なのである。

 現在地球連邦軍は戦時体制であり、徴兵が行われ、戦時階級もあるが……。持ち直したとは言え、まだ地球連邦軍は混乱している。そもそも特殊技能を持っているのに兵士扱いなのが謎である。上等兵はまだMS部隊が存在しない段階からMS部隊オペレーターとしての訓練を受け、その重要度がまるで分からない状態においえテストヘッドとしてMS隊に組み込まれ。その際、隊長や現場指揮官などとの諍いや混乱を無くすため、暫定的に、一応『上等兵扱い』として入って来たが……これは上層部に意見具申が必要だな。取り敢えず、上等兵はもうすぐで元の階級に………元の階級どのくらいだ……?

 

「了解。聞いたか軍曹?乱戦になるが……頼めるか?」

 

 ごちゃごちゃと考えていたので、反射的に軍曹に話を振ってしまったが…そう聞いたところで思い出す。いつも後方で援護する軍曹であるが、遠、中、近距離全て俺より軍曹の方が強いんだった。

 軍曹の強さは、射撃の命中率だけではない。足捌きや状況判断、操縦、対応に格闘、あらゆる点において軍曹は"ブレイヴ・ストライクス"のエースだ。後方で狙撃に従事しているのは、その役職が出来るのは軍曹だけだからだ。

 

………果たして俺と伍長の存在意義は本当にあるのか疑い始めてくるな……。

 

《こちらブレイヴ02。了解……期待には、全力をもって…応える……》

《上等兵さーん。わたしはー?》

《回線Cを開いてデータリンクしてください。行き先を表示します》

《ありがとー!!ござーい!まぁーす!!》

 

 おい伍長、と言い掛けて諦める。だってコイツ新しい事好きだけど覚えるのキライだからなぁ。ハンドシグナルも一向に覚えようとせんし。余計な事はいっぱい覚えるんだけどなぁ……。

 

 軍曹機の"陸戦型GM"が動き、中尉の後方300m、基地内の倉庫群の中に沈み込み、偽装網と赤外線吸収偽装シートにより身を潜める。軍曹は"180mmキャノン"の残弾が0になり次第……と言っても2発だが、それと同時に偽装を解除、中尉機の援護に回るの予定だ。

 

《しょーたいちょー!!Bコンテナどうするよー!》

 

 中尉機の足元では少尉が手を振りつつインカムを通し話しかけてくる。少尉はMSトレーラーの荷台でクレーンへと指示を出していた。

 クレーンの先には、真新しいのか光を反射し黒光り、その輪郭を浮かび上がらせている"100mmマシンガン"が釣られており、海風を浴び不規則に揺れている。しかし『真新しい』といっても銃床などだけであるが。銃口(マズル)や一部露出している銃身などは逆に使い古された感じが対照的に浮かび上がっている。これは本体こそ未使用の物を引っ張り出すも、交換が必要な銃身に予備はないため、破棄寸前の物をねじ込んでいるためである。

 

「今回は軍曹の狙撃による援護は無いに等しい。すぐ接近されるだろうから横に置いておいてくれ!」

《……あー、なら駆動のための電力供給のためにこの"MSトレーラー"も置いてくぞ!壊すなよー!》

「了解した!それと少尉!もしもの事も考えて、お前はポイントヤンキー39に"イージス"で移動後、ガンナーシートで待機しろ!!」

 

 その言葉に眼下の少尉が盛大にずっこけた。中尉はコクピット内で、メインスクリーンにピックアップされ砂埃まで鮮明に捉えている事に満足する。機体のテスト見たくなってるけど…いや、お前一応戦闘員だし。

 ウチ戦力すくねぇから仕方ないだろ?死ぬよかま……死ぬ確率があがるか……。

 

《マジかよ!!》

《しょういー!わたしが直掩につくからだいじょーぶだよー!》

《…………………………………マジかよ…………………………………》

 

 伍長の声にさらに項垂れる少尉。そんな伍長17歳であるが、実は今現在、地球連邦軍地上軍においてはベテランの方である。現在地球連邦軍の人員不足はそこまで達しているのである。

 "ルウム戦役"や"ヘリオン作戦"などでの敗退で有名な宇宙軍に問わず、地球軍も開戦開始からこの数ヶ月で、かなりのベテランと呼ばれる兵士が前線ですり潰され犠牲になっているのだ。特に損害が大きいのはヨーロッパ方面軍であるが……撤退戦はまるで兵士を捨てる様に消耗したとか……。最もコストと時間の掛かる兵器は人間、つまり人的資源であると言うのに、地球連邦軍はそれさえも激しく消耗しているのだ。

 

《ちょっと!!それはどーゆー意味ですか!!》

「ん、そーゆー意味なんだろ」

《………だな……………》

 

 援護射撃どころか、まさかの集中砲火にひとしきり沈黙した後、伍長が絞り出す様に涙声を上げる。

 

《……わたしだってがんばってるのに…………》

《伍長、気を落とさないで下さい》

 

 中尉は機体を操り、余ったシールドを塹壕の正面に並べつつ通信を聞き流す。全く、緊張感の無い奴らめ。

 まぁ、少尉が戦闘に参加する事は無いだろう。

 

 何故かって?それは、少尉が待機するのはHQの真っ正面だからだ。そこまで攻め込めれたら、もう戦う戦わない以前にもう詰んでいる。

 

 あっ、そうだ。ついでなら胸墻(きょうしょう)作っとこ。このシールドスコップにも使える様に設計されてるしね。データ取っとかなきゃ。

 

 中尉は機体の操縦系のモードを切り替え、"ジムヘッド"に装備されたシールドで土を崩し、穴を掘り始めた。MSのパワーの前には硬い土も一撃である。MSは重機としてもかなり優秀なのだ。……………ランニングコストを度外視すれば。

 

 胸墻とは胸壁ともいい、バイポッドなどの支えの無い銃を安定して撃つための台座の事だ。

 人間は生物であり、当たり前であるが呼吸をしなければならず、心臓も止める事も出来ない。そのため必ずブレが発生するのだが、その点MSは人間と比べブレが少なく、高度な演算能力を持つコンピュータに高性能なFCSを搭載するため高い命中率と集弾率を誇る。しかし、それにも限界はある。

 

 つまり、立って撃つのと、バイポッドで銃身を地面に固定して撃つのなら、いくらMSでも後者の命中率が上がることは当然の結果である。

 また、MS戦術の一環としてのデータ取りの意味合いもあり、命中率は人間が行うのと比べどれくらい上がるかなども検証するため、中尉はこの方法を実行したのだった。

 

「CP、こちらブレイヴ01。準備完了。待機に移る」

《こちらCP了解。モニタリングしている限り、"ジムヘッド"の調子も良さそうですね》

 

 "ジムヘッド"か……いや、分かってる。分かっているんだが……。

 

「でもジム頭はやめてくれよ、ジム頭は…」

 

 中尉は待機のための準備を進めつつぼそりと呟き、こっそりとため息をついた。"陸戦型GM"の頭部デザインは嫌いではないが、やはり凛々しさ、逞しさを感じさせる"陸戦型ガンダム"の頭部の方が好きだった。つーかキメラ感が半端ない。追い込まれ、責められている感じがする。上等兵に悪気は一切ないだろうけど……。

 

 並べたシールドにもマントを掛け、その上に偽装網を掛ける。その後ろの塹壕に中尉は"ジムヘッド"の機体を沈めさせる。

 

 両手に"100mmマシンガン"を構えた"ジムヘッド"が伏せ撃ち(プローン)の姿勢を取り、"100mmマシンガン"を作りたての胸墻に載せ、依託射撃の構えを取る。

 本来は敵の接近に備え、素早く立ち上がる事の出来るしゃがみ撃ちがしたかったのであるが、元々戦車用の塹壕であり、掘る時間も無かった為の苦肉の策であった。

 

 しかし、戦車と言ってもそれは巨大な"マゼラ・アタック"用のものであり、その為にMSが伏射出来るのであるが。しかし、それでもかなりギリギリであり、本当はもう少し掘りたかったと言うのが正直なところだった。

 

 MSは直立した状態であると全長20m程度の巨大建造物であり、仮にしゃがもうと10m程度にはなってしまう。

これでは敵に見つけてくれと言っているようなものであり、全面投影面積も大きいため被弾面積も大きくなってしまう。これでは平地での待ち伏せなど夢のまた夢である。

 

 なので、この様に巨大なものを森や大きな岩も無い平地で隠すには、塹壕を掘って埋めてシートを被せてしまうか伏せさせてシートを被せるしかない。

 

 重力下の戦場において、MSはこの様な点から戦車など従来の兵器に劣っている面も多く、いかに人型と言う兵器の形がナンセンs…………ゴホン!

 

 まぁ、MSは戦車にはない機動力を持ち、悪路を高速で走破しスラスターによる三次元機動も可能であるが……その機動力と言う点でも航空機には圧倒的n………ゴホンゴホン!!

 

 しかし、航空機は長く戦場に留まる事は出来ないし、装甲も無いに等しい。火力もオプションに寄るが、こちらも爆装した攻撃機ならともかくMSに軍杯が上がるだろう。

 

 つまり、長所短所、カタログスペックだけを見るだけでは、どんな兵器も一概に、"弱い"だの、"いらない"など言えないと言う事だな。

 

 つまり、MSと言う兵器の立ち位置は、戦車以上の装甲を持つ………攻撃ヘリみたいなもんかなぁ……火力はあるし………。

 

 まぁ機動力だけ見ればそのヘリにも負けるんだけどね☆

 

 MSはこんなナリではあるが、器用にいろんな事がこなせるんだよな。いいとこ取りの器用貧乏なんて言われたらそこまでだけどさ。

 

 結論。みんな違ってみんないい。適材適所で行きましょーってとこかな?どんなものにも長所短所はあるし、その短所だけを見ても何にもならない。MSが出来ない事は多いが、戦車にも、航空機にも出来ない事がMSには出来る事もあるし、逆もまた然りだ。

 MSと言う兵器が戦闘に参加して、戦術の幅が大きく広がったもの事実だし。整備大変だし、コストは張るけどね。

 

「………さて、敵さんは来るんかね……」

 

 誰に言うとでも無く、人知れずコクピットで呟いた中尉は、メインスクリーンに揺れる、日に照らされ青々と光るヤシのから目を逸らす様にうつむき、操縦桿を握り直した。

 

 

 

 

 

 

 

「──こちらNフィールド、ユンカース32。定時連絡。異常無し」

《敵、こないね……》

《くるさ、必ず……》

 

 中尉が"ジムヘッド"を操作、偽装網をやや押しのけつつ上半身だけを振り返らせて言う。その視線の先で伍長はキャノピーを解放し伸びをし、少尉はガンナーシートに倒れこんでいる。お前ら第二種戦闘配備の意味分かってんのか?

 

《緊張を保つのが厳しいのは分かりますが、ふざけないで下さい》

「すみませんでした……」

《ほんの出来心だったんです……》

《僕のいi……》

《…全く……》

 

 来ない。敵が来ない。ホントに来ない。

 

 来ない。

 

 行き先が表示された看板でも見間違えたのかと疑うレベルだ。一体どうしたんだ。

 

 それにそろそろ"アサカ"との合流時間だ。ホントに勘弁して欲しい。

 

「………うん。フツーにキツイ……」

《わたしはピンピンですよー!》

《寝てたからですよねお2人は》

《…呆れた…》

《ね、寝てねえしゅっ!!》

《やーい少尉のばかたれー!》

 

 うるせーよてめーら。子供か!

…………伍長はともかく俺と少尉一年しか歳違わねぇ………。戦場の低年齢化が深刻だ………。

 

《でもそういうお前も寝てたんだろ!人の事言ねぇだろ!》

《失礼な!わたしはちゃんといろいろやっていたよ!》

 

 伍長と少尉がお互いにシートから乗り出し喧嘩し始める。どうでもいいから戦闘中に操縦桿から手を放すなよ…………。

 

《いろいろって……なんだよ?》

《いろいろはいろいろですよー》

《具体的には〜?何を〜?》

 

 少尉がガンガンとあおって行く。そのスタイルは嫌いではないがやめて欲しい。声を聞くだけで少尉の意地の悪い笑みがありありと浮かんできそうだ。それにどもりつつも伍長が言い返す。なんだかんだで仲良いからな。

 

《……た、体力の回復とひろーの除去と目をつぶることと、あと、あとは……》

「もういいよ。少尉も黙ってろ。そして少尉は減給だな」

 

 そんな権限が俺にあるかどうかは別として、少尉に釘を刺しておく。でもこいつの事だ。刺すだけじゃ足りんかもな……。ドリルでねじ込むくらいじゃないと、最近のスレたガキは言う事聞かないってお偉いさんも嘆いてるしな。

 

《嘘ぉっ!!レオナちゃんはどーなのよ!?そして監督責任もあると思うなー!!うん!!》

「うるせーよ喋んな生ゴミ。いや不燃ゴミ」

《燃えるよ!!俺は燃えるよ!!》

《………わたし、これ以上給料減ったら0になっちゃいます………》

 

 この部隊、色々と問題抱え過ぎだろ…………。優秀な人材が大半なのに、それ以外の負債が大き過ぎる…………。

 

 まぁ、仕方ないつっちゃあ、な。あれから数時間。人間の緊張と言うものは何も無しには継続しない。

 

 そりゃ、相手も人間だけど…。

 

 向こうとこっちじゃモチベーションも違うだろう。往々にして守備側と言うのは人間に優しくない。どんな些細な事でも主導権を握られると言うのは、それだけで大きな負担となる。正直"ブレイヴ・ストライクス"の戦果は奇襲によりそのリソースを活かし続けたからである。

 

《そういや、装置の誤作動ってセンはねぇのかよ?第一絶対に来るわけでもねぇんだし……》

《それこそ敵の策略でしょう。常時集中する必要はありませんが、備えは万全にする必要があります》

《……同感だな……それに……!》

「どうした、軍曹?」

《どうしたんですか?おトイレ?》

 

 ズドン、と軍曹の"陸戦型GMが"180mmキャノン"を発砲する。マズルフラッシュが瞬き、衝撃波がギシギシと倉庫をたわませ、音を立てる。

 

 撃ち出された火球が遥か彼方で炸裂し、装填された炸薬の量では起こし切れない爆発を起こし、大気を揺さぶる。

 

《きゃあっ!?何!?何なに!?》

「味方の射撃だ落ちつけ!!ってまだ寝ぼけてんのか!!」

《ミノフスキー粒子濃度急上昇!!レベル4です!ご注意を!》

《うぉい!!マジ来やがったくそッ!!》

「総員第一戦闘配備!!敵の襲撃にそなえおっ!?」

 

 中尉が言い切る前に、爆音と火柱が基地内で噴き上がる。慌てて通信と目視により確認するが異常無しだ。幸いにも外れたらしいが……これはマズイ!!

 

 アウトレンジから撃たれまくるのに強いヤツなんかいねぇ。敵の射点すら捕捉出来ない今、ジリ貧になるのは目に見えている!!

 

「CP!こちらブレイヴ01!!被害状況を確認せよ!!」

《お、親方ぁっ!!空から砲弾が降って来ましたぁ!!》

「少し黙ってて!!お願い!」

《こちらCP!基地内幹線道路に長距離砲が着弾した模様ですが、損害はゼロです。ご安心を》

《この……レベルは…まさか……》

 

 軍曹が何に気づいたか分からんが、そんな余裕は今無かった。敵は目前だ。正直かなりヤバい。何だかよくわからんが、ヤバい。

 敵は長距離砲撃で揺さぶりをかけつつ、MSを突撃させこちらを制圧するつもりか!?

 

《おいおいおい!!俺帰っていいか!!》

《敵前とーぼーは後ろだまだよ〜!》

《さっきふざけてたクセに何言ってんだ!!》

 

『エンゲージ "ザクII" "ザクキャノン"と認定 注意を』

 

 その時中尉の"ジムヘッド"が敵をメインモニターに捉えた。コクピット内に接近警報が鳴り響き、中尉はメインスクリーンを睨みつける。

 敵は……"ザクII"が4機。真っ直ぐ突っ込んでくる!!

 

「ブレイヴ01、エンゲージ!!"ザクII"が2機、ヘッドオン!!右からA1、A2、A3、A4とする!!」

《こちらCP!爆音でアンダーグラウンドソナーが作動不良を起こしました!》

《ブレイヴ02より、各員へ……ポイントゴルフ57…敵を捕捉(エネミー・タリホー)…"ザクキャノン"だ、C2と呼称……》

 

 機能の大半を落としていた機体をあらゆる手順を飛ばしつつ立ち上げ、FCSを起動、全セーフティを解除し、セレクターを"レ"に合わせる。

 

『マスターアームオン メインアーム レディ』

 

 グリーンで表示されていた"SAFE"が、一瞬で攻撃的な赤文字の"ARM"へと切り替り、それを流し目で見ていた中尉にさらなる緊張感をもたらした。

 

 手を伸ばし、シート傍から精密射撃用ヘッドスコープを引き出し、スクリーンに映る、迫り来る敵機にガンレティクルを合わせる。

 度重なる戦闘で洗練され、更に命中率の上がった狙撃プログラムを起動する。遠距離だけで無く、中距離における敵の行動予測にある程度のオートエイミングまで追加された最新版だ。

 

 目標は、最接近しているA3だ。

 

 ピピッという軽いビープ音と共に、視界の端に"VALID AIM"(確実な照準)と表示された。

「……!?」

 

 トリガーを引こうとした瞬間、一瞬画面にノイズが走り、画像が乱れた。

 HSLがリンクをストップ、CPの情報支援量がグンと減り、コンソールに表示された命中率が下がる。くそッ!!"耳"がヤられたか!!俺たちのアドバンテージはもう機体各機の性能しかねぇ!!

 

「レーダーは……ダメか…くそ!センサー類をフル稼働!データリンク!」

 

 HSLを手動で再起動、再接続し設定を微調整する。それをCPを経由する事で、暗に上等兵へと指示を出す。その間にもどんどん敵機は接近して来る。時間は無いが、焦りは禁物だ。戦場では冷静さを失う者から死んで行く。銃身と頭は常にクールであれ、だ。

 

《! こちらCP!了解!全センサ起動!通信回路Bにてデータリンク!》

 

 その意図に一瞬で気づいた上等兵が設定を変更、新たな情報支援を開始した。この様に膨大なシステム群を臨機応変に、柔軟に切り替え対応させる事が出来るのは上等兵だけだ。

 流石"電子の妖精"。我が隊の大黒柱である。

 

《叫べ!バーストリンク!》

《少尉!撃ちますか!弾幕だけでも!》

「よせ!射点を曝すだけだ!いや、となりのアホに叩き込んでやれ」

《死ぬぅ!!》

 

 ガンガンと砲撃は降り注ぐ。こちらには撃ち返す武器は無い。そもそもこちらは射点すら把握出来ていない。完全にしてやられたパターンだ。

 

《でも場所がわかんねぇぞ!どうすんだよ!!》

 

 情けない声を上げわめく少尉に、伍長がふざけて返す。

 

《ペロッ、今、こっちは風下です!》

《匂いを嗅げとでも?》

《そうです!》

 

 ふざけるのはいいが、単発でズバッと終わらせて欲しかった。

 

《臭わないんだ……》

《なら後はゲーマーとしての勘を……》

「上等兵!!あの2人の通信を切断頼めます!?」

《分かりました》

《ちょっ》

 

 こっちが死に物狂いで撃ち合ってる時にあいつらは………。

 それに言った瞬間にも切られたって事は……上等兵………。

 

 "ザクII"は2機一組(ツーマンセル)で散開、挟撃して来る。少しでも進軍速度を落とそうと、中尉はプローンのまま射撃する。

 

敵レーダー波 照準(エイミング・レーダースパイク)回避を推奨』

 

 "100mmマシンガン"から伸びる射線により位置が割り出され、一瞬で怒涛の如く120mm弾が降り注ぐ。

 

「…んぐっ!クソッ!!だあぁっ!!適当な事ぬかしやがって!一発狙う間に100発撃ってくるじゃねぇか!」

《援護する、ブレイヴ01……A1、A2は任せろ……》

「どうやっ……了解、任せたぞ!……貧乏性は嫌いだ、オラっ喰らえ!!」

 

 軍曹の言葉に間違ってた事は一度も無い事を思い出し、信じて目標を片方の2機(A3、A4)に絞り、"100mmマシンガン"をフルオートで連射する。火線が到着する前に回避したA4を無視し、反応の遅れたA3に火線を集中させる。

 逃げ遅れたA3に100mmAPFSDS弾が殺到、機体を激しく揺すぶりながら穴だらけにし、内側から火を噴いたA3が内側から大きく歪む様に膨らみ、大爆発を起こす。

 

 衝撃で飛び散った装甲の破片がマントの上から機体表面にあたり、カンカンと軽い音を立てる。核融合炉の炉心融解(メルトダウン)による誘爆を至近距離で観測した中尉機のセンサーが一部使用不可能になる。今までMSと多数交戦を続けて来たが、核融合炉の誘爆は初めてだった。基本的に安全でクリーンである核融合炉も、戦争においては絶対はないという事か………。

 

 こんなものに乗って戦争をしているのだ。俺達は。

 

 焼け爛れ、今だ炎と煙を上げている大地を惚けて見ていた中尉を、飛び込んできた通信が現実へと引き戻す。

 

《少尉!!すごい音がしましたが無事ですか!!》

「…ん、あぁ、1機撃墜(ワン・ダウン)だ」

《グッキル!さっすが少尉!》

《こちらCP……正体不明の音源を確認…………?……誤作動…?………申し訳ありません…アンダーグラウンドソナーはまだ完全に復旧してい無い様です》

「気を落とさないで下さい。大丈夫です」

《あぁ…問題無い……》

 

 そうそう。軍曹は問題無いし、俺はその軍曹に情報支援してもらってるし。それ以外のセンサーはそこそこ働いてるしね。

 

『メインアーム 残弾ゼロ』

 

 至近距離の凄まじい爆風に煽られたA4は大きく吹っ飛ばされ、転がり弱々しく蠢いている。中尉は弾丸を撃ち尽くした"100mmマシンガン"二丁を投げ捨てる様にBコンテナに押し付け、新しい二丁を取り出す。

 

 戦闘態勢を取れて居ないA4は放置する事に決め、そして先程軍曹に任せる事にした2機に狙いをつける。軍曹は残弾1だ。2機を相手にするわけには……!

 

 その2機の真横から火線が伸びる。突然の不意打ちに慌てて回避した2機は地雷を踏み、さらに踏みとどまる。

 

 脚を吹っ飛ばせなかったか………地雷の炸薬量が足りなかったと思う暇も無かった。

 

 その2機の上半身が最も装甲の薄い腰部から仲良く両断される。軍曹が2機を一気にぶち抜いたのだ。

 

「……すっご…………」

 

 爆炎を噴き上げ消し飛ぶ2機を見つつ、中尉はそう呟く事しか出来なかった。

 

《敵機、撃破……》

「よし!後、一機!!」

 

 その時左手前方の林から立て続けに火の手が上がる。C2だろう。

 残念だったな。そこは地雷原だ。やはり、数の差を埋めるのに地雷は有効だ。敵の行動を大きく制限し、監督が要らず勝手に攻撃してくれるし、火力もあり、尚且つ安い。こっちが下手を打たなければ、地雷は頼れる仲間になる。それに、相手は地雷を恐れる。見えない恐怖ほど恐ろしい物はないのだ。『地雷は相手の心に仕掛けるもの』とはよく言ったものだ。

 

 その爆発の中の、センサーが映し出した機影へと目掛け両手の"100mmマシンガン"を乱射する。

 林に密生した木が殺到した100mm弾によってズタズタに引き裂かれ、大量の木の葉と木片を撒き散らしながら倒れる。その音に混じり装甲を引き裂く甲高い音が鳴り響き、その音も次第に収束して行く。

 

 無残にも引き千切られ、風に舞う木の葉はそのまま上昇気流に巻き上げられ、皮肉にも自由にふわりふわりと宙を舞い何処かへと向かって流されて行く。その中の一枚が"ジムヘッド"のメインセンサーに張り付き、また風に吹かれ飛ばされて行った。

 

 中尉が射撃を止め該当地域をセンサーでスキャンし、敵機の機能停止を確認する。

 

「敵機、撃hうおぉっ!?」

 

 ドカン!!と長距離砲がまた近くに着弾する。主要なパイプを破壊したのか、水が高く噴き出し噴水の様になる。

 

 噴き出す水の勢いに、思わず気を取られそちらを見る。太陽の光を浴び、キラキラと飛沫を飛ばし虹を描く光景は綺麗ではあったが、本当にそれどころではないのが実情だった。

 

「……くっそぅ。好き勝手やりやがって……」

《怒涛の如く噴き出す水!!ってわわっ!こっちに来たぁ!!》

《…インフラストラクチャーが………直したばっかなのに……》

 

 三者三様の感想を上等兵が一刀両断し、指示を飛ばす。

 

《今は敵に集中して下さい。手隙の作業員は、ダメージコントロール班と共に破壊されたパイプの断水、急いで下さい!》

 

 一瞬気を取られた中尉はかぶりを振り、口に飴を放り込み後改めてスクリーン、コンソールに目を通し、操縦桿を握り直した。

 集中しろ……。全く……鈍ったな。

 

敵機撃破(ワン・ダウン)。軍曹、前に出るぞ!敵長距離砲が最優先目標だ!」

 

 展開されていた狙撃スコープを収納し、機体のモードを変更する。これから待ち受けるのは、MSをはじめとする多数の兵器が入り乱れるだろう乱戦だ。設定の抜け、一瞬の油断、あらゆる事柄が即死に繋がる。ならば、準備をする以外に今出来る事はない。

 

 出来る事は全部やったを後は、祈るだけ。ジルバを上手く踊れるかどうかは、踊り始めるその一瞬まで誰もわからない。

 

《こちらブレイヴ02、了解……ブレイヴ01に追従する……》

《こちらCP。"ロクイチ"(アーチャー)隊、"モルフォ"隊へ。ポイントブラボー84のC2へ向かい、敵機の機能停止を確認して下さい。機能停止が確認出来なかった場合、交戦、破壊を許可します》

 

 定期的に撃ち込まれる敵の射撃は続いている。人的被害は今だゼロだが、基地への被害はドンドン増えている。早く止めないと勝つ意味すらなくなる。

 

《こちらCP。敵長距離砲の位置を特定に成功!………移動しつつ射撃出来る兵器の様です、ご注意を。座標は…ポイントフォックストロット63》

「こちらブレイヴ01了解。感謝します」

 

 爆風で横転し、損傷したのかどこかぎこちない動作で立ち上がる途中のA4を視界の隅で捉える。

 中尉はまだ膝をついたままのA4に対し"100mmマシンガン"を容赦無く叩き込む。装甲に流体ポリマー、ケーブルや火花を撒き散らし、煙を噴きながら沈黙したのを確認後、Bコンテナからリロードされた新しい一丁を受け取る。

 

 上等兵からの通信は朗報だ。そして、これは反撃の狼煙だ。奴らには、こちらに喧嘩を売った借りを返し、きっちり分からせてやる必要がある。

 

「軍曹、さっきの射撃、見事だった。あの横からの攻撃は?」

《ワイヤートラップだ……そして、固定した"100mmマシンガン"を…作動させた……装備を交換する。25秒後、進軍可能だ……》

「15秒で頼む。時間が惜しい」

《了解……》

 

 成る程、スナイパーが良く使う手だ。それを、ミノフスキー粒子を考慮に入れて有線式にしたのか。

 

 偽装網を脱ぎ捨てつつ立ち上がり、その後ろに軍曹の"陸戦型GM"がつく。同じくマント翻し、相並ぶ2機はまるで兄弟の様に見える事だろう。

 

『ソナーに感あり 11時方向 正体不明機(アンノウン) データベースに該当無し 注意を』

 

「…?」

 

 膝をつき受け取った"100mmマシンガン"とFCSがリンクを開始するが、エラーと表示される。おかしいと思い再接続を試みるが、結果は同じだった。

 ちっ、不具合か?こんな時に……。

 

「……くそっ!少尉!コイツ使えねぇ!!」

《どうした!!………砲身寿命か!………すまない小隊長。もう予備は……》

 

 中尉は改めてモニター上に写るそれを見つめる。なるほど、その"100mmマシンガン"は、既に撃てる状況ではなかった。規定である3000発をゆうに越えた射撃数に砲身寿命が尽き、焼け爛れたマズルは歪な形へと変形していた。リロードが完了したものを再度受け取るが、こちらも殆ど限界が来ていた。耐えて残り数発撃てるかどうか……。

 

「いや、いい……お前はベストを尽くした。その結果だからな…」

《いやっ!しかs…》

 

 中尉は通信を切り、軍曹に繋ぎ直す。

 反省をしようと、過去を嘆こうとも、()、この状況は決して変わらない。なら、これは今言う事でも無い。こんなつまらない事で士気を下げられたりしても困る。過去は変わらない。だが未来は分からない。明日はまだなんの失敗もしていない。評価はあの世で気にしよう。今を実感するものだけが勝つ。

 

「…軍曹。軍曹の"100mmマシンガン"は後どれくらいだ?」

《ワンクリップが、限界だ……》

「そうか…時間稼ぎすら……クソぅ、どうする、どうすれは……」

《こ、これは…まさか…?》

 

 顔を歪ませ思考する中尉の元へ、上等兵からの通信が入る。その時、中尉の直感が何かを告げた。

 

「まさか、何です……?」

《ね、ねぇ少尉……。わたし、前みたいな、嫌な予感が……》

《考えたくはないが……このような場合、案外、"最悪のパターン"というものが、起こったりするものだ………!

気をつけろ、中尉………!》

 

 人間の直感は精密ではないが、正確ではある。滅多に故障しないものなのだから。

 

 中尉は無意識の内に力み、操縦桿を握りしめていた。

 その手が滑る。グローブが汗で滑り、全身からは嫌な汗が吹き出していた。機体の所為では無い。"ジムヘッド"はコクピット内を適性な環境をキープしている。

 問題があるとすれば、それは中尉の方だ。

 

 嫌な予感はあった。そして、この様な時の予感は往々にしてあたるのも知ってる。

 

 一瞬、風が止み、静寂が訪れた。心を落ち着かせてくれた波の音も静まり、楽しげに揺れていたヤシの木もそのなりを潜め、まるで不吉な何かを恐れている様だった。

 

《! やはり!……緊急通信(PAN)緊急通信(PAN)!!緊急通信(PAN)!!!コードU、ユニフォーム!!敵長距離砲は、陸上戦艦の模様、ご注意を!直掩も3機…圧倒的不利ですが……》

「やるしかない!!行くぞ!軍曹!」

《…いや、向こうから来た様だ……かなりの速度だな……》

 

 風が、突風が吹き荒れ始める。機体に装着されたマントが大きく翻り、バタバタと風にはためく。空には分厚い雲が出て来て、太陽光線を遮り始めた。

 

「…………」

《…………》

《…………》

《…………》

 

 翳り始め、あっという間に雲が空を覆い尽くした。やや薄暗くなった曇天の下、ゴロゴロという不穏な音と共に、稲光が煌めく。

 ポツリポツリと降り出し、装甲を叩いていた雨が土砂降りとなり、メインカメラを曇らせ視界を悪くする。

 

 そんな光景の先、一際大きな光が、巨大なシルエットを映し出した。

 

 嵐が、来る。

 

 林の向こう、この嵐をも跳ね返し、濛々と立つ泥の飛沫がこちらへ向かってくる。

 

 こりゃ、覚悟決めにゃ、な………。

 

 と言うより、俺たちにはもう武器がほぼ無い。陸上戦艦と言うぐらいなら、かなりの装甲だろう。艦橋を潰そうと、サブブリッジは……。

 

 なら、最悪、MSを自爆させるしかない。先程の様な爆発を起こせば、いくら陸上戦艦と言えどタダではすまない筈だ。貴重なMSを失うのは痛いが……。

 

 セレクターを変更、"レ"に合わせる。

 きっと、これを撃ち切る前にこの銃身はダメになるだろう。もうそれぐらいの瀬戸際だった。

 

 中尉が汗で滑るグローブを投げ捨て、額の汗を拭い操縦桿を握り直し、臨戦態勢を整える。

 

 それと同時に"ジムヘッド"のグレイズシールドがリセットされ、嵐の中、蒼白い光を放ち、揺れる。

 

 それは、まるで死へと誘う鬼火(ウィル・オー・ウィスプ)の様だった。

 

 その眼窩に地獄の鬼火を灯した"ジムヘッド"が、夕爆雨の中立ち上がる。

 

 敵のレーダー波照射を感知した"ジムヘッド"コクピット内に警戒音が鳴り響く。

 

 それを聞いた中尉の覚悟は、もう決まっていた。

 

 

 

『命を捨てるか…それも選択の一つだ』

 

 

 

雨は、止む気配を見せず…………………………

 




韓国が韓国ってますが、そのお隣の中国では最近香港が大騒ぎですね。その中国は歩行戦車つくるっていってましたね(笑)。見た目ダサいデザートガンナーみたいでしたが………ところで、陸自へのシンク配備はまだですか?レイバーでも可。

パトレイバーも映画化し、オールユーニーズイズキルも映画化し、そんなこんなで話題の多脚兵器や機械化歩兵ですが、現実ではまだ厳しいかなぁ。しかし、小さなリチウムイオンバッテリーかなんかの開発もありましたし、それがブレイクスルーになれば……………

………えっ?MSとかつくるなら、その技術で戦車つくれ?そもそも日本に戦車は要らない?飛行機作れ?ステルスが最強?

何をおっしゃいますうさぎさん。今回述べたように、要らなかったら配備なんかしませんし、長所を活かした適材適所です。いずれ、MSもそれに変わる何かに代替される時代が来るでしょう。時代は移るものです。

今はバカにしてるかも知れませんけど、ケータイとかの進化も誰もが想像しませんでした。航宙自衛隊の予算も入った今、まさに10年後は、定かではない、ですよ?

個人的には、カーボンナノチューブの開発が進み、起動エレベーターやCNTで、サイボーグ、ASなどもすぐそこかも、なんて。

ま、時代がいくら移ろうとも、自分とそのまわりは劇的変化なんてしないでしょうし、のんびり行きましょう。テンポ良く、ね。


次回 第六十二章 サジタリウスの矢

《隊長!通信が!隊長!!》

ブレイヴ01、エンゲージ!!

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