機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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今回はだいぶ飛んで日常編です。

毎回てきとーに何故か書いてた電波前文書くのがめんどーになってきました。何で書いてたのか覚えてませんがやめたいです。

ジャブローはやく到達しねーかな。そこでひと段落するのに。

そーいや艦これやってる友達が、「ガンダムの戦艦とかガンダム娘とコラボしねーかな」って………

ホワイトベースの主砲880mm二連装砲だぞ………?大和でも460mmなのに………

まぁもし出るならヒマラヤ級正規空母、ペガサス級強襲揚陸艦アルビオン、宇宙戦艦バーミンガム、機動戦艦ラー・カイラム、ドロワ、ナデシコCとか見てみたい気もするが………


第十五章 メキシコシティにて…

街とは何であろうか。

 

ただの人の集まりでも、ただの地域的束縛でもない。

 

一口に街といっても、それはあらゆるものを内包する。

 

街を知るには、それを創る人を知らなければならない。

 

しかし、いくら人が集まろうと街にはならない。

 

街は、刻がつくるのだ。

 

 

 

U.C. 0079 5.13

 

 

 

「止まれーっ!!とまれ止まれ止まれぇ!!」

「はいはいっと。はい?何です兵隊さん?」

 

アリゾナ砂漠を抜け、ボロボロになりながらも、ようやく到達した街"ツーソン"で何とか基地守備隊をやや強引に説得(偽造書類で)、補給を受け一路南へ。ジオン軍勢力範囲圏を抜ける事が出来て約一週間。砂漠に続き山岳地帯に足を取られながらも進みに進み、ついに中南米、"メキシコシティ"に到着した。

 

「見たところ連邦軍だが、どこの所属だ?」

「………"ジャブロー"直属、と言ったら分かるか?」

「!………証拠を………」

「コレと、後ろの"積荷"。最重要機密だ……」

 

おやっさんよくもあんなにポンポンと嘘を……。マネ出来んわ。

 

「ねぇ、少尉、今どこくらいなの?」

「メキシコ」

「…………?」

 

おい!!コイツホント大丈夫か!?補給は受けられたけど、兵員補充は出来なかったんだよ!しっかりしてくれよ!!

 

「……ここだ……」

「わぁっ!こんなに来たんですね!!もうすぐじゃないですか!!」

 

もう……すぐ………?

 

おやっさんが既に基地との直通電話を取り補給の交渉を始めているというのに、何だこのアホな会話。

 

状況に助けられたな……。ミノフスキー粒子とコロニー落とし、マスドライバー攻撃による補給線、連絡線の分断、それに伴うジオン軍の電撃侵攻戦、横行のまかり通る連邦軍という組織構造、書類の偽造、"ジャブロー"という機密のファクター、後ろの"積荷"(ザクII)………。

 

「よし!話つけたぞ大将!!補給は二日で済ませて出発だ」

「分かりました。ありがとうございます。………相変わらずの手腕ですね……」

「なに。言ったろ?"出来ることはやる。出来ないことも最大限努力する"って。ミノフスキー粒子さまさまだな!うははははっ!!」

「………ははっ」

 

ジャ、ジャブロー到達後がメッチャ怖えぇ!!!

 

『バレなきゃ犯罪じゃ…』

うるせぇぇぇえ!!だから!!そーゆー!!問題じゃ!!ないんだよぉ!!

 

「えっ!?今日ホテル泊まれるんですか?!やったぁ!!」

「あぁ!1人一部屋ルームサービスと三食付きスイートルームで手を打ったぞ!!うはははははっ!!」

 

ホントに何やってんの!?

 

 

 

 

 

「少尉!早く行きましょうよー!」

「待て待て騒ぐな、今行くから少し待てって。軍曹、準備は?」

「……3秒後に…」

 

私服の伍長がクルクル回りながら呼んでいる。まぁ、よう考えたら伍長も17歳の女の子だもんな……変人だけど。それに、どう見ても中学生にしか見えないけど。いや?小学生か?

白いワンピースと帽子が眩しい。赤みのかかった茶髪に映えるね。喜んでて結構な事だ。

長く続く行軍でストレスかかって……なさそうだけどいつも、まぁ、気分転換にはなるだろう。

 

軍曹も私服だ。軍服は威圧感を与えるためらしい。でも……

軍曹?なぜにガンケース?

 

基地司令に手揉みしながら『観光などどうですか?今まで大変でしたでしょう?骨休めだと思って……』と勧められこんな事に………基地司令少佐やん………おやっさん何やったの?そのおやっさんは真っ先にアロハ着て飛んでくし……整備兵達は"ザクII"に付きっ切りだ。喜んでたけど。

 

向かう先は旧市街地だ。当時の面影を残してある街らしい。新市街地はどこでもあるような統一された街であるため、今日は行かない。

 

「ひっさしぶりですねーこんな観光なんて…しかも少尉と……夢みたいです!!」

「…今は戦時中だからな?羽目は外しすぎるなよ?アレ?軍曹は?」

「さっきそこの銃工房(ガンスミス)に入って行きましたよ?」

 

軍曹………やっぱ最高だぜ!!

 

「どこだ?俺も行きたい」

「あそこですけど……せっかくだし観光しましょうよー」

「回るなら軍曹も一緒に回ろう。そっちの方がいいだろ?」

「……少尉がそう言うのなら……」

 

ドアを開け店内へ。ズラリと並んだ銃に圧倒される。よく手入れされている。旧世紀の名銃だらけだ。

 

「うわぁ〜〜!」

 

伍長が目を輝かせ店内を周り始める。エンジョイしてんじゃねーか。

 

「軍曹、銃の調整か?」

「……肯定……ライフルを…」

「俺もマテバを、と思ってね。どれくらいかかる?」

「……俺は、点検調整だけ……ここは、知人の店……」

「傭兵時代のツテか?」

「……肯定…」

 

なら任せられるな。ここら辺物騒だし。

 

「少尉、お会計どこです?」

「ショッピング感覚で何やってんだ?! ん?ショットガン?」

 

持っていたのはベネリM4"スーペル90"をベースにしたものだった。と思われる。いや、原型がわからん。

まさかのボックスとドラムマガジンが二つ選択式で用意され、ポンプアクションとセミ・フルオートがスイッチ可能、フォールディングスケルトンストック、最新式の可変式チョーク、ピカティニーレール、バヨネットアタッチメントと原型が分からないぐらい旧世紀と宇宙世紀の技術でてんこ盛りに魔改造されている。見た目も中身は全くの別物で技術発展に任せありとあらゆる改造が施してある一品ものだ。それでいて軽い。改造した人の腕と執念が感じられる。見た目はイズマッシュ・サイガ12、フランキ・SPAS-12と15、Beretta RS202 M1 / M2、U.S. AS12、ベネリM4などあらゆる有名どころのショットガンが組み合わさった"デッカードブラスター"ショットガンバージョン見たくなってる。トリガーこそ一つだが。上手く近未来感と懐かしさのマッチした正直カッコイイものだが……。

つーかアホかと。

 

「ハイ!2人とも自分だけの持ってて羨ましいですし、コレが一番ピッタシきたんです!」

 

だったらハンドガン選んで来いよ。常時携帯する気か?ソレ?………ハンドガン、伍長なら何がいいかなぁ?M-71が衝撃吸収機能ついてるし十分だと思うんだが……グロックとか好きかもな……。

 

「……それまず売ってくれるのか?かなり趣味の一品っぽいぞ?」

「嫌です!!これは運命の、いや!念願の一品です!!ころしてでもうばいとります!!」

 

な、なにをするきさまらー!………思考がだいぶ物騒になっとる……両親泣くぞ?

 

「ハハッ。話に聞いた通りだな。それが例の少尉殿と伍長ちゃんかい?」

 

奥からパイプを咥えた初老の男が出てくる。手にはコーヒー。こりゃ軍曹と話が合うわけだ。

 

「……そうだ……久方ぶり、だな……」

「ハハッ。お前も相変わらずだな。調整は三人まとめてやってやろう。ん?嬢ちゃん、それは……」

「売ってください!!」

「ハハッ。いや…だから…」

「売ってください!!!」

「……………」

「すみません」

「……すまん……」

「ハハッ。まぁついて来い」

 

奥で体型、筋力、撃ち方など様々な事柄を計測し、少しずつすり合わせ調整する。始めてだが、いい腕なのだろう。夕方もう一度来てくれと言われ店を出る。

太陽は真上だ。クソ暑い。伍長は屋台で売ってたなんか甘そうなものを飲んでいる。軍曹と俺はアイスコーヒーだ。なかなかイケるが、軍曹のが旨い。

 

「お昼時ですね!少尉!奢りますよ!」

「普通逆だろ。そんな前の話覚えてなくていいから」

「少尉も覚えてくれてたんですね!感激です!!」

「軍曹はどうする?」

「……知人の、店に……」

「そこ行こうか伍長」

「……うーん、甘いものあります?」

「……まぁ…」

「よし!そーしましょー!」

 

ハイテンションだな。こんなクソ暑いのに。普段もこれぐらい暑さに強けりゃいいのに。軍曹も顔広いな。さっきから軍属の格好してないのになんでやけにサービスいいなと思ったら軍曹かよ。道行く人も軍曹に挨拶してるし。コレ軍曹居なかったら路地裏連れ込まれカツアゲされそうだわ。道行く人ほぼ全員銃隠し持ってるし。向こうで9mmと7.62mmの発砲音聞こえるし。

チラリと向こうを見るとおやっさんだ。焼けたアスファルトの上で沢山の酒瓶を抱えながらお話中だ。楽しそうだ。そっとしておく。

 

「……ここだ」

 

気が付くと小さな喫茶店の前に居た。やや古ぼけているがいい感じだ。伍長は店の前の猫と戯れている。今から飯食うんだから手洗ってこような?

店内も落ち着いた感じで木がいっぱいある。コーヒーの匂いがほんのりと漂ってきている。涼しく柔らかい空気が体を包む。

 

「また会ったな兄弟」

「……久方ぶり、だな……売り上げは、どうだ……」

「ボチボチってとこだな?飯か?」

「……肯定。3人分、コーヒーも…」

「あいあいっと。……そっちの若いのは始めましてだな。よろしく」

「こちらこそ……おい!!伍長!?」

「はわ〜」

 

猫と戯れる伍長を引っ張りこみ、テーブルに着く。コーヒーとホットサンドだ。店主曰くコレが一番美味しいらしい。メキシカンな料理はないのね。コーヒー旨いけど。

 

食べ終わりひと息つく。落ち着く、いい店だ。………客少ないけど大丈夫か?

 

「……何か、聞いてるか…」

「ジオンの事か?」

 

軍曹が無言でうなづく。伍長は店内を見て回っている。甘いものも無かったからか。軍属なんだから話聞けよ。こーゆーのが案外信憑性高かったりすんだよ。まぁいいか。後で軍曹が噛み砕いて教えるだろうし。

 

「"キャリフォルニア・ベース"を落とし、元の"合州国"ぐらいの勢力圏をつくってる、"ニューヤーク"に司令部がある、らしい。そっからは膠着してるんだが……どうも、最近おかしい、らしい」

「…………」

「…………」

「話によると、占領した"キャリフォルニア・ベース"を使って、デカイ飛行機飛ばして、防衛線を飛び越え爆撃や橋頭堡の確保を行っている、らしい…」

「………」

「……前の…」

「ここも、その拠点の一つとして狙われている、らしい」

「……なるほど…」

「……他の地域では何か聞いてませんか?」

「……ふむ…………ヨーロッパは南半分、アジア地域は日本とシベリアを含めないほぼ全域、アフリカはサヘル地域とキリマンジャロ手前まで、オセアニアもほぼ全域制圧された、らしい」

「……信憑性、は……?」

「かなり、だ。"らしい"が、いらないくらい」

「………」

「………話は、聞いた。邪魔…したな……」

 

軍曹が立ち上がる。その顔に変化は無い。目線を外し上を見る。上でゆっくり回るくたびれた換気扇が、からからと音を立てるだけだ。

 

「……また、来いよな、兄弟」

「……あぁ……」

「…ありがとうございました。行こう、伍長」

「はーい。美味しかったですー。ではまた!」

 

ゆっくり市場を歩く。屋台で買ったタコスを食べつつ、軍曹に話しかける。

 

「時折、近くでMSも確認されるらしいな」

「……動くと、したら……10月ごろ、か……?」

「戦況が?」

「……肯定。最近の……物流ルートや、企業の動きからもだ…」

「……それまでは膠着?」

「……多分、な……」

「それまでには、"ジャブロー"到達出来れば……」

「……あぁ……」

 

タコスの包み紙をゴミ箱に投げ入れる。ソースかれーよ。辛けりゃいいとおもったら大間違いだよ。まぁ美味いけどさぁ。飴で口直しする。そろそろ補充しなきゃ。ネットも実家にも連絡つかんしどうしよ。

しかし、やはりチリソースは無いな。世界の真理はヨーグルトソースだ。

 

「あっ!おやっさーん!こっちでーす!」

「おう!会ったな!どうだ?骨休めになったか?」

「おやっさんこそ。いいお酒は手に入りました?」

「おうとも!値切ってやったぜ」

「良かったねおやっさん!軍曹も飲まして貰えばいいんじゃないですか?」

「それもいいかもな?伍長も飲むか?」

「うわーい!!」

 

緊張感ねえなー。だからこそ心強いんだが……。

 

「俺たちはガンスミス寄ってから帰りますけど、おやっさんどうします?」

「まだ少し聞き込みしてからだな」

「……やっぱ聞いてましたか。夜集まりましょう」

「……おう…」

「時間は…一九三○(ヒトキューサンマル)でお願いします」

「あいよ。ならまた後で…」

「……伍長……ソース…」

「えっ?あ、えへへ…」

 

口の周りを拭いてもらう伍長を尻目に、約束をする。

おやっさんと別れ、ガンスミスへ。

抜け目無いな。流石おやっさん。伍長少しでいいから見習ってくれ。今夜は情報の摺り合わせだ。早くせめてそこそこの規模の連邦軍基地である"パナマ"まで行きたい。

 

「ハハッ。戻ってきたか。調整は済んでる。お代はいい。持ってけや」

「いえ、そんなワケには……」

「えっ!うわぁーい!!やったね少尉!」

「ハハッ。そこそこ儲けてっからな」

「そもそも伍長のは売ってくれるのですか?」

「ハハッ。気に入ってたが、仕方ねぇ。持ってけ。コイツはオマケだコレも持ってけ」

「うわー!ありがとうございます!!えへへ、やったぁー!」

「……すまんな…」

「……すみません」

「ハハッ。いいってとこよ。だから、また来いよ?」

 

白いワンピースの少女が無骨なショットガンとハンドガンを笑顔で抱えながらくるくる回っている。シュール過ぎる。輝く笑顔が眩しい。

 

「はい!ありがとうおじさん!」

「ええ、必ず…」

「……また、会おう……」

「ハハッ。達者でな」

 

渡されたマテバを見る。手にしっかり馴染み、いい感じだ。一度完全に分解、製造過程ででるバリ、ヒケをミクロン単位で修整しクリアランスを確保、更に薬室の素材を変更し軽量化しつつ強度を強め炸薬量を増やせる様に改良、銃身を延長し、ライフリングをメトフォード・ライフリングとポリゴナル・ライフリングを参考にした二つの特性を併せ持つ特殊な銃身に。新造され、鏡の様に磨き上げられた銃身に、新しく文字と烏のレリーフが刻まれている。

 

"S-Raven Edge"

 

悪くない。でも、日本人って言ったっけ?まぁいい。

 

「よろしくな、相棒」

 

そう呟きホルスターへしまう。その手を伍長が取り手を握る。笑顔の伍長の手を振り払う気にもならずそのままほっとく。伍長は軍曹の手も無理やり握り、笑顔のまま言う。

 

「楽しかったです。また、来ましょう!3人で!絶対ですよ!!」

 

そうだな、いい日だった。本当に。

 

ホテルに着くまで、伍長はその手を離さなかった。

 

 

 

 

『銃で無ければ護れない物だって、きっとある』

 

 

さらさら、風がまわる……………




今回は状況説明のための話です。

な の で 、 本編は喫茶店のおっさんの話です。そのためだけに書いた話です。

あとマテバ。ポリゴナルとは銃口が六角形に見えるやつ、メトフォードは波状の奴です。どうやったかはおっさんに聞いて下さい。ポリゴナルの特性を残しつつ、多目的弾が撃てるように改造したと思って下さい。

伍長のオマケはみんな大好き銃身が10インチのデザートイーグル.50AEと.44オートマグです。両方伍長は撃てませんけど、もしかしたらまた出るかもしれませんので。

正式採用品使うやつがいねぇ………

次回 第十六章 メキシコシティ要撃戦

「………すまない……」

お楽しみに!!

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