機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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よくスレまとめを覗くと、人型兵器対戦車は戦車が勝つ、と見ます。実際その通りだとは思いますが、人は、自分より遥かにデカい相手に、そんな冷静に振る舞えるのか、正確に敵を分析し、作戦通り動けるのか、カタログスペックを活かし切れるのか疑問です。

実物大ガンダムを見ました。とても大きかったです。18mとは思えませんでした。敵に与える心理的効果は大きいと思います。パトレイバーのイングラムと同じです。人は全員が全員勇気いっぱいのヒーローでも、ロボットの様に正確に動けるわけでもありませんから。

ジオン破竹の進撃はこの事も大きかったでしょう。連邦軍の戦略として戦線をワザと拡大させる意味もあったと思いますが。


第七章 グレート・キャニオン砲撃戦

戦闘の勝敗とは何で決まるのか、

 

とある将軍は『士気』と言い、

 

とある将軍は『練度』と言い、

 

とある将軍は『性能』と言い、

 

とある将軍は『頭数』と言い、

 

とある将軍は『戦術』と言った。

 

誰が絶対に正しい、とは言わない。

 

何事も、最後に決めるのは『運』なのだから。

 

 

 

──U.C. 0079 4.15──

 

 

 

 暖かな日が照らす巨大な渓谷を、涼やかな風が通り抜けていく。長い時間が作り上げたこの風景は、見る者を圧倒し、畏怖の念すら感じさせる雄大さではあるが、観測者が居ない限りそれは成り立たない。

 

 この渓谷が出来始めた時から変わりなく、ここを風化させて来たであろう風は、今日も岩壁を撫で、過ぎ去った過去とまだ見ぬ未来を繋ぐかの様だ。悠久の時を感じさせる河の流れは穏やかで、青く澄み渡る空の下、風が小さくつむじを巻く以外に動きは見られない。

 

………いや、それは間違いだ。樹木が茂る一角から、偽装網と枝で隠されてこそいるが明らかに人工物と見られる2本の筒が突き出ていた。

 

 "ロクイチ"の主砲、155mm2連装滑空砲だ。

 

《こちら斥候部隊(RT)。第3監視哨(OP)にて敵機視認(エネミー・タリホー)前方に敵MS確認(ヘッド・オン)監視警戒線(SSL)を通過した。情報通り2機の様だ。接敵予想時刻、位置に変更無し》

 

 ややノイズが混じる通信が入る。"ロクイチ"のシートで腕を組み目を閉じていた少尉はそれを聞き、息を吐きつつ目を開いた。

 真っ黒なメインスクリーンを睨みつけ、グリップを握る。同時にヴェトロニクスへと灯が入り、エンジンが始動し静かな唸りを立て始める。

 

「聞いたか、各員戦闘準備(ロックンロール)。アルファ1了解。準備よし」

 

 少尉が無線機へと、落ち着いた声で呼びかける。それに応える軍曹達の声も、また同じだった。

 

《……アルファ2了解。準備よし》

《アルファ3準備よーし》

《ブラボー隊同じく準備よし》

《チャーリー隊準備よし》

 

 そう、今の彼らは、内部に激しい熱を秘めつつも、冷たく鋭い光を放つ一本の刀、そのものの様だった。

 

 塹壕(トレンチ)に半ば埋まり、木や草で華麗にドレスアップされた"ロクイチ"1号車(アルファ1)の中、少尉は今一度深呼吸する。

 

──敵にはMSがあり、こちらには無い。数こそこちらが上だが、そのうちの大部分が非装甲銃座搭載軽車両(テクニカル)という状況、不利としか言いようがない。しかし………やるしかない。こちらにはそもそも選択肢が無いのだ。

 

 強大な敵戦力。貧弱な自軍。敵に勝る所は数多く、こちらが劣る所は数え切れない。

 

……………なら、待ち伏せ(アンブッシュ)で不意を突くぐらいしか有効な手がない。それだってリスクが高過ぎる位だ。

 

 目標("死神")はモノアイをゆっくりと動かし、索敵しながら一歩一歩踏みしめる様にこちらへと向かって来ている。しかしこちらの事は見つけられない。

 

 少尉達の陣取るここ"グレート・キャニオン"は、コロラド河により広大な台地が長い年月と共に浸食され出来上がった複雑な土地だ。

 それ故起伏が激しく、更にコロニー落としの影響で崖が崩れ、大きな岩石がゴロゴロしている上、窪地や岩陰、木々の繁殖する茂みも多い。

 

 その中にジオン軍から鹵獲した、高性能の赤外線遮断シートでエンジンを覆って待機している。現在のミノフスキー粒子濃度は22%。ミノフスキー・エフェクトによりレーダーも使えない今では、目視の索敵及び各種センサーが頼みの綱となるが、それさえ欺瞞されているのだ。見つけられっこない。

 

……………そのためにも、MSにこそ随伴兵をつれて来るべきなのにな。……まぁ、MSが機動運用を開始したら邪魔でしかないからであろう。高い機動性及び攻撃力の両立を売りとするMSは戦車と違い、その場へと止まり歩兵の盾となる事も、その特性を殺してしまう事から出来ない。それどろこか最悪スラスター噴射により丸焼きにしたり、踏んづけるかも。

 "死神"のメインアームも薬莢を排出する。それも戦車砲並みの特大な奴を、だ。"キャリフォルニア・ベース"ではそれに押し潰され戦死した兵士もいると聞いたしな……。

 

「…ン?」

 

 そこで"死神"に変化が生じた。先頭の一機が脇に構えていた"ザクマシンガン"を下ろしたのだ。そのまま振り返り、ややぎこちなく僚機の肩に手をやっている。その周囲を猟犬が囲んでいる事に気づかぬまま。

 

「……見ろ。奴らはもう勝った気でいるらしい」

 

 整備兵の1人が呟く。やや苛立った様な震え声には、武者震いと共に底知れない怒りが込められていた。それもそうだろう。ここ数ヶ月、我が軍は一方的に()られてきたのだ。その中の大半は見知らぬ者であろう。しかし、友軍は友軍だ。それに、友を失った者も少なくはない。

 

 "復讐"。それは、士気をあげるのに申し分のない理由だった。

 

「そのようだ。では教育してやるか」

「通行税の高さを教えてやろう」

「宇宙人は宇宙にいれば良かったものを…地球(ここ)に来たことを後悔させてやる……」

 

 他の整備兵達も口々に呟き、続ける。そんな中、少尉は1人口を噤んでいた。考え事をしていたのだ。答えの無い、最適解を探して。

 

「大丈夫か?」

 

 少尉を現実に引き戻す声に導かれ下を向くと、コンビの操縦手(ドライバー)と目があった。彼は不敵にも笑っていたが、目は微かに揺らぎ、口元がやや引き攣っているのを少尉は見逃さなかった。

 

「…………えぇ」

「そうは見えんよ?」

「焦ってる様に見えますか?」

「見えるよ。今までで一番怖い顔してらぁ。大丈夫さ。あの一つ目野郎にも弱点はある。ケツに弾ブチ込んでやりゃヒィヒィよがって燃え上がるってもんよ!!」

 

 そう言い、サムアップしたドライバーに、少尉もまたサムアップで返す。勝負は、ここからだ。

 

「……で、もしや、勝算もないのに正面からノコノコ出て行っておしまいか?」

「──黙っててくれます?」

 

 落ち着かないのか、再び口を開いたドライバーに、少尉はスコープを覗き込んだまま応える。その口調に、ドライバーは戯けたように続けた。

 

「…ん?ってことは勝算はまだあるのか?」

「多分ですけどね。元から勝負を捨ててたらここにいませんよ、っと…」

 

 スコープから目を離し、ギシりと音を立てながら軋ませシートに凭れかかった少尉は一度深呼吸し目を閉じる。

 

 目を開け、再びスコープを覗き込んだ少尉が、口を開いた。

 

「よし………行くぞ!!アルファ1、エンゲージ!!」

 

 距離は1.8km。"ロクイチ"自慢の砲では近過ぎる位だ。少尉は操縦桿のセーフティを解除、メインスクリーンに投影された"ザクII"へとガンレティクルを合わせ、ほぼ真正面から先頭の"ザクII"へ対し砲撃を行うと同時に全速力で後退する。

 撃った砲弾は装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS)。運動エネルギーにより装甲を貫く弾頭だ。タングステン製のそれは、厚さ数メートル単位の鉄板を軽く貫く威力がある。

……いくら"ザクII"と言えども、この距離だ、耐え切れまい。

 

「………チッ!」

 

 しかしその目論見は儚く崩れ落ちた。ミノフスキー・エフェクトによって機能不全に陥ったFCSの影響で、放たれた2発の砲撃の内、1発のみが"ザクII"の左肩に命中するも、それさえも侵入角のせいか弾かれてしまった。

 待ち伏せというものがもたらすアドバンテージは、ほぼ初撃のみと言ってもいい。その初撃を、少尉は浪費に近い使い方をしてしまった。

 

──クソッ、曲面多用したデザインしやがって!つーかその肩のトゲ、意味あんのか!?

 

 砲撃の向き、爆音、噴射炎により射点を補足され、突然の襲撃に混乱するも、何とか持ち直した"ザクII"から猛烈な反撃が来る。

 先頭の"ザクII"が"ザクマシンガン"を撃ちながら突撃を仕掛け、少尉の乗る"ロクイチ"のすぐ近くを"ザクマシンガン"の火線が通り過ぎる。少尉の乗る"ロクイチ"も衝撃波により大きく揺さぶられ、少尉はそれに歯をくいしばって耐える。"ザクマシンガン"の弾頭が着弾したところには激しい爆裂音と共に砂煙が立ち、ボコバコと子供がハマりそうなクレーターができる。

 

……喰らえば、"ロクイチ"など数発で木っ端微塵、人間と言う脆い存在など塵と果てるだろう。

 

「うおおぉぉぉぉお!!バックバック!!早くっ!!」

 

 少尉は背筋に感じる寒気と死の恐怖に震え、滝の様な汗を流し叫びつつ、ガンガンとドライバーシートを蹴っ飛ばす。軽いパニックだ。自動装填なのをいい事に主砲を乱射するその姿は、滑稽を通り越して哀れに思えるレベルだった。

 

「分かってんよ!!でも真っ直ぐ引いたら的だろうが!!」

 

 怒鳴り返すドライバーが身体ごとステアリングを回す。"ロクイチ"の数十tという巨体が悪路を跳ねつつ蛇行し、ハチャメチャに砲撃しつつも崖の裏へと引っ込んだ。

 少尉に手動のスラローム射撃は出来ないため、攻撃に命中弾は一発もなく砲弾は全てあらぬ方向へとばら撒かれただけであるが、囮としての役目は十分に果たしたと言えた。

 

 最後の最後、お釣りとばかりに閃光弾(フラッシュバン)を撃ち込んだ少尉達の乗る"ロクイチ"は、なんとか敵の火線を躱し、死の誘いから逃れる事に成功する。

 

 しかし、逃がさぬとばかりに少尉達の引っ込んだ崖へと"ザクマシンガン"が殺到し、その崖の表面を抉る。耳を劈く様な轟音が響き、砂埃がもうもうと立ち登る。岩棚は揺すぶられ、ボロボロと細かい瓦礫を落とし今にも崩れそうだ。

 

「…ヒュー…生きてる……」

 

 気がつくと身体全身が物の見事に強張っていた。大きく深呼吸をした少尉は無理やりに操縦桿から手を引き剥がし、身体全身の力を抜いてシートにもたれかかる。気怠げに顎から滴る汗を拭い、汗でぐっしょりと濡れ張り付く野戦服を扇ぐ。

 

「っぶねぇ………だぁ~!なんつー威力だくそったれめ……」

 

 威力やっべぇ。崖崩れで生き埋めは勘弁してくれ。ドライバーも同意見らしい。そりゃそうだ。

 

「……たくっ、作戦を考えたヤツと、スモークも焚かずしっちゃかめっちゃかやってまだ頭に足を乗っけてるヤツに文句が言いてぇよ。次に期待だな」

「次があってたまるかこの歴史的馬鹿モン!俺のケツを舐めろ!!」

 

 皮肉交じりにこちらを見上げる操縦手に、少尉はも戯けて怒鳴り返す。

 

「リスクを恐れては結果は得られない。でしょ?」

 

 漸く顔を出し始めた余裕に任せ、操縦手へと強張った笑みを見せ、汗ばんだ手袋を投げ捨てる。

 

「へぇ、『計算されたリスク』って奴か?」

「ジョージ・パットンですね。かっこいい言葉。そうです。『危険を冒すものが勝利する』んですよ」

「SAS。らしくなってきたじゃないか、温室育ちは困るね。俺たちは泥臭くなきゃ。『レンジャーが路を拓く』んだから」

 

 お互い、目の前のスクリーンに映る砂埃に目を凝らしながら、震えた声に無理を言わせ軽口を叩く。カタカタと震える身体がさっきの一瞬を生き残った、ただそれだけを実感していた。

 

──だが、これでいい。俺たちは囮。本命は()()()だ。

 

「各員!!自己の判断で兵器を使用しつつ回避運動を行え!!撃ち方始め!!」

 

 少尉が咽喉マイクを摘み、大きな声で号令を出す。『自己の判断で兵器を使用しつつ回避運動を行え』。つまり、オールウェポンフリー。そう、これは反撃の狼煙だ!!

 

《《おうっ!!》》

 

 思わず身を乗り出し、拳を振り下ろした少尉に応える様に、通信機に声を張り上げる整備兵達が、怒涛の如く攻撃を開始した。

 

《くたばれ一つ目木偶の坊が!!》

《突撃ぃーっ!!》

《こいつを喰らいな!!》

《皆殺しだぁぁぁぁああ!!》

《うぉぉおおりゃぁぁぁああ!!》

《叩き潰せぇ!!》

 

 引き離した先頭の"ザクII"に、8台の"ラコタ"が砂煙を巻き上げながら殺到、対戦車ミサイル(ATM)を放つと同時に撤退して行く。砂漠など開けた場所なら自殺行為だが、ここは"グレート・キャニオン"。身を隠す場所など幾らでもある。それら遮蔽物を利用したアンブッシュと一撃離脱(ヒット・アンド・アウェイ)の遊撃が今回の作戦のキモだった。

 

「よぉし!!第二次攻撃隊!揺さぶりをかけろ!!目標は後ろの筒持ちだ!!」

《…アルファツー了解……》

《おうともさ!!》

《喰らいなぁー!!》

 

 後方の"ザクII"には2輌の"ロクイチ"が足止めする。お互いクロスするように走り射撃しつつ遮蔽物へ飛び込む、拙いながらも連携の取れた攻撃だ。そこへ"ラコタ"も参戦し、ATMによる追撃を行う。これらの攻撃は"ザクII"相手に有効打にこそなり得ないが、本命はそれじゃない。

 

「…FCS修正…各種センサー再起動、軌道修正ユニットに、上に1ミルの変更……」

「次こそは当ててくれよ?出ないと逃げるぜ?」

「やったらその背中にコイツをブチ込むだけですよ。ラクな仕事です」

「ふん。なんにせよ、お前がいないと俺達は戦争が出来ないんだ。お前には俺の守護天使(アークエンジェル)になってもらう」

「…了解。次こそは」

 

 その2輌の"ロクイチ"を追う"ザクII"を、第二の塹壕(セカンド・トレンチ)に身を潜めた少尉の"ロクイチ"が狙いを定める。そう、この敵に息を吐かせず、狙いも絞らせない怒涛の連続攻撃。これが少尉の導き出した勝利への方程式だった。

 

「あり?あんま効いてなさそうだな。これでもまだ勝算はあるって?」

「さっき黙れといったな!!命令はまだ有効だ!!」

「へいへい」

 

 心でも読まれたのか、とでも思う程の台詞に、思わず少尉は声を荒げる。減らず口の減らない相方だが、不思議と悪い気はしない。むしろ助かっていた。少尉は汗を拭くのも忘れ、手は忙しく作業を止めず、視線は目の前の戦場を映し出すスクリーンに釘付けのまま、なんとか頭の片隅で応える。

 

「ったく、噂じゃ高射砲でも撃ちぬけないモンを用意するとは……敵さんも本気やなぁ。今更だが、"ロクイチ"ので抜けるのか?」

「それはよくある戦場の噂に過ぎませんよ。それにカタログスペックならギリギリのハズです。まぁ賭けですね」

「不利なオッズだとは思うが」

 

 ひー、ふー、みーと指折り数えるドライバーの言葉に、少尉はただ、ニヤッと笑いかけ、作ったような笑顔のまま言い放った。

 

「……ですけど、配当はデカイですよ?」

 

 今その"ザクII"は2輌の"ロクイチ"、4台の"ラコタ"に絡まれ立ち往生だ。大地を激しく動き回る"ロクイチ"の主砲は装甲に弾かれ、有効打とはならないものの、関節付近へと殺到する複数のATM直撃弾によりひるんでいる。先頭の"ザクII"も少尉達の事は忘れ、夢中になって"ラコタ"を追い回している。対人兵器を積んでいないのが幸いであり、奴らの命取りだ。

 

 何故あらゆる能力において秀でている"ザクII"が手こずっているのか、それはパイロットが不慣れであるのもあるが、そもそも"ザクII"含め、"ザクII"の兵装は対艦攻撃に主眼を置かれ開発されたものだ。そのためこれら軽車両に攻撃するには()()()なのである。

 

 確かに、MSは確かに戦車を凌ぐ重装甲を持つ。しかし、人型という構造上、どうしても装甲を施せない箇所や、装甲が薄くなる箇所が発生してしまう。センサー部に関節部、スラスターノズルなどがその代表だ。また、攻撃を受ける事が少ないとされる背面及び上面はあまり装甲が施されていない。その弱点を突く事さえ出来れば、対戦車兵器と言えどMSには無視出来ないダメージを与える事が出来るのだ。

 

 今がチャンスだ。失敗は許されない。スクリーンに投影されたガンレティクルの中、逃げる"ラコタ"を追う"ザクII"はこちらに背を向けている。いいぞ……そのままで……。

 

 その時、偶然にも逃げ回る"ラコタ"を追った"ザクII"がこちらへ向き直る。

 

 

 

 

 "死神"と、  

             目が、

                      合った。

 

 

 

 

「……!!」

 

 身体が強張り、反射的に引き金を引いていた。結果的に"ロクイチ"と"ザクII"はほぼ同時に射撃する。

 "ロクイチ"の砲撃は"ザクII"頭部を吹っ飛ばし、"ザクII"の放った"ザクバズーカ"はトレンチの数m手前にやや食い込みつつ炸裂する。

 

 考える暇も、感じる暇さえも与えられ無かった。

 

 目の前が真っ白になり、身体が下から持ち上げられる奇妙な浮遊感と共に、少尉は"ロクイチ"の砲塔もろともすっ飛ばされた。

 

 "ザクバズーカ"の口径は280mm。中は高性能炸薬が充填されている。"ルウム"で、核弾頭さえ撃ち出し、地球連邦宇宙軍が誇る宇宙戦艦をも容易く墜としたその一撃は、外れたとはいえ着弾した近くの"ロクイチ"など軽く吹き飛ばす威力があった。

 

 しかし、少尉の攻撃も無駄では決して無かった。頭部モノアイを壊され立ち竦む"ザクII"の股座(またぐら)に、1台の"ラコタ"が決死の攻撃をしかけた。

 完全に股下へ飛び込み、真上へ向かってATMを撃ち放す。戦闘行動としては一番危険で、かつ対MS攻撃にといて一番有効な攻撃だ。最悪爆風に巻き込まれるか倒れこんだ"ザクII"に潰される。弾頭の直撃により飛び散る破片さえ、そんじょそこらの小口径弾を遙かに上回る威力となるだろう。己の保身のみを考える者には出来ない、覚悟をした者にのみ可能な攻撃だった。

 

 しかしその必殺の一撃は、想像を遙かに上回る威力を発揮し、"ザクII"を大破に追い込む事に成功した。大腿部装甲(スカート)内の弱点である股関節を破壊され、"ザクII"が煙を吹き上げ、スパークを散らしながら倒れ伏す。

 

 良くやってくれた。コレで計画は第二段階へと進む!!

 

──す、進む………アレ、全身が引き千切られる様に痛い……………?

 

「……生きてた………アレ?今日、2度目………?」

 

 ただ茫然とその光景を見ていた少尉は、ふと自分と言う存在に気がついた。無意識の内に、脈打つ様に痛む身体を引き摺り、なんとか吹っ飛び逆さまになった"ロクイチ"の砲塔から抜け出し、立ち上がったと思えば尻餅をついた。

 

 赤くぼやけ霞む遠方では、何やら巨人が擱坐しているのが見えるが、どうも現実の物とは思えない。認識が曖昧だ。音も大きく小さく揺らぎ、良く聞こえない。口に喉に、肺の中に血の味がする。ぼんやりと熱いなと思えば、隣にはボロボロの何かがパチパチと言う音と共に炎を揺らめさせていた。

 

………いってぇとおもったら左肩が外れていた。よくこんな軽傷で済んだなと思いつつも、癖になったらヤだなと考える。爆音で頭がぐわんぐわんする。砲塔は吹っ飛ばされ衝撃が殺されたが、シャーシは焼け焦げ捻じ曲がり目も当てられない様相を呈している。

 

 ドライバーは、即死だろう。

 

「……つつ……くっ…」

 

 痛みを、リアルに感じる。()()()()()事を感じる。頭がシャンとして来た様だ。大破し擱坐した"ザクII"へと駆け寄るもう1機の"ザクII"を見つつ、少尉は力無く手を振り上げる。握られているのはピストルサイズのランチャーだ。ポンっと言う軽い音と共に、風に頼り無く揺らぐ弾頭が撃ち出され、空に赤の信号弾を鮮やかに咲かせた。

 

 それは、全機撤退の合図だ。

 

「…よくやった………名誉の、戦死だ……」

 

 ホルスターにランチャーをしまい、振り向いた少尉はまだ炎を上げ続けている"ロクイチ"のシャーシへと敬礼する。油や鉄など、様々な物が焼け焦げる嫌な臭いの中、そこに生物が生存出来る所など微塵も無かった。

………何故か、そこには何の感情も湧かなかった。哀しみも、後悔も、憐憫も、何も………。

 

──………さっきまで普通に話して、息をして居たのにな……。俺は生き、彼は死んだ……。

 

「戦友よ…靖国で、逢おう……」

 

…………後は任せろ。だから、ただ安らかに眠れ…………。

 

「……………」

 

 外れた左肩右手で押さえる少尉は、唇を引き結び残骸に背を向ける。生きている俺はまだやるべき事がある。出来る事がある。ならばやらなければ。

 

 逃げるか、と思った矢先、そこに軍曹と伍長の乗った"ロクイチ"が滑り込む。少尉は舞い上がる砂煙に手をかざし、顔を伏せる。排気熱で揺らぐ蜃気楼の中、"ロクイチ"がその姿を現した。

 

「少尉!!良かったー!!早く乗って下さい!!急いで!」

 

 砂埃が止み、恐る恐る顔を上げた少尉に、ドライバークラッペから顔を出した伍長の声がかかる。キューポラから軍曹も身を乗り出していた。"ロクイチ"を"ロクイチ"たらしめている自慢の155mm二連装滑空砲は、片方が半ばから折れ飛び、もう片方はひん曲がっている。

 

…………前に軍曹から聞いた、伍長の運転のクセらしい。バイタルパートへの直撃は許さないが、それ以外に意識がいかないと言うことだ。同乗者である軍曹からしたらかなりハタ迷惑な話だろう。

 

「ありがたい!!よく来てくれた!!」

「……無事だと、信じていた……」

 

──良かった……2人も無事か……本当に、良かった……。

 

「よし、"ザクII"は『ポイント』に入った。作戦は成功だ。2人とも、よくやってくれた!」

 

 少尉が声を張り上げ、痛みに顔を顰める。その様子をキューポラから顔を出し見ていた伍長が、顔を青くし肩を震わせ叫ぶ。

 

「それは少尉もですよ!!またボロボロじゃないですかもう!!」

「……全く、無茶をする……」

 

 周囲を警戒する軍曹も、少尉の怪我には閉口気味だ。

 それにしても足も上手く動かない。ほんの数メートル先の"ロクイチ"がこんなにも遠く感じるとは……。

 

「少尉!!早く乗り込んで!!」

 

 伍長の主張はごもっともだが、自分は自分で思っている以上に重傷らしい。しかし、時間が無いのもまた真実だった。

 

「んな暇無い!!タンクデサントする!!」

「……下手…すると、死ぬぞ……?」

「3人まとめてオダブツよかマシだ!!」

 

 眉を片方だけ上げ、一瞥をくれる軍曹に、少尉は暗に早く準備をと怒鳴る。その言葉を聞いて、2人はすぐさま身を沈めた。

 

「……分かりました!!少尉!!信じますよ!!」

 

 その言葉を待たず、少尉は"ロクイチ"によじ登り、砲塔後部のラックに身体をカラビナで固定する。ガチリと音が鳴り、固定し終わるかいなかの瀬戸際で"ロクイチ"が弾かれたかの様に走り出した。

 その激しい揺れに揺られながら、生きている事と、究極のMBTと呼ばれた"ロクイチ"のタンクデサントの辛さを身を持って知る事となった。

 

──って絶対コレヤバい!!つい勢いで言っちゃったけどマジ辛い!!俺左肩外れてっからめっちゃぶらぶらしてんだけど!!痛い痛い痛い!!子供のころ肋骨のヒビに気付かずジェットコースターに乗ったのを思い出す!!世界一怪我人が乗るのに向かない乗り物だコレ!!

 

 いくら無限軌道とはいえ、悪路を約80km/hで飛ばすのだ。揺れる揺れる。酔わないのはそれ程痛いからだ。

 

──ねぇ!!俺左手ちゃんとついてる!?この痛みファントムペインじゃないよね!?

あっでも、楽しかったです(小学生並の感想)。

 

 激しい揺れにガクガクと揺さぶられ、もみくちゃにされながら、心の中で絶叫する打たれ強さ(物理)に定評のある新米少尉だった。

 

 

 

 

 

 

 

「少尉ぃ~…、だ、大丈夫ですか?」

 

 伍長が涙目で情けない声を上げながら少尉に縋り付く。手脚を投げ出し、力無く座り込んだ少尉は空を仰ぎ、小さく返事するのが精一杯だった。

 

「──あ"ぁ"、何とかな……」

「……痛く、は…無かったの、か……?」

「……一言だけ忠告しておく。……死ぬ程痛いぞ……?」

 

 某クソゲーの主人公の戦友みたいな声を出す。正直死にそうです。ハイ。でも、楽しかったです(小並感)。

 

 頰を叩き気を切り替え、怪我によりじんわりと熱を持った様な痛む身体を引き摺り伍長に助け起こされつつ2機の"ザクII"を見る。ここからは約2kmの位置だ。小高い丘の上に陣取っているためよく見える。奴らは上手く『ポイント』に入った。双眼鏡で観測するに、"ザクII"は未だに大破した僚機を助けようと奮闘中だ。

 

 涙目の伍長に妙な手当されつつ、少尉は言葉を切り、地面に伏せた軍曹を見る。軍曹はいつも首にかけているスカーフで顔を覆い、大型の対物狙撃銃(アンチマテリアルライフル)を抱え、伏せ撃ち(プローン)の姿勢で静かに目標を見据えている。

 

 何かが破裂した様な鋭い射撃音が渓谷に響き渡る。鼓膜を震わせ、腹にまで響く轟音と共にマズルフラッシュが瞬き、マズルブレーキからは爆発的な勢いで火花と煙が噴き出す。放たれた弾丸は目にも留まらぬ速さで、寸分たがわず目標に吸い込まれて行く。

 

 軍曹が狙ったのはモノアイだ。勿論、アンチマテリアルライフル程度でモノアイカバーは撃ち抜けない。"ザクII"のモノアイカバーは宇宙空間を飛び交う宇宙塵(スペースデブリ)から繊細なカメラ、センサー類を保護するものだ。その強度は一般的に大口径弾と呼ばれる弾丸でも擦り傷すら付かない程だ。

 

 しかし、軍曹もそれを百も承知である。それに、撃ったのはペイント弾だ。

 

 複数発撃ち込まれたペイント弾が"ザクII"のモノアイを覆うのを確認した後、少尉は緑の信号弾を撃ち上げる。

 

 そのきっかり6秒後、おびただしい数の砲弾が蹲る"ザクII"2機へと撃ち込まれていく。まるで、光の滝の様な凄まじい光景だ。

 舞い上がる爆炎と砂埃、硝煙の中、"ザクII"がその濁流に打たれ崩れ落ち、スパークを散らし倒れ伏す。

 

 それを見届けた少尉が、ほっと息を吐きつつランチャーから薬莢を排出し、次弾を装填、青の信号弾を撃ち上げた。

 

 青い光が昼の空でもよく見える光を発し、それを最後とする様にあれ程激しかった砲撃がピタリと止む。

 

 "ザクII"を屠った弾丸の雨の正体は、"キャンプ"に待機させ、段差に乗り上げさせて大きく仰角を取った"ロクイチ"と"マゼラ"の曲射射撃だ。

 

…………姿を曝さず、確実に仕留めるために、予め射撃しその『ポイント』を確認、そこに誘い込んで"ザクII"1機を擱座させ撤退、2機が揃い機動力が落ちた時点でまとめて吹き飛ばす。我々に高度な観測射撃は行えない。その為の苦肉の策である。

 

──作戦は無事成功した。

 

ミッション、コンプリート(CMPL)……帰投する(RTB)

 

 未だ火を噴き、煙を上げる"ザクII"を見つつ、腰に手を当て、少尉は通信機へと語りかける。ミノフスキー粒子濃度は既に低下しつつあり、長距離通信はまだであるが、中距離ならば通信機はその性能を発揮出来る様になっていた。

 

《了解した!!よくやったな!暖かい食事とシャワーが待ってる、早く帰って来い!!》

 

 通信機から聞こえてくるおやっさんの声を聞きつつ、少尉はちらりと後方に目をやる。

 

「また、ボナパルトちゃん怪我しちゃったね…すぐ直したげるからね~」

「あー、いつつ……」

「おら動くな」

 

 そこには"ロクイチ"に"ラコタ"、数多くの整備兵達が待機し、少尉の次の命令を待っていた。殆どの者が顔に疲労を滲ませていたが、その顔は晴れ渡るかの様な笑顔だった。

 

「──了解……帰ろうか」

「「おう!!」」

 

 切れた唇を歪ませ微笑みかけた少尉に、全員が反応する。そんな横顔を日が柔らかく照らし出す。いつの間にか日は暮れはじめ、斜陽が渓谷を紅く染め上げ始めていた。

 

……まるで、この世の終わりの様だ。

 

 赤く滲む視界の中、少尉は最後にスクラップと化した"ザクII"を一瞥し、その場を後にする。興奮冷めやらぬ様子で激しく手招きする伍長に軽く手を振り、ぎこちない動作で"ロクイチ"へとよじ登る。既にスカーフを下ろした軍曹の手を借り、引き揚げられる様にしてシートに沈み込んだ少尉を他所に、"ロクイチ"は滑るように動き出す。

 

 黒煙を上げ、焼け爛れた大地を後に、少尉たちは動き出した。帰るべき所へ帰るために。

 

 

 

 

 

 

 日が完全に落ちた。辺りは透き通るような暗闇に包まれ、ひしひしと寒さが忍び寄って来ている。耳が冴えるような静けさの中、既に夜は更けてけている、長居は無用だ。

 

 少尉は先頭に立ち、部隊を撤収させる。戦果はMS"ザクII"が2機だ。

 

 損害は"ロクイチ"1輌が大破1輌が小破、そのうち1輌が修理不可。それに"ラコタ"4台だ。大破が3台中破が1台、そのうち2台が修理不可。人的被害も、重軽傷者が11名だ。

 

 

 

 

──……そして、戦死者5名。

 

 

 

 

 破格の戦果と言えるだろう。戦果でだけで見れば。見る事が出来れば。

 

 戦死者は吹き飛ばされ、遺体が残らなかったので、遺品の一部を焼き、埋めた。葬式は簡潔に、かつしめやかに執り行われた。

 

 月が明るく照らす下、空砲が静けさを破り鳴り響く。そしてまた、束の間の静けさへと夜は沈み込んでいく。

 

 誰もが口を開かず、やけに大きな音を立て燃え上がる炎は、小さく儚い火花を散らしながら、暗い空を染めていた。

 

………当たり前だ。コレは戦争だ。今日倒した敵だって生きている。お互いに思想の正しさ、生き残りに文字通り命をかけているのだ。

 

 グラグラと頼りなく揺れる折りたたみ式の長椅子に座り、少尉は微風に吹かれ、頼り無く揺らめく焚き火にあたりながらとうとうと考える。手には戦死者のドッグタグが握られ、チャリチャリとチェーンが出す特有の音と、焚き火が出す枯れ木を割る音が、静かな二重奏を奏でていた。

 

 少尉の手の中で、ぱきり、と乾いた枯れ枝は呆気ない音を立てて二つにへし折れる。

 大した抵抗も無く、綺麗に真ん中で折れた枝を、絶えずぱちぱちと爆ぜ続けている炎の中へと放り込んだ。

 静寂の中に闇がべっとりと横たわる中、焚き火の音だけがまるで此処が人の住む世界だと主張しているようだ。

 

 目の前で爆発四散したアロー06、知らぬ間に散って行った"キャリフォルニア・ベース"で同部屋だった下士官、"マングース"の上から見た敵味方の爆発を思い出す。

 

 命の重さに身震いする。俺は、今後も増えて行く重圧に耐え切れるのだろうか。

 今日は昼間と打って変わり雲が立ち込め、星は見えない。先程まで自分を照らしていた月さえもその姿を隠し、その真っ暗とはまた違う闇に吸い込まれそうだった。

 

 パチン、と一際高く弾ける音に、少尉は顔をあげる。

 

 艶かしく、あるいは無邪気に、風に揺らぐ炎は少尉の目の前で揺れ続ける。

 ひと時として、同じ形であり続けることの無い赤い曲線を見つめる。

 何故か、記憶の奥底の、錆び付いた追憶が頭を巡る。

 

 長椅子が微かに揺れる。顔を上げるとコーヒーを持った軍曹が居た。無言の内に渡されるコーヒーを受け取り、少尉もまた黙り込む。

 

「……少尉は、よくやった。………被害を、最小限に……食い止めた……」

「…………」

 

 軍曹がどこを見るともなく視線を泳がせ、口を開く。少尉は軍曹の真意を測りかね、無言のままそれを聞き流す。

 

「……確かに、戦死者は…出た。…しかし…その重圧は、少尉だけが背負うものじゃない……」

 

 一口で、驚くほどに染み渡る苦味と甘みが如何に身体が凍え疲れているのかを教えてくれる。

 コーヒーは身体を芯から、じんわりと温めてくれる。焚き火の熱気が、先ほどよりも穏やかに感じるようになったのは、恐らくその為だろう。

 少尉の隣に軍曹が座る。椅子が一切の音を立て無かった事に驚く前に、軍曹が言葉を続ける。

 

「……炎は、幾ら見て居ても……飽きない………」

 

 軍曹が、少尉の傍らに置いていた枝を投げ込みながら呟く。赤いうねりが暗闇の中、パチリと爆ぜ、火の粉を散らし炎が躍る。

 

 それは闇夜に一際大きな光を残し、溶けて行く。

 

 一瞬目に焼き付いた光が、残像を残し霧散して行く。

 

 まるで、蛍の様だ。

 

「……昔の、事だ……ある、男が言っていた……」

「…………」

 

 軍曹が誰に語るでもなく、一拍置いた後、独り言の様に続ける。少尉は言葉を発する事が出来ず、ただのその横顔を見上げる事しか出来なかった。

 

「…炎は常に、形を…変え続ける。そこには………何の意味も、無い……」

「……なんの………?」

 

 炎が、微かに揺らめく。

 

「…見るものが……勝手に、そう、己の…心の在り様を……投影していくだけ、だ…と………」

「…己の、心の在り様……」

 

 軍曹が、フッと薄い唇を引き結ぶ。

 それなりの困難苦難を共に潜り抜けてきた少尉にはわかる。

 

 不器用なこの男なりの、柔らかい表情なのだ、これが。

 

 どんな時にも、決して表情を崩さない軍曹は、こうなのだ。

 空になりかけたマグカップの底をじっと見つめる。そこには、まだ幼さの残る童顔が、茶色い液体の上、ゆらりゆらりと揺らぎながら見つめ返している。

 

「……少尉が、この炎に、何を…見出しているのかは、俺には、わからない…………しかし、少尉が、タクミが…見ているものであれば、それは…きっと意味のあるものだ……」

「そんな……俺は………」

「……謙遜は、いらない……見てみろ………」

 

 軍曹は残ったコーヒーを一息に飲み干し、肩を叩き席を立つ。少尉はされるがまま、のろのろと振り返り、驚く。

 

 そこには、伍長を始めとし、おやっさん、整備兵全員が直立不動で敬礼していた。全員の視線が集中しているのを感じ、爪先から指先、頭の中までまるで身体が熱を帯びるかの様だった。

 

「……少尉は、一人じゃない……全員が、背負う……」

 

 軍曹がそこに混じる。旅団全員が…俺が背負う命……背負い、背負われる命がそこに集結していた。

 

 コーヒーを置き、ゆっくりと立つ。

 

 溢れそうになる涙を、零さぬ様に。

 

 身体が自然と動き、敬礼する。

 

 空が白み、雲が混じる暁の空には朝陽が登り、全員の横顔を暖かく照らしていた。

 

 

 

 俺は、一人じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

『戦争の終結は、死者のみが知っている』

 

 

戦場には、まだ、硝煙が燻っている……………




ガンダムは戦闘シーンが大好きですが、上手く書けるわけでもありませんでした。

ガンダムには戦争という理不尽をとおしての成長が描かれている、という意見をよく聞くので、そこらへんも書いて行きたいです。

連邦対ジオンていうPS2のガンダムゲーがあるんですけど、ザク、特殊な格闘するとジャンピングショルダーボムみたいなことするんですよ、右肩で!左使えよと小一時間。

ロクイチに荷物や兵員を乗っけるスペースがあったことをプラモデルとにらめっこしてて思い出しました。すみません。修正しました。

因みに連邦軍戦車一個小隊はロクイチ4両です。これでは一両足りませんが、MSは3機一個小隊なので、それの予行を兼ねて………後付けです。素で忘れてました………。イグルー2話もザク6+ロクイチ2とロクイチ×8+1なのに……勉強不足でした。お詫びします。

何かあらすじが途中で切れました。修正効かないんすけど…………

バズーカって、M1バズーカだったら商品名?だよなぁ……ガンダム世界ではなんでも機関砲をバルカンって言うのとと合わせてそーゆー意味なのかなぁ……

次回 第八章 番外編 よいこのじかん〜しょういおにいさんと、もびるすーつにのってみよう〜

「細けェこたぁいいんだよ!!」

アルファ1、エンゲー、ジ?

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