機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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完全に趣味全開の回です。リアルに読まなくてもいい回です。

鋭い人なら題名をみてわかると思いますが、つまりそーゆー事です。

尊敬するガトー先生のようにはいかず、散々な出来ですが、どうぞ…………いや、やっぱ読まなくてもいいです。

個人解釈も入っています。コレを参考に話すると恥をかきます。予めご了承下さい。


第八章 番外編 よいこのじかん〜しょういおにいさんと、もびるすーつにのってみよう〜

 U.C. 0079 に実戦投入され、既存の戦場の定石を破壊し、新たな時代を切り拓いた、"一年戦争"の立役者。

 

──モビルスーツ。

 

 それは、MSとも訳される全長おおよそ18mの人型兵器である。

 

 ここでは現在我が旅団が分かっている情報を、その代表であり傑作、始めて正式採用されたMS、ジオニック社製のMS-06"ザクII"を例にあげつつ語ろう。

 

 

 

てっけててー!ててて てってけてー!!

 

そのいち:まずはおともだちについてしろう!

 

 MSとは『Mobile.S.U.I.T』"Mobile Space Utility Instrument Tactical"の略称であり、 戦術汎用宇宙機器という。本来は宇宙での作業を円滑にするためのパワードスーツとしての延長であった工作機械群の一つである。かなり大まかに言えば全長10〜30m前後の人型マシンの事だ。

 

 『宇宙』という方向の区別のない、重力という大きな力が働く地球とは格別した特殊空間。宇宙世紀とは、その未知の空間に踏み出す時代となった。その地球上とは全く違う空間に対応すべく、身体の更なる延長として、よりダイレクトな感覚を持って作業を行うべく開発されたパワードスーツ。その延長である物を兵器転用し、改良を加えたものだ。

 高い汎用性を持ち、宇宙空間、コロニー内擬似重力下、月面重力下で活動が行える事に着目したジオン公国軍は、圧倒的な質、量ともに強大な力を持つ地球連邦軍に対し優位に立つための『全く新しい兵器』としてMS開発をスタートさせる。その為、当時、サイド3内で覇権を争っていた3大会社にその開発を委託し、コンペティションを行う次第となった。

 

U.C. 0071

 ジオン公国新型兵器開発部は民間企業ジオニック社とツイマッド社とMIP社(エム・イー・ペー)に宇宙用機動兵器の開発を委託。全社の提出した試作機はどちらも『稼働腕』を備えており、"AMBAC"(アンバック)が可能であったが、加えて『稼働脚』を備え、既に完全な人型であったジオニック社の機体ZI-XA3の方が選ばれた。人が感覚的に扱う為には、人型に近い方が良いと考えられたからである。また、見る者に与える心理効果も考慮に入れられていた。戦場を駆け支配する、『恐るべき巨人』が求められたのである。

 これが、後にMS-01"クラブマン"と呼ばれる、MSの先駆けである。

 何?クラブマンて?篠原重工のレイバーかよ。MIPのヤツの方がカニさんっぽいですけどね。

 

 ここでアンバックについて説明する。"AMBAC"とは"Active Mass Balance Auto Control"つまり、"能動的質量移動による自動姿勢制御"の事だ。文字通り無重力空間において、質量を持った『腕』や『脚』を動かす事による重心移動を利用し、推進剤を使わず姿勢制御、方向転換を行う事である。

 簡単に例える為、オフィスによくおいてあるあのクルクル回るイスを想像してもらいたい。イスに座り、地面から足を離す。その状況で腕や脚を振り回せば身体の向きが変わる。至極簡単に言えば原理はそれに近い。ただ近いだけの例えであるが。

 実際に"スペースシャトル"などの実在する大型宇宙船で使用されている推進剤を消費しない姿勢制御には"コントロール・モーメント・ジャイロスコープ"と呼ばれる内蔵装置が使用されている。自ら動きバランスをとるヤジロベエみたいなものである。その大規模版と言うべきか。宇宙飛行士も腕などを振り姿勢制御を行う。その延長と言うべきか。とにかく、この機能により急激な方向転換や推力方向の変更、攻撃方向の指向、転換等を推進剤を利用せず瞬時に行える様になったのだ。

 これらの運動を行う事による推進剤の節約や、急激な方向転換は戦闘機及び航宙機には不可能である機動であり、全方位に瞬時に方向転換し攻撃を加えるなどの空間戦闘能力、四肢を利用した格闘、工兵としての作業などを実現し、宇宙における戦闘的優位を獲得した。そして副二次的効果として重力下で自重を支え、剰え行動する事をも可能にした。つまり、この四肢の有効活用こそがMSがMSである所以であると言えよう。

 

 しかし問題もあった。アンバックによる姿勢制御には瞬発的な高エネルギーの消費と、瞬間的に100G以上の負荷が先端にかかるのである。これは、とても単純かつ脆弱な作業機械が持つアームと駆動用バッテリーでは不可能な芸当であったのだ。そのために"クラブマン"には、その程のエネルギーを発生させる高出力かつコンパクト、なおかつ兵器として安定性があり安全である全く新しい動力炉(リアクター)と、その運動に耐えうる四肢が開発された。

 

 動力炉の名前は"ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉"である。これは、U.C. 0010に発足した木星開発事業団が地球圏に持ち帰った高純度の"ヘリウム3"を動力源に動く核融合炉であり、冷却、耐久性などの問題を考えなければ事実上稼働時間に限界はない画期的な動力炉であった。

 しかし、U.C. 0040に試作された反応炉はビル程のサイズであり、とてもMSに積めるサイズではなかった。また炉としての出力の安定性もなかったため、兵器としてはとても使えるものではなかった。ところでヘリウムは何番まであるの?

 U.C. 0045にはミノフスキー物理学会がサイド3に成立。反応炉の中で見られた謎の反応についての研究が加速する。続くU.C. 0047にはM&Y社によるやや小型で安定性がある"ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉"の開発が開始する。これは後に宇宙戦艦の動力炉などに利用されて行く事となる。

 

 これらにはミノフスキー粒子の発見者であるトレノフ・Y・ミノフスキー博士とイヨネスコ博士が深く関わっている。彼等は一度は学界を追放されるも、後に返り咲く重要人物である。ここテストにでるよー!

 

 U.C. 0065には遂に謎の現象の解析が進み、仮説ではあるが"ミノフスキー物理学"が発表された。そして、初めて熱核反応炉内で"特殊電磁波効果"が確認され、研究は更に加速して行く。それは、時代が高出力かつコンパクトなこの新型動力炉に注目し始めた矢先の出来事であった。そしてU.C 0069遂に博士自身がミノフスキー粒子を発見したことでミノフスキー物理学は証明され、以後、素粒子物理学の根幹となり、また宇宙世紀の技術には欠かせないものとなった。

 

この物理学に与えた影響、あるいは軍事技術に与えた影響を"ミノフスキーショック"と呼び、宇宙世紀最大の事件として大きな影を残すこととなった。

 

 特に、一定濃度のミノフスキー粒子が構成する特殊力場(Iフィールド)による"特殊電磁波効果"はレーダー波を阻害し、集積回路の働きを大きく制限、戦力で劣るジオンに光明をもたらす事となる。更に、"特殊電磁波効果"は、"ザクII"最大の特徴、カノム精機製大口径光学装置・センサー複合機器"モノアイ"を生み出させる事となる。

 この大口径かつ超高解像度の光学機器、及び各種多機能センサー複合光学端末は、ミノフスキー効果によるレーダー無効化による有視界戦闘の復活した戦場を象徴するものであろう。

 このセンサーで得たあらゆる波長の情報は3D処理・統合され、コクピットスクリーンに映し出される。しかしその分目立ち、弱点として晒される事となったため、モノアイ・シールドと呼ばれる防弾ガラス部はグラモニカ社製の新素材である酸窒化性アルミニウム系セラミックを使用しており、スペースデブリでも傷つかないほど頑丈に出来ている。

 "モノアイ"の発光は、MSが汎用宇宙機器であった時の名残で、光通信の機能もある。威嚇の為に光らせる事もあるが、本来的な意味はセンサーカメラを一つに集約しあらゆる情報を一気に得て統合する為、目標に対し可視光含めあらゆる波長の波を叩きつける為光った様に見えるのだ。これは光が皆無に等しい、宇宙空間での地球の影等でも目標を正確に捉える為である。また、単眼でありながら専用のレンズなどを用いず目標を3次元で捉える為、ホログラムの原理を応用し、入射光と"モノアイ"自身が発するレーザーとの干渉で像を捉えている為、常に微弱ながら発光している様に見える。ホログラムとは、入射光と基準光であるレーザーとの干渉縞を高解像度の撮像素子で受けると、本来の入射光が持っていた3次元像の全情報を得られるのである。この原理から単眼でありながら奥行き情報まで得て、それをコクピットの3次元モニターに再現できるのである。

 

 "ザクII"頭部を覆うように配置されるパイプは、頭部ユニット部に集中した精密なセンサー類の廃熱、及び首周りの稼働部のためである。また、駆動制御系を集中配置していた名残でもある。これらは冷却と同時に弱点を晒し出すと言う結果となったが、宇宙空間における排熱や機体内部クリアランスの問題を解決する事が出来ず、このまま正式採用せざるを得無かったとされる。

 

 このミノフスキー効果(ミノフスキー・エフェクト)はU.C. 0070にジオン公国によって正式に確認され、ミノフスキー粒子の構成する"Iフィールド"の圧縮により正負粒子の融合現象である、"縮退現象"により発生する"メガ粒子"を利用した粒子ビーム兵器、"メガ粒子砲"が開発される。

 

 この"メガ粒子"はエネルギー変換効率が極めて高く、制御しやすいため反応兵器に変わる兵器として広く普及する。特に大気等の問題や磁場の影響により減衰の少ない宇宙空間における威力は絶大であり、ミサイルに変わる経済的かつ高威力な砲として普及、宇宙戦艦における大艦巨砲主義が復活する足掛かりとなる。その為、地球連邦軍でも積極的な開発が促され、満を持して開発された宇宙戦艦"マゼラン"級は「ジオンのビーム兵器の10年先を行く」とまで称された。

 

 地球連邦軍がかつてない戦艦建造ラッシュにてんてこ舞いになる中、ひっそりとこの反応炉はU.C. 0071にやっとMSに搭載可能なサイズにまで小型化され、この長ったらしい説明もおわる。おいこら!起きろ伍長!!それ、薩摩弁でちょっと君、くらいの意味ですよ?

 

 

 動力炉の問題は解決した。もう一つの『四肢』は"流体パルスシステム"と、"流体パルスモーター式アクチュエーター"によって解決される。流体パルスシステムとは、簡単に言うと人間の心臓と血液と筋肉の関係のようなものである。

 流体とは、水や空気等の事で、要は力を加えると容易に形を変化させる事が出来る物を指し、人間の体で例えるならば血液を始めとする体液全般となる。パルスとは、脈拍や短時間に流れる電流や電波などを指す。人間の体で例えるとすると心臓の動きになる。

 決して天空の城を崩す古の魔法の言葉ではない。濁点じゃないしね。

 ジオン公国軍製のMSは、"ミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉"から出るエネルギーをパルスコンバーターと呼ばれる変流機を介して流体に変換し、それらを数千本の極微細動力パイプなどのチューブを通してパルス状に各関節にあるアクチュエーターと呼ばれるパルスエネルギーを動力に変換する装置に送る。その事により、各関節の関節駆動用ロータリーシリンダー、パルスアクチュエーターに極超音速で伝達し、機体を動かす仕組みとなる。

 旧世紀技術で言う油圧シリンダーに近く、やや専門的に言えば『流体継手』(フィールド・カップリング)だろう。それを発展、高精度化させたものだといえよう。

 更に分かりやすく言うと、パルスコンバーターが心臓の役割で、動力パイプが血管、アクチュエーターが筋肉という構図となる。それを全身に張り巡らし、心臓の鼓動を血液などで伝え、機体を制御するのだ。

 

 このシステムは旧世紀における油圧シリンダーのようなものであるため、軽量かつ頑丈であり、ハイパワーかつ高レスポンスという特徴と、余程の損傷がない限り確実に作動する信頼性がある。さらに不具合が出ても、細かいパーツ単位ですぐさま交換出来る優れものである。耐衝撃性も高く、格闘に用いても支障はないため、実際"ルウム"では宇宙戦艦、宇宙戦闘艇を格闘で破壊するパイロットも確認されている。

 これらの『四肢』の至る所にはセンサーが装備され、全体のバランスを常にモニタリングし最適化している。その為従来のマシンと比べ人間により近い行動も可能である。特に脚部はそれが顕著である。重力下で歩く、走る、ジャンプを行うには高性能センサー、ジャイロが新たに開発され、『上手く転び、再び立ち上がる』事さえ可能である。その分脚は大型化したが、その変更が更にアンバック、格闘の性能を向上させた。

 その脚部装甲には機体重量軽減のため"セミ・モノコック構造"を発展させた物を採用している。これは航空機などにも使われる手法であり、特に"ザクII"では外骨格、内骨格両方から機体を支える方法で、更にそれをブロック化する事で軽量化、生産性、メンテナンス性を高めている。これは物資、レアメタル方面で遅れを取るジオンを助け、その後開発されるであろうMSの基本設計となる。

 

 しかし弱点もある。軽量、といっても従来型に比べてであり、まだまだ改良の余地があった。また、パルスコンバータなどの周辺機器が多く、細かく分解出来パーツ単位で交換できるとは言え、それはかなりの負担を整備士に掛けていた。更には反応炉と並び排熱の問題があった。戦闘に支障が出る問題として一番の問題がこの排熱であったと言える。

 排熱を行うラジエーター部は装甲を施す事が難しい。そのためスリットを小型化する事が望ましいが、小型化すればする程排熱性能は低下する。排熱されない熱は蓄積し、機体の表面温度は数百度に達し、内装部品や稼働時間にも大幅な制限を加えてしまう。整備の際も母艦に強制冷却機が必要となり、連続出撃や補給、整備においても支障を来す事が想定され、この排熱問題の早急な解決が求められていた。

 そこで、ジオニック社はこの問題を、動力伝導パイプの露出と推進剤及び装甲表面からの排熱により解決した。推進剤を利用する方法としては、胴体横の伝導パイプであり、MS-05において採用されていた、熱を熱吸収ポリマーに吸熱させ、そのまま機体外に排出する方法を援用し、熱を移動、推進剤の着火に用いたのである。また、スリットは大胆にも頭部正面へ設置された。これは、"ザクII"のセンサー類や駆動制御系が頭部に集中しており、多量の排熱が必要である事が1つと、その為頭部がどこかしら破壊されると動かなくなってしまうという弱点があったからであった。

 

 それでいても、動力炉に駆動系。この二つのシステムは稼動時にかなりの熱を排出する。"ザクII"の機体各部に露出している動力パイプはその冷却用である。確かに流体パルスチューブも通っているが、飽くまで副次的なものである。つまり、動力パイプと言い表わされる事が多いが、それは正確に言えば間違いである。そしてさらに、これは前面投影面積を増やし弱点を曝け出すのと同時にセンサーに引っ掛かりやすく、アンブッシュを行う際は赤外線遮断シートが必要不可欠である。つーかデカいから隠れられる場所にも制限があるし。

 

 その後も改良が続けられ、複数回のコンペティションの後、U.C. 0075に"ザクII"の雛形といえるMS-05"ザクI"がロールアウト、コロニー外作業、コロニー内での暴徒鎮圧などをこなしつつノウハウを蓄積、遂に"ザクII"が完成する事となる。これらの情報は地球連邦政府にも伝えられ、上層部もその存在を把握していたが、外部電源式のマリオネットの様な不格好な姿、ぎこちない上ノロノロとした動作でブロックを積み上げる映像に、誰もが失笑を漏らしていたと伝えられている。

 

 しかしMSは兵器としてはまだまだ未完成であり、改良の余地がある機体だと言えよう。

 

 

そのに:じっさいにのってみよう!のるまえにはてをしっかりあらおう!

 

 MSは戦闘に耐え得る様発達した『四肢』により、重力下での運用も可能だが、宇宙という無重力空間には無い重力は、盲点的かつ根本的な問題を引き起こした。パイロットがMSに乗る事が困難になったのである。コクピットハッチまでの高さは地上15m近い。実に3階建ての高さだ。上下左右の区別が無い無重力下では悩む必要の無い問題に直面したのである。しかし、常に戦闘と隣り合わせな状況下では、立ち上がる為の極短い時間すら生死にかかわる。その時間短縮の為に横たわらせる事も非推奨であり、結果重力下においてMSは専門の設備や機器がない限り基本直立で保管及び整備が行われる事となった。重力下における直立は機体フレームに負担がかかるものの、"ザクII"の"ランドセル"と揶揄される"バックパック・スラスターユニット複合装置"は大型であり、横たえる事にも機材やスペースが必要であり、推奨されていなかったという側面もある。

 よって直立、片膝が推奨されたが、それでも地上数mの高さになるコクピットに直接乗り込むのは困難だ。その為『(アーム)』及び『(マニピュレーター)』を移動用プラットフォームにすると言う、MSの汎用性を活かした方法が考案され、掌には操作盤が取り付けてあった。しかし、それでさえ時間がかかる、と言うのが現状であった。

 また操作ミスが大変危険である側面もあり、実際伍長は"ザクII"にぶん投げられたというより自分をぶん投げた。何で生きてんだよ。つーか何がしたかったんだよ。

 よって地上型である"ザクII"J型にはコクピットハッチ上面から、足を引っ掛けるフックの付きワイヤーが出るようになっている。ただし所詮はワイヤーなのでよく揺れる。風の強い日は注意が必要である。実際に伍長は逆さ釣りになった後落ちた。アホが加速しそうで恐ろしい。

 

 

そのさん:きみのともだち、もびるすーつをおこしてあげよう!

 

 "ザクII"のコクピットは胸部にある。最も装甲の厚いところであり、コクピットは3重のスライドハッチによって守られ、更に乗り込んだ後シートが移動し更に奥になる。これは、人的資源に乏しいジオンが貴重なパイロットを生還させようとした結果であると考察される。

 因みに真下は核融合炉だ。遮蔽は完璧で生身で乗っても支障はないが恐ろしいったらありゃしない。既にかなり完成し、安定している核融合炉は被弾などにより制御を失っても爆発することは無い。しかし、融合炉隔壁が破壊され、漏れ出し消滅する一歩手間のエネルギーや弾丸が推進剤などの誘爆を引き起こし、大爆発する場合が確認されている。仮に爆発したらそれこれコロニーの外壁など簡単に破けるだろう。

 まぁ、連邦MS持ってないし、仮にコロニー内戦闘があろうとそこまでのダメージを与える兵器はないためあり得ないだろうが………。

 

 コクピットにはメインモニタースクリーンが正面左右上と計4枚、通信用のサブが2枚と比較的簡素な物となっている。これは使う人間を考えての配慮である。複雑過ぎるモニター分割は混乱を招くだけだからである。機体の下や後方などピックアップされた物は混乱を防ぐためにメインスクリーンに映される仕組みとなっている。因みに、このピックアップシステムは視線誘導であり、パイロットが目を向けた先に写る画面に表示された、ピックアップすべき最優先ターゲットをコンピュータが判断、ピックアップする仕組みとなっている。この最優先ターゲット指定はある程度の優先度をパイロット自身が決めることが出来る。

 同じような光学機器系の機材はシート傍に狙撃用の専用スコープがあり、引き出す事で使用できる。メインスクリーンのピックアップでは対応し切れない、索敵、精密射撃時にはコレが大いに役に立つ。しかし大気圏内ではセンサー半径、大気による霞により可視光が減衰する為、有視界戦闘距離には限界があり万能という訳では無いが。

 

 起動は完全に自動化され、複雑な手順等は一切必要無い。ボタン一つでほぼオートで立ち上げられるのは優秀なコンピュータのお陰だ。細かく設定出来るけども。今は下手に弄って自爆る訳にもいかんし。おやっさんに丸投げだ。

 

 操作は主に二本の操縦桿(サイドスティック)、2〜6個のフットペダルからなる。フットペダルの数は変更可能だ。あんまり多くても困るが。足が足りない。更にフットペダルは踏むだけでなく引いたり前後に押し出す事で違う操作がなされる。これは"マングース"を始めとする航空機と同じだな。それにしてもペダル多いよ。

 スティックレバーにはボタンが5個ずつ、計10個ついている。親指の部分に一つ、カバーを開ける事で押せるボタンが4個だ。スティック以外にもボタン、ツマミ、タッチパネルは多くついていて、ほぼ手動で動かす事も可能だ。目が回るけど。

 因みに設定によっては音声操作、視線誘導操作なども出来る。ピックアップシステムに用いられる視線誘導はまだともかく、出来る事は出来るけど使えるのかどうかは甚だ疑問である。しかも脳波コントロール………は無理。怖くもない。

 

 

そのよん:もびるすーつとなかよくなろう!

 

 では、そこで疑問が生じるはずだ。それだけでどうやって動かすのか、と。ほぼ航空機並じゃねぇかと。いや、それよか簡単じゃね?と。まぁ実際それぐらいだろう。ほぼ優秀なコンピュータがオートでやってくれるし。

 しかしながら、確かにパワードスーツのように身体に追従するわけでもない。それの延長であるといえるマスター・スレイブ方式でもない。動かせるにしても、柔軟な対応等夢のまた夢である筈だ。

 では、どうやって動かすのか、その疑問を解消するのがOSである。

 OS、つまり"Operating System"(オペレーティング・システム)とは、MSにおいて、ハードウェアである機体、メインコンピュータを抽象化したインターフェースをアプリケーションソフトウェアに提供するソフトウェアであり、システムソフトウェアの一種である。

 つまり、"人とMSを繋ぐ架け橋"(マン/マシーンインターフェイス)であると言えるシステムである。

 ぶっちゃけ、ものすごい簡単に言うと、格闘ゲームである。

 とある格闘ゲームで、十字キー→移動。Aボタン→パンチというコマンド設定がなされていたとする。MSはそれを拡大解釈したものに過ぎない。コクピットのパイロットが行った特定の動きに対応した設定された動きを、コマンドをうけたメインコンピュータがあらゆるセンサーが拾い集めた情報を統合し状況を判断、最適化し自動でやるのだ。

 ここは殆ど手動となってしまうが、様々な動作をコンピュータに覚えさせ、そのコマンドを決め、設定する。パイロットがそのコマンドを実行すると、MSがその行動を状況を判断しそれに合わせて実行するのである。まんま格ゲーやな。

 なら、そこでもう一つの疑問が浮かぶはずだ。なら、誰が乗っても同じだろう。パイロットの反射以外に変わるところがないだろうと。つーか細かい動き無理じゃね?と。そこで、MSというのは精密機械、コンピュータの塊である事を思い出して欲しい。さらにコンピュータは"学ぶ"(集積する)事が出来るという事を。

 今までに入力された、あらゆる状況を分析した上で起こしたその行動を蓄積、また、個人により細かく、複雑に設定したコマンドが置かれた状況を判断し複雑に絡み合い、そこを上手く効率よく働く様にすり合わせる。これを何回も何回もあらゆる条件下、状況下で繰り返す事により、MSはそこに'"個性"を得、パイロットの思った通りの細かい動きが可能となるのである。始めは最適化が間に合わず、転ぶ事も多い。しかし人間と同じで、その失敗を繰り返し最後は転ばなくなっていくのである。

 正にMSとは個人個人が各々の機体を設定し、人機一体となる事で性能を発揮、思い通りに動かせる事となる。そのため、あらゆる経験をパイロットと共に積んだMSは時に信じられない程の動きを見せるのである。

 このためエースパイロットほど設定がピーキーにならざるを得なくなるが……。

 つまりこれらの機能により、エースパイロットがド下手のOSで操縦しても全く何も出来ず、ド下手がエースパイロットのOSで操縦してもエースパイロット同様の動きは出来ないどころか機体に振り回されるだけとなるのである。クセの全くなく、ある程度万人が使える程度の物もあるが……。逆にそれは反応速度以外変わらない為、行動ルーチンを読まれる可能性だってあるのだ。ゲームのNPCのルーチンを熟知すれば、そこからは一方的なワンサイドゲームになる事は誰もが理解出来るだろう。

 つまり簡単に言うと、個人に合わせて設定、成長し、それが重なり合ってさらに繰り返される無限に進化する大規模格闘ゲームと言ったところであろう。まぁ、アレだ、"酢とリーと歯痛・痛"みてーな感じだろ多分。

 しかし、問題もある。"ザクII"のOSはそれらの作業を個人が、手動で行わなければならないのである。コンピュータは入力された情報を反映、集積こそしてくれるが、最終的な判断及び実行は全てパイロットに一任されているのだ。そのため、いくら行動を集積しようとも、システムをアップデートし実行に移さねば宝の持ち腐れである。そのため、武装を"ザクマシンガン"から"ザクバズーカ"に変更するだけでも、小規模なシステムのアップデート及び書き換えが必要なのである。

 そのため少尉はおやっさんに頼み込み、それらの作業を簡略化する方法を模索してもらっているが、未だに良い返事は得られてはいない。

 しかし、それら動作の決まった"モード"を切り替えることによって更に自由度は高くなり、更にあらゆる状況に柔軟に対応出来る様になる。つまり、何事も経験なのだ、MSも。これらのキーは戦闘中の変更も可能だ。これらを如何に使いこなすかでMSの価値が決まると言っても過言ではないだろう。結局MSの性能を如何に発揮できるかはパイロットに帰結するのだ。

 こーゆーのに興味を少しでも持っていたら、いや、持っていなくても詳しくはパトレイバーとフルメタ読んで。おもろいから。マジで。見て後悔はしない。絶対に。ダグラムとかもいーけど。

 

 

そのご:いっしょにげんきよくあそぼう!

 

 そのため、少尉の"ザクII"は真っ新な赤ん坊状態であり、本当に基本しか知らない。だから遊ぶのだ。個人によって操縦の癖は必ず出る。それを覚えさせている最中なのである。そして少しずつ個人に合った操縦法を見つけ、変えて行くのである。

 歩く、物を持ち上げるなどと言ったものから、射撃、回避、カバー行動など複雑な物を何度も何度も繰り返し、少しずつ違うシュチュエーションで重ねて行くのである。

 コレを繰り返し、それで得られた膨大な情報を取捨選択して行くと、例えば立ったままでしか出来なかったリロードが、反復練習を繰り返す事で転がって回避を行いながらできるようになるのである。その分練習中はよく転ぶ。近づくと大変危険である。そういや前少尉踏んづけそうになりましたもんね。まだ許して無いぞ。

 

そのろく:いっしょにたたかおう!

 

 MSはその汎用性の高さからあらゆる状況に対応し動けるのが強みである。

 アンブッシュ、機動運用、ジャンプ後のスラスター移動、攻撃も武器による射撃、射撃も自由な射角が取れるため対空迎撃も出来る。四肢や格闘兵装、周りの物を用いた格闘、物資運搬、施設解体、組み立てなど、人間を拡大した以上の動きが出来るのがその特徴である。

 また、機動兵器と呼ばれる通り、戦術的にはその機動力と重装甲に物を言わせた遊撃が一番得意である。

 如何にMSを戦闘兵器として戦術に組み込み有効活用するか、それが重要になって来るだろう。"ロクイチ"との機動運用とかいいかもな。地上なら速度も大体同んなじくらいだし。

 

 

そのなな:いよいよほんばん!じっせんうんよう!

 

「……つー訳だ判ったな!さぁいざ行け少尉!悪の宇宙人ジオン星人をぶっ飛ばして来い!!」

「……いや、理論は分かりましたけどやるのとは……つーかおやっさんもスペースノイドでしょうに…」

「細けェこたぁいいんだよ!!」

「で!で!どのボタンで空は飛べるの!ねぇ!」

「……パイロットは、少尉で、決定……だな……」

 

 

 

 

拝啓 オフクロ様。

 

我が隊にMSがやって来ました。




悪ふざけ過ぎましたが、本当は本編こんな話で、色々な兵器、MSを分析するMS IGLOOとかジョニーライデンの帰還みたいな奴がやりたかったんです。

資料は複数のムック本や実際に本物の学術書、インターネットのホームページなどから情報を得て、個人解釈を交えつつ統合したものです。設定の曖昧さの利用が最も現れた回だと言えます。

しかし、あくまで少尉の視点なので、全然語れませんでした。連邦の機体と技術が好きなんだが……ザクと比較も出来んかったし……そこらは失敗です。

フルメタは大好きです。ええすごく。一番好きなASはM9指揮官機かM9A1E1です。片っぽアナザーだけど。好きな武器はドラゴンフライです。ヤリ好きなんすよ。でもショットランサーとビームジャベリンはコレジャナイ感がハンパなくて……ジーラインアサルトも年代的に出せないし………

パトレイバーも好きです。ものすごく。一番好きなのはイングラムの3号機TV版ですかね。メデューサはあんまり。
マスターグレードリニューアルしねーかな。また全部買うのに。

連邦のMS開発が始まったら、ジオンと比較しつつもう一回くらいやりたいなーっと思ってます。

次回 第九章 コロラド河水中渡河作戦

「そんなの、あんまりだよ。こんなのって、ないよ……」

お楽しみに!!

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