機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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タイトルでネタバレ。

やや違うかも知れないのは素人なのでご愛嬌。

遂に始まる、本格的なMS戦!!

中尉は、生き延びる事が出来るか………。


第三十九章 釣り野伏せ

人の限界は、何なのだろうか?

 

1人の力などたかが知れており、限界など目に見える。

 

それはたった一人では戦局が変えられぬように、だ。

 

しかし、たった1人で戦況を変える者も存在する。

 

軍を統率する、上層部だ。

 

その指先一つで変わる運命の中、

 

兵は今日も戦い続ける。

 

 

 

U.C. 0079 7.29

 

 

 

「敵がこちらに向かって来ている?」

「はい。周囲に敷設した対地センサーに複数の振動が感知されました」

「……それは、確かなのか…?」

「間違いねぇよ。俺も確認した。複数の車両の音に、覆帯、そしてMSだ」

「敵がやって来るんですか?」

 

それは、機体を整備していた時だった。驚きと言えばそうだが、心の何処かではそう思っていた。もし自分の立場ならそうするからだった。

ウチの部隊は小規模であるが、MS運用のノウハウ確立のためにと整備士はかなり多い。しかし、中尉、軍曹、伍長は整備を手伝っていた。

 

それは整備が出来るほど自機を知っておく必要があると判断したためと、いざという時のため、それに中尉の性格だった。

自分が休んでいる時人が働いているのを見ると、どうも不安になるからだった。それにオタクでもあるため、純粋に知りたいというのもある。

伍長は自分の機体に名前まで付けて頬ずりまでしているが。

 

「何故だ?周りが攻められたら普通籠もるだろ?そんなに追い詰められてんのか?」

 

おやっさんもそこに参加する。一番経験があり、長く戦争に関わって前線で整備を行ってきたおやっさんは、アドバイザーのような立ち位置だ。

 

「……あえて打って出た、というのもありそうですね……上等兵、どう思う?」

「はい。私もそう思います。増援を呼び持ち堪えるより、打って出る事で奇襲をかけ敵を叩き潰そうという話でしょう………それなら…気化爆弾も、使えませんし………」

「……そうだな」

「……そのための、渾身の策か……ジオンには、海上輸送手段に乏しいのもあるかもな……」

「私たち防衛戦はあまり経験が無いですよねぇ。どーする?少尉?」

「……ふむ」

 

確かに。MSは基本的に何でも出来るが、本来は強襲兵器と呼べるような、機動力を活かした遊撃戦が一番得意だと考えている……。だってMSとか止まってたらただのデカイ的とかカカシだもの。

 

「上等兵、敵部隊到着までの時間は?少尉、MS技術士官としての意見を」

「はい。第一次防衛ライン到達まではヒトハチマルマルだと」

「MSはデカイ分待ち伏せは得意じゃあ無いが、ここは密林に崖が多い。

十分に隠れられるだろうな」

「……前の、メキシコシティの時の様な作戦か……?」

「あぁ!!アレですか!!私のよそ見運転で街路樹へし折っちゃ……はっ!!」

 

今トンデモない事聞いた気がするが取り敢えずほっとく。

しかし、あの時はMSが1機しか無かったが……。

 

「よし。全員を集めてくれ。おやっさん!整備兵達を頼みます!」

「おぉし!!全員、集合!!」

「「おう!!」」

 

………全員集まった。その時間、およそ10秒………。

統率力やっば!!

 

「作戦の概要を説明する。まず、MS3機でアンブッシュ、接敵と同時に攻撃を加えつつ撤退、ポイントチャーリー52、この崖のエリアに誘い込む。そこで左右から"パワードスーツ"の40mm砲、"リジーナ"、"ロクイチ"で射撃、足を止めMSでトドメを刺す……コレで行きます」

「つまり、主役は俺たち整備兵ってわけっすね!!」

「そうです。しかし、決してムリはしないで下さい。射撃と同時に離脱、コレを忘れないで下さいね」

「聞いたか野郎ども!!俺たちの力!見せてやろうぜ!!」

「「おう!!」」

 

取り敢えず、士気のため持ち上げておく。あながち間違いでないし。

 

「よし、作戦を開始する!総員!第一種戦闘配備!!」

「「おう!!」」

 

てんでばらばらに散って行く整備兵達を見送る。殆どが"キャリフォルニア・ベース"からの付き合いだ。正直頼もしい。てゆーか戦力不足から戦闘参加させまくったためオーラがヤバい。

 

「おやっさん!!偽装網の準備を!!MSパイロットは自機にて待機!!"イージス"も同じ!!」

「……了解…」

「オーキードーキー!!」

「了解しました」

「あいよ」

 

指示を出し中尉も"陸戦型ガンダム"へと向かう。"MSトレーラー"のベッドは立ててあるため、側面に設けられたエレベーターを使う。

上から見下ろすと整備兵たちは嬉々とした表情で武装を軽々しく運びつつ走り回っている。いったいどこを目指す気なんだ……?

 

「"陸戦型ガンダム"、出します!!」

『あいよ!"ガンダム"出ます!!"ガンダム"発進!!』

 

コクピットへ滑り込み、MSを起動させる。

整備士達が離れ、ロックが解除、リグが外される。武装は"100mmマシンガン"に、シールド、ハンドグレネードに有効性の確認された"スローイングナイフ"だ。

 

その時通信が入る。"イージス"の上等兵からだ。

 

《隊長、"イージス"の配置はどうしますか?》

《引っ込んでた方がいいか?》

「ジャミングをかけつつMS隊と待ち伏せ地点の中間に位置どって居て下さい、出なくてはいいが引っ込まれたら困る」

《はい。了解しました。追撃は?》

「MS隊と"イージス"で行います。その時は少尉をガンナーシートへやって下さい」

《うぇえっ!?……あーはいはい!!俺はやりますよ?やりますとも!》

《煩いですよ少尉。隊長、追撃時には、チャンスがあれば特殊グレネードを使って下さい》

「………いいのか?本当に?」

《はい》

《…………?》

「分かりました…」

 

その声には一切の迷いも、戸惑いも無かった。

あの後、軍曹、おやっさん、伍長、少尉や整備兵達に相談したと聞く。

上等兵らしいと思った。

それと同時に、俺たちは"チーム"なのだと。

 

「整備班!装備に特殊グレネードを!!」

《何個ですかぁ!?グレネードとの兼ね合いもありますよ!?》

「1つです!頼みます!!」

《あいよ!任されたよ!!》

 

すぐさまトラックがグレネードを載せて中尉の元へと走ってくる。

 

それを膝立ちで掴み取り、腰部後方のマウントラッチに装着する。

 

そのため通常型グレネードを腰の前のハードポイントに装着する。

 

これは"オリジナル"には無い機構らしい。おやっさん曰く。"オリジナル"にはそこにヘリウムコアというパーツが付いていたらしいが、"陸戦型ガンダム"はその代わりにハードポイントを装備したらしい。これは構造の似た"陸戦型GM"もだ。

 

「軍曹!伍長!準備はいいか!?」

《……肯定。問題無い…》

《バッチグーです!!》

《古くないか?ソレ?》

《あれれ?》

《2人とも集中して下さい。もう暗号回線に切り替えるのですから……》

 

伍長……日本語の勉強してるらしいけど……なんかダメっぽいぞ?

 

軍曹の"陸戦型GM"の装備は"100mmマシンガン"に、シールド、それに"スローイングナイフ"だ。

伍長は"100mmマシンガン"、シールドまでは変わらないが、前回出番の無かった試作の使い捨て"バズーカ"を2本腰部後方に懸架している。

 

この使い捨て"バズーカ"は、おやっさんお手製だ。

 

旧世紀の米軍をはじめとしてあらゆる軍隊、ゲリラが使っていたとされるM72 LAW、通称"ロウ・バズーカ"という物を参考にし、開発した。

命名はおやっさんで、今までの"試作使い捨てバズーカ"では長いため、"ランチャー"に統一する事に。

これは見た目はほぼただの筒だが、その筒を引き延ばす事で射撃可能になる。口径は240mm。

単純な仕組みでコストも安いが、威力、命中率に難があった。しかし、何よりその収納性を買われこの度テストヘッドに抜擢された。

低い命中率もOSとFCSでカバーする事に。

 

しかし、初のMS用"バズーカ"だ。そのため伍長のテンションは大爆発だ。"バズーカ"はロマンらしい。

 

分かるわーソレ。

 

"シュツルムファウスト"とは違い自己推進をする弾頭を撃ち出すため、命中率は上がったらしいが……本当かね?

 

因みにバックブラストは健在で、反動は無いに等しい分後ろを吹っ飛ばす。

 

「ブレイヴ03、"ランチャー"の前後を間違うなよ?」

《だいじょーぶですよー!そこはオートでやってくれます!》

 

あっ、説明書を読んだワケではないのね?

 

「よし、"ブレイヴ・ストライクス"、出るぞ!!」

《……了解…》

《りょーかい!》

《了解。"イージス"も出ます》

《よっし!奴らにひと泡吹かせてやろうや!》

 

帽子を振る整備士達に見送られ、中尉の"陸戦型ガンダム"を先頭に18mの巨人が歩き出す。

その後ろに"イージス"が続き、"ブレイヴ・ストライクス"隊が出撃する。

 

敵のMSを主軸にした部隊はもう迫っている。急がなければ。

 

パネルを叩き、サブモニターに表示される情報を変更する。

 

ここ周辺の地形図が表示され、そこにセンサーから伝えられた敵部隊の予測侵攻ルートが表示される。更に情報を打ち込み、アンブッシュに適した地形を選出する。

 

「ブレイヴ01より"イージス"へ。"イージス"はここで待機を。ブレイヴ02はポイントエコー33へ、ブレイヴ03はポイントブラボー24だ。偽装網を忘れるな。各機散開!」

《……ブレイヴ02了解。ポイントへ向かう…》

《ブレイヴ03りょーかい!かくれんぼは得意な方です!》

《こちらウィザード01、アウトリガー展開、アンダーグラウンドソナーによる走査開始。データリンクは30秒後の予定です》

 

中尉も"陸戦型ガンダム"を走らせ、予定されたポイントへ赴き、膝を立て機を固定、偽装網をかける。

 

「こちらブレイヴ01、準備完了」

《…こちらブレイヴ02、予定ポイントへ到着。待機に移る》

《ウィザード02より各機へ。MS歩行音確認。ポイントデルタ28からだ、少なくとも4機といったところか?ったく、ジオンに兵なしっつーのは嘘なんじゃねーの?》

「おいおい、レビル将軍の悪口は辞めとけよ」

《こ、こちらブレイヴ03、思ったより道が険しくて……50秒後に到達予定です。ちょっと待って下さい》

 

中尉も軽口を叩きながらシュノーケルを伸ばし、付近の様子を伺いつつセンサーを走査させる。

! ソナーが歩行音を捉えた。近づいてくるな……。

 

《…こちらブレイヴ02、目標を視認。"ザクII"3機に、"ザクI"2機。それに、"マゼラ・アタック"4両、"ヴィークル"6台だ……》

「…思ったより多いな…ブレイヴ03、まだか?」

《こちらブレイヴ03!準備完了!!敵も見えたよ!》

 

戦力差が結構あるな。こちらはMS3機なのに。この作戦で良かった。

 

中尉達はつい最近になって"ザクI"の存在を知ったのだった。実は新型機かと思っていた。パイプ出てないし。

 

中尉にもメインディスプレイに敵機が映し出されていた。やはり警戒しているようで、モノアイが頻繁に周囲を走査している。

 

「よし、作戦開始だ!ブレイヴ03!"ランチャー"の使用許可を出す!ブチかましてやれ!!」

《ブレイヴ03了解ぃ!!後方の安全確認!!》

 

バカ!早く撃て!!

 

《当ったれぇ!》

 

ばしゅーん!という音をセンサーが捉え、それと共に密林の1部が吹っ飛び、そこから白煙をたなびかせた"ランチャー"弾頭が撃ち放たれた。

目立つなぁ~!やっぱ射点一発でバレバレだなぁ。

 

弾頭が先頭の"ザクII"の右肩シールド直撃し、"ザクII"のシールドを右肩ごとごっそりと吹き飛ばした。

 

「よし!作戦開始だ!!ブレイヴ03、引け!ブレイヴ02は撤退するブレイヴ03をカバー!各機!敵に予備射撃を加え援護しつつ移動を開始しろ!」

《…了解》

《おっほぅ!!撃ってきたぁ!!ちょ、ちょっと待って!!》

 

中尉の"陸戦型ガンダム"が偽装網をかなぐり捨てグレネードを投合する。

2回バウンドしたグレネードは敵部隊後方で爆発し、"マゼラ・アタック"に"ヴィークル"を吹き飛ばす。

 

"ランチャー"でその居場所を晒し、一番敵に近い位置にいるため伍長に攻撃が集中する。それを軍曹がカバーするも、多勢に無勢だった。

 

中尉は迂回しつつ敵部隊との距離を詰めて行く。まだ射撃は加えない。完全に回り込み、追い立てるつもりだった。

 

《お、おいで~……いだだだだ!!いやー!やっぱ来ないでぇ!!》

 

落ち着けよさっきから!!頼むよ!!

 

《…落ち着け、ブレイヴ03。援護はしている》

《ブレイヴ03!"陸戦型GM"(そいつ)の装甲なら問題ない!!大丈夫だ!》

《ウィザード01よりブレイヴ03へ。動きが単調です。乱数機動による回避運動をして下さい》

「ブ…伍長!落ち着け!!訓練通りにやればいい!」

《は、はい!!》

 

撃ち終わり、弾切れとなった"ランチャー"のランチャーチューブを投げ捨て、伍長の"陸戦型GM"が盾を向け"100mmマシンガン"をばら撒きながら下がり始める。

その"陸戦型GM"のシールドに"ザクマシンガン"が時折直撃し火花が散る。

なんか部下(しかも女子…?かな……?)に射撃が集中するのを尻目に後ろを取ろうと忍び歩く隊長って……。

 

大丈夫だとは言え、やはり恐ろしいだろう。軍曹の"陸戦型GM"が援護射撃を行っているが、攻撃は伍長の"陸戦型GM"に集中しているのだ。

 

ルナ・チタニウム製の装甲は確かに堅固であるが決して無敵ではない。

伍長もただ下がるだけじゃなくて乱数機動とかしろよ。

高いんだぞ?そのシールドも装甲も。予備パーツだって余裕は無いんだから。

 

《隊長!後続の"ザクI"の1機が離脱、回り込みを掛ける気のようです!》

《小隊長!"陸戦型ガンダム"(そいつ)の機動力なら回り込んで奇襲だって出来る!たたっ斬って捨ててやれ!》

「了解!そいつを潰しに行く!ブレイヴ02!ブレイヴ03を下がらせろ!下がりつつ牽制して足止めだ!ブレイヴ03は下がって"ランチャー"をかましてやれ!」

《…了解。任せろ》

《助かりましたぁ!頼みます!》

《ブレイヴ03。ポイントエコー53を経由しつつ撤退を》

 

伍長の"陸戦型GM"が"100mmマシンガン"をリロード、再びばら撒きつつスラスタージャンプを行う。

その間に軍曹の"陸戦型GM"は鋭い乱数機動を行い巧みに敵弾を躱しつつ"100mmマシンガン"で牽制、動きを制限し本命の"スローイングナイフ"を抜き放ちつつ投げつけた。

 

それを腕を破壊された"ザクII"が庇い、胸部で"スローイングナイフ"を受け止め撃破される。

 

反撃を受ける前に軍曹の"陸戦型GM"がスラスターを吹かしジャンプし、その下を伍長が放った"ランチャー"が疾走る。

 

いい連携だ。伍長の放った"ランチャー"が外れて無ければ。

 

「………居た!!」

 

兵装コントロールパネルに表示された機体の簡略図、その両足のふくらはぎ側部が青く明滅し、そこに表示された『X.B.Sa-G-03 "ビームサーベル"』の文字が中尉の目前で躍る。

 

中尉がコンソールを叩き戦闘モードを近接格闘モードに、"ビームサーベル"をアクティブにする。

 

左ふくらはぎ側部の装甲が展開、レールが伸び、"ビームサーベル"が火花を散らしせり出す。

 

「ふっ!!」

 

中尉は迂回しようとする"ザクI"に向け、走りながら左手で"ビームサーベル"を抜刀し斬りかかる。"100mmマシンガン"や"マルチランチャー"を使わないのは目立ちたく無いからだった。

 

因みに"陸戦型ガンダム"、"陸戦型GM"の"ビームサーベル"はふくらはぎ側部についており、走りながら抜くのは至難の技である。

しかし、全員でマニュアル操作により練習、トライアンドエラーを繰り返したが軍曹が5回目にして成功させたのでそのデータを各機にシェアしインストールしたので全機が使える様になっている。

 

"ビームサーベル"の一撃は、一刀のもと"ザクI"の右腕を肩口から"ザクマシンガン"ごと簡単に斬り飛ばしてみせる。千切れた腕がくるくると回転し、地面に叩きつけられ痙攣する様にのたうった。

 

『なにぃ!!』

 

今のはなんだ!?声が聞こえたような……?

 

気にせず返す刀で2段目を叩き込むが、これは反応した"ザクI"の"ヒートホーク"に受け止められた。

中々の反応だ。その反応に舌を巻く。パイロットはかなりのベテランだと思われた。

 

『連邦がMSなど!100年早いわ!』

 

やはり聞こえる!!接触回線というヤツか!?

 

「そうかい!」

 

つばぜり合いになった瞬間、中尉は"ザクI"に足払いを仕掛けた。

足払いでバランスを崩す"ザクI"に、中尉は足払いの反動を利用し、地面に着いた蹴り足を軸に機体を回転させ、鋭い回し蹴りをその胴体へ叩き込んだ。

 

マズっ!蹴りまでやるつもりは無かったのに!!おやっさんにドヤされる!!

 

蹴りを喰らい倒れ込む"ザクI"の胸部に"ビームサーベル"を突き刺し、とどめとばかりに"100mmマシンガン"をフルオート射撃する。

 

金属がぐしゃぐしゃにへしゃげる異音が断続的に響き渡り、装甲が砕け散りその破片が"陸戦型ガンダム"へとあたり乾いた音を立てる。

端から見たらとんでもない光景になりそうだな……。

 

しかも、結局つい"100mmマシンガン"使っちまったし……。

 

それに、敵と許可なく交信したとかで軍法会議とか、無いよね……?

 

「こちらブレイヴ01!!敵の背後を取った!!もう逃がさん!!」

 

脚部へと"ビームサーベル"をしまい込み、グレネードを投げ込みつつ"100mmマシンガン"で背後を見せている敵部隊に対し射撃を行う。

 

中尉の"陸戦型ガンダム"に追い立てられ、軍曹と伍長が引いたポイントへ敵部隊が雪崩れ込んだ。

 

『ファイア!!』

 

そこへこの瞬間を今か今かと待ち構えていた"ロクイチ"の主砲が、"リジーナ"が、40mm榴弾砲が火を吹いた。

 

全方位からの攻撃に堪らず倒れ込む"ザク"に対し、トドメとばかりに軍曹と伍長の"100mmマシンガン"が降り注ぐ。

 

倒れ込む"ザク"に運良く潰されなかった"ヴィークル"、"マゼラ・アタック"も、集中砲火を受け蜂の巣になるか四散する。

 

後には、グズグズに焼け焦げ火を吹く残骸が残されるのみだ。

 

《ヒューっ!戦場は地獄だぜぇ!!》

 

整備兵の1人がそう言うが、まぁ、こりゃぁなぁ……ミンチより酷ぇよ。

 

《状況終了。隊長、お疲れ様でした》

「……損害は無いな?」

《肯定です。これも、隊長のおかげてすね》

「……そんな事はないさ。みんなのおかげだ……総員、凱旋だ!!俺に続けぇ!!」

 

取り敢えず盛り上げておく!!

ここは乗らせたもん勝ちだ!

 

《ひゃっほーぅ!!》

《やったー!私頑張りましたよ少尉!!》

《流石だな大将!!信じてたぜ!!》

《うぇーい!!》

《見たかジオンの侵略者どもがぁ!!》

《ヒャッハー!!》

《ざまぁねぇぜ!!》

《やったなぁ!上等兵!!》

《分かっています。ですからそれ以上は寄らないで下さい》

《俺らだってやれるんだぁ!!》

《今夜は祝杯じゃあ!!》

《いやっはー!!》

 

「……良くやったな。これからも頼むぜ?相棒」

 

通信が叫び声でパンクしかけになる。その様子に苦笑しつつ……

しかし口元には笑みを浮かべた中尉は、"陸戦型ガンダム"と共に基地へ向かい始めた。

 

日が翳り始め、その残光が強烈なシルエットとして浮かび上がらせている。

 

夜の帳が、下りようとしていた。

 

 

 

『生きているだけでラッキーな、人生葉っぱ隊』

 

 

 

夜の帳の向こう、希望の明日へと…………………




既に物量で押し始める連邦軍。

といか、元から物量で押して戦線維持してるんですよね。

MSの登場からその戦線を押し上げ始めますから。

何か最近一話自体が長くなってきてるような………。

最近、以前書いた話や紹介を見直し少し書き直しました。
正直ほぼ変わりませんが。


次回 第四十章 平穏の味を噛み締めて

「わぁ!始めまして。よろしくお願いしまうー」

お楽しみに!!

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