機動戦士ガンダム U.C. HARD GRAPH 名も無き新米士官の軌跡   作:きゅっぱち

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地球連邦軍では、戦車兵、航空機パイロットからのMSパイロット転向が多かったらしいので、MSに乗れるよう頑張ります。


第四章 グレート・キャニオン近郊にて…

兵士となるということは、己と戦う事である。

 

己を叱咤激励し、限界を目指し、身体を、技能を鍛える。いつ来ると分からない有事に備えて。

 

つまり、明確な目標を持たぬまま、己を保ち、戦い続けなければならないのだ。

 

……人は、そんな便利になれりゃしない。

 

 

 

──U.C. 0079 4.2──

 

 

 

 一六三○(ヒトロクサンマル)。それなりに怪我、体調、体力が回復した少尉は、装備を背負い炎天下を行軍していた。ちょっとしたリハビリの一環だった。

──にしてはスパルタ過ぎるが。まぁ担当医の軍曹(・・・・・・)のお墨付きは出てるし、大丈夫ではあろうが………。伍長は反対してた。おやっさんもだ。と言うか部隊全員がすげぇ顔してたぞ?そんなに酷かったのだろうか?知らんけど。軍曹が全部執刀したらしいが……もしかしたら身体実はバラバラだったりしたのか?今ほぼ違和感無いのが逆に怖くなってくる。

 

「──噂に聞く黒い金曜日(ブラックフライデー)みたいだ……俺は海兵(マリーン)ではないが…」

 

 しかし…一歩一歩が重くて仕方が無い。頼もしい彼らももういない。ダバダバにかいた汗が目に入り、ポタリポタリと流れ落ちては乾いた地面へと吸い込まれ蒸発して行く。シャツもグシャグシャだ。人間の汗をかく機能って性能低くね?このままじゃ身体冷やす前に干からびてしまうわ。

 

「………キッツい、暑い!!……クソ、体力落ちたな……」

 

 しかし、俺は、負けん!!ガイアが俺にもっと歩けと囁いている!!

 

 一度足を止めた少尉は汗を拭い、前のめりになりながら荒い呼吸を整える。一拍おいて、ズシリと重みを伝える肩紐を掴み、汗まみれの顔を上げ少尉は再び歩き出す。

 

 まあ、生きて、今歩けて居るだけ幸運だ。"マングース"で胴体着陸に成功し、駆けつけたおやっさん達に救出され約3週間。鈍らない方がおかしい。経過は順調。その上、リハビリの時間も十分にある。今の状況は、墜落した航空機から救出された人間とは思えない程恵まれ過ぎで恐ろしくなってくるくらいだ。

 

 前を見ようと、遥かな空と雄大な山脈の稜線の境界に目をやりながら、少尉は己を叱咤し坂道を登って行く。そうだ、空は、こんなにも青く、山はこれ程にも雄大で、世界はこんなにも美しい。自分の悩みのなんと矮小な事か!!

 

 それに、俺の相棒は、その身を賭して俺を助けてくれた。その欠片は、今も少尉の胸に、ドッグタグと共にかかっている。

 

「──"マングース"(アイツ)に助けられたな………」

 

 そう、AF-01"マングース"攻撃機は頑丈な機体であることに加え、半格納式の車輪は大きく主翼から出っ張っており、主脚が作動しなくても車輪が既に出ているため胴体着陸時の衝撃を殺せる上、エンジンは地面と擦らないよう機体の上部に高めに配置されている。

 これらは全て胴体着陸時に衝撃を少しでも減らし、生存率を高めるためである。それに地面が砂砂漠で会った事も幸いし、さっきはあんな事宣ったが損傷機の胴体着陸にしては比較的軽傷で済んだのだった。

 

 重傷と呼べるものもほぼ無く、骨折も肋骨が2本のみであり、吐血も気管支が少し傷ついた程度で済んでいた。もちろん内臓や脳、神経への後遺症も皆無らしい。

 折れた肋骨は粉々になっており仕方なく摘出されたらしいが。僕は肋骨が少ない……。

 

「……な、何、言って………るんで……すか少尉………」

 

 踏み出した足がたたらを踏む。ズレた鉄帽(ヘルメット)に手をやりつつ声のする方へ首を傾けると、ゾンビが歩いていた…と思ったら伍長だった。フラッフラである。何故か目も白濁している。こうして考えると、チュパカブラとかのUMAって、遭難した人を見間違えたんじゃね?

 

「……俺よりへばってないか伍長………少し、手伝おうか…?」

 

 少尉は思わず立ち止まり、よろよろと右へ左へ身体を漂わせる伍長に振り返る。差し出した手に弱々しく縋り付いた伍長は、ガクガクと膝を笑わせながら何とか口を開いた。

 

「………に、荷物ごと………負ぶって、くれ…ます………?」

「それは流石にハード過ぎるわ!!」

「………そ、んな…………事……無い、です………」

 

 何がそんな事ないのか、冗談だとは思いつつも、やはり真剣に考えてしまう少尉。伍長の発言は正直ブっ飛んでいる場合が多いが、経験上、その後の行動もブっ飛んでいる場合も多いのだ。冗談を冗談と受け取らず、あわや大惨事……なんて一度や二度ではない。

 

──ボナパルトちゃんなら出来ます!!とか言い出して、"ロクイチ"にウィングを取り付け滑空させようとした事があったなぁ……なんて事を思い出し、この暑さにも関わらず、思わず身震いする少尉。そんな少尉に気づいているのかいないのか、伍長は少尉の腰に縋り付く。なんか一昔前の時代劇のワンシーンの様だった。

 

「……軍曹、少し伍長の荷物を持ってやれないか?」

 

 まるで誤魔化す様に、その伍長の後ろを歩く軍曹に声をかける。

 さっきは手伝おうかと提案したが、正直今の俺にこれ以上の荷物はキツい。体幹が全くブレず、ペースも全く変えない軍曹は、少尉の提案に肩を軽く竦めながら応える。その顔も心なしか皮肉っぽい。流石の軍曹も呆れている様である。

 

「……既に、半分……」

「……伍長、お前………」

 

 少尉は思わず空を仰ぎ、後頭部を掻きながら伍長へ視線を移す。しかし伍長は、少尉の向ける視線の意味を理解する余裕もないのか、膝に手をつき上体を大きく上下させ、今にもへたり込みそうだった。その姿勢はその場凌ぎにこそなれ、結果的に身体に負担をかけるのだが……。

 

「…………や、休みません?」

「「…………」」

 

 一体誰のリハビリなのか分からなくなる様な伍長の提案に、少尉と軍曹はそろって沈黙する。軽い目眩を感じた少尉は眉間を揉み、軍曹は軽く片眉を吊り上げた。

 

「………お願い……します……………」

 

 その様子に、2人顔を見合わせる少尉と軍曹。目があった瞬間、2人揃ってため息をついた。

 それと同時に、少尉は他者の醜態を見る事で、現在の自分の現状にやや安心していた。それを自覚した瞬間激しい自己嫌悪に陥ったが。

……………追い込まれているとは言え、歳下の、女性を見て安心してしまうとは……………日本男児の恥晒しだ。落ちたものだ。全く。

 

「……今何時だ?」

 

 汗をぬぐい、少尉は低い声で伍長に声をかける。腕時計をしているが、それを見るのも億劫だ。それに、わざと伍長に聞く事で休憩にしようとしていた。少尉だって疲れているのだ。

 

「んえ?4…2……四十二時?」

「はぁ!?」

 

 予想外の答えに思わず大きな声になる。汗が滴り落ち、砂に吸い込まれるがそれどころじゃない。つーか四十二時って何時だよ。

 

「あ……これ温度けーでした……」

「…………」

 

 沈黙を貫いている軍曹に顔を向けると、視線に気づいた軍曹がこちらを伺う。そのまま2人で顔を見合わせる。

 

「……まぁ、一人くらいこんな知り合いがいると人生楽しいね」

「…全く、だ………」

 

 ゆっくり口を開く少尉に、軍曹がかすかに唇を曲げ同意した。そんな2人を尻目に、伍長は今にも死にそうだ。ジュニアハイスクール卒業と同時に入隊したと聞いたが、何でなったんだ?いや、どうやってなったんだ?

 

 そして、どうやってそんな出世したんだ?伍長だぞ?今や完全にへたり込んだ伍長は風と共に身体を左右に揺らし、ポカンと空を見上げている。その視線の先を大きく弧を描き旋回するトンビが、大きく鳴き声を木霊させる。

 

………ったく、謎は深まるばかりだ。おやっさんといい、軍曹といい、俺の周りには不思議な奴でいっぱいだ。それも様々な分野の超人奇人ばかり………一般人である俺を万国デタラメ人間ビックリショーに巻き込まないで欲しい。

 

「……少尉……休憩を進言、する。伍長が……限界の様だ……」

「…分かったよ軍曹。伍長、あそこの木陰で休憩しようか」

 

 少尉が前方に見えた岩山を指差す。そこは斜面の上、崖にへばりつくように張り出した高台だ。しかし両側は岩で挟まれ、そのやや奥まった岩陰は強い陽射しと激しい風が阻まれ直接吹き付けない所為か、青々とした草木が生えちょっとした木陰が出来ていた。

 ゆったりと生えた草木は、涼しげな風に撫でられ、まるでこちらを誘うかの如く揺れている。岩の高さの限界から背の高い樹木こそないが、下草のあるダブルキャノピーだ。上空からも見つからないだろう。

 

「……………えっ!?うわーい!!……ぐふっ……………」

「「………」」

 

 伍長は今までの疲れは何処へやら、突然元気いっぱいになり駆け出そうとし………転んだ。身体は正直だったらしい。そのままピクリとも動かず、潰れた伍長を軍曹が片手で拾い上げで、背負っている荷物の上へ無造作に放り、ファイヤーマンズキャリーする。

 2人の仲を"夫婦"と揶揄する奴が多いが、どちらかと言うと親子だな。優しくも厳しい親と、ワガママでやんちゃばかりの5歳児の子だ。

 

「………少尉ぃ~?今、何か……失礼な事…考えませんでした?」

「…いや、特には」

「……む~」

 

 軍曹に背負われながら頬を膨らます。やっぱ5歳児だな。変に察しもいいし……。それにしても軍曹がヤバい。軍曹の凄さで地球がヤバイ。

 

 ここ"グレート・キャニオン"と言っても砂漠寄りだ。既に17時近いとはいえ、地球温暖化と砂漠化で気温は45℃を超えている。その中で人1人と行軍用の荷物2人分、かなり少なめに見積もっても合計110kg近くを抱えて歩いていても表情一つ、呼吸の一つも崩さず汗一つかかない。軍曹というよりターミネーターだ。出る映画間違えてないか?

 

「……もう直ぐだ。………もう少し…辛抱しろ…」

「……うう……急いで……」

「……伍長ェ……」

 

………ま、まぁ今日は暑いから、頭が…うん。し、仕方ない、な……うん、仕方ない……。

 

 こんな時も軍曹は伍長を気遣っている軍曹も軍曹だが、担がれて遅いと言い出す伍長も伍長だ。本当にある意味大物だ。だから何で、どうやってなったんだよ。

──と言うか親も親だ。伍長は志願兵で、自分の意思でここに来たと言っていたが、さすがに向き不向きあるだろ。そこを判断してやれよ。特に伍長に判断は、まぁ、無理だろうし。

 

 歩く事十数分、ようやく木陰にようやく到着し、荷物を下ろし一息つく。かなり涼しく、生き返るようだ。

 空は青く、風は涼しい。何処かで小鳥がさえずっている。まるでピクニックだ。

 おにぎりでも、あったらなぁ……。米が食いたい。ものすごく。俺の中で織田っちが叫んでいる。ノーライス・ノーライフ……。レーションの味もだいぶ改善されてるし、軍曹の料理はプロ級だが、流石に無から有は作り出せない。って言ってもとはや錬金術レベルの調理だけど。

 

………とても今が戦時中で、つい最近まで命のやり取りをしていた事など嘘のようだ。隣で幸せそうな顔で寝息を立てている伍長がそれを助長している。

──というか軍曹に背負われた後、水筒の水を飲んで途中から既に寝ていた。軍曹をラクダか何かかと勘違いしてんのか?それを全く意に解さず、マットを敷き、ゆっくり下ろす軍曹の姿はやっぱり5歳児の親とかぶる。

 

 そんな2人から視線を外し、遥か彼方の大渓谷を見る。雄大な稜線を刻み、風景を大きく小さく切り取る岩壁が、アンバランスなコントラストを描き出し、そこを吹き抜けてきた風が髪をくすぐり、心地よい風切り音を少尉に伝える。これでもだいぶコロニー落としの影響で崩れたらしい。自然は大きくて偉大だが、人間はそれをこうも壊し得るのか。

 

 伍長を寝かしつけた軍曹が、無言で少尉の隣に腰を下ろす。そのまま双眼鏡を取り出し、付近の索敵を行いつつ、少尉へと口を開く。

 

「……少尉、覚悟を決めては…どうなんだ……?」

 

 その言葉に、少尉はため息をつきながら身体を仰け反らせる。誤魔化すように青い空に浮かぶ白い雲を目で追いつつ、ただ、ポツリと言った。

 

「──確かに一番階級が高いのは俺だ。だが、それだけだ」

 

 本当に、それだけだった。

 

 それだけだった。

 

 

……………………………………………………………………

 

 

 

──U.C. 0079 3.26──

 

 

 

 墜落時に受けた負傷がまだ回復しきってはいないため、少尉はやる事もなくベッドに寝転がり、キンキンに冷房の効いたトラック内でおやっさんから話を聞いていた。

 頭の体操と戦線復帰の為のリハビリ一環として、少しでも手先の感覚を取り戻そうと始めたルービックキューブは、どの面も不揃いなカラフルさを際立たせ、その存在感を自己主張していた。

 青い面のみ7つ程揃っておりその努力の片鱗こそ見せてはいるが、言うなればただそれだけであり、全く揃わぬままシーツの上に無造作に投げ出されている。

 

 少尉が意識不明の時は片時もその側を離れなかったらしい軍曹と伍長の2人は仕事中らしい。申し訳ない。

 しかし……伍長、仕事増やしてなきゃいいんだけど。まぁ……軍曹と一緒なら安心か。

 

 少尉の横たわるベッド傍の小テーブルには、焼け焦げた表紙にべったりと血を吸わせ、ガチガチになった本に、同じく血塗れであったが、軍曹の手によってピカピカの新品同様に整備された私物の護身用ハンドガンTYPE-22、それに伍長からのお見舞いの品、博多産の辛子明太子の入ったパックが置いてあった。

 

 俺明太子嫌いなんだけど………。あとそのチョイスはなんだよ?嫌がらせ?それともアレか?サイド6("リーア")の文化かなんか?どちらにしろロクでもねぇんだけど。

 

「………と、言うのが今の現状だ」

「そうですか……指揮官は何と?」

「指揮官は?って、少尉が言うか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏡を見てみな、そこに指揮官は写ってるよ。よろしくな、少尉、いや、指揮官。うははははっ。その顔!悲劇は長時間寝かせると喜劇になるとは言うが、相当面白い喜劇になってるな!うははははっ!!」

「は、はあ!?」

 

 少尉が驚きに目を丸くし身体を起こし、痛みに耐えかねたのかまた倒れこむ。その様子を見て元気じゃねぇかと独り言を零すおやっさん。

 

 俺が?いや、ドッキリだろ。冗談だとしても目を覚ましたばかりで状況の掴めてない奴にはヘビー過ぎる。

 もう少しギャグと言う物はね、おやっさん。よし、ここはシノハラさん自慢のクールでウィットに富んだジョーク一発で場を………。

 

「……冗談でもやめて下さいといつも……」

「冗談ではない!!」

 

 顔を近づけたおやっさんの大声に驚き、同時に身体に激痛が走るがそれどころじゃない。頭の中で赤いエビに"ファンファン"がはたき落とされる。

 あぁ!!"ファンファン"高いのに!!て言うか何故従来型の攻撃ヘリにしなかったんだ?勿体無い………そのまま"ファンファン"を撃墜したエビは仲間を呼んだが集まらず、1匹で盆踊りを始めたが、脚が絡みつまづき転んで思考停止する。

 って今は関係ない!!

 

「この旅団で一番階級が高いのが、少尉。あんただよ」

「おぉ俺、には経験が……おやっさんか軍曹のほうが……」

 

 その迫力に押されつつ、なんとか出そうとした反論を、おやっさんがバッサリと切り捨てる。

 

「ダメだ。軍は階級が全て。分かってんだろ職業軍人(ライファニー)?それに、チャンスだと思わんのかこのチキン」

「……思えませんよ。タンドリーだかフライドだか知りませんがそれでいいですから……」

「──選択肢は無いぞ?」

 

 近づけていた顔を離し、腕を組みながらおやっさんが再度言う。一筋の汗を垂らしながら、少尉は何とか応えた。

 おやっさん、やっぱ俺が嫌いなのか?勘弁してくれ。こんな若造についていく奴がいるとでも?

 

「……少し、考えさせてください……」

「ふむ…。ま、選択肢は無いが、心を落ち着かせにゃな」

 

 もう既に決め切っているおやっさんの声のトーンに、軽く眩暈を起こしつつ少尉は呟き、項垂れる。決定権がない指揮官って……って言ったら指揮官やる事認めたな、って言われそうだなぁ……。

 

「今はリハビリに専念します…」

「だな、そうしろそうしろ。んじゃ、トイレ(OSH)行ってくらぁ」

 

 スライド式のドアが音も無く開き、そこに滑り込むようにしておやっさんが出て行く。とんでもない置き土産を残したまま──。

 

………………………俺に、どーしろと?

 

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい…………。

 

 開け放たれた窓から風が迷い込み、少尉の頬をくすぐる。きっちりと巻かれた包帯の上から頭を軽く掻いた少尉は、再びベッドに倒れこむ。部屋に寝息が響くまで、そう、時間はかからなかった。

 

 

……………………………………………………………………

 

 

「いや、思い出したとこで何にもならん」

 

 ため息を一つ。そうだ、キャッチ22を真面目に考えてどうなる?同じ所をグルグル回るだけだ。

 足を組み直し、少尉は頭を掻く。となりで伍長が寝返りをうった。軍曹は双眼鏡で索敵をしている。

 

「……少尉。……俺は、少尉を信じる………ついて行く…」

 

 軍曹、信頼してくれるのは嬉しいが、何でだ?

 

 軍曹には謎が多いが、これが一番の謎だ。軍曹と会って数ヶ月。俺は何もしてはいないし、きっかけと呼べるものも存在しない。それこそ『気が付いたら』というヤツだ。

 

 頭を振る。今はそれどころじゃない。それに、俺は他人の過去をわざわざ掘り返していちいち警戒する程暇じゃない。大切なのは今だ。その今を越えるのに、過去の詮索は何も力添えをしてくれない。

 

 あの後おやっさんから聞いた事であるが、正規の兵士はこの3人のみであるとの事だ。後全員は整備兵のみらしい。なんだそれ?と思って聞いてみたら、『信頼出来るのはこの3人しかいなかった』とのたまった。いや、それより人数をだな……戦力が実質"ロクイチ"1輌じゃねーか。

 

 いやー、"ロクイチ"が2人乗りで良かったね。軍曹と伍長で1輌運用出来るよ!!うん。

──二連装の主砲に自動装填装置、コンピュータを始めとする電子機器等でいっぱいいっぱいになって2人乗りにせざるを得なかった、なんて聞いたけど。ホントだよ。戦場でトラブった時2人でどう修理すんだよ。

 そういやMSは何人乗りだろ?5人でも足りなそうだな。それともコンピュータ制御?いや、無人かもな。

 

…………それにどうやってあんな大規模なトラック群を用意したのか聞いた所、かなり前から資料偽造、部品の水増し、物資の横流しや闇ルートと犯罪がズラリ。凄まじい手腕で現に今とても助かってるが犯罪だからね?アレ?俺コレ共犯?タイーホされない?コレ?

 

『細けェこたぁ気にすんな!!バレなきゃ犯罪じゃねぇんだよ!!』

 

 そーゆー問題じゃない!!

 

 そんなこんなでパンク寸前の頭をこんがらがせる少尉を励ますように、そよ風が吹き砂埃を巻き上げ、小さなつむじを巻いては消えて行く。心地よい風だ。隣で伍長はむにゃむにゃと寝言を言い、手を動かしている。軍曹はまだ微動だにせず双眼鏡を覗いている。緩やかな風に、首に巻かれたスカーフのみがはためいている。

 軍曹につられ、双眼鏡を覗いてみた。どこもかしこも岩だらけで、何もなさそうだが………?荒れ果てた高原の一角、クレーターの様に大きく抉られた湖の淵に、崩れて久そうな廃墟群が見て取れた。ほぼ風化し、今にも無くなりそうだった。

 

「──軍曹、あの廃墟は?」

 

 少尉が双眼鏡から目を離し、隣の軍曹に声をかける。少尉はここら一帯の地理に詳しい訳でない。それに加え北米大陸は広く、更にはコロニー落としの被害に地殻変動、都市の崩壊と難民の発生、集団疎開、ジオンの地上侵攻と大混乱だ。今の少尉には、あの廃墟が何なのかは全く検討がつかなかった。

 

「……コロニー落としで、打撃を受けた………その後の、ジオン侵攻で………」

「………そう、か…」

 

 その言葉を聞き、言葉につまり黙り込む少尉に、軍曹が呟く様に小さく言う。

 

「……──"セント・アンジェ"……」

「──え?」

 

 思わず聞き返す少尉に、軍曹は一拍置いた後、噛みしめるようにもう一度呟いた。その言葉は、感情を表さない軍曹に珍しい、わざとらしく感情を押し殺したかの様な声だった。

 

「………"セント・アンジェ"、と言う………町だった(・・・・)………」

「……………」

 

 少尉はもう一度双眼鏡を覗き込み、その廃墟を覗き込む。

 風化が進み、時折思い出したのかの様に陽光に煌めくステンレス片を除き、自然の一部へと戻り始めているそれに、少尉は想いを馳せる。

 

 あの小さな村の残滓は、まるでこの戦争そのものだ。あの村はどんな村だったのだろう?どんな人が居て、どんなドラマが繰り広げられたのだろう?それを知る者は誰一人として居ない。皆いなくなり、村も滅んでしまった。戦争が始まり4ヶ月、あの村の様な最期を迎えたところは後を絶たず、数え切れないだろう。

 

「………2人で、覚えておこう………確かに、あった……」

「……そう、だな……」

 

 太腿に違和感を感じ双眼鏡から目を離す。隣の伍長が寝返りをうち、枕にしていた。それを見て軽く笑うと、軍曹も薄く唇を引き結ぶ様に歪め、2人で小さく笑いあった。

 

 のんびりと、時間だけが流れていく。

 

 大自然ってヤツは、人を哲学者にする。

 

 風が吹く。遥か彼方であの廃墟が、蜃気楼の様に揺らぐ。まるで、幻の様だ。

 

 しかし、例え幻であろうとも、かつてあの街を現実として生きていた人達が居たのだ。

 

 この仲間と戦い、守りたい。そう思った。それが、多数の命を抱える重圧に耐えなければならない事になっても。

 

「──ん、少尉……」

 

 伍長が寝ながら薄く笑っている。寝言のようだ。

 

「……少尉になら……出来ますよ……」

「………それには、同意…だな………」

 

 その奇跡のようなかけ合いを聞いて、空を見上げた。ギラギラ輝く太陽と、すき抜ける様な青、真っ白な雲。それが遥か地平線まで続いている。守りたい、と思った。

 

 心の底から、思えた。

 

「………よし!!」

 

 伍長をどけ、立ち上がる。隣で伍長がビクっと(ジャーキング)しつつ目を覚ます。

 

「んむ~……、何が始まるんです?」

 

 寝ぼけ眼の伍長が目を擦り、小さく呻き声を上げながら身体を起こす。その頭を撫でつつ、少尉は決心を揺らがせぬよう、自分を奮い立たせる様に声を張り上げる。

 

「大戦はもう始まっている!寝言は寝てる時だけで十分だ。軍曹!!」

「…2秒後に、行軍…再開可能……」

 

 少尉が軍曹へと振り向いた時には、軍曹は既に行軍用の装備を整えていた。3人分。正直頼りになり過ぎると思った少尉だった。

 

「よし、行くぞ!トラック(キャンプ)に戻る!ついて来い!!」

 

 腕を振り上げ歩き出す少尉に軍曹が続き、やや遅れて伍長も歩き出す。まるで踏み締める様に足を振り下ろし、気合いを入れずんずん歩く少尉の足跡が、カラカラに乾いた砂漠の大地に刻まれる。その隣には軍曹の規則正しく大きな足跡に、ふらふらと頼りなく引きずる様な、伍長の小さな跡が並ぶ。

 

「……了解……どこへでも……」

「……うへぇ~、でも、わたしもついて行きますよ!!」

「当たり前だ伍長。戻らないと凍死するぞ?」

 

 肩をすくめ、冗談めかして言う少尉の言葉に、伍長が頬を膨らませる。

 

「寒いのは嫌!!ってそーゆー意味じゃありませんよ!!」

「……伍長…少尉も、分かっている……」

「む~…」

 

──それより……何の疑問を持たず手ブラでついてくる伍長。あんたはそれでいいのか?その発想はなかったわ。つーかいらなかった。それと靴紐はしっかりと結びなさい。転ぶz……。

 

「きゃっ」

「あー、全く。ほら、掴まれ」

「あ、ありがとう、ございます……」

 

 見事に靴紐を踏んで転んだ伍長に手を貸し、立ち上がらせる。しっかり結べよと言い含め、振り返り水筒に口をつける。喉が渇いた、と思った時には既に身体は脱水を起こしているのだ。乾燥地帯では、感覚でなく時間で定期的に口に水を含ませておくのが生き残るコツである。

 

 靴紐結ばんと、桜庭みたく肝心な時に、例えばゴール前とかで転ぶからな。戦場と言う、俺たちのフィールド上で転ぶワケにはいかん。

 

 やや日が翳り始めた岩砂漠を、喋りながら3人の兵士が歩く。斜陽は世界を紅く染め上げ、黄昏の世界を創り出して行く。ゆっくりと地平線へとその身を沈める火輪を背に、少尉達の影は長く伸び、それはまるでMSのようだった。

 

 

 

 

 

 

 やや予定より遅れたが、無事にキャンプに戻る。辺りは陽が落ち、すっかり夜だ。身震いをする(シバリング)様な冷気が立ち込める中、毛布にくるまった伍長はまたもや軍曹の背中で寝息を立てている。

 それを見て、急速に少尉の希望が萎み、むくむくと不安が鎌首をもたげる。さっきまでのやる気はどこへやら。いきなり不安になってきた。綺麗な寝顔だろ?こいつ、全戦力の1/3何だぜ?

 

 行軍用の荷物を起き、地図が広げられた折り畳みのデスクの前にいたおやっさんに声をかける。指揮官としてやる事はあまりにも多いが、ともかく、出来る事から始めようと思ったからだった。

 

「おやっさん、近場のジオン軍の動きは?」

 

 机に手をついた少尉をさも当然の様に見、おやっさんは平然と話し出す。

 完全に織り込み済みか……手のひらの上っつー事……。はぁ、敵わんわ。この人に軍曹だけは敵に回したくない。

 

「"キャリフォルニア・ベース"占領後、大陸中央に向けて進軍中らしい……"サンディエゴ・ベース"も落ちた様だ」

「………ふむ…」

 

 顎に手を当て、目の前の地図を睨みつつ考え込む。確実に生き残り、尚且つジオン勢力圏内から抜け出しつつ、大規模連邦軍基地及び、地球連邦軍勢力圏内へ脱出する最短ルートは……。

 

「うははははっ!いい顔をしてるな。どうやら、覚悟とやらを決めてきたか?」

「はい、出来る事をやろうと思います。今は、今しかできない事を精一杯。せめて、後で後悔ぐらいは出来るようには。サポート、頼みます」

 

 おやっさんが肩をだく様にして叩き、少尉は自信なさげに笑いながらそれに応える。そんな2人を揺らめく焚き火の炎が照らし、影をトラック表面に映し出した。

 

「ああ、ドンと来い。出来る事は全部やろう。出来ない事も最大限努力する」

「………感謝します」

 

 頭を下げた少尉の肩に、おやっさんが優しく手を置く。顔を上げた少尉の顔を覗き込み、おやっさんが囁くように続けた。

 

「…忘れるな 俺はお前らの力になるし……そういう人間は今後 確実に増えるだろう…少尉、後は、信じろ。自分も、周りも……」

「……はい!!」

 

 力強く頷き、改めて考える。何か、いい考えは……肩の力を抜き、首を巡らす。

 お、軍曹だ。装備を下ろし、身軽な服装になった軍曹が、寝ぼけ眼の伍長を焚き火の側に連れて行き、レーションを渡し、そのままその他の整備兵に誘われるまま賭けのポーカーを始める。それをぼんやりと後ろから眺める伍長。いつもの風景だ。

 

 皆も軍曹に一度足りとも勝った事無いのに果敢に挑むなぁ。余裕があるのはいい事だ。今夜は参加しなくていいかな……あまり余裕があるわけでもなし、第一博打は苦手だ。どうも。

…………貧乏性だからか?チキンだからか……。博打で大金貰うよか、掛け金をそのまま懐に入れるタイプだからな。

 

 ふと気がついたら、隣に居た筈のおやっさんも別のグループで賭けトランプを始めていた。好きだなぁ、おやっさんも。

 

「…少尉……」

 

 入れ替わりに軍曹がやって来た。手にはマグカップを二つ持っている。礼を言い一つを受け取り口をつける。うん。軍曹のコーヒーは旨い。夜風の冷気に冷えた身体に、心地よく染み渡る暖かさを実感しながら、立ち昇る湯気をぼんやりと眺める。

 儚く、それでいて力強く輝く星空に、溶けて行く様に昇る湯気が幻想的な雰囲気を醸し出す。

 焚き火の上で炎は燃焼し、空気を膨張させ、ぱちんという小気味よい音とともに爆ぜる。生み出される光は太陽のそれより赤く、柔らかかった。

 

「トランプはいいのか?」

「……伍長に、任せた………」

 

 そうか……ん!?それはマズくないか!?

 

 口を開こうとした少尉に先じて軍曹がその口を再び開く。珍しい事もあるものだと、少尉はその口を閉じ軍曹の話に耳を傾ける。

 

「……少尉は、どうする……つもりだ……?」

「……む………」

 

 腕を組み地図を見下ろす。長考に入った少尉を、軍曹は静かに、一言も口を開かず見守っている。

 

 ジオンは中央を目指していると聞いた。なら、港から海へ、と考えた所でコロニー落としでほぼ壊滅した事を思い出す。復旧作業こそ行っているが、そこにジオンの侵攻だ。一溜まりもないだろう。

 そもそも西海岸側で被害の最も少なかった軍港である"キャリフォルニア・ベース"は陥落してしまった。脱出艇が確認されない上コンタクトも無いと言う事は、大量に配備されたあの最新鋭の潜水艦部隊は自沈させたのだろうか、惜しい事をした。

 あそこにはロールアウトしたばかりの新鋭艦が揃っていた筈だ。それさえ使えれば、南アメリカどころかアジアまでもあっという間なのになぁ。

 

「中南米を経由して、"ジャブロー"方面へ抜ける、か?」

 

 少尉の結論に、軍曹は満足そうに頷き、言葉を継ぐ。その顔が無表情でなければ、まるで教師と生徒だ。戦闘経験という観点から見れば、それは強ち間違ってはいないが。

 

「………"グレート・キャニオン"は………どうする……?」

「この装備じゃ渡れないな…このままコロラド河を遡り、水中渡河後、アリゾナ砂漠を横断する……というのはどうだ?」

 

 軍曹が指差す先に記された"グレート・キャニオン"の文字に、コップを置き、地図を指でなぞりつつ答える。この旅団の装備に関してはおやっさんから既に聞かされていた。

 正直かなりの物で驚かされたのは記憶に新しい。それを扱えるかはともかく、だが………。

 

「……俺も、それを考えていた……最悪、進軍する、ジオン……と、鉢合わせるが……一番、現実的だ……」

「おっ、そうだな。」

「おやっさん!!いつの間に!?」

 

 いつの間にか戻って来ていたおやっさんが同意する。目を瞬かせ驚きつつおやっさんを凝視する少尉の目には、胸ポケットからは札束が、尻ポケットからはカードが少し頭を覗かせているのが映る。イカサマかよおやっさん……。

 

「……おやっさん。おやっさんも、それでいいですか?」

「ん。『それでいい』と胸を張れ指揮官。よし、今日はパーティだな、目標が決まった。士気を上げるためにも必要だ」

「だったら、部隊名を決めましょう!!ねっ!!ねっ!!」

 

 どさり、と身体に負荷がかかる。元気いっぱいに復活した伍長が背中から抱き付いて来たのだ。思わずよろめくが態勢を整え、ゆっくりと降ろす。病み上がりなんだから勘弁してくれ。

 

「んっ!伍長か、ったく……それより所持金大丈夫か?」

「はい!五倍くらいに!!今度なんか奢りますよ少尉!!えへへー」

「……強かったのか」

 

 意外だ。いつもバカっp………元気がいいから、てっきりボロクソにヤられてくるかと。ま、周りも手加減してくれたに違いない。伍長だし。

 

「……いや、勘と頭は、良いんだ………ただ…使えない、だけ……」

「軍曹ひどい!!このっ……うーん?まぁ!!取り敢えず名前!!名前決めましょう!!少尉はどんなのがいいですか?」

「………いや、そうだな……"California Base Brigade"(キャリフォルニア・ベース旅団)、略してCBBでどうだ……なんだその顔」

 

 どうせ俺にネーミングセンスはねぇよ。だが伍長、お前には言われたくない。

 まるで『失望しましたよあなたには』と言わんばかりに両方の眉毛をハの字にした伍長にそこはかとなく腹が立つ。

 

「つまらないです!もっと少尉らしさを出して行きましょうよ!!」

 

…………らしさってなんだろうな?コンビニの雑誌コーナーにも星占いでも判らん………。この歳になって自分探しか?笑えねぇな。

 

「……俺は、どうでも……」

 

 興味なさげな軍曹の隣で、おやっさんが口を開く。

 

「やっぱそう言うのがいいんじゃねぇか?"ブシドー"旅団とか」

「勘弁して下さい!」

 

 なんだその日本大好き外国人が付けるような名前はと思ったらこの人そうだった。前もふざけて適当に忍者の真似したらスゲー受けたし……。

 

「じゃあ、"サムライ旅団"で……」

「それも……」

 

 遮ろうとした少尉に目もくれず、振り返ったおやっさんは焚き火を囲う整備士達へと呼びかける。

 

「あー、野郎ども!!"サムライ旅団"でいいか!」

「「おう!!」」

「よっしゃ!いい名前じゃねぇか!!」

「はっは。クールでピッタリですな」

「多数決でけってーい!!よろしくね団長!!うふふ、団長かぁ~かっこいいですね!!」

「………」

 

 あれよあれよと会議は進み、団長を置いて収束する。団長、形だけ過ぎるだろ。恐るべし民主主義。

 

「……仕方ない……数に勝てるものは、無い……」

「野郎ども集まれ!!"サムライ旅団"結成と、団長に乾杯!!」

「「カンパーイ!!」」

「………はぁ……」

 

 大丈夫かコレ?不安過ぎる。前途多難にも程があるだろ。

 またも騒ぎ始めた整備班を前に、肩を落とす少尉を軍曹が肩を叩きつつ励ます。

 うぅ……俺の仲間は軍曹だけだ。ありがとう軍曹。輝いて見えるよ夜だけど。

 

「……気にするな……少尉は、一人じゃない……」

「……軍曹……」

 

 軍曹の言葉を背に受けながら、静かな光をたたえる星を包む、遥かな宇宙(そら)を見上げる。

 

 奇しくも、その時夜空が瞬き、流れ星が走った。

 

 あの箒星が向かった先が、俺達の向かう先だ。

 

 星を見送った少尉は、そのまま無意識に手を握り締める。

 

 目指すは、遥かなる地球連邦軍最高司令部、南米"ジャブロー"。

 

 

『よい戦場を』

 

 

 

 

決死の旅が、始まる…………




一年戦争のMSVは好きな機体が多いので、出来るだけ出して行きたいと思っています。そもそも主人公MSに乗ってない上連邦MS開発すらしてないけど。

因みにジオンはかの有名な闇夜のフェンリル隊の活躍によりキャリフォルニアベースの潜水艦をちゃっかり手に入れ、ハワイとか攻撃します。ユーコン級、マッドアングラー級は連邦軍の潜水艦なんです。前回までもそうで、一つ言い忘れましたが、わざと間違った事が書いてある時もあります。素で間違えてる所は指摘お願いします。


次回 第五章 物資集積所襲撃

「なるほどー。えっ?」

アルファ、エンゲージ!!

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