機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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作品内で大体を説明していますが、あった方がいい、という意見を頂いたので。

本編より長くなるかも知れません。

勿論ガンダムのお約束として設定に違いがある事、設定にない独自解釈などもあります。ご了承下さい。


登場兵器紹介 通常兵器 地球連邦軍編

個人携行用小器

 

M-71A1 ハンドガン

口径:9mm

装弾数:15+1発

 ホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社製、地球連邦軍が正式採用している現行ハンドガン。複列(ダブルカラム)マガジン方式を採用し、液体火薬を利用した実包により実体弾を射出する。旧世紀に完成しているブローバック式に加え、技術革新と工作精度の向上により小型化された反動軽減機能を組み込む事によりやや構造は旧来のものと異なるものの、真空中、低重力下においても安定した作動と命中率を誇る。しかし、その分ハンドガン自体のサイズは大きくなっており、携行するには大き過ぎ、提げ続ける、持ち続けるには重た過ぎると前線からの評価はあまり高くは無かった。また、液体火薬実包は安定した作動と低反動をもたらしたが低初速と威力の低下、貫通力の低下が著しく、ストッピング・パワーにかける嫌いがあった。

 その為、改良が加えられA1となるにあたりスライドをやや小型化、銃身長を大きく短縮化、反動軽減機能を根本から変更、インナーストライカー方式に改められほぼ別物に近いハンドガンとして一年戦争中に配備され始めた。しかし、前線においては補給の混乱からパーツが混在し、さらなる低評価に繋がっていた。

 伍長が使用する。が、本編で一度も射撃されないままお役御免となった。

 

 

 

TYPE-22ハンドガン

口径:9mm

装弾数:10+1発

 TYPE22は旧世紀に元スイスのSIG社及び当時傘下(後に独立)元ドイツのザウエル&ゾーン社が1976年に共同開発したSIG/SAUER P220をヤシマ重工がリメイクしたモデル。旧来の作りそのままに新規に製造されており、構造が単純で信頼性が高いダブルアクション方式の自動拳銃。

 メカニズム的に特徴的な点は手動の安全装置を廃止し、その代わりに起きた撃鉄を安全にリリースするためのデコッキングレバーを採用した事である。これ以外にも、薬室と排莢口をかみ合わせて、ブローニング式ショートリコイルシステムのロッキングラグの代わりにするという、簡単で確実なショートリコイル機構を備えているのも特徴的である。それに加えてマガジンキャッチを大きめに改良、更に使いやすくされている。シングルカラム故装弾数は9mmハンドガンでは少なめであるが、細身のグリップは握り易く構えやすい。銃身とマガジンを交換しあらゆる弾丸に対応出来るキットが同時発売されたが生産は中止されている。カスタムは特になされていない。

 一時主人公の少尉が使っていたが、実戦運用前に乗り換えられる。またも本編で一度も射撃されていない。

 

 

 

コルト・ガバメント M-1911A3 ハンドガン

口径:0.45インチ = 1.14300 センチ

装弾数:7+1発

 元アメリカ合衆国、コルト・ファイアーアームズ社で開発された傑作ハンドガンのマイナーアップバージョン。撃てる化石とも呼べる.45ACPを使用、対人攻撃に対し高いストッピング・パワーを発揮するとされる。作動方式はブローバック方式。それにティルトバレル式ショートリコイル機構という、発砲でスライドが後退する際に銃身も僅かに上を向くメカニズムにより確実な作動を行う。その分銃身が安定しておらず命中精度は低い傾向にあり、また稼働部が多く細やかなメンテナンスが欠かせない。かなり古い銃であるが根強い人気があり未だにあらゆる会社から様々なカスタムパーツがあり独自改造が施しやすく、星の数程のモデルがあると言われる。銃身とマガジンを交換する事で他の弾丸にも対応可能。マイナーアップと言っても基本的には変わず、フレームの一部にポリマーフレーム、アルミ合金などを採用し軽量化を図ったくらいか。

 しかし、本銃はコルトデルタエリートカスタムをベースに軍曹独自の改造がなされており、銃身の交換により10mmAUTO弾も使用可能。銃口(マズル)にはネジ切りが施されサプレッサーを装備可能。延長された銃身は、ライフリングをメトフォード・ライフリングとポリゴナル・ライフリングを参考にした二つの特性を併せ持つ特殊な銃身に変更され、大きな見た目の特徴として大型の強化スライド前部にはコッキングセレーションとしてチェッカリングが施され、天面には反射防止のためフラット加工がなされている。フレーム前面下部にコンペンセイターや大型サプレッサーを取り付ける為の専用のレールシステムも新規開発されている。またクリアランスを考慮し特殊な加工を施されたフィーディングランプは更にフレームとのかみ合わせをタイトにして精度を上げてある。サイトシステムもやや大型化され、フロントサイトが大きくなっているオリジナルの3ドットタイプのアジャスタブルサイトになり、トリチウム入りのハイブリッドナイトサイトに改造された。グリップセーフティはオミットされ、アンビサムセイフティ及びスライドストップは指を掛け易く延長してあるが、服との衣擦れを考慮し素早くかつ確実に取り出し射撃を行うため小型化がなされている。トリガーも滑り止めグルーブのついたロングタイプで、軽量化と強度保持のためスケルトンタイプに変更、トリガープルも軽めに設定し素早い射撃と負担の軽減に一役買っている。更にはコッキングの操作性を良好にするためのリングハンマーに、ハイグリップ用に付け根を削り込んだトリガーガード、マガジン導入部もマグウェルにより大型化しリロードをし易いようカスタム、マガジンキャッチボタンは低く切り落とし誤作動を減らす設計となり、ステッピングが施されたメインスプリングハウジングもフラットタイプにされているなどほぼ全てのパーツが軍曹の要求通り入念に吟味されカスタム化されている。

 A3は基本的に軽量化がなされたモデルではあるが、そこに目をつけた軍曹の要望から、軽量化の難しかったコルトデルタエリートカスタムにそのノウハウを援用し、フレームや薬室(チャンバー)、銃身などにはタングステンやステンレス、チタン合金を利用、銃全体の強度、重心のバランスが取られ高い安定性を持つ様に再設計され、強装弾の使用も可能。しかしそのため、一般人には手の余る一品となっている。

 傑作銃の一つであり未だ使用され続けているとは言え、古い銃である上使用弾が正式採用品と違うため、補給部隊には渋い顔をされている。

 

 

 

マテバ2014M オートリボルバー

口径:0.44インチ = 1.1176 センチ マグナム弾使用

装弾数:6発

 イタリアのマテバ社が開発した独特の形状を持つハンドガン。マテバは銃身の跳ね上がりを抑えるために銃身上部がウェイトになっており、弾倉の一番下の弾を発射するという特殊なリボルバー構造を持ち、それが特徴的な外観を形作っている。また、用途によって自由に銃身を換装できるある程度のカスタム性もある。そのため本作に出てくる物は銃身を延長して威力、命中率の底上げを図っている。最大の特長として、リボルバーでありながらオートマチック機構を備えているため"オートマチックリボルバー"とも呼ばれる珍しい銃。

 このリボルバーでありながらのオートマチック機構とは、初弾をシングルアクションまたはダブルアクションで発射し、その反動で銃身からシリンダーまでがわずかに後退することで撃鉄を自動的に起こし、シリンダーを回転させるというもの。リボルバーの機構的な信頼性と、自動拳銃並みの引き金の軽さによる命中精度の両立を目指している。装弾数はリボルバー方式なのでブローバック方式などに劣るものの、真空中や低重力、無重力下でも確実な作動をする事を買われアースノイドスペースノイド問わず広く流通している。

 その独特な形状の弊害として銃身が下部にあるため照準軸と射線軸が離れており、わずかに狙いがずれただけで着弾点が大きくずれてしまう事や、銃身の跳ね上がりを抑えるが、反動は大きくなってしまう事、普通のリボルバーと比べ構造が複雑であるため製造コストが高くなるなどの欠点を抱えてしまっている。しかしその独特な形状故かかなり人気があり、スケールダウンモデルも発売され、多く流通している9mm弾より威力があり、作動も確実で信頼性が高いとパイロットの護身用の銃として流通している。中でも女性向けと開発されたモデルはかなり小振りであり、突起も少ない為ブーツの底にも入れられると宣伝され有名になった。

 主人公のたくみがカスタム品を使用する。主な改造としては薬室の素材を変更し軽量化しつつ強度を強め炸薬量を増やせる様に改良、更に銃身を延長し、ライフリングをメトフォード・ライフリングとポリゴナル・ライフリングを参考にした二つの特性を併せ持つ特殊な物に変更、銃身上部ウェイトをレーザー・エイミング・モジュール(LAM)一体型とし、それに合わせたオリジナルのサイトシステムを導入した事で命中率の底上げを図っている。トリガーガードは大型化され、レーザー発振のスイッチはトリガー前面部にトリガーを模した形で取り付けられており、トリガーが2つ並んでいる様に見えるが、片手で、かつ手袋をしていても簡単な操作が行える。

 またリボルバー部のサイドスイングアウト方式をアップスイングアウト方式に変更、スピードローダーを使いやすくしてある。これらの改造により少々大型化したため、グリップを木製から片側のみクリアオレンジの合成樹脂に変更しバランスを調整してある。大型拳銃の部類に入るハンドガンであるが、サイズは日本人としては恵まれた体型と大きめな手を持つたくみにはちょうどいいくらいとなっている。

 因みに愛称は"Sacred-Raven Edge"、八咫烏の翼と言う意味。延長された銃身に刻まれており、アップスイングアウトしたシルエットが鳥に似ているかららしい。しかし使われずマテバとだけ呼ばれている。補給部隊も相変わらず渋い顔である。

 

 

デザートイーグル

口径:0.5インチ = 1.27 センチ

装弾数:7+1発

 イスラエル・ウェポン・インダストリーズ社(IWI)製の、世界最大、最強クラスの大口径ハンドガン。強力なマグナム実包を安全に使用するため、自動拳銃では珍しいガス圧作動方式を採用している。同方式の採用により射撃時に銃身が固定され、前述のティルトバレル式等と比較し優れた命中精度を持つ事となった。

 銃身とマガジンの交換で様々な実包が使用可能であり、.357マグナム版、.41マグナム版、.41Action-Express(.41アクションエクスプレス)版、.440Cor-Bon(.440コーボン)版、.44マグナム版、.50Action-Express版が存在し、.50AE版は自動式拳銃の中では世界最高クラスの威力を持つ弾薬を扱える。.50AE版は50口径(0.5インチ)と表記されるが、使用弾薬である.50AE弾の弾頭径は0.54インチとなっている。S&W M500の使用弾薬の弾頭径0.492インチを上回り、拳銃用弾薬としては最大となる。単純な構造から来る機械的信頼性で強力な実包を撃ち出す回転式拳銃とは違い、作動による利点を利用した拳銃であり、射撃時の反動は非常に大きいが、銃自体の質量も大きく、またボルトやスライドの後退動作によって、射手への反動の伝達が遅延され体感される反動は同種の弾薬を使用する回転式拳銃に比べれば小さい。それでいて発射された弾丸の運動エネルギーは、当時のメインアームであるアサルトライフル等に使用されている7.62x39弾と同等であり、標準的な性能のボディアーマーを貫通する能力を持っている。

 銃身上部にはレールを装備しており、スコープ、ダットサイト、レーザー照準機等の搭載が可能な為、スポーツ射撃や狩猟での運用にも対応している。

 銃身も延長してあり、ハンドガンとしては破格のサイズである。殆ど小さめのSMGと同サイズでありハンドガンとしての携行には完全に向かない。

 伍長が使用。小柄な伍長には文字通り手に余る一品であり、ムリに使っているため命中率こそ低いがお気に入りらしい。そのため軍曹の提案により使用弾頭は"スネーク・ショット"と呼ばれる蛇撃ち用散弾である。威力は低いが元々の威力が高い分十分過ぎるストッピング・パワーを持つ至るも、その分射程は10m程度すら無いため、殆ど趣味で携帯していると言える。補給部隊はもはや何も言わない。

 

 

 

グロック26

口径:9mm

装弾数:10+1発

 グロック26はオーストリアの銃器メーカーであるグロック社が開発した自動拳銃であるグロック17のバリエーションの一つ。グロックシリーズはポリマーフレームの先駆けとなった銃で、樹脂素材の多用やインナーストライカー方式によるダブルアクションなど後の銃器開発にも大きな影響を与えた傑作ハンドガンの一つ。その事から宇宙世紀においても度々復刻されており、本銃はその記念モデルである。

 特徴の一つとして、フレームや、トリガーとその周辺機構、弾倉外側が強化プラスチック製となっている事や、ストライカー方式と呼ばれるハンマーを内蔵式にした事、トリガーセーフティ方式を取る事でセレクターを廃止した事が上げられる。フレームに用いられている強化プラスチックはポリマー2と呼ばれる材質で、摂氏200℃から-60℃の環境下でもほとんど変質しないもので、尚且つ一般的なプラスチックよりも成型に難があるも適度に柔らかいため、樹脂でありながらかなりの強度、剛性を誇る。他にも、強度上問題が無い部分に強化プラスチックが使われており、成型の容易さから生産性が向上し、低コストかつ軽量になったほか、寒冷地で使用する場合、冷えた金属に皮膚が張り付く事故を防ぐことができる。

 フレームが軽量な素材構成のため、全体の重量が軽くなり反動は大きくなるという問題点があったが、グロックのフレームに採用されている素材はある程度の柔軟性を持たせることで衝撃を緩和しその問題点を克服している。また、銃口とグリップの距離(ボアライン)が近く、角度が急なグリップは回転式拳銃のグリップフィーリングに近く他の同クラスの銃に比べ跳ね上がりは少なく、移動距離の短いトリガーとともに連射をしやすくしている。その為フルオートモデルなどが多く作られる結果となった。

 直線を多用し、ハンマーを内蔵式にする事で凹凸を減らしたデザインで、小型で携行性に優れたグロックシリーズであるが、さらに小型化を図り携行性を高めたグロック17直系のコンパクトモデルがグロック19である。そして、そのグロック19をさらに小型化した超コンパクトモデルがグロック26となる。かつて米国で連邦攻撃武器規制(AWB)のあおりを受け、装弾数11発以上の新規生産された銃が規制されることになったため、逆に装填数を10発以下に抑えた上で自然なサイズになるよう小型化したモデルとなり、女性の手のひらにも収まるサイズとなった。

 小型化の影響で装弾数、射程距離、集弾率などは低下し、反動も大きくなったが、それでもハンドガンとしての基本性能は堅実に発揮する事の出来るモデルであった。また、技術革新によるポリマーの高性能化と反動軽減装置を組み込んだ事により反動の大幅な軽減を実現、女性でも片手で撃てる様になり、また装薬も改良が加えられた事により射程距離などのあらゆるディスアドバンテージを克服した傑作ハンドガンとして生まれ変わる事となる。

 上等兵が使用。指の長い上等兵にはややサイズ不足であるが、実際に撃つより常に御守りとして携行し続ける事からこのチョイスとなった。補給部隊もにっこりである。

 

 

 

CALT M-72A1アサルトカービン

口径:4.85mm

装弾数:30+1発

 地球に本社を置くCALT社製、地球連邦軍正式採用品のアサルトカービン(騎兵銃)。主に艦内やコロニー内通路等の狭い空間での取り回しを考えられた結果ブルパップ方式を採用しており、全長の割りに長い射程距離と新たに組み込まれた反動軽減機構、大型の消炎制退器(フラッシュハイダー)の銃口制退機能による高い制動性による優れた命中率が特徴。従来の低反動ライフルに置き換える形で生産され、地上宇宙コロニー問わず配備された。ブルパップ方式とは機関部がグリップより後ろ、ストックにあり、銃身長をそのままに全長を短縮すると言う銃の仕組みの一つ。耳元で弾丸を発射する為その爆音や振動で難聴を始めとする身体障害が起きやすい傾向にあったが、組み込まれた反動軽減機構の副産物である減音効果でその心配は無くなった。

 フルオート、セミオート、2点バースト、3点バーストとスイッチが可能。バースト機能が多いのはコロニー内等の閉鎖環境での跳弾や設備破壊のリスクを抑える為である。宇宙生活環境におけるインフラ設備の破壊は即大惨事に繋がる為、比較的機械的信頼性の低いバースト機構を搭載している。連射性能自体は高く、フルオート時には毎分1600発で連射可能。フレームは主にポリマーフレームを採用しており軽量化が可能な限り為され、反動は銃自体の質量でなく反動軽減装置が分散させる方式を取っている。時代の遺物とも呼べる銃剣(バヨネット)の装着も可能なのは軍用ライフルである証とも呼べる。

 元々構造が複雑なブルパップ方式に加え、機械式バースト機能、反動軽減装置と機構は複雑で整備性はそう高く無い。しかし信頼性は高く、真空中、低重力、無重力下でも作動する名銃である。オプションとしてダットサイトの装着が可能。

 

 

 

M-68A2 アサルトライフル

口径:7.62mm

装弾数:30+1発

 M72が採用されるまで地球連邦軍が採用していたフランツ社製アサルトライフル。旧世紀のアサルトライフルの作動や見た目を強く踏襲した堅実な作りであり、M-72とは真逆で大部分が硬質金属で構成されているアサルトライフル。重量はあるが剛性は高く単純で完成された作動方式は信頼性が高く丈夫である。部分的にクリアランスを多く取った所と気密を高めた所のハイブリッドな設計により砂塵や泥にも強く、急激な温度変化や高湿度も物ともしない。低反動ライフルやM-72等へ現地で更新が進んでない場合や、兵士の好みによって使用される。フルオート、セミオート、3点バーストにスイッチが可能で、フルオート時には毎分1200発で連射可能。優れた射程距離、高いストッピング・パワーと低進性、弾道安定性を持つ7.62mm弾を使用し分類的にはバトルライフルに近く、選び抜かれた精度の高い個体はマークスマンライフルとしても運用されている。

 主に重力下での運用を考えて開発されたため、宇宙では使用されない。

 

 

 

ダネル NTW-14.5 対物ライフル

口径:14.5mm

装弾数:3発+1

 旧南アフリカ共和国のアエロテクCSIR社が開発したボルトアクション式アンチマテリアルライフル(対物ライフル)。見晴らしがよく広大な南アフリカの草原では、戦闘での対峙距離が長くなる傾向があり、長射程の火器が求められていた。これを受け、アエロテクCSIR社は同銃を開発、南アフリカの自由化後はダネル社により海外に輸出された。その為開発元がアエロテクCSIR社であるにも関わらず、ダネル社の名前で呼ばれることが多い。開発当初はARMと呼ばれていたが、14.5mmx114弾用のコンバージョンキット開発と共に改称された。口径によってNTW-20とNTW-20/14.5に分類される。

 特徴は個人武装用ライフルとしては最大級の弾薬を使用するという点である。20mmx82弾薬は、第2次世界大戦においてドイツのモーゼル社が開発した対空機関砲用の弾薬であり、大戦後もフランスのマニューリン社が生産を継続している。同じく使用弾薬である14.5mmx114弾も旧ワルシャワ条約機構で対空・対軽装甲車用重機関銃として開発されたKPV 重機関銃用の弾薬として採用されていたものである。また、DShK38重機関銃用の弾薬である12.7mmx108(M33)弾を使用可能とするコンバージョンキットも存在する。これらの弾は高高度を飛ぶ航空機を撃墜する為に開発された為、弾頭重量や装薬量は通常の機関銃弾とは比べ物にならない程多く、長射程と高い威力、優れた弾道安定性を持つ。

 構造が単純で信頼性の高いボルトアクション方式を採用しており、右側面のボルト・ハンドルを手動で回転させ、ロックおよび解除を行うことができる。箱型弾倉(ボックスマガジン)を採用し、弾倉内には3発の弾薬を収めることができる。弾倉は、暴発を防ぐため反動で弾丸がずれないよう弾丸のリムで支えるための切り込みが設置され、また3発分装填してもバネの余裕ができる構造で、機関部の左側面に水平に装着する。また、ストックは内部にスプリングと2つの大型油圧式サスペンションからなるショック・アブソーバーを組み込んである。これらの銃構造により、上述の弾薬から発生する強烈な反動を軽減することができる。

 軍曹が"ザクII"のモノアイをペイント弾で狙撃する際利用した。理由はただ単に倉庫で埃を被っているのが発見された中で口径が最も大きいから。また射程の関係から20mm弾では無く14.5mm弾を使用した。

 

 

 

M-299 分隊支援火器

口径:5.56mm

装弾数:30〜200発 マガジンによって変わる

 元ベルギーの国営銃器メーカー、FN社が開発したミニミ軽機関銃をベースに開発された分隊支援火器(SAW)。"ラコタ"、"61式主力戦車"に搭載する事を前提にホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社に開発された。

 分隊の支援火器として、また、歩兵と同じ弾薬を共用できる軽量ベルトリンク給弾式軽機関銃(LMG)として設計されたが、給弾ポートは2種類用意されM-72のマガジンでも射撃可能。分隊支援火器とは狙って射撃する武器では無く、毎分1000発という連射性能を活かし弾丸をばら撒き相手の行動を制限したり味方の行動のフォローをするための武器である。そのため銃身安定用の二脚(バイポッド)、ダットサイトが標準装備されている。斜めに突き出す様に固定されたキャリングハンドルは銃身に取り付けられており、銃本体の運搬のみならず、空冷式銃身交換の際にも用いられる。このハンドルによって、射撃直後の銃身が熱せられた状態でも耐熱手袋などを必要とせずに素早い銃身交換が可能である。

 銃身や薬室、マガジンの交換で7.62mm弾も使用可能。設計からも判る通りM-68と同時期に開発された銃であり、本来はその仕様であったが、M-72の正式採用と共にマガジンを共用する新型が新規開発された。M-72マガジンの使用は緊急時のみの使用に限ると推奨されてはいなかったが、実戦運用に十分耐え得る信頼性であり、取り回しの観点からM-72の大量にマガジンを携行し使用する兵士もいた。

 

 

 

M-60 重機関銃

口径:13.2mm

装弾数:110発〜

 旧世紀のあらゆる重機関銃(HMG)を参考にし、"61式主力戦車"搭載を前提にホリフィールド・ファクトリー・ウェポンズ社に新規開発された重機関銃。現地では"スーパーキャリバー"、"ビッグマデュース"とも呼ばれている。ベルト式給弾方式を採用、フルオート時には銃身寿命を考えなければ最大毎分2000発以上という凄まじい連射速度を叩き出せる。旧来主体であった12.7mmを上回る13.2mmという新規格の口径が生み出す命中率、威力、射程距離の大幅な増大はもはや革新的である。

 空冷式の銃身は軽く簡単に交換出来る上、素材の変更及び加工技術の発展により耐久性も大幅に高まっている。薬室、機関部の改良により重量もやや軽減された。

 "61式主力戦車"搭載時は無線式リモコンガンとして搭載されるが、後に有線式かつセンサーやカメラも強化され、目標を自動判別し攻撃するセントリーガンモードを新規搭載したカスタムモデルとなる。その際は銃身を始め全体を装甲で覆われる為重量は増すが、対歩兵戦において絶大な効果を発揮する。

 

 

 

FGM-148A3++ スーパージャベリン 対戦車ミサイル

口径:127mm

 倉庫に眠っていた元アメリカ合衆国国防軍製の個人携行用多目的ミサイルに大幅な改良を加えたもの。弾頭はタンデム方式9.8kg成型炸薬(HEAT)弾頭で総重量は約17kgとかなりのサイズだが、戦車はともかくMSを相手取るにはこれでも不足だった。発射されたミサイルは圧縮ガスによって発射筒から押し出され、数m飛翔した後に安定翼が開き、同時にロケットモーターが点火される。このコールドローンチ方式という発射方式により、バックブラストによって射手の位置が露見する可能性を抑え、後方が塞がっている室内等からも安全に発射する事が出来た。

 操作も極簡略化されとても扱いやすくなり、モード変更によりゼロ距離射撃モード、トップアタックモードに変更可能。ミノフスキー粒子下でも利用出来る様、完全撃ちっ放し(ファイア・アンド・フォーゲット)の赤外線画像判別自立誘導機能をオミット、グラスファイバーによる有線及び先端にカメラを搭載、有視界による誘導方式に変更した。それらの改良に加え使い捨て部分の軽量化も図られており、若干ではあるが軽量化、省コスト化に成功している。

 

 

 

M-101A3 リジーナ 対MS重誘導弾

口径: 139mm

 リジーナは、地球連邦軍の対MS特技兵(MS猟兵)が使用する光学照準式有線誘導対戦車ミサイル兵器(TOW)の一種である。地球連邦軍が旧世紀に使われていた既存の対戦車誘導弾(ATM)をベースに大型化(スケールアップ)、強化発展させかつミノフスキー粒子下でも正常に作動するよう、ブラッシュ社によって急造されすぐさま戦闘に投入された。

 "一年戦争"初期から大戦を通し使用され続け、その都度改良が加えられた。弾を再装填することで発射機を使い捨てることなく複数回使用できるのが特徴である。

 全長157cmという大きさであり、兵士2人により本体運搬、もう1人により弾体運搬の計3人によって運用される大型の設置型ミサイルであり、"セモベンテ隊"含め複数のMS鹵獲運用部隊の実戦データから得られた情報を元に旧世紀の兵器をベースとし強化発展させた大規模個人携行用対MS戦闘用兵器。歩兵が運用する携行式ミサイルとしては最大級であり、主に待ち伏せ(アンブッシュ)専用兵器として運用されたが、車輌に搭載して用いられることもあった。モード変更によりゼロ距離射撃モード、トップアタックモードに変更可能。射程は有効射程が3500m、最大射程が4200mと大きさの割には短めである。それにはミノフスキー粒子下での運用に耐えうる事を前提に開発されたため、弾頭にカメラを装備し画像直接照準、後尾のグラスファイバー経由による有線誘導方式を採用している事が大きく関係している。

 しかし、性能自体は高いものの所詮は急造の欠陥兵器に近い存在である事には変わりなく、単発でMSを撃破することは困難であったが、同時集中使用することで、MSに対して一定の効果を期待できた。また、特殊炸薬を用いたタンデム方式の成形炸薬弾頭を使用しているが、それでもMSの正面装甲を貫くほどの威力は無かったため、間接部位やバイタルパートをピンポイントで狙い撃つ戦法が採用されている。

 対MS戦闘においての連邦軍の切り札として、また低コストで尚且つ大量配備が出来たため、数週間程度の訓練を積ませそのまま戦地へ向かわされた場合も多かったが、MSを多数撃破するなどの戦果を挙げていた。

 しかしその戦果の裏には多大な犠牲があり、部隊全滅などは日常茶飯事であった。そのあまりの消耗率の高さから、前線の日系特技兵からは個人携行用無反動砲とあわせて"タケヤリ"と呼ばれ、"ザクハンター"とは名ばかりに、厄介払いの捨て駒の様に戦線へ投入され、味方からは死神や疫病神扱いされた。

 

 

 

車両

 

 

 

 

M-72 1/2tトラック ラコタ 高機動車両

 地球連邦軍正式採用、ヤシマ重工社製の高機動車輌。ガソリンをはじめとした化石燃料の枯渇から次世代の兵士の足として開発がスタートしたバッテリー駆動方式の完全な電気駆動車。宇宙世紀黎明期からコロニー内で使用され円熟したエレカの技術を利用、軍隊の激しい使用に耐え得る信頼性と耐久性を第一に、加えて電気駆動車ならではの低騒音や低振動、ネックであった航続距離や馬力の強化を主軸に完全新規開発された。その持ち前の頑丈さと整備し易さ、インホイールモーターによる高い車体制御技術と高性能なサスペンションによる走破性の高さから地球全土に渡って使用されている。2人乗りであり、後部はM-229 分隊支援火器用銃架つきの多目的スペースとなっており、シートを展開し兵員を運ぶ事や物資を積載できる。

 

 

 

M-61A5E1 MBT "Type-61 5+" 61式主力戦車後期生産型

全長 11.6 m

車体長 9.2 m

全幅 4.9 m

全高 3.9 m

懸架方式 トーションバー式

速度 90 km/h

主砲 155mm 2連装滑腔砲

副武装 7.62mm主砲同軸機関銃

13.2mm重機関銃 M-60 HMG

5.56mm機関銃 M-299

スモークディスチャージャー

 通称"ロクイチ"。地球連邦地上軍が誇る最強最高のMBT。ヴェトロニクスの高度な電子化、ハイテク化に加え、大きな車体は拡張性が高く、地球全土のあらゆる地形に対応が可能である。小型化された衛星通信、データリンクを備え、乗員は各種操作の徹底的な自動化によって車長兼砲手と、操縦手兼通信手の2名という少人数で運用出来る。しかしこれは2連装滑空砲により砲塔内が圧迫され1人しか乗り込めないための苦肉の策であった。

 U.C. 0061に正式採用され、マイナーアップをされ未だに運用されている。正式採用後も様々な改良を重ねて運用され、特に“スカート”と呼ばれる追加装甲を被せた最新型の5型は初期型とは別物と呼べる程の性能を獲得している。

 ちなみに、1個小隊は基本的に4両編成であるとされる。車体後部には兵員輸送や物資運搬のためのスペースがあり、最大4人が乗り込む事が出来る。完全電気駆動でありながら荒地でも最高速度90km/hを叩き出す足回りの良さがある。主砲の155mm2連滑腔砲は様々な弾頭を左右交互と同時発射の撃ち分けと自動装填装置によって大口径の2連装砲ながら連射を可能としている。

 また、極東機械化方面軍などで使用されていた前期生産型は車高が高く、サイドスカートが付いておらず、主砲も150mmとなっている。

 懸架方式はトーションバー式を取っているが、簡易改造で油気圧方式(ハイドロニューマチック・サスペンション)にも変更可能。これは前後左右の油圧を変えることで車体の角度を変えられるため、地形を利用した待ち伏せや稜線射撃を多用する部隊に優先的に配備された。

 一年戦争においてもMSが登場するまで主力であり続け、ミノフスキー・エフェクトにより様々な電子機器を無効化され手足を縛られても、性能において圧倒的に劣るジオン軍MSに対し数多く敗走を重ねつつも、"戦車"としての高いポテンシャル、アドバンテージを活かし大被害を出しながらも戦い続け、"欧州撤退戦"や「オデッサ作戦」などを影で支えた。

 "サムライ旅団"及び"ブレイヴ・ストライクス"隊に配備された現地改良型は、対MS戦闘を始めジオン地上侵攻軍に数多く配備された対軽車両戦闘も考慮された駆逐戦車に近い改良が加えられ、リアクティブスカートアーマーやシュルツェン、戦車市街地戦生存性向上改修キット(TUSK)先進的モジュール装甲防御(AMAP)などを参考にした増加装甲が施されている。また、スタンドアロンな行動を行うためのモジュラー装甲内工具入れ、ロンメルキステ、ゲペックカステンも追加で装備され、更に対MS戦闘において必要不可欠となる機動性を犠牲にしない事に念頭を置きつつ、対ゲリラ用の歩兵による対戦車無反動砲への防御力を高めるこの改良は高く評価され、追加式のリモコンガンと共に改良キットとして配布される事なった。

 地球連邦地上軍にもMSが配備され、主力の座を譲ってもなお極少数ではあるものの生産、改良、配備は停止されず、基地防衛、式典、治安維持活動などに活躍し、地球連邦地上軍の"象徴"、純粋な「最後の戦車」として存在し続けた。

 

 

M-353A4 ブラッドハウンド 戦闘支援浮上装甲車

全長:6.3m 

全幅:3.3m

武装 20mm旋回式銃座

スモークディスチャージャー

 通称"74式ホバートラック"(ナナヨン)。AE社製の装甲ホバートラック。MS1個小隊(3機)ごとに1両配属され、管制と索敵、哨戒を担当する。前線指揮車能力も備えており佐官級将校が乗車して指揮をとることもあった。

 車体底部に4基のホバーユニットを備えており、湿地帯や荒地、水上などあらゆる地形に対応が可能であり、MSの進軍速度にに追従できる走破性を持つ。

 車体後部は荷台となっており、歩兵用の携行兵器や予備人員、さらには攻撃用のレールガンユニットをも積載できる。部隊用指揮官車両は通信機能を強化するレドームを装備する。

 早急な実戦配備が求められていたため、新規のホバートラックを開発するのではなく、既存のホバーカーゴトラックから派生したM-340軍用ホバートラックをベースに、更なる改良を加えたXM-353ホバートラックを緊急開発した。

 このXM-353に防衛用武装として、旧式化した航空機用20mm機関砲を搭載し、レーザー通信をはじめとする短距離通信機能を強化したものが、モビルスーツ戦闘支援車輌M-353A4ブラッドハウンドとして正式採用されている。

 そして、"ブラッドハウンド"の最大の特徴は、車体側面に装備された地中に埋め込むことで周囲の振動を探知するアンダーグラウンド・ソナーである。車体をフロント及びリアに搭載されたアウトリガーによって固定し、杭状のソナーポッドを地面に打ち込むことで使用する。

 これは、ミノフスキー粒子の影響を受けにくい地中を利用して、敵音源の位置測定や音紋解析による敵種別を可能とするものであり、様々な地球環境下で任務を遂行するモビルスーツ小隊の生命線ともいえる装備であった。それに加え、大型の展開型レーダーマストに。化学センサーを始め様々な種類のセンサー・レーダーが実験的に装備されている。

 まさに、MS小隊の目となり耳となる司令塔であると言えよう。

 また、ミノフスキー粒子下では無力化されるとはいえ、環境さえ整えばレーダーはかなり有効であるのは変わりない事から直線的な車体表面そのものをレーダー素子に用いた高出力コンフォーマルレーダーを搭載している。

 武装は本体上部のターレットに装備された20mmガトリング砲のみであり、砲手が手動で操作を行う。砲弾は対軽装甲用の徹甲弾と対人、対空用の榴弾を状況によって使い分ける。

 その他に、スモークディスチャージャー、可変式伸縮アンテナ、回転式ペリスコープ、サーチライト等を装備しており、あらゆる方面からMSの戦闘行動を支援する事が出来た。

 因みに名前の由来である"ブラッドハウンド"とは、ベルギー原産のセントハウンド犬種。名前は「高貴な血を継ぐ純血の犬」の意味で、肩書きは「魔法の嗅覚」。これは搭載した様々なレーダーの中で、犬の嗅覚システムを真似て開発されたという科学センサーから取られたと言うのが最も有力であり、この装備の有無が"ナナヨン"か"ブラッドハウンド"かを分けているとされる。

 

 

 

M-64A2 シャイアン 有線ミサイルカー

 ヤシマ重工社製の拠点防衛用のミサイル搭載電気駆動車両。

 "ラコタ"を製作したヤシマ重工が開発した物で、高い機動力と有線誘導方式ミサイルによる高い命中率を誇り、地球、コロニー問わずあらゆる拠点で採用された。

 しかし、『火器の限定された中その最低限の火力で敵を倒す』というコンセプトから火力は低く、MS相手にはそのミサイルすら避けられ、全く対抗出来なかった。

 MSの発達と"リジーナ"の普及により、一部のコロニーを除き徐々にその姿を消して行った。

 

 

 

RTX-44 対MS用戦闘車両

重量:97.0t

武装 240mmキャノン砲×2

対空ロケット砲×4

 本機は元々、地球連邦軍において"61式主力戦車"の後継機種として開発された大型戦車で、U.C. 0077 には次世代主力戦車(MBT)として完成していた。

 しかし、ジオン公国軍のMS開発計画を察知したことにより、対MS用戦闘車両としてコンセプトが変更され、RX計画に統合されることになる。

 対MS用戦闘車両として開発されることになったRTX-44は、開放式キャタピラの車台の上に旋回式の「胴体」を持っており、戦車で言うところの旋回砲台にあたるこの胴体ユニットには、砲撃手コクピットとキャノピー、それにセンサーを有し、武装として対空ロケット砲4門と、肩にあたる部分には2門の240mmキャノン砲を備えていた。

 2門の主砲を備えているのは"61式主力戦車"から受け継がれた設計だが、今までの戦車にない胴体ユニットを持っているのは、ジオン公国軍が開発を進めているというMSを強く意識した設計であることが伺える。

 RTX-44はU.C. 0078 3.20に4機が製造され、"ジャブロー"において各種テストが開始されたが、胴体部分を持つことによって車高が高くなったことから防御性が疑問視され、さらに総重量は97.0tと、"61式主力戦車"と比較して機動性が極端に低かったことから、戦車派の軍人からは失敗作の烙印を押されてしまう。

 ジオン公国軍の"マゼラ・アタック"や"ヒルドルブ"のような巨大戦車を相手にするのであればこの程度の大きさは問題ではなく、むしろRTX-44はそれらに比べて小型ですらあったのだが、既存兵器の発想から離れられない当時の戦車乗りにはRTX-44の設計が理解し難かったのである。

 このような理由で、RTX-44は連邦陸軍から否定的な見方をされたため制式化には至らなかった。

 しかし、後に本機をベースとして全面的にリファインが行われ、地球連邦軍初のMS、RX-75 "ガンタンク"が完成することになる。

 

 

 

 

大規模移動型コンボイ

 タイヤ直径3m、全長25m、車体の横幅が8mもある、超大型車両。

 移動可能な前線簡易整備施設兼前線基地として開発が進み、計画が頓挫した後"キャリフォルニア・ベース"倉庫で眠っていたものを改造したもの。

 単体でも性能はある程度発揮出来るが、横、縦と連結し、前線付近に展開できる大規模野戦整備施設、及び前線基地となる事で真価を発揮する。

 その前線に展開するという性質上ある程度の被弾を前提に考えられているため、装甲は厚く、底面も地雷対策が施され、窓にもシャッターを降ろすことが出来る。自衛火器としてM-60重機関銃、M-101A3"リジーナ"対MS重誘導弾を装備する移動要塞でもある。連結しながらの移動も可能。そのためコストと性能が釣り合わず、何とも宙ぶらりんな性能となり、計画は凍結、前線基地も"ビッグ・トレー"級陸戦艇や"ミニ・トレー"級陸戦艇、M-353A4"ブラッドハウンド"戦闘支援浮上装甲車両に取って代わられる事となった。

 長距離移動、大人数での長期滞在を考慮に入れられており、高い居住性を持つ。高性能な太陽光、風力、地熱発電装置に大電量バッテリー、燃料電池で駆動する完全電気駆動車。内部プラントでは簡単な野菜の生産も可能。完全電気駆動車であるが非常用の化石燃料を使用する機関も搭載しているハイブリッド車両である。高性能な水の循環装置、大気中の水分を回収する装置も付いており、事実上無限の航続距離を持つ。外壁は水の濾過装置を兼ね水が循環しているため断熱性が高く、内部環境は外気温に左右されないため、-40℃〜50℃の環境で使用可能。

 その車体の大きさから拡張性があり、エアバックを搭載し渡河も可能。

 

 

 

 

陸戦艇

 

 

 

 

ELWS-M-717A3 ミニ・トレー級陸戦艇

 "ミニ・トレー"級は、ヴィックウェリントン社製の陸戦艇。

 "ビッグ・トレー"級陸上戦艦を小型化したような外観をしており、"ビッグ・トレー"級と同様に連邦軍陸上部隊の移動司令部として使われていたが、その建造数は少なかったといわれている。

 しかし"ビッグ・トレー"級よりニ周りほどスケールダウンした結果速度や巡航距離の強化に加え小回りが利き、コストも安くなったためあらゆる戦場でその姿を見る事が出来た。

 ホバー移動による水陸を問わない上、その大きさに似合わないそこそこの機動性を持つ推進方式や、VTOL機やヘリコプターなどを運用できる飛行甲板を備えている点も"ビッグ・トレー"級と同様であるが、武装は艦船と共通な195mm単装速射砲6門もしくは5門が装備されているだけであり、600mm三連装砲塔が3基搭載された"ビッグ・トレー"級ほどの攻撃力はなかった。

 "ミニ・トレー"級は、"一年戦争"終結後も地球に残ったジオン公国軍残党を掃討するため、その勢力が最も大きかったアフリカ大陸で主に使用され続けたという。

 しかし軍縮の煽りを一番に受けた事、地球上のジオン残党軍の大部分が駆逐された事から移動司令部の必要性が希薄となり、後に全艦が解体処分となった。

 

 

 

 

航空機

 

 

 

 

FF-2 フライ・ダーツ 高高度戦闘機

 ハービック社製の「コア・ファイター・バリエーション」の中の一機。戦闘機とは名ばかりの、衛生軌道上に置ける対艦攻撃に主体を置かれた機体。元のFF-2であった宇宙戦闘機"トマホーク"を全面改修した機体である。武装は電磁加速式モーターキャノンと機体の全長を越えるほどの大型の対艦ミサイルを2発装備している。"セイバーフィッシュ"に足りないとされた対艦攻撃能力を一手に引き受けている機体と呼べるだろう。

 大気圏内外を戦闘域にしたロケットエンジン搭載のリフティングボディ機であり、本機の運用のために空中母機として改修された爆撃機"デプ・ロッグ"からの空中発進方式を取っている。連邦宇宙軍は、基本的に宇宙での任務を担当する軍隊であったが、地球軌道上の保全という任務も担っていたため、宇宙だけでなく地球本土にも基地を有していた。このことは、地球連邦軍が抱えていた長年の問題の一つである宇宙軍と空軍との担当領域に関する諍いの原因となっており、本機はその領域問題の象徴ともいえる機体である。

 本機は、軌道上に侵入した敵を迎撃するために開発されており、形状や用いられている技術は航空機というよりも航宙機といった方が正しい。"一年戦争"初期には、ジオン公国地球攻撃軍とジオン本国を結ぶ交通線の破壊任務に従事しており、地球侵入を図るジオン公国軍の大気圏突入艇や"HLV"、"HRSL"を多数撃墜した。

 これらの任務は相対加速度が大きく、本機のパイロットは宇宙軍の中でも指折りの者達が選ばれていたという。

 

 

 

FF-3 セイバーフィッシュ 高高度迎撃戦闘機

 U.C. 0071に地球連邦軍に採用された、ハービック社製迎撃戦闘機。宇宙空間への戦域拡大を視野に入れた、新たな戦術体系に合致する戦闘機開発計画「コア・ファイター構想」に基づき地球連邦軍が採用、配備を行った「コア・ファイター・バリエーション」の中の一機。装備の変更によってあらゆる空域での運用が可能な設計になっている。宇宙用の"セイバーフィッシュ"は、ベースとなる機体に4基のブースターパックを機体上下に2基ずつ装備され、機動性を高くする事でMSに対抗できる数少ない兵器として、"一年戦争"開戦当初は積極的に運用された。

 その戦域を選ばない機体としての設計から機体密閉性が高く、機体構造、機体強度も大きく取られた高価な戦闘機となった。推進機関はジェットエンジン・化学燃料ロケットのハイブリッド式で、核動力を所持していないため、出力や推力がMSに劣る。しかし同系統の兵器であり同じく核動力を所持していない"ガトル"や"ジッコ"と比べればはるかに高性能であり、戦闘力では"ガトル"を圧倒できる性能を持っている。大型の対艦ミサイルを装備し火力は高いが、その設計思想は悪く言えば決戦主義的であり、母艦の支援をする支援戦闘機として敵艦を攻撃して撃沈するという大艦巨砲主義を支援する性能も持ち合わせている。大気圏内外両用機である事が災いし、航宙機の設計が足を引っ張り視界が狭く、特に後方視界はゼロであり大気圏内でのドッグファイトは得意ではなく、それは設計の簡略化、パーツの共通化、生産性の向上、機種転換を容易にすると言う「コア・ファイター・バリエーション」によりコクピット周りの設計を共通にした事が裏目に出てしまい、格闘戦闘機として開発された他の機体も同じ欠陥を抱える結果となってしまっている。後に連邦軍もMSや"コア・ファイター"などを始めとする核融合炉を搭載した戦闘機を開発、量産に着手してからは生産は停止された。

 宇宙空間では拠点防衛の他、"マゼラン"級宇宙戦艦の艦載機とすることも計画されていたが、地球連邦軍の大艦巨砲主義により"マゼラン"級に艦載能力は付加されなかった。結局、"コロンブス"級など一部の艦で運用されたにとどまっている。後に連邦軍もMSを開発、量産に着手してからは次第に第一線を退いている。

 武装は機首の25mm機関砲4基で、ブースターパック装着時はその先端に付けられている各基3基ずつ計12基のミサイルランチャーも加わる。ちなみに本機の型式番号はFF-3だが、宇宙戦仕様の機体はFF-S3、局地要撃機仕様の機体はFF-S3DFの型式番号が付与された。

 

 

 

FF-4 トリアーエズ 空間戦闘機

 ハービック社製の防空小型戦闘機。地球連邦軍の宇宙軍の主力として"ルナツー"や各サイドの駐留軍に配備された。武装は機首に設けられた25mm機関砲2門のみである。同じくハービック社によって同時期に開発されたFF-X7"コア・ファイター"と似通ったデザインを有する。

 "一年戦争"が勃発すると、ミノフスキー粒子が散布された状況下での戦闘には対応していなかった上、"ルウム戦役"では戦闘機以上の機動性を誇るMSに対抗する事は叶わず、RGM-79 "GM"にその座を譲ることとなった。

 

 

 

FF-S5 レイヴン・ソード 空間戦闘機

全長:16.6m

重量:18.7t

 "レイヴン・ソード"は、ハービック社の「コア・ファイター・バリエーション」の中の一機。大気圏内外両用の空間戦闘機。

 "一年戦争"勃発後、MSに主役の座を譲る事になった空間戦闘機だが、戦線において不可欠な兵器であることには変わりなく、開発・生産は"一年戦争'中にも薦められていた。武装は30mm2連機関砲4門にミサイルを6発搭載可能。本機の開発は、"セイバーフィッシュ"の後継機である "トリアーエズ"の試作機が完成する前に開始されていたが、紆余曲折を経て"一年戦争"末期に試作1号機が完成している。

 連邦軍の最終的な開発要求は、"ネルソン"級MS軽空母や"トラファルガ"級全通甲板型支援巡洋艦などの宇宙空母で運用するにあたり、単艦での艦載数を増やせるコンパクトな機体であり、なおかつ "コア・ファイター"相当かそれ以上の総合性能を持つ機体であった。

 この困難な性能要求に対して開発陣は、従来型のエンジン出力を向上した改良型エンジンを開発・採用することにより、コンフォーマルタンク型ブースター装着時の"セイバーフィッシュ"の航続距離・機動性を参考に設定した目標値の85%を達成している。

 小型の機体ゆえに大気圏内での稼働時間が短いという問題点があったが、試作1号機が完成した翌月には本機の制式採用が決定し、FF-S5 "レイヴン・ソード"の名称が与えられた。しかし、"一年戦争"中期以降の連邦軍の兵器開発・生産は、RGM-79 "GM"シリーズの量産を最優先としていたため、航空機や艦船の生産は大幅に遅れており、本機が量産化されたのは戦後になってからである。"一年戦争"での航空兵力の損失が多かったため、本機の第1次生産機数は300機を超え、U.C. 0080末には追加発注によって第2次生産までされた。第2次生産では、エンジンを大気圏内用に換装したFF-S5Cと、コクピットを複座型にしたFF-S5Dも製造されていたという。

 だが本機の使用期間は短く、U.C. 0085には全機が退役している。

 

 

 

FF-6 TINコッド 高高度防空戦闘機

 ハービック社製の「コア・ファイター・バリエーション」の中の一機。大気圏内での戦闘を想定し開発された小型制空戦闘機で、対戦闘機の格闘戦能力を強化されているが、武装は4連装25mm機関砲と機体に内蔵されたランチャーから発射される空対空ミサイルで、火力は決して高くはなく、純粋な地球連邦軍の航空機によく見られるマルチロールファイターでなく、純粋な戦闘機と呼べる。しかし、これらの遠中距離対空兵装搭載量の少なさ、さらに本機は、大気圏内での戦闘を想定して開発された小型戦闘機で、非常に高い運動性能を有していたが、燃料消費が激しく航続距離が極端に短い、更にコクピットを共通化した弊害から視界が狭く、ミラーやカメラによる補助を必要とするという欠点を抱えていた。

 遠中距離対空兵装搭載量の少なさから本来は高高度防空戦闘機として開発されたものではないのかもしれない。皮肉にもその誘導兵器に頼らない有視界戦闘においてその設計が功を奏し、ベテランパイロットに格闘戦に好んで用いられた。U.C. 0062には試作型が完成したが、実用化は大幅に遅れ、U.C. 0079に始まった"一年戦争"の頃になっても実戦配備はあまり進んでいなかったようであり、一説では戦争中に配備された数は僅か48機であったといわれている。

 しかし、他の戦闘機の追随を許さないほどの高い運動性能は一部のベテランパイロット達に歓迎され、"テキサスの黒い悪魔"の異名を持つサミュエラ少佐や、"オデッサの荒鷲"と呼ばれたエイミー・バウアー・マイスター大尉、また、一年戦争中に航空機301機撃墜のスコアを記録した連邦空軍のエースパイロット"レディキラー"ことテキサン・ディミトリー中尉など、多くのパイロットが"TINコッド"を愛機とした。

 "一年戦争"終結後は、旧ジオン公国軍の技術を取り入れて開発された航空機用熱核ジェットエンジンが搭載されたことで、大出力高機動の万能戦闘機へ生まれ変わり、連邦空軍の主力として量産されている。しかし、"Ζプラス"、"リゼル"、"アンクシャ"などの可変MSの登場で航空産業が衰退していたU.C. 0096時には、"フライ・マンタ"の後継機として採用された本機の改良型である"TINコッドII"が、機種転換されないまま運用されている。

 その"TINコッドII"も後に殆どがFF-08WR"ワイバーン"へと更新された。

 

 

FF-X7 コア・ファイター 多目的戦闘機

所属 地球連邦軍

開発 地球連邦軍

製造 ジャブロー

生産形態 試作及び量産機

全長 8.60m

重量 8.90t

出力 12000hp

最高速度 マッハ4.8

装甲材質 ルナ・チタニウム合金

武装 4連発小型ミサイル×2

30mm2連装機関砲×2

 ハービック社製の「コア・ファイター・バリエーション」の集大成とも呼べるコンバインドサイクル型熱核反応ジェット/ロケット・エンジン JPR-11Cを搭載した、大気圏内外両用高性能小型多目的戦闘機。最初の"コア・ファイター"は"TINコッド"をベースに制作され、V作戦によって作られた地球連邦軍のRX-75 "ガンタンク"、RX-77 "ガンキャノン"、RX-78 "ガンダム"を代表とするRXタイプMS及び、"Gファイター"、FF-X7-Bst "コア・ブースター"及びそのバリエーション機に採用された。高い機動力と攻撃力を併せ持つ新時代の戦闘機として完成し、MSが無い戦線においても配備された。ファイターパイロットの意見を多く取り入れる形で設計され、高い旋回性能と、ピンポイントの機銃一連射で敵を叩き落とせる打撃力を求められ、その事から、旧世紀の幻の局地戦闘機"震電"を参考に機首に大口径機銃が集中装備されている。その分弾数は大きく制限される事となったが、その火力はMSはおろか肉薄しピンポイントで弱点を集中砲火する事により、"ガウ"級攻撃空母をも落とす火力を発揮した。しかし、これは可変翼及び胴体部に機銃を搭載する設計的な余裕が無かった為でもあった。

 戦闘機であるが、本来の仕事は高価で高性能な教育型コンピューターが内蔵されており、MSが損傷しても実験データを回収するために開発された。また、『パイロットの生存率の向上』の為量産が確認されている"コア・ブースター"にも"コア・ファイター"が分離可能なまま採用されている。そのため装甲材質も高価なルナ・チタニウム合金が使われている。

 本機最大の特徴は、コア・ブロック (CORE BLOCK)と呼ばれる“核”に変形し、MSの胴体に収納され、コクピット兼脱出カプセルとして使用される点に尽きるだろう。コア・ブロック形態時も、ジェネレーターは使用されるがメイン推進装置の代替用として別系統で内蔵される推進装置はコア・ブロック形態時にデッドウェイトとなってしまうため、その解決策としてバックパックも兼ねたタイプも考案された模様である。

 しかし、結果として高性能な戦闘機であり、MSのパーツの一部である本機の生産コストは釣り上がり、戦闘機としては優秀ではあるのだがなんとも中途半端な性能であり、戦力としては部隊に組み込み辛いため、後のMSには殆ど採用が見送られている。

 

 

 

BF-01 フライ・マンタ 戦闘爆撃機

所属 地球連邦軍

開発 地球連邦軍

全長:17m

全幅:13m

全高:6m

全装備重量:11.7t

 レールス・フライテック社製の戦闘爆撃機(マルチロール・ファイター)。機首の左右に3連装ミサイルランチャーを装備し、また、後期生産型には2連装30mm機関砲を備える。底面には大型の爆撃用爆弾層があり、対空、対地戦闘に使用される。機体には高度な電子化が施されており、高い戦闘能力を誇るも、それが災いしミノフスキー粒子の影響を大きく受けてしまった。コクピットは単座式で、2機のジェットエンジンを搭載した大気圏内用の双発機だが、一説には複座式の機体や宇宙空間用の機体も開発されたという噂がある。機首の左右に装備された3連装の多目的ランチャーは高い命中率を誇り、空対地、空対空の各種ミサイルが装着可能となっていた。また、機体側面の空気取り入れ口脇には、25mm機関砲も装備されており、胴体下や翼下のラッチには、スマート爆弾や対地ミサイルなどが搭載可能と積載能力も高く、各種ミサイルを換装することで幅広い任務の遂行が可能であるため、地球連邦軍の開発した最も成功したマルチロール・ファイターとして知られ、"一年戦争"中は連邦空軍の主力戦闘機として、多くの基地に配備されていた。

 U.C. 0079 11月末に行われたジオン公国軍による"ジャブロー"降下作戦時には、地球連邦軍本部ジャブローから多数の"フライ・マンタ"がスクランブルし、上空でジオン公国軍の戦闘機"ドップ"と空戦を繰り広げている。数多くの"ドップ"を撃墜しただけでなく、"ガウ"級攻撃空母から地上へと降下するMS-06 "ザクII"を機銃掃射で撃破した機体もいた。

 連邦空軍のエースパイロットとして知られる"レディキラー"ことテキサン・ディミトリー中尉や、"オデッサの荒鷲"ことエイミー・バウアー・マイスター大尉など、多くのパイロットが本機に搭乗し各地で戦果をあげたという。機体は警戒色である黄色に塗られている。なお、薄い灰色に塗装された機体も確認されている。2発のジェットエンジンを備え最高速度マッハ3.8で飛行可能。開発当初は大気圏内外両用機として開発された弊害から後方視界が少ない設計であり、格闘戦を好むパイロットからの不満が噴出、改良が施されグラスコクピット化した機体が配備され、更新が行われた。しかし、完全に更新される事は無く、MSの配備により航空機が軽視された結果、新旧入り乱れる事となってしまった。

 

 

AF-01 マングース 攻撃機

 バドライト社製の"一年戦争"初期から使用されていた地球連邦空軍の単座、双発、直線翼を持つ近接航空支援(CAS)専用機。

 戦車、装甲車その他の地上目標の攻撃と若干の航空阻止により地上軍を支援する任務を担う対地攻撃機。鈍重であるが、頑丈な機体に、11箇所のハードポイント、二発の大出力エンジン、機首には長砲身高初速の20mm機関砲を4門備えた空飛ぶ戦車の様な飛行機。高性能なエンジンから来る高い積載能力を存分に活かすべく、ハードポイントには自由落下爆弾、誘導爆弾、空対地ミサイル、クラスター爆弾、ロケット弾、空対空ミサイル、ECM・多機能ポッド、増槽を装着可能。

 ミノフスキー粒子を散布するジオン公国軍に対し、電子兵器による空爆等を封じられた地球連邦空軍は苦戦を強いられたが、レーダー兵器を用いず低空で地上に接近し、直接敵を撃破する"マングース"の戦術は、ジオン公国軍地上部隊を相手に大きな戦果をあげたという。

 その外観は攻撃機神話を生み出したアメリカ空軍傑作攻撃機、フェアチャイルド・リパブリック A-10"サンダーボルトII"に酷似している。航空機としては安価で、簡易整備で使えるという特性を備える。

 もとより被弾する事が前提の機体設計がなされており、特にコクピット周りは装甲が厳重に施されている。30mm口径の徹甲弾や榴弾の直撃に耐える装甲に、 二重化された油圧系と予備の機械系による操縦系統により油圧系や翼の一部を失っても帰投・着陸を可能としている。 油圧を喪失した場合、上下左右動は自動的に、ロール制御はパイロッ トによる手動切り替えスイッチの操作により、人力操舵へと切り替わる。この時は通常よりも大きな操舵力が必要となるものの、基地に帰還し着陸するのには充分な制御を維持できる。

 機体自体もエンジン一基、垂直尾翼1枚、昇降舵1枚、片方の外翼を失っても飛行可能な設計となっている。また、半格納式の車輪は大きく主翼から出っ張っており、主脚が作動しなくても車輪が既に出ているため胴体着陸時の衝撃を殺せる上、エンジンは地面と擦らないよう機体の上部に高めに配置されている。これらは全て胴体着陸時に衝撃を少しでも減らし、生存率を高めるためである。

 少尉の愛機。事ある毎に被弾し、墜とされる機体。

 

 

 

AF-05 マングースII 攻撃哨戒機

 ハービック社製の「コア・ファイター・バリエーション」の中の一機。"一年戦争"中期から使用されていた地球連邦空軍の対地攻撃哨戒機。

 上記マングースとは完全に別物で、こちらは75mm自動砲をピンポイントで射撃、ターゲティングする事を目的に、陸戦艇などを補佐するために開発された。

 そのため固定武装として75mm自動砲と機関砲を装備している他、ビーツG-8ロケット弾やB-108対地爆弾を搭載することもできる。主兵装の75mm自動砲は、機体が低空・低速時の安定性が高く、ミノフスキー粒子散布下における命中率も決して低いものでは無かったといわれている。

 

 

 

FF-02 フライ・アロー 制空戦闘機

 "フライ・アロー"は、レールス・フライテック社製の制空戦闘機。旧式の部類に入る戦闘機である。複座機であり、機体にはグレー系の塗装が施されていた。武装は機首部に左右各2門の25mm機銃と空対地ミサイル。

 3発の大推力エンジンの恩恵で増えた積載量をミサイルに回し、ミサイルキャリアーとして活躍が期待されるも、ミノフスキー粒子の影響でそれも厳しくなってしまった。

 U.C. 0079の"一年戦争"中は、主に地球連邦軍本部"ジャブロー"に配備されていたといわれており、"一年戦争"末期の"ジャブロー"攻防戦にも参加していた。

 

 

 

RP-02 ディッシュ 早期高速哨戒機

 "ディッシュ"は、地球連邦軍の高速哨戒機。ヴィックウェリントン社製。大型の円盤型レーダードームに機首と左右2対の水平翼が付いた、名称通り皿のような機体形状が特徴。見た目は"フライング・パンケーキ"のように薄っぺらく、テストフライト時にはUFOと間違えられたという。"一年戦争"前に早期警戒機として開発された機体だが、ミノフスキー粒子散布下では性能を発揮できず、"一年戦争"時には遠距離索敵性能とその航続距離の長さ、超音速での長時間巡航(スーパークルーズ)能力を生かした要人用高速連絡機として使用された。

 後に、それらの機能に加え乗り心地も軍用機としては群を抜いていたため、VIP待遇の送迎などにも用いられており、政界においてこの航空機に乗れる事は一種のステータスとなった。

 

 

 

C-87 ミデア 戦術輸送機

全長:45.0m

全幅:67.7m

重量:245.0t

武装 連装機関砲×2

 ヴィックウェリントン社製、5基のローターで上昇し、6基の強力なジェットエンジンを推進に使用する足の早く、長い輸送機の傑作機。このリフトローターとジェットエンジンにより、"ミデア"輸送機はペイロード160tという大量の物資を一度に輸送することが可能であり、一年戦争当時は地球連邦軍の物資輸送任務の大部分を担っていた。また、VTOL機であるため、滑走路が未整備な最前線への補給活動に最適な機体であったという事も大きかった。

 本機の具体的な特徴として、脱着式専用コンテナを懸垂運搬したことによる荷役時間の短縮、後退角の少ない長大翼採用による短距離着陸性能の獲得、降着装置に低圧タイヤとダクトファンによるエアクッションを組み合わせたことによる不整地への着陸が可能であるなど多くの利点が挙げられる。武装はモデルによって差異はあるが、機体各所に格納式の連装機関砲塔が数基あるのみで、その火力は自衛用の域を出るものではない。

 本機は莫大なペイロードによってMSの輸送も可能であり、"一年戦争"末期にはMS専用コンテナが開発され、空挺用MSの運用も可能になっている。なお、"一年戦争"後期にはエンジン出力を向上し、積載量を200t以上にしたタイプも配備されている。

 また、カーゴを外し燃料タンクにした上、多数の機銃、砲塔を追加しガンシップへ改造したものや、企業や生産時期によりさまざまな機体バリエーションを持つ結果になった。

 切り離したコンテナ部分も自走が可能で、多目的な輸送機として完成している。それは、U.C. 0099現在においても、地球連邦地上軍はこの航空機を利用していると確認が取れる程である。

 

 

 

HB-06 デプ・ロッグ 重爆撃機

 "デプ・ロッグ"は、全長33.5m、全幅31.5mという巨大さを誇る地球連邦空軍の重爆撃機。ヴィックウェリントン社製。3発のエンジンにより積載量120tというペイロードを持ち胴体内へ大量の爆弾を積み、敵地に絨毯爆撃を敢行する高々度水平爆撃機である。自衛用の火器は低出力レーザー砲塔5基に空対空ミサイルのみと貧弱であり、運動性も鈍いため、運用には戦闘機の護衛が不可欠であった。"一年戦争"初期から配備されており、ジオン公国軍のユーコン級攻撃型潜水艦を撃沈させたこともあったという。

 U.C. 0079 11.7に開始されたオデッサ作戦においては、鉱山基地や森林に潜むジオン公国軍のMSを空から爆撃し多大な戦果を上げた。

 また、機体底部にガトリング砲を搭載した地上掃射型や、レーザー誘導爆弾で要地をピンポイント爆撃する拠点攻撃型等のバリエーション機の存在も確認されている。高精度な電子機器、衛星通信などを利用した高高度爆撃による命中精度は誤差3m以内に収める事が出来るほどの高精度を誇ったものの、ミノフスキー粒子の影響でその能力を活かすことは出来ず、絨毯爆撃が主な運用方法になった。開発当初は無駄とも揶揄されたペイロードを生かし、手の届かない高高度から物量を持って制圧するその姿はジオン地上軍に恐れられた。

 

 

SPA-04 ドン・エスカルゴ 対潜攻撃機

 "ドン・エスカルゴ"は、地球連邦軍の対潜攻撃機。レールス・フライテック社製。長大な航続距離と高い対潜攻撃能力を持ち、対艦ミサイルや複合追尾式魚雷によってジオン公国軍の潜水艦隊を苦しめた。

 また、様々な高性能対潜センサーを多く搭載しているものの、それらはミノフスキー粒子により無効化された上においてもなお優れた索敵能力を持っており、ソノブイ(吊下式の対潜水艦用音響捜索機器を内蔵した無線浮標)などの探知装置も多数装備している。自衛用として、機体前後側面に1基づつ計4門の単装機関砲が設置されているが、対空戦能力は高くない。

 "一年戦争"中は、ジオン公国軍の"ユーコン"級攻撃型潜水艦はもちろん、水陸両用MSに対する哨戒・攻撃任務にあたっており、ジオン公国軍が最初に投入した水陸両用MSの量産機MSM-03"ゴッグ"が被った被害は少なくなかったという。

 本機は、主に"ベルファスト・ベース"のような軍港や、"ヒマラヤ"級対潜空母などの航空母艦に配備されていた他、VTOL機として駆逐艦などのヘリ甲板でも運用可能であった。

 

 

 

RF-03 フラット・マウス 電子偵察機

 "フラット・マウス"は、レールス・フライテック社製、地球連邦軍の大気圏内用戦術偵察機。旧世紀に確立された高速機技術を応用した強行偵察機で、ターボファンジェットの外周部にラムジェットの機能を付加したターボファン・ラム混合ジェットエンジンを使用している。だが、開発の過程でエンジンの過熱問題が発覚したため、冷却材タンクが搭載された。

 "一年戦争"勃発前の主な偵察機は、電子機器を用いた遠距離からの索敵や偵察行動を行っていたが、ジオン公国軍が確立したミノフスキー粒子の散布技術により、"一年戦争"時には電子機器を用いた偵察が困難となってしまう。この結果、地球連邦軍偵察部隊の要請により、古典的なアナログ光学機器を搭載した新仕様機として"フラット・マウス"が開発された。

 本機は、機体下部に磁気記録方式録画用カメラやレーザー式機密情報用発信機が装備される他、翼下には内蔵燃料で不十分な作戦を遂行する時のために増加燃料タンクを搭載することができる。ミノフスキー粒子の影響は長距離通信探知、誘導を無効化し、そのため長距離偵察及び電子妨害兵器の必要性を低下させたと思われたが、戦術上必要であったのだ。

 それに加えこの機体は改良が加えられ、ただの偵察機では無く攻撃部隊が到着する前の電子攻撃によるレーダー・通信に妨害をかける露払いにこの機体が使用された。

 

 

M-265 ファンファン 戦闘ホバークラフト

 2機のジェットファンを備え、入り組んだ複雑な地形において地上部隊支援のためにヴィックウェリントン社に開発されたホバークラフト。

 ミノフスキー粒子下でもなお高い命中率を誇る有線ミサイルを10発、機首に7.72mmミニガンを4門備える。

 収納式のランディングギアにより戦場を選ばず離着陸が可能であったため、地球全土で攻撃ヘリに代わる兵器として使用された。

 両脇左右下部にファンを装備し、同じく両脇の左右上部に5連装ミサイルポッドを装備、そして中央にコックピット及び後方に向けられた推進器がある。左右のファンによってジャブロー内部のような鍾乳洞内部でも自在にホバー走行を行い、有線式ミサイルによってミサイル発射後のコントロールを可能にし、命中率の高い攻撃を行う事ができる。並列複座機だが乗員が1人でも戦闘可能。

 ジャブローに配備されていた拠点防衛用の兵器の中では唯一飛行可能な兵器である。MSが登場する前に開発された兵器でもあり、対地掃討に活躍したものの、対MS戦では苦戦を強いられる事となる。

 

 

CV-98 キング・ホーク 高機動ティルトウィング

 レールス・フライテック社製の多目的ティルトウィング機。ティルトウィングとはティルトローターの親戚であり、ティルトローターとは垂直離着陸できる航空機で、VTOL機、つまりVertical TakeOff and Landing(ヴィートール)の事である。同じく垂直離着陸ができる回転翼機であるヘリコプターとは似て非なる種類である。

 有名なV-22"オスプレイ"ティルトローターの様な回転翼の角度を変更することによる垂直/水平飛行を可能としたティルトローター方式を採用した垂直離着陸機であり、固定翼機とヘリコプターの特性を併せ持った機体である。従来の垂直離着陸できるヘリコプターと比較すると、積載量、遠距離飛行、高速飛行共に優れており、それでいてホバリング時においての騒音レベルは同型のヘリコプター以下のレベルにおさえられるという特性を持つ。

 本機はそれに加え「可変展開翼」を持ちティルトウィングと呼ばれる機に近い。これはティルトローターの持つ「ティルトローター・システム」と呼ばれるローター・エンジンナセル複合ポッドのみが回転するのではなく、主翼ごと回転するタイプである。これはティルトローターに比べVTOLモード時にダウンウォッシュを受けないという利点がある反面STOLモードでは迎え角が大きいため抗力も大きくなり、また全般的に風の悪影響を受けやすいといった欠点もあった。その欠点を打ち消すため非使用時にはコンパクトに折り畳み収納可能な可変展開翼を備えるのが本機の特徴である。大きく特徴的な可変ピッチプロップ・ローターは3枚一組の二重半転プロペラを採用、高いエンジン出力を遺憾無く発揮しハイパフォーマンス化に一役買っているが、その内部の整備性は通常のものに比して大幅に低下し、しかも機構的な必然から重量が増大するというデメリットも存在する。左右のエンジンは片発停止となってもすぐには機体が墜落しないように、左右の駆動出力軸が固定翼内のクロスシャフトで連結されており、トラブルなどにより片肺飛行する事を想定きた緊急時最大出力モードがあり、短時間ながら飛行を続ける事が出来る。

 MS開発で培われたオートバランサー、操縦系統の自動化など様々な機能が惜しみなく投入され、かなりの高性能機でありながら簡単な操縦でハイパフォーマンスを発揮する。しかし高性能であるが故可変翼など複雑な駆動部分が多く、重量の増加や整備性の低下を招いている。

 "ブレイヴ・ストライクス"では主に兵員輸送に用いられるが、高出力エンジンによる高いペイロードと航続距離を活かし、輸送、偵察、戦闘と多目的にこなせる万能機である。そのためそれ相応の装備は用意してあり、早期警戒装備を装備しての偵察や、対地攻撃装備を装備してガンシップとしても使用可能。影から部隊を支え、"ブレイヴ・ストライクス"が高い戦果を上げている事に一役買っている。部隊内でのコールサインはアサシン。

 なお実はかなり高価な機体であり、これを採用しているのは"アサカ"戦隊、実験(モルモット)部隊でも"ブレイヴ・ストライクス"のみであり、その他部隊はタンデム・ローター式のCH-237"サンダウナー"が採用されている。

 

 

 

戦闘水上艦艇

 

 

 

ヒマラヤ級航空母艦

武装 600mm連装主砲

4連装大型対艦ミサイルランチャー

3連装短魚雷発射管×2

195mm速射砲×1

20mm対空砲×8

VLS×16

 "ヒマラヤ"級は、地球連邦軍の航空母艦。その設計から対潜空母とも呼ばれる。ヤシマ重工で開発、生産された。

 U.C. 0079 1月にジオン公国軍が行った「ブリティッシュ作戦」のコロニー落としにより、連邦軍太平洋艦隊及び太平洋沿岸基地などは大きな被害を受けたが、ヒマラヤ級は主に大陸を隔てた大西洋艦隊に所属しており、多くの艦が被害を免れた。

 "一年戦争"時には既に旧式艦であっが、搭載していた対潜攻撃機"ドン・エスカルゴ"の高い対潜攻撃力により、ジオン公国軍の水陸両用MSや潜水艦隊に対しては有効だったため、"一年戦争"中に急遽、数十隻が追加建造されている。

 艦橋前に600mm連装主砲が装備されており、強力な打撃力を持つ戦艦の様な空母。

 この他、艦首には4連装大型対艦ミサイルランチャーと3連装短魚雷発射管が2基、VLSセルが16基、艦橋後部には195mm単装速射砲、両舷には単装対空砲が8基装備されており、単艦での戦闘能力も高い。その様相は空母と言うよりも旗艦能力のある多目的航空戦艦と言ったところであるか。空母としては小型の分類にはいるため、その維持費、ランニングコストの安さから長く使われる事となる。

 

 

 

モンブラン級ミサイル巡洋艦

武装 VLS×130

4連装大型対艦ミサイルランチャー×2

 近年"ベルファスト"のヤシマ重工で新造されたばかりの新鋭艦。大規模なVLSと大型対艦ランチャーシステムによるミサイル攻撃を主眼に置かれた、巡洋艦でありながら攻撃力はそのまま、駆逐艦並の高速化、スケールダウンに成功した傑作艦である。

 完全にミサイル攻撃のみに重点を置き、その他能力を完全に排除したため、他の艦艇との連携が欠かせない。

 しかしそのミサイルは多目的に運用可能なため、結果的に高い性能を誇る。

 

 

 

アルバータ級ミサイル巡洋艦

武装 195mm連装砲

20mm連装高角砲×4

CIWS×4

多段散布式機雷"ヘッジホッグ"

VLS×90

ハープーンSSM 4連装発射筒×2

3連装短魚雷発射管×4

 マルチロールな攻撃能力に重きを置いたヴィックウェリントン社製の旧式のミサイル艦。近々"モンブラン"級に更新される予定であったが、この度の作戦に参加する事になった。完全なミサイル艦となった"モンブラン"級とは違い、195mm連装砲やCIWS、対潜水艦用の多段散布式機雷"ヘッジホッグ"、自走機雷ADSLMMアドスリム、対潜水艦ミサイル"マグロック"、ADCAP魚雷、トマホーク巡航ミサイル、ハープーン・ミサイル、20mm連装高角砲など、様々な装備が施されている。

 さらに各種大型レーダー類、大型のサーチライト、艦橋を備えた大型艦となっている。

 

 

 

キーロフ級護衛駆逐艦

武装 Mk.45 5インチ単装砲×1

25mm単装機関砲 ×2

20mmCIWS×2

VLS×80

ハープーンSSM 4連装発射筒×2

3連装短魚雷発射管×2

 旧米軍の"アーレイバーク"級ミサイル駆逐艦を参考に建造された高性能駆逐艦。ヴィックウェリントン社製。

 小型の多目的艦として開発、"アルバータ"級はこの艦を大型化させた物に近い。

 中には"アーレイバーク"級に簡易改造を施しただけの艦とあったと言われる。しかし技術的な向上は大きく、単艦でも新型の駆逐艦に対しても引けを取らない。退役が延びた旧式ではあるが、未だに使用されている事から推測される様にバランスのとれた性能を誇り、その真価はイージスシステムによる集団運用で発揮される。

 

 

 

潜水艦

 

 

 

ジュノー級通常動力攻撃型潜水艦(J型潜水艦)

武装 3連装魚雷発射管×2

VLS×8

 次期主力となる新型であったⅧ型潜水艦(U型潜水艦)"ロックウッド"級潜水艦(M型潜水艦)の大半が"キャリフォルニア・ベース"陥落と共に失われたため、退役真近の旧式潜水艦であるにも関わらず連邦海軍はその後も"ジュノー"級潜水艦を使用し続けることとなった。

 各地の連邦海軍基地が制圧されたことによって、多くの"ジュノー"級潜水艦もジオン公国軍の手に陥ちており、連邦海軍が所有する"ジュノー"級潜水艦は僅か数隻だったともいわれている。

 しかし高い攻撃能力に加え、大型の格納庫は戦闘機の運用も可能と、基本性能は決して低いものではなかった。

 "一年戦争"終結から16年後のU.C. 0096の時点でも、度重なる改修が施されて外観は多少変わっているものの、まだ現役で運用されていた。

 

 

 

アサカ級超弩級(Ex-)強襲揚陸攻撃型機動特装潜水艦 (AAASS-1)

全長:340m 全幅:62m 全高:48m

水上排水量:395000t

水中排水量:568000t

武装 880mm連装砲×1

600mm3連装主砲×2

540mm連装レールガン×4

2連装メガ粒子砲×3

8連装大型対艦ミサイルランチャー×12

4連装固定式魚雷発射管×2

8連装旋回式魚雷発射管×2

2連装195mm速射砲×16

2連装40mm高角砲×18

2連装25mm対空砲×28

3連装20mmCIWS×20

多目的垂直ミサイル発射管×82

弾道ミサイル発射管×18

 

 地球連邦軍次期主力潜水艦のコンペティションにⅧ型潜水艦(U型潜水艦)のライバル艦としてたった一隻のみが建造されたが採用されず、廃艦寸前だったところをヴィックウェリントン社、ハービック社、六菱重工、レールス・フライテック社などの大企業による技術協力・提供を受けたヤシマ重工が主導となってほぼ一から建造しなおし、原型をとどめない程大規模改修されたという複雑な経緯をもつ潜水艦。

 艦名のEx-AAASS-1とは、『Extraordinary Amphibious Assault Attack Submarine Ship』。超弩級強襲揚陸攻撃型潜水艦の頭文字を取ったもの。"アサカ"級超弩級強襲揚陸攻撃型機動特装潜水艦の1番艦(ネームシップ)という意味。

 強襲揚陸攻撃型潜水艦というカテゴリーを用意せざるを得なかった艦艇であり、また潜水艦としても極めて異色の存在でありかつ既存のどの艦艇にも属さない特務艦である。

 本艦はミノフスキー粒子散布下におけるMSの戦術運用を前提に開発されており、高性能の通信装置や光ニューロAIを利用した大規模艦制御管制装置、MS用カタパルトシステム、大口径火砲、ミノフスキー・エフェクトを利用したステルスシステムに推進器、潜航性能を追求するための半収納式可動艦橋及び戦闘指揮所(CIC)など野心的な設計が多く取り込まれているのが特徴である。

 巨大な船体全体にわたりハリネズミのように過剰ともいえる重武装が施してあり、その打撃力は既存の艦艇という概念を一蹴し、シミュレーションでは"アサカ"級単艦で"エンタープライズ"級を中心とした空母打撃群と同程度かそれ以上の攻撃力を持つと結果が出る程である。これらの武装は全て格納式であり、潜水艦としての航行を妨げない。この艦橋、武装の格納システムは船体を更に大型化し、デッドスペースを増やす結果となるも、それらのスペースは緊急時の隔壁閉鎖によりバラストタンク、スペースドアーマーとして機能する様設計されている。

 それ程の過密な武装はミノフスキー粒子散布下におけるミサイル攻撃能力の低下があり、それとともに艦砲射撃の重要度が増した事、またその性能の特殊性からスタンドアロンな作戦行動が前提としてある事に加え、MS及びMSの戦術運用データを必ず持ち帰るため、激戦区へと飛び込んだ上で必ず帰還する事が義務付けられている事から、コストを度外視し装備してあるためである。

 特にミノフスキー・エフェクトでミサイル攻撃能力が著しく限定された上、敵の高性能戦闘機、水陸両用MS、敵陸上戦力に対抗するために強力なアウトレンジからの打撃力を持って敵を撃滅するというコンセプトで武装されている事から旧世紀の大艦巨砲主義へと先祖返りしたような武装となっている。しかしながらミノフスキー粒子濃度によってはミサイルはまだまだ有効な兵器であり、またミノフスキー粒子散布下においての高精度なミサイル攻撃を実現させるため、試験的に新型のミサイルが装備されるも、副武装程度として留まっている。このミサイル搭載は、度重なる報告により二転三転と方向転換した計画の混迷さを物語っているが、結果としてこの位置に収まったという現場の混乱が見て取れる。

 その故MSの運用上、MSによる上陸支援を行えるよう、制空権を確保するための艦載機、自立誘導型大陸間弾道弾や最大射程70kmを凌駕する曲射が可能な大口径主砲に加え、宇宙艦艇などに用いられる大口径メガ粒子砲が装備された。

 ミサイルは命中率の激減する従来型でなく、MS開発などで培われたコンピュータ技術の発達による自立型ミサイルの完成により、ミノフスキー粒子散布下でも高い命中率を誇る試作型モデルを使用。このミサイルはミノフスキー粒子の干渉下においてもIFF、敵機形状、使用電波周波数、赤外線放出量を初めとする様々な情報を統合処理する事で敵味方を判別、データにない新型兵器へ対しても従来型と類似した点で自ら判別し攻撃対象を選別する事が出来る。その分単発当たりのコストは戦闘機一機分を凌駕する程に跳ね上がったが、その値段に合う程度の高い命中率を誇る。

それらは前線のMSまたは指揮車両と提携し、弾着確認及びレーザーペインティングを行う事で衛生リンクやGPS通信に頼らず、主砲は最大300km、ミサイルは最大750km先へ精密誘導爆撃が可能。

 また、大西洋上において敵航空戦力から多大な被害を被った事から、ジオン軍の高い機動性能を持つ航空戦力に対抗しうる弾幕を張るため、本来は最新式の高指向性レーザー方式による対空迎撃網を形成する予定であったが、水上艦艇であるため水蒸気やチリの影響を大きく受けてしまう光学兵器の搭載は大部分が見送られた。その代わりに砲塔の数を増やす事で命中率の底上げを図っている。

 本艦を強襲揚陸攻撃型潜水艦たらしめる最大の要素であるのは、上部船殻を中央から左右に分割するようにスライドさせ展開、全長120mにも及ぶ飛行甲板を露出させる事で航空機、MSを運用出来る点であると言えよう。

 そのため上部船殻は最新型の高出力流体パルスアクセラレーターにより1分足らずで完全開放する事が出来、迅速な戦力展開が可能である。カタパルトシステムも最新型のMS加速用電磁カタパルト、XC-MS1が2基、航空機発艦用カタパルトであるC-69A-2、C-69B-2が2基ずつ搭載されている。また、非常時には蒸気式としても稼働が可能な設計となっている。

 地球連邦軍初の宇宙空母(SCV)開発計画である「SCV-X計画」に非公式ながら属しているため、巨大な可動式の艦橋及びCICがメイン・サブ含め2つずつ用意され、戦闘時、潜行時には可動し最適な形となる。また動力炉は超大型のPS方式ミノフスキー・イヨネスコ型熱核融合反応炉3基により、総出力750000hpという大電力で動く完全電気駆動化された艦艇である。推進器は高速性と静粛性に優れた熱核水流ジェット、それに加え超電導ハイドロジェット推進と電磁流体誘導推進ユニットのハイブリッド方式であり、超巨大な船体を持つ潜水艦としては破格の高速性、静粛性を誇る。

 また、本艦独自の装備としてミノフスキー・クルーザーがある。

 これはミノフスキー粒子を船体周辺に常時高濃度散布することで、Iフィールドによる特殊電磁立体格子力場を形成し、イオン化した海水を機体の保護膜とし、またイオン化した水の流れを制御することで潜航時の抵抗を大幅に低減、超静粛にして驚異的な機動力を獲得する、と言うものである。言うなればスーパーキャビーティングの様に海中を「飛ぶ」方法に近い。船体を包む水流を電磁的に制御する事で潜水艦としては致命的となる水の抵抗、それから生じる騒音を極限まで減らし、船体周辺にミノフスキー粒子を高濃度散布するため驚異的なまでのステルス性を発揮、また短時間ではあるが陸上航行をも可能にした。これらの機能に加え上述の推進方式と合わせ最大戦速195ノットを叩き出すという驚異的な性能を発揮する。テストでは400ノットをオーバーし、理論上は無限大に加速して行く。この装置の副二次的効果として、船体表面を覆う海水の海水温、塩分濃度を制御し層水を形成することで、敵艦の発するソナーから逃れる事も可能。つまり、この装置は完全な無音航行とソナーによる探知を完全に無効化する、潜水艦としては最強のシステムである。

 また巨大で余裕のある船体は様々な構造的余裕が取られており、通路はスクランブル時の混雑を避け、長距離航海じのストレスを避けるため広く、被弾時のダメージコントロールを迅速に行うため大量の隔壁が設けてある。

 居住区画をはじめとした生活スペースも広めに取られ、娯楽施設にも力が入れられており、兵が常に万全の状態で作戦行動に望めるよう工夫されている。

 大規模艦制御管制装置機構として量子演算素子型光ニューロAIを搭載し、高い艦艇能力を最大限に扱えるようバックアップし、大部分のシステムのオートメーション化を実現、艦艇の規模からして大幅に少ない人数での運用が可能。

 艦全体の性能を最大限活かす事も出来ず、ダメージコントロール能力も著しく低下するが最悪1人でも運用が可能となっている。

 中尉達の母艦となる潜水艦であり、高い性能を持つもその性能と任務の特殊性から積極的な戦闘参加は行わない。

 艦名の"アサカ"は"旭翔"と書く。"天翔る旭"、まさに"日の出づる国"が作り出した傑作艦に相応しい名前と言えるだろう。




順次追加して行きます。

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