機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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完全に趣味全開の回です。リアルに読まなくてもいい回その2です。

鋭い人なら題名をみてわかると思いますが、つまりそーゆー事です。

今回は連邦軍の新型MSに使われた技術関連と、ザクIIとの比較がメインとなります。

個人解釈も入っています。コレを参考に話すると恥をかきます。予めご了承下さい。


第三十四章 番外編② なぜなにガンダム

3

 

 

2

 

 

 

1

 

どっか~ん!

 

 

 

なぜなにガンダム~!

 

 

 

そのいち がんだむってな〜に?

 

"ガンダム"とは、地球連邦軍が総力を挙げて行った"V作戦"と呼ばれる量産型MS開発計画及び量産型MSを基幹とした戦術体系構築を目指した作戦の一環である、"RX計画"で試作されたMSの中の1機であり、コンセプトは「白兵戦に対応可能な汎用MS」である。

 

そのため本機は試作型MSとしてコストを度外視し持てるだけのスペックを付加された実験機であり、その性能はあらゆる面でジオン軍の主力MSである"ザクII"を遙かに凌駕していた。

 

その"ガンダム"で最も有名なのは2号機であろう。

あらゆる伝説を打ち立て、"白き流星"、"白い悪魔"と呼ばれ恐れられた本機を参考に、数多くの"ガンダム"タイプMSが開発されたが、今回はその中でも"量産型"、"陸戦型"と呼ばれ、約20余機が生産され、活躍した機体について説明しよう。

 

 

そのに ざくとがんだむでくらべっこしよう!!

 

今回比較するのは、MSの無かった連邦軍がストップギャップとして先行量産、配備したRX-79[G] "試作先行量産陸戦特化型ガンダム"(以下 "陸戦型ガンダム")と、ジオン軍屈指の傑作量産型MS、"ザクII"の地上型であるMS-06J "ザクII"J型(以下 "ザクII")である。

 

ただし、"ザクII"は純粋な量産機である上、大気圏内外両用機を地上用にチェーンしたものであるのに対し、対MS戦闘を前提に"ザクII"より後期に生産された"陸戦型ガンダム"はコストを度外視した試作型MSをさらにコストを度外視し陸戦型に再設計し先行量産したものであるため、差が出て当たり前であるが。というか出やけりゃマズい。

 

カタログスペック

"ザクII" vs "陸戦型ガンダム"

 

生産形態 量産機 ≠ 生産形態 先行量産型

頭頂高:17.5m < 頭頂高:18.2m

本体重量:56.2t > 本体重量:52.8t

全備重量:74.5t > 全備重量:73.0t

出力:976kW < 出力:1,350kw

推力:43,300kg < 推力:52,000kg

最高速度:95km/h < 最高時速:115km/h

 

比べると一目瞭然である。

"ザクII"に比べ、"陸戦型ガンダム"は簡単に言うと「大柄で、軽く、足も速く、力持ち」なのである。ヒーロー体型だね!

 

その他性能も、"陸戦型ガンダム"が上回っている。例えば、MSの目であるセンサー有効半径は、

"ザクII" センサー有効半径:3,200mに対し、

"陸戦型ガンダム" センサー有効半径:5,900m である。

 

お互いのセンサーは周囲の大気状況、ミノフスキー粒子濃度で変動するも、2倍とまでは言わないがかなりの性能差がある。

これは戦場では大きな差となる。敵をより遠くで捉えられた方が有利に決まっている。

この差では、"陸戦型ガンダム"が敵を捉え戦闘態勢に入っているのにも関わらず、そんな事梅雨知らずキョロキョロする"ザクII"、という構図が出来上がってしまうのだ。

 

MS戦闘の基本は目視であるが、"ザクII"より背が高い上メインカメラが頭頂部にある"陸戦型ガンダム"の方が有利である事に加え、センサーも強いため先に敵を射程距離に捉える事が出来るのだ。

 

さらに"陸戦型ガンダム"は"ザクII"には出力の関係上装備出来ない兵器、"ビームライフル"を装備出来る事も大きいだろう。

"ビームライフル"は大気状況や発射時の出力によって射程距離は変わる物の、当たる当たらない関わらずなら有効射程距離は10kmを越える。

大気圏内でのビーム兵器を用いた狙撃は困難であるが、腕次第では可能であるため、この差は大きい。

 

更に身体を守る鎧と呼べる装甲も大きな差がある。

"ザクII"は装甲材質に超硬スチール合金、発泡金属、カーボンセラミック、ボロン複合材料などを用いており、これは"ザクII"の仮想敵である地球連邦軍主力戦車、"61式主力戦車"の155mm主砲を防ぐに十分な性能であった。

モノコック構造の装甲方式であったが、部分単位では"クラッシャブルストラクチャー"方式を採用し、一定以上の負荷がかかると同時に瓦解する事で衝撃を相殺する様に出来ている。 これは宇宙開発機器に置いて長い歴史を持つジオニック社が得意とする分野であったためだと言われている。

 

モノコック構造とは、ジオン公国軍MSに採用されていた機体構造で、外装のみで内部の電気系統や動力系統といった機体全体の自重を支える外骨格構造である。外装を補強するフレームや縦通材を省略できるため、機体の軽量化と機体内スペースを有効利用することでペイロード増加を図ることが可能な他、耐水性、耐圧性に優れており、これは後々バリエーション豊かで高性能な水陸両用MSなどを生み出す土壌となった。これはセミ・モノコックと併せて応力外皮構造とも呼ばれ、例えるなら卵の構造である。旧世紀時代より、航空機や建築物の代表的な構造として利用されてきており、ほぼ完成している既存の技術を用いた保守的な設計であると言えよう。

 

ジオン公国軍の大半の主力量産MSはこのモノコック構造を採用しており、ジオン系MS特有の曲面の多い外装は、モノコック構造ならではのものである。曲面装甲は浅い角度で侵入した弾丸を弾く為、副産物的な立ち位置ではあるが装甲強度の向上にも繋がっている。

 

モノコック構造は軽量化、機体内のスペース有効利用などが可能な反面、充分な強度を持たせるための強度計算が難しいことから生産性は悪かった。また装甲が骨格としての役割を兼ねるため、衝撃で外装が歪んだ場合、被害が及んだ部位全体を交換しなければならないため効率が悪く、整備性の面でも問題は多かった。これはセミ・モノコック構造と一長一短なものである。

また、モノコック構造は開口部を設けると強度が不足するため、整備点検用ハッチが少なく、オーバーホールなどの整備時には大掛かりな解体作業をしなければならないという難点も抱えていた。そして、場合によってはジェネレーター換装などの改良作業すら、自重を支えるモノコック構造の重量許容範囲内に収まるように行わなければならないという制限もあり、特にそれらの制限で縛られるMS-06系はジェネレーター換装を含む大規模な改修や拡張が行えないという欠点もあった。

 

しかし"陸戦型ガンダム"は強度及び合成に優れたセミ・モノコック構造の3重"ハニカム"方式を採用、さらにルナ・チタニウムと呼ばれる装甲材が使われているが、この性能は"ザクII"に用いられている物を遙かに上回る物であった。

 

セミ・モノコック構造とは一年戦争中の地球連邦軍MSが採用していた構造でモノコック構造の一種だが、モノコックとの違いは外装に加えて円框、縦通材といったフレームで追加補強し、強度向上を図ったものである。基本的にはモノコック構造と同一だが、外装の裏側にフレームを通すため直線主体な装甲になりやすく、これが連邦系MSの特色ともなっている。

 

この場合で指すフレームとは内骨格ではなく、外装を補強するために構成されたもので、あくまで応力外皮構造の範疇に入る。大型の旅客航空機や鉄道車両などで使用される比較的、ポピュラーな構造システムである。ジオンの場合でも同じであるが、革新的な兵器であるMSであるが、使われている技術は保守的な物が多く、以下に兵器に信頼性が大切かが良く現れている結果と言えよう。

 

ちなみに円框、縦通材だけで自重を支えて装甲を単純な外装とする構造はトラス構造と呼ばれるが、軍用MSの世界でトラス構造が普及することはあまりなく、主にトラス構造は宇宙航空機や民間作業用MS、宇宙機などで採用されている。

セミ・モノコック構造の利点は容易に強度を上げられ、耐弾性や衝撃に強く、強度不足を気にしなくてもいいため、開口部を設けて整備用ハッチや装甲そのものをパネル化させることが可能となる。そして、強度計算もモノコック式よりも単純で、迅速な生産が可能であることが挙げられ、モノコック構造に比べて不良品発生率が低く、歩留りは良い。連邦軍が一年戦争末期において、最終的に数千機とも言われる大量配備に成功したのもうなづける話だと言えよう。

 

また、強度を保ったまま装甲表面のパネル化が可能となったため被弾・破損した部位のみを換装させることが可能で、これによって整備性が向上した。これはジオンのモノコック構造とまったく反対の利点であり、元の補強材に甚大な損傷がなければ、衝撃で外装が多少歪んでも稼動を続けることすら可能である。

その他にも拡張性も高く、ジェネレーター換装や補助エンジン、プロペラント・タンクの追加などの改良も比較的簡単に行える。こうした外装換装の簡略化は同時にバリエーション機を短期間で生み出す土壌となり、様々な特殊機やカスタム機が開発された。

高い生産性と防御力を持つ反面、フレームで内部スペースを奪われて手狭になりやすく、積載量も限られるという欠点を持っていた。また、補強材の分だけモノコック機に比べて重量が増えることになり、連邦軍の場合では軽量金属であるチタン系合金とセラミック、ボロン、強化プラスチックなどの緩衝材で構成した複合装甲を採用し、推力を増強させることで自重軽減を図り、なおかつ機動力低下を防いだ。高い生産性と整備性、ユニット換装や修理が簡略化させることが可能なセミ・モノコック式構造はMS開発において立ち遅れていた連邦軍にとっては魅力的であり、フルアーマー・オペレーションなどの追加装甲や装甲そのものをユニット化させてミッションごとに換装させることで適応性を高め、後のジオン軍のモジュール概念、ブロックビルドアップ製法と融合してムーバブル・フレーム構造概念を生み出す土壌になっている。

 

さて、構造の話はさておき、構造材である特殊新型合金であるルナ・チタニウム合金についての話に移ろう。ルナ・チタニウム合金とはU.C. 0064に開発されたチタン、アルミニウム、希土類金属などから構成される合金である。(ルナ)で精製されるチタン(チタニウム)の合金であるところからその名が付いた。月面上という特殊な重力下で精製することにより従来のチタン系合金以上の耐弾性、耐熱性、耐放射性、耐衝撃性、軽量性など様々な特性を有する。

 

地球連邦軍所有のアステロイド基地"ルナII"で採掘されるものが特に高純度であり、また、ジオン軍は精製に関するノウハウを持たなかった。

RX-78 "ガンダム"をはじめとする"RX計画"の機体の装甲材として採用され、なんと至近距離からの"ザクマシンガン"でもびくともしない防御力の高さを見せたが、コストや加工の難しさの問題により"ガンダム"の量産型である"GM"には従来型のチタン系合金が採用されている。ただし"陸戦型GM"の装甲はルナ・チタニウムである。"ガンダム"のシールドの表面にも使用されている。

 

つまり、余程の至近距離まで接近しない限り"ザクII"の攻撃は通用しないと言っても過言ではない性能を持った次世代装甲であるのだ。

 

これは上で述べている通りコストパフォーマンスは最悪であり、加工も難しいため"陸戦型ガンダム"のものはRX-78 "ガンダム"のものと比べ曲面を持たないためやや防弾性にかける嫌いがあるも、それでも十分な性能である。

 

因みに"ザクII"の近接格闘兵装である"ヒートホーク"でも溶断するのに時間がかかるため致命傷になり得ない場合がある程である。しかも強硬スチール合金と比べかなり軽い。

それをふんだんに使用、また、耐弾・耐衝撃・耐久性をテストを繰り返し行い"ザクマシンガン"に耐えうる強度を備えながら部分毎の構造、厚さを変化させる事で重量を軽減。絶妙なバランスで防御性能と機動・運動性能を両立させている。

装甲の方式も"ザクII"がモノコック構造を取っているのに対し、連邦軍のMSは最新式の高強度プラスチックを利用したハイブリッド方式のセミモノコック構造だ。そのためアクセスハッチなども多く設ける事が出来、整備性も高い。

 

つまり"ザクII"と比べ遙かに「軽くて硬い」鎧を纏っているのが"陸戦型ガンダム"なのである。

決して「ザクポン」や「GUNDAM」と書かれただけのダンボールなどではない。ダンボーではないのだ。メカマツオでもない。

 

 

そのさん せっけいしそうとぎじゅつをくらべてみよう!!

 

この性能差は何故か?それはひとえに設計思想の違い、と言えるだろう。

 

"ザクII"は宇宙空間での対艦攻撃を前提に開発され、地上運用能力は副産物と言っても過言では無いレベルであるのに対し、"陸戦型ガンダム"は地上戦のみを考え対MS戦闘のために開発されたMSである。

 

そのため"ザクII"には使用されていない技術、設計思想が多くある。それを紹介して行こう。

 

駆動系

"ザクII"は駆動系に「流体パルスモーター」と呼ばれる技術が使われている。詳しい説明は省くが、運用面の問題として廃熱があり、その廃熱のために動力パイプが剥き出しになってしまう事と、周辺機器が多いため重量が嵩む事がある。

 

それに対し"陸戦型ガンダム"は「フィールド・モーター」という技術が使われている。

 

フィールド・モーターとは、連邦軍技術開発局とサムソニ・シム社が共同開発した新機軸アクチェーターシステムである。

ミノフスキー技術を応用した駆動モーターで、ジェネレーターが生み出した大電力を用いIフィールドを時空間的にナノレベルで制御しミノフスキー粒子の相互作用を利用する事で小型でありながら超高出力のトルクを発生させる事が出来るという特徴を持っている。簡単に言えば電磁石モーターをミノフスキー物理学を用い再設計、大型化、大出力化を図ったというところか。

また、流体パルスモーターと比べ確実性が高く、各ブロックのブロック化が容易でメンテナンス性にも優れていた。

因みに"陸戦型ガンダム"は試製のSS-SIM109型を使用している。これは"オリジナル"と同じである。

兄弟機である"陸戦型GM"はその簡易量産型のSS-SIM112Sを使用している。

 

地球連邦軍のMSは、ジオンの物と違いミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉から出る電気エネルギーを単純(・・)にフィールドモーターに通電し、駆動させるのである。

 

一見 ジオン公国が採用している流体パルスシステムより仕組みは簡単単純に見えるが、関節(駆動)部分に駆動支点と動力(フィールド・モーター)を集約させてしてしまっている事から関節構造が非常に複雑になっており、加えてフィールド・モーター自体がミノフスキー技術を応用した先端技術だったので、細かでシビアな技術が要求される。

 

フィールド・モーターシステムのメリットは、関節が壊れたりすると、その部分の駆動部分を丸々取り替えるだけで良いので、メンテナンスに掛かる時間が短縮されることにある。 また、ミノフスキー技術によってモーター自体の小型化に成功し、流体パルスシステムに見られるような動力パイプやパルスコンバーター等を必要とせず、重量と体積を減らせる事だ。

 

動力パイプなども不要になる為、"ザクⅡ"のひざ関節部分に見られるような動力パイプ等の突起部が少なくなる。

これは白兵、格闘戦を想定されたMSにとってこの部分は大きなアドバンテージとなりえる。

逆にデメリットとして、些細な故障でも、高価なフィールド・モーターを含めた駆動部分を丸ごと交換し、交換した物は現地で専門家がバラし修理するか後方のデポに送る必要があり、メンテナンスに費用が大きく掛かることか。

つまり壊れたらその部分だけ変える"ザクII"と比べ丸ごと変える"陸戦型ガンダム"は予備パーツを多く用意しなければならないと言う事である。

 

因みにその対策のためと今後の研究のためモーターの一つ一つに小型センサー・記録媒体をワンパックにした"モニタリング・パック"が内蔵されており、どのような環境下でどのぐらいの負荷を受けながらどのように動いたか、駆動回数、駆動指示からのレスポンス時間、出力値、Gの方向などが事細かに記録される。

これを応用したものがフレーム、装甲にも取り付けられ、サブ・メインコンピュータに伝えられる。

そのため摩耗のための交換時期が簡単に分かる上、繰り返される動作をコンピュータが学習しどんどん最適な駆動を行う様になって行くという能力もある。

 

つまり"陸戦型ガンダム"は、頭となるコンピュータに加え、身体であるモーターも経験し成長するのである。

 

動力

動力方式は"ザクII"と変わらないミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合反応炉であるが、"ザクII"が大型のもの一機のみであるのに対し、"陸戦型ガンダム"はタキム発動機開発、ハイ・ウェル重工製の超小型で高出力のものを複数積んでいる。その数なんと胴体胸部3、胴体バックパック2、胴体腹部2の計7基。これはコア・ブロック・システムの名残りである。しかしそのコア・ブロック・システムも無いため冷却関係に余裕が出来、安定した能力を発揮出来た。

さらにその小型ジェネレーターを高精度に同調させる事で"陸戦型ガンダム"は高い出力を得ている。

 

このジェネレーター小型化技術と同調技術が"陸戦型ガンダム"のパワーの秘訣であると言えよう。

 

また複数あるためトラブルに対しても強く、一つを残しその他が大破しても歩行出来るレベルの発電は行える。

そのためサバイバリティ能力の向上にも関わっている。

 

センサー類

"ザクII"はセンサー・カメラ類を一つに集約したモノアイを備えるが、"陸戦型ガンダム"は違い、頭頂部のメインカメラ、射撃照準用のデュアル・センサーを備えている。

 

このため、"目"を持つに至ったが、これは、メイン・サブセンサー・カメラとして、また立体視、測量が可能という利点がある。

その他の付加価値として鋭い眼光は威嚇としての効果、象徴的な新兵器としての宣伝効果を持たせるためという説が有力である。

因みにバイザー型と比べセンサー露出が抑えられているため耐弾性の向上に繋がった。

 

しかしそのため"ザクII"などのモノアイと比べるとセンサー走査範囲が狭いため、後方にもセンサー・カメラ複合機器が装備されている。

 

因みに時折見られるこの"目"の発光現象は、このセンサー表面を覆う特殊保護層グレイズ・シールドの能力の一つで、通電する事で性質が変化する新素材エレクトロクロミック材が用いられており、周囲の状況に合わせグレイズ・シールドの性質を最適化しており、そのリセット時のエネルギー放出が起きる為である。

周囲の環境にあわせ、シールド内部の複合センサー/カメラ/シーカーにとって負荷のかかる過度の電磁波を選択的に透過させるフィルター機能があるのだ。

簡単にいえば絞り(・・)である。入ってくる紫外線、赤外線などをはじめとするあらゆる波長の波をカットし、射撃に最適な情報をコクピットに届けるのである。

これは命中率に大きく関わるため戦闘中にも頻繁に行われる。

また威嚇として光らせる事も出来る。発光パターンも変更出来る。やろうと思えばネオンサインのような事も出来る。これは光通信のための機能であるが。

 

頭部はセンサー類が集まっているため"ガンダム"は大型の廃熱ダクトが多く取られているが、"陸戦型ガンダム"は防塵などを考えられ小型化し複数配置する事で対応している。"ヒゲ"に見えるあれも模様でなくダクトである。

 

実は額に当たる部分や口に当たる部分は飾りでなく複合センサーユニットである。センサー・レーダーユニットのレドームとして独立しており、"陸戦型ガンダム"の高いセンサー能力を支えるのに一役買っている。ちなみに"陸戦型ガンダム"は"ガンダム"よりセンサー類が地上用に強化されており、口に当たる部分は廃熱ダクトが直接付いている。

 

コクピット

"陸戦型ガンダム"のコクピットは"ザクII"の後期型コクピットを参考にしたもので、2本のT字型のレバー(Tというよりは2の上を直線にしたものに近いが)に、2〜6個のペダルが主な操縦方法だ。

ほぼシュミレーターのものと同じであり、機種転換は簡単で、基本動作も簡単、ほぼ全てのMSが共通化されているのがジオンのMSとの大きな違いである。またジオンのシステムを参考に作られているため、レイアウトはともかく操縦操作そのものに違いは少なかった。

そのため中尉達はあまり違和感なく慣れる事が出来た。

 

コクピットのレイアウトは"コア・ファイター"のものを応用した形となっており、コクピットフレームそのものがサバイバルセルでもあるため構造的に強固で、完全密閉式であり、内部はコクピットCECS(環境コントロール・システム)管理下の完全循環式のエアコンが効いている。非常にありがたい。因みに生死に関わるため"ジャブロー"のオフィスより快適。でも苦手と言って切ると循環が止まるので切れない。

 

また"コア・ファイター"のシート稼動機能を応用し、シートを機体に直接つけるのではなくアームをもって支持する方式をとっている。そのため簡易型リニアシートの様になっており耐衝撃性があり、揺れも抑えられるため酔い辛い。

 

シートそのものもインジェクションシートとなっており、そのスイッチは簡単には押せないが、いざという時には瞬時に押せる設定をする事を義務付けられている。

そのためにコクピットハッチは上向きであり、これはうつ伏せで行動不能になった際も脱出しやすく現地では好評であったが、コクピットブロック搭載位置の変更から胸部装甲・フレーム強度の確保のため余分な重量増を招く事から、後の機体には引き継がれなかった。

因みに中尉の場合はシートの股の間のレバーを上に引く事で作動する。これは"マングース"と共通にして欲しいと頼んだ結果である。伍長は壁面のガラスで包まれた真っ赤なボタンである。押してみたくて仕方がないらしい。

作動すると爆砕ボルトが作動しコクピットハッチが吹っ飛びシートが射出される。押すなよ!!絶対に押すなよ!!

 

ディスプレイはジオンと同じ四面タイプだが、ジオンのMSのコクピットよりメインディスプレイのサイズは小型で、サブディスプレイが多く設けてあり細分化してあるため、衝撃に強い設計となっており、また機体のダメージによりディスプレイが破損しても予備として使用可能。

 

表示される映像はセンサー・カメラ・レーダーなどで捉えた風景、動体、機影などを一度解析、分析を行い登録してある3DCG画像に変更、差し替える機能があり、殆どのMSがこの方式をとっている。

そのためノイズキャンセラーの様に働き、ミノフスキー粒子下における電子機器の性能低下による荒い画像、吹雪などの気象、大量のデブリ、硝煙、爆炎、煙幕などもある程度カットしクリアで見やすいものとなる。

しかし、このため偽装がさらに有効になり、センサーで拾いきれなかった物をコンピュータが無視して表示しなかったり、ダミーバルーンがコクピットからは本物に見えたり、武装が違う物に差し替えられてしまったりとの弊害もある。宇宙空間においては機体の運用において支障の出ないサイズの細かいデブリを映像から外すなどの機能もあるが、そのため後に登場するビットなどの小型兵器が表示されなくなるなどの問題も発生してしまった。

中尉達は一度対地センサーが不調の際、随伴兵を踏んづけかけてしまった事があり、この失敗からカメラの捉えたリアル画像とセンサーを併用するこの機能をフレキシブルに使いこなす方向にチェンジしている。

 

因みにコンソール位置やパネル位置はすでに殆ど完成されており、マイナーチェンジ程度しか変わりないため、戦後の機種転換も簡単であった。

 

また"陸戦型ガンダム"はその多様な環境に適宜対応するため、側面のディスプレイがタッチパネル式キーボードとなっており、ベテランパイロットならばその場で細かな仕様変更が可能。しかしと言ってはなんだが流石にOSは書き換えられない。

というかそもそもMSのOSを下手に弄る事など恐ろしくて出来ない。MSは精密機器とコンピュータの大規模な複合体だ。そんな巨大なプログラムはいかに優秀なエンジニアが100人いようとも解析だけで数週間はかかるレベルのものなのだから。

そのOSの巨大さも、歩行制御、動力プラント制御、ユーザーインターフェイスをはじめとする基本的なシステムが大半を占めているため、機体そのものは全体の一部でしかなかったりもするが……まぁ、つまり簡単には弄れない物であるという事である。

 

また、警告音などの音声データの切り替えや、ディスプレイ表示の切り替えも可能。

MS音響システムはカメラ・センサーで捉えた物をコンピュータが判断、音をコクピットに伝えるため、普通はそのままの音が入ってくるが、これを弄りゲームのサンプリング音などの設定が出来る。

ロックオン警告音なども「右から来ます!!」などと録音した音を当てはめられる。また合成音声指示は好きな声に設定可能。ご贔屓のアイドルの声にも出来るぜ?じゃ、俺はジャクリーンの声を……あなただけの"イージス"では無いので却下です。

 

ピックアップ時の枠も金縁にして金ジムのようなゴージャスな仕様に出来るし、やろうと思えば照準ターゲットサイトをハートマークにも出来る。いや、伍長、やらなくちゃいけないわけじゃないからね?お前らいい加減にしろ!伍長はそのボイスレコーダーをしまえ!!

 

操作は大きく3つ、歩くなどの基本、戦闘などの専門、個人のカスタマイズ・モーションである。

MSの基本操縦は腕一本で基本動作は可能な程自動化されており、実際できる。そのため負傷で腕が一本無かろうと操縦できるのだ。

 

操縦はそれらの動作を手足、音声、入力に振り分けて操縦する。

この振り分けは個人の自由であり、ペダル+あるボタンで走るのも、操縦桿とあるボタンでジャンプなど個人により違う。ここは以前紹介した格闘ゲームの延長だと捉えて欲しい。ボタンの押す回数や、押したパターンで操縦補佐をする人もいるぐらいである。それ程自由度が高い。

 

これらの設定変更は簡単な上、タイプも複数登録出来るので戦闘中ですら切り替えられる。データ共有も可能である。そのため他人の行動データを読み込み自分の機体に登録、操作に割り当てればその動作が可能。そしてその動作を繰り返し行い最適化する事で自分のものと出来るのである。

また"陸戦型ガンダム"を始めとし、連邦軍のMSには高価で高性能な教育型コンピュータが搭載されており、この性能が顕著である。応用力、対応力が段違い、と言えば分かるだろう。一挙一動を"陸戦型ガンダム"が搭載スーパーコンピュータのマシンパワーを活かし過去の経験と照らし合わせながら制御しているのである。"ザクII"との大きな違いはここに現れている。"ザクII"の物とは違い、それらの設定を手動でやる必要がない。また、その場で自動的に更新され、進化して行くのである。しかしこれのおかげで転びグセがついてしまった新米パイロットもいるが……。

特に中尉機はおやっさん特製のモノが積んであり、その性能は顕著である。

 

操縦桿傍は電装集中スペースとなっており、電装関係のマシントラブルならここである程度のカバーが可能。

ここがマシントラブルで煙を上げながらバタバタと開閉するのはけっこうビビる。

 

コクピットの傍にはパイロット昇降用のウィンチ・ワイヤー・ユニットや転落防止用手摺などが設けられていた。

 

因みに地上では地上十数mの高さにあるコクピットまでワイヤーに片足を引っ掛けたままの状態で登るという行為は慣れない者にとってはいささか肝を冷やす行為であった。

それゆえ『乗り込む事がMSパイロットへの登竜門』などと冗談めかして語られる事も多かった。

そのため、これを使わず、マニュピレーターによる昇降を頑なに辞めなかったパイロットもいるとかいないとか。

 

武装

"陸戦型ガンダム"と"ザクII"との決定的な違いはビーム兵器の搭載の有無であろう。

 

これは連邦軍がジオン軍より先にMSに搭載可能な安定したエネルギーCAP技術を持っていたためである。

 

ビーム兵器とは、ミノフスキー粒子を圧縮、縮退させる事で発生するメガ粒子を用いた兵器、この圧縮、縮退に大電力が必要なのだが、これを解決したのがボウワ社のエネルギーCAP技術である。

 

エネルギーCAPとは縮退してメガ粒子に変化する直前のミノフスキー粒子を保持する技術で、大きな電力源を必要とするメガ粒子砲をMSでも携行できることを説明している。 この技術は連邦軍が開発したものであり、ジオン軍の携行型ビーム兵器の使用が制限されている理由である。なお、エネルギーCAPとは "Energy Capacitor" の意味であり、エナジーキャップと呼ばれることもある。

 

その最たる例が"ビームライフル"、そして"ビームサーベル"である。

 

"ビームライフル"は銃身のオーバーヒートにさえ気をつければ、核融合炉を持つMSからエネルギーの再チャージができるため事実上弾数制限がなく、威力も実弾武器と比べ桁違い、それこそ「戦艦の主砲並」であった。

"ビームサーベル"は"ヒートホーク"などの実体プレヒート武器と比べ溶断能力は段違いであり、また使い捨てでなく粒子収束フィルターの交換で何度も使える上、不使用時は柄だけになるため携行性も高いかなり有用な兵器だった。

 

つまり、"陸戦型ガンダム"は最新技術を満載した生まれながらにして"ザクII"(グリーン・ジャイアント)を一匹残らず地上から駆逐する存在だったのである。

 

 

そのよん なんでそんなせいのうなの?

 

これは予算と協力企業のお陰である。

 

"V作戦"には民間企業がおよそ1000社以上参加し、あらゆる会社がその得意分野でコンペを行い、それらを集約した結晶としてのMSであるため、当に「地球一体となって」開発したものである。

例としてはジェネレーターのタキム発動機、ハイ・ウェル重工。フィールドモーターはサムソニ・シム社、B・O・K・D・A技術研究所、立川電磁工業。構造・装甲材はプレーン金属社、プレート・テクニクス社、YHI系列の八洲軽金属社。武装はブラッシュ社、ボウワ社、YHI、ホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社などである。

 

"ザクII"などもモノアイはカノム精機、モノアイシールドなどはグラモニカ社に作らせているが、その殆どがジオニック社製である。しかし"ガンダム"は開発を委任した会社がなく、最高級のパーツを地球連邦軍技術局が組み上げるという、まさに国力が目にものを言わせた結果であるだろう。

 

 

そのご つまり、どーゆーことー?

 

強い。コストパフォーマンス以外は"ザクII"に負けるところなど一つもない。

 

"ガンダム"を量産した暁には、ジオンなどあっという間に叩いて見せられるほど強い。最近流行りの駆逐系男子にオススメのトレンドである。

 

強い。とにかく強い。

 

 

そのろく わかったかな?分かったならおしまーい!!

 

「……と言う事だ。分かったか?」

「……分かりましたが、最後のアレはなんです?」

「なるほど、分からん」

「……なんでいるんですか准将。そして分からなくてはマズいんじゃないですかあなたは……」

「へぇー!目、光らせられるんだ!!いいなー!!私のも光らせたい!!あとハートマークじゃなくて星型にしたい!!」

「伍長の"陸戦型GM"も仕組みは同じだから出来るぜ?なんなら設定やってやろうか?」

「オモチャじゃねぇんだから!!」

「要りません。それにジャクリーンさんとやらに現を抜かす暇があるのなら、そんな事をする前に"イージス"の調整の続きをして下さい。あなたAE社の元社員なのでしょう?」

「ふむ、儂でも乗れそうだな……」

「准将!?やめて下さい!!」

「……MS用ライフルが欲しいな……」

「少尉〜!声!声取らせて下さい!!」

「どうでもいいだろそんなの!?」

「ジャクリーンがダメなら上等兵の声を……」

「拒否します。それなら私は軍曹の声がいいですね」

「え!?俺は!?」

「……………」

「てめーらうるせー!!いい加減にしろスパナ投っぞ!!」

 

 

まったね〜!!




思ったより短く出来て良かったです。

といより思ったより書く事が無くてびっくりしました。ほとんど1で解説しちゃってました。

思い出したり、思いついたり、質問があったらその答えを追加するかも知れません。


次回 地の底の"ガンダム"

「……な、なんですか少尉コレ?どうやって使うんですか?」

お楽しみに!!

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