魔法の世界のアリス   作:マジッQ

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|ω◎)
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エタってないぞよ。
もうちっとだけ続くんじゃ。


嵐の前

 

『アーサーが負傷した。子供達とハリーは急遽ロンドンへ戻る。君はホグワーツで待機していてほしい』

 

DA最後の日の夜にダンブルドアから受け取ったメッセージにはそう書かれていた。メッセージと言っても手紙などではなく、一枚のカードに“変幻自在術”を掛けたものによる伝達方法だ。伝達方法が一方通行ではあるが、万が一私のカードがアンブリッジに奪われた場合のことを考えればしょうがないだろう。また、“変幻自在術”による連絡手段は私用に作られたようで、他の―――マクゴナガルやスネイプ、シリウスやムーディなど、騎士団の正式な―――つまり大人は、これより安全で確実な方法を持っているらしい。ここら辺の扱いの差に、メンバーとはいえ子供として扱われていると感じるが、まぁ実際に子供ではあるので気にしないようにしている。現状、これで特に困ったことはないのだから。

 

余談だが、“変幻自在術”はDAの連絡方法としてハーマイオニーも使用している。だが、この魔法は本来N.E.W.Tレベルの魔法であり、普通なら七年生になって扱うことの出来る魔法なのだ。それを五年生の身で完璧に扱っているハーマイオニーは、やはり他の生徒と比べると一歩も二歩も進んでいると、改めて思う。

 

 

クリスマス休暇に入り、ハーマイオニーやネビルを含む殆どのDAメンバーが帰省していることもあって、何かと手持ち無沙汰になっている。休暇前に出された宿題は既に大部分を終わらせてあるし、ヴワルに戻っても至急手を加えなければならないこともない。

ならばと、今年の休暇くらいはのんびり過ごそうかと図書室で読書をしたり、ドールズと縫い物をしたり、アクセサリーを作ってみたりとしていた。

 

「マーガトロイド」

 

夕暮れ時、天文台に登って茜と白銀に染まった景色を眺めていると、後ろから声を掛けられた。振り返った先にいたのは、今学期になってから度々話しかけてくるようになったドラコだ。

 

「こんにちは、ドラコ―――また、例の話かしら?」

 

「まぁね。いい加減、良い返事をもらいたいんだけど?」

 

「はぁ―――何度来ても答えは同じよ」

 

「だがこちらとしても、はいそうですかと言って引き下がるわけにもいかないんだ―――マーガトロイド、例のあの人の下にくるんだ。それが君にとって、最善であると分からないのか?」

 

ヴォルデモートへの従属。恐らくヴォルデモート本人か父親であるルシウスにでも命令されているのだろう。ドラコが度々話しかけてきてくる内容がこれだ。

 

「何度も言っているでしょう? 私的には、ヴォルデモートが支配する世界よりも、そうでない世界の方が暮らしやすいのよ」

 

ヴォルデモートの掲げる純血思想は、はっきり言って害悪にしかならない。純血以外の魔法使いやマグルを排除する。そんな世界は遠くない未来に滅びることが分かりきっているのだから。

それに、私はマグルの世界が嫌いではない。元々がマグル出身であることもそうだが、一人の人形師としてマグルの存在は必要不可欠だと思っている。マグルの、魔法を使えないからこその手作りによる精巧さは、魔法使いには決して再現できない技術の結晶だ。その技術は昔ながらの伝統を重んじながらも、日々進化し続けている。過去の蓄積を元に未来へと歩んでいるのだ。逆に、魔法使いは未来ではなく過去を追及しており、かつての栄光や力しか見ていない。全員がそうではなく、マグル同様に蓄積と研鑽によって未来へと歩む人も存在するのだろうが、圧倒的に少数派であることは間違いないだろう。

 

 

その後も、ドラコは様々な誘いの言葉を言ってきたものの、今回も脈なしと判断したのか、踵を返して階段を下りていった。だが、その姿が完全に見えなくなる前に一度立ち止まり、顔だけをこちらへ向ける。

 

「言っておくぞ。君に残された時間は少ない。最後には、あの人自らが君を訪ねるそうだ。その時が最後の選択だろう。君が頷けば手厚い歓迎を受けることが約束されている。が、首を振ればあの人の手によって殺されてしまうぞ」

 

その言葉を最後に、ドラコは階段を降りていった。私は視線を僅かに青く染まってきた景色に戻し、ドラコの言葉を頭の中で考察する。ドラコの言う通りであれば、そう遠くないうちにヴォルデモートが直々に私の元へと訪れるみたいだが、まさかホグワーツに直接乗り込んでくるなんていうことはないだろう。となると、考えられるのは夏休みの間になるか―――私がホグワーツを出ざるを得ない状況にするかのどちらかだろうか。少なくても、六年へと進級する前までには何からの接触をしてくることは間違いなさそうだ。

 

となれば、ヴォルデモートが接触してくるまでに、今以上の対抗策を講じておく必要があるだろう。ヴォルデモートに恭順する意思がない以上は、ヴォルデモートとの戦いは避けられない。直接戦ったことはないのでヴォルデモートの実力がどれ程なのか分からないが、今の私がヴォルデモートよりも上などということはないだろう。それこそ、真正面から戦うならばダンブルドア級の力が不可欠だ。であれば、私が出来るのはあらゆる可能性を考えて、多くの絡め手を駆使すること。実力が劣るならば策で覆せ。どこかの歴史的人物が言っていたようなそうでないような言葉が、今の私には当てはまるだろう。

 

「さて―――そうと決まれば、残りの休みを無駄に過ごす訳にはいかないわね」

 

これから先に起こりえるだろう様々な可能性を思い描きながら、天文台の階段を降りて必要の部屋、そしてヴワルへと向う。

 

 

 

 

クリスマス休暇が終わると、騒がしい日々が戻ると同時に面倒事も沸いてきた。中でも特筆するべきは“アズカバンでの集団脱獄”だろう。朝食の場でその記事が書かれた日刊預言者新聞を読んでいた生徒の多くが、その事件に言葉を失っていた。というのも、脱獄した囚人の殆どは死喰い人―――つまりヴォルデモートの配下であるからだ。アズカバンに投獄されていた死喰い人というのは、かつてヴォルデモートが死んだとされた時に魔法省へと屈せずにいた者達である。ルシウスのような中途半端な忠誠心の死喰い人とは違い、アズカバンへ投獄されると理解していながらもヴォルデモートを裏切らなかった彼らは、それだけで忠誠心の高さが窺える。そして、闇の陣営において忠誠心が高いというのは、実力が高いということとほぼ直結しているのだ。ヴォルデモートは自らに忠誠を誓う者を手厚く扱う。それは地位然り、知識然り、魔法然りだ。

 

その死喰い人が脱獄したとあっては、流石の魔法省も現実を理解するだろうと思ったのだが―――ここまで来ると、魔法省は一度綺麗になくなったほうがいいのではと思ってしまう。記事を読んでいると、魔法省がこのような事態になったにも関わらずヴォルデモートと脱獄を結び付けていないことが見て取れる。もしかしたら―――それこそファッジ自身も現実を理解している可能性はあるが、それを表に出さない以上意味のないことだ。

 

この話題は近日に行われたDAでも取り上げられた。今までDAメンバーでもヴォルデモート復活を信じきれていない者は何人かいたようだが、今回のことで全員が信じるようになったようだ。それに伴って、皆がクリスマス休暇前以上に訓練へと気合を入れていたのは良いことだろう。

 

 

 

「ネビル、ちょっといいかしら?」

 

その日のDAが終わり、メンバーが順番に部屋から出て行くのを見ながら、ネビルを呼び止める。あの日以降、ネビルは何かと私を避けているようだったので、今回は逃げられないように先回りしてから話しかけた。ハリー達が出て行ったのを最後に、部屋の中は私とネビルの二人だけとなる。ハリー達は残る私達に疑問を持っていたようだが、そこは今日の訓練で気になることがあるということで納得させた。

 

「さて―――ようやく話す機会が出来たわね」

 

「う、うん。そ、そうだ、ね」

 

「―――というのも、ネビルが何かと私を避けていたのが原因なんだけれどね」

 

誰が見ても落ち着かない様子を見せているネビルへと、皮肉交じりに話していく。少しの間、適当な雑談でネビルを落ち着かせた後、一息入れて本題へと入る。

 

「それでね、クリスマス休暇前の話の件なんだけれど」

 

「う、うん」

 

そう切り出すとネビルはまた緊張し始めたが、目だけは私から逸らさずにしっかりと見返してきた。私もネビルと目を合わせて、あの日から考えて出した結論を伝える。

 

「―――ごめんなさい」

 

言うと同時に頭を下げる。

これが、私が出した結論。あの日から色々と考えてはみたが、現状ではネビルの想いには答えられないという意思で固まった。結論が出てからも幾度か再考してみたものの、変わることはなかった。

 

「ッ―――」

 

頭を上げて、ネビルへと再度向き直る。ネビルは、平静を保とうとしているようだけれど、見て分かるほどの落ち込みようだった。

 

「ごめんなさい、ネビルが嫌いというわけではないの。ネビルの気持ちは嬉しいわ。けれど、正直今は誰かと恋仲になろうという気にはなれないの」

 

魔法の勉強や研究に専念したいというのもあるが、何よりヴォルデモートに付け狙われているというのが一番面倒な理由だ。今も色々と策を講じてはいるが、それが全てヴォルデモートに有効的とは限らないので、可能な限りの備えをしておきたい。でも、それには時間が圧倒的に不足しているので、これ以上他のことで時間を浪費したくはない。加えるなら、親しい人を増やすことで弱点を増やしたくはないというのも一因だ。親しければ親しいほどに人質となったり、“服従の呪文”で操られて敵の手中となる可能性が高まるということもあり得る。それは考えうる限りで最も厄介な弱点の一つだ。

 

今ならまだ、そのような状況になっても切り捨てることは出来る。自分でも非情かつ外道とは思うが、自らの命には代えられない。たとえ、天秤に掛けられるのがパドマやアンソニーだとしても、秤は私に傾くだろう。

私は、自分の命を引き換えに誰かの命を助けられるような聖人でもヒーローでもないのだ。

 

では、恋仲となった相手ならどうかと言えば、正直分からない。今までそのような関係を経験したことはないし、そのときに私がどのようなことを考えているかが想像できない。付き合いたてならば切り捨てることも出来るだろうが、そうでない場合は切り捨てることが出来ないかもしれない。そのときに一瞬でも隙が生じれば、容易く殺されてしまうことも考えられる。最悪なのは“服従の呪文”によって、意思もなく操られることだ。

私はまだまだ死にたくないし、世にある未だ見知らぬ知識を求めると同時に人形作りの腕も磨いていきたい。その為には、不確定要素は可能な限り取り除く必要がある。このような理由でネビルの想いを断るのは不謹慎だと思うが。かといって付き合うとなったら、それはそれで不謹慎だろう。

 

流石に、この考えをそのままネビルに伝えることはできないので、出来るだけ言葉を選んで話した。ネビルは視線がフラフラとしていたようで、ちゃんと聞いていたかは分からなかったが、最後の別れ際に「今は駄目でも、僕、諦めないから」と言っていたので、聞こえてはいたのだろう。出来れば他の人をネビルには探して欲しかったが、これ以上は私から言うことは出来ないので、何も言えず仕舞いに終わった。

 

 

 

 

「閉心術のコツ?」

 

ネビルへと返事をした数日後、ハリーとロンを引っ張ってきたハーマイオニーが、開口一番に“閉心術”のコツを教えて欲しいと言ってきた。いきなりのことに驚きながらも理由を尋ねると、ハリーがスネイプに“閉心術”を習っているが成果が思わしくなく、辛辣な評価を言われている際に、スネイプが私の名前を引き合いに出したようなのだ。それを三人で話し合っていたところ、実際に聞いてみようということになったらしい。

 

「きっとスネイプはハリーに“閉心術”を身に付けさせる気がないんだわ。だって、やり方が悪辣過ぎるもの」

 

ハーマイオニーがやたらスネイプのことを酷評するので、どのような訓練方法をしているのか聞いてみたところ、ハリーに碌な説明もしないで、一方的に、ハリーが覗かれたくない心を覗かれているとのことだ。ハーマイオニーはもっと理論だとかコツだとか、説明をきちんとするべきだと主張している。

 

「貴方たちの期待を裏切るようで悪いけれど、スネイプがやっている方法は間違っていないわよ」

 

そう言うと、三人は信じられないというような顔をした。

 

「確かに、基礎的な理論を説明しないでいきなり本番というのは問題だけれど、身に付ける為の訓練方法としては有効的なやり方よ。そもそも、覗かれたくない心を護る為の“閉心術”なんだから、まったく危機感のない訓練をしても意味がないでしょう? 気づいていないだろうけど、ハリーがやっている訓練環境はかなりの好条件よ。スネイプ程の閉心術師は滅多にいないし、なにより、ハリーってスネイプのことをこれ以上ないほどに嫌っているわよね? そんな相手から心を護るために心を閉ざす。これほど“閉心術”を身に付けたいと思える理由はないと思うんだけれど?」

 

その他にも、スネイプに“閉心術”を習うメリットを一つずつ説明していくが、見ていた感じでは理解はしても納得はしていないようだった。一応、いくつか参考になりそうなコツは教えておいたが、今のハリーの様子では活用しきれないだろう。スネイプの代わりに私が教えてくれないかとも言われたが、私がやったところで手段は変わらないし、何よりハリーに“閉心術”を身に付けるように言ったのはダンブルドアのようなので、素直にスネイプに教わるようにと言って断った。

 

 

 

その後数日間は、特別慌しいこともなかったが、翌々週になるとまたしても騒動が発生した。トレローニーとハグリッドの解雇、ダンブルドアの校長職解任及びアンブリッジの校長就任 尋問官親衛隊の設立、ザ・クィブラーに掲載されたハリーの記事などだ。

 

トレローニーとハグリッドの二人がアンブリッジによって解雇となった後、占い学の後任にはケンタウルスのフィレンツェが、魔法生物飼育学の後任にはグラブリー・プランクが就任した。トレローニーに至っては、解雇処分と同時にホグワーツから出て行くようアンブリッジに言われていたが、それはダンブルドアによって防がれ、引き続きホグワーツに在住することとなっている。

ダンブルドアの校長職解任は理事会の決定によるものらしく、聞いた話だとファッジとルシウスが理事会へと圧力を掛けたようだ。尤も、元々理事会の中でもダンブルドアの解任の話は出ていたようで時間の問題だったらしい。ダンブルドアは解任に伴ってホグワーツにいることも出来なくなり、現在は姿をくらませている。そのため、騎士団のメンバーであっても連絡が取れない状況となっているようだ。余談にもならないが、ダンブルドアに代わり新たな校長にはアンブリッジが就任している。

 

尋問官親衛隊というのは、アンブリッジが設けた魔法省を支持する者達で構成されたグループのことだ。監督生同様に生徒から減点できる権限を持っているが、その権限が監督生に対しても有効ということで少なからず生徒間で不満が募っている。尋問官親衛隊は主にスリザリンのメンバーで構成されており、それによってレイブンクローやハッフルパフもそうだが、スリザリンと犬猿の仲であるグリフィンドールが最も被害を被っている。

ザ・クィブラーには、ハリーが受けたインタビューに関する記事が掲載されており、去年のヴォルデモートが復活した時のことについて詳細に語った内容が公開された。それによって、世間でのハリーを筆頭にする批評が幾分かなくなり、ハリーを支持する人が増えるようになった。その代わりとして、アンブリッジの不興を存分に買ってもしまったようだが。

 

 

DAでの訓練は順調に進んでいる。最近では殆どの人が最初に目標として掲げた呪文を身につけ、今はそれぞれが個別に身につけたい呪文の練習に取り組んでいる。その中でもハリーやハーマイオニーは他の人よりも随分と進んでおり、特にハリーは一度だけだがセドリックとの真っ向勝負で勝利を収めるほどの成長をみせた。

 

DAといえば、最近になってついに密告者が現れた。密告者が現れた場合、私の持つ契約書を写したカードに記されたメンバーの名前が赤く変色するようになっている。それによって、密告者が現れた場合にはすぐに察知することが出来る仕組みだ。今回名前が赤くなったのは、チョウの友達でレイブンクローに在籍するマリエッタである。彼女は最初からDAに乗り気ではないようだったけれど、今までの訓練でそれが改善されればいいと思っていたのだが、そうはならなかったようだ。

尤も、密告者が出たといっても特に問題があるわけではない。このような事態を防ぐために契約で縛ってあるのだから当然だ。しかも、密告しようとした意識を別の事へと誘導し薄れさせて、最終的には密告しようとしたことを忘れさせるオマケ付き。というよりは、覚えられていたら問い詰められることは明らかなので、オマケこそがこの契約の本命である。

 

 

 

 

「進路面談ねぇ」

 

O.W.L試験が差し迫ったイースター休暇前。談話室の掲示板には夏学期最初の週に進路指導の個別面談を行う旨が書かれていた。同時に、掲示板の前に置かれたテーブルには様々な職業紹介の雑誌やパンフレットなどが積まれている。談話室のあちこちで職業紹介の資料を広げる五年生が溢れており、私もそんな周りに漏れずに暖炉前の椅子に座って資料を眺めていく。隣ではパドマやアンソニー、それに何故かルーナも資料を漁っている。

 

「パドマはどんな職業を希望するとかは決まっているの?」

 

「うーん。銀行関係に興味があるんだけれど、職場環境がなぁ。アンソニーは?」

 

「魔法省の国際魔法協力部か魔法ゲーム・スポーツ部かな。やりがいがある仕事だと思うよ。アリスはどう?」

 

「そうねぇ―――興味があるのはないのよね」

 

魔法省関係は面倒極まりなさそうだし、医術関係も乗り気はしない。グリンゴッツはブラック企業も真っ青な労働条件なので論外。ドラゴンなどの魔法生物の生態調査及び保護・研究なんかは結構面白そうではあるけれど、基本その地への超長期的居住というのがネックだ。趣味と実益と時間と研究を全て満たす労働条件となると―――

 

「自営業かしら?」

 

自営業ならば労働条件は自分で好きなように決めることが出来るし、魔法道具の作成などは得意だから、それを中心に取り扱う雑貨屋なんかにすれば趣味と実益と時間と研究の全てを確保できるだろう。弱めた魔法の力を込めたアクセサリーなんかにすれば、マグルの世界でもやっていけそうだ。兼業で人形屋を営むのもいいかもしれない。

 

「えぇ!? もったいないわよ! アリスの成績なら就けない職業なんてまずないでしょう」

 

「そうだよ。ほら、これ。闇祓いなんかいいんじゃないか? アリスなら実力でも知識でも十分狙えると思うよ」

 

「闇祓い―――ないわね。堅苦しそうだし、いかにも激務に追われてますって感じがするわ。なにより魔法省勤めというのが嫌」

 

「―――アリスって、そこまで魔法省のことが嫌いなの? いや、分からなくはないけどね」

 

「去年まではそうでもなかったけれどね。今の魔法省の在り方には良いところを一つも感じないわ。最低限、ファッジが大臣職を退いてもっとまともな人が大臣にならない限り、魔法省に就職しようとは思わないわね」

 

「(ねぇ、アンソニー。年々、アリスの言葉に容赦がなくなってきている気がするんだけど)」

 

「(パドマ、そういうのは思っていても言葉にしては駄目だよ)」

 

「―――なにかしら?」

 

パドマとアンソニーが小声で話しながらこちらをチラチラと見ているので、どうしたのかと問いかけるも、二人はなんでもないと首を横に振って、職業資料を読む作業へと戻った。私はそんな二人に疑問を感じながらも、手に持つ資料を読み進めていった。

 

 

 

イースター休暇が終わった三日目の昼食後、私は進路面談をするためにフリットウィックの部屋へとやってきた。初めて入った部屋には本が隙間なく納められた棚が壁一面に置かれており、部屋の隅には蓄音機とレコードの収納ケースがあった。窓の傍に机があり、フリットウィックは足の長い椅子に座りながら、机に散乱している資料へと手を伸ばしている。

あと、何故ここにいるのかは知らないが、アンブリッジが部屋の入り口―――私の背後にボードを手に持ち、ピンクにフリルのついた椅子に座っている。後ろにいるために、何をしているかは知らないが、カリカリという音から察するにボードへと何かを記入しているのだろう。まだフリットウィックと話してもいないのに、何を記入することがあるのかは不明だが。まぁ、アンブリッジの行動を理解できる人なんてそうそういないだろうから問題はない。むしろ、理解してしまったらそれこそ問題だ。

 

「さて。今日は君も知ってのとおり、将来の進路について話すために来てもらいました。とりあえず、今君がどのような職業に将来就きたいと考えているかを聞かせてもらえますかな?」

 

「そうですね―――今は特にこれといって就きたい職業がある訳ではないので、自営業を考えています」

 

フリットウィックの質問に用意しておいた考えを伝えると、フリットウィックは考えもしなかったかのように目を見開き、パチパチと瞬きを繰り返している。

 

「そ、そうなのかね? 君の成績ならば大抵の職業には就けると思うんだが―――よければ、理由を聞かせてもらってもいいかね?」

 

「それは構わないですが―――理由と言っても、興味のある職業がないとしか答えられないんですよ。銀行は職場環境がアレですし、魔法生物の研究職は拘束期間が長すぎですし、病院関係は私には向いていないと思うので。だったら、自分の好きなことを自分のペースで行える自営業が最適かと考えたんです」

 

「そうなんですか―――まぁ、そういった理由で自ら職を立ち上げようとする生徒もいますがね。魔法省関係の職業は考えていないのかね? 君ならば闇祓いになるのも十分可能だと思うが「ェヘンェヘン」―――」

 

フリットウィックが話している最中に、背後に控えているアンブリッジが咳払いを行ったことで話が中断された。フリットウィックはアンブリッジへと視線を向けるものの、直に戻す。

 

「一口に魔法省と言っても、何もイギリスの魔法省だけには限りませんよ。経験を積むためや国同士の友好を築くために、国外の魔法省へと就職した例もあります「ェヘンェヘン」―――どうかしましたか? 校長先生」

 

二度の妨害に嫌気が差したのか言葉は丁寧に、表情は嫌なものを見るようにアンブリッジへと向けるフリットウィック。私もアンブリッジへと振り向こうとしたが、その前にアンブリッジが前へと出てきたことで、余計な手間が省けた。

 

「お話を遮ってしまってごめんなさい。でも話を聞いていて、彼女には早いうちに伝えておいたほうがよいと思ったの。本来であれば、このようなことは言いたくはないのよ。でもね、叶わない希望は早いうちになくなったほうが、この子の為ではないかしら?」

 

「叶わない希望? 一体どういうことですかな?」

 

「どうもこうも言葉通りの意味ですよ、フリットウィック先生。まず、この子の希望では自営業を営もうとしているようですが、個人が商いを行うには魔法省へ届出をした後に許可を得る必要があります。ですが、残念なことですが魔法省としては今の彼女にそのようなことを許可することは出来ませんの。なぜだかお分かりになるかしら?」

 

アンブリッジはそう言って私へと顔を向ける。その顔は、いつものように歪んだ笑みを携えていた。

 

「分からないですね。どうしてでしょうか?」

 

「簡単なことですよ。個人が商いという、一種の取引・契約と呼べることをするには、明確な身元の証明が必要となります。でも、確か貴女はマグル生まれでしょ? 魔法省は魔法界に属する者の身分証明の基準を大きく改定する予定です。貴女が卒業するまでには施行されているでしょう。その基準に則る場合、魔法族との関わりのないマグル育ちの魔女・魔法使いの身分証明は“D”―――“自身の出生と学歴の証明”しか適応されないのです。そして、これも改定される予定なのですが、個人が商いによる取引・契約を行うには、“B”以上の身分証明―――“純血または両親のどちらかが魔女・魔法使いである”という証明が必要となるのよ」

 

「そんな無茶苦茶な!? そのようなことが認められるはずがありません!」

 

「いえ、いえ、いえ。これは今までも、暗黙の了解として長く魔法界に浸透していたことですよ。それを明確に法律として区別するだけなのだから、何も問題はないのよ」

 

アンブリッジの一方的かつ暴権に満ちた言動に、フリットウィックが普段見られないほど口荒くして抗議している。対するアンブリッジは、その全てを聞き流しているようだ。

アンブリッジの言った新たに作られる法律によれば、私の身分証明は“D”のようなので店を構えることは出来ないらしいが―――実際のところ、私の母親は純血の魔女であるのだから“B”に該当するはずだ。とはいえ、その事実を魔法省が知らない以上は意味のないことではあるが。いや、死喰い人であるルシウスが魔法省に深く関わっている以上は知っている可能性もあるか。

 

「そうですか―――なら、仕方がありませんね」

 

私が納得したことを伝えると、アンブリッジは耳まで口角が届くのではと思うほどの表情をした。

 

「そうでしょう、貴女なら理解してくれると思っていたわ。でも、安心して。魔法省は賢く理解ある者には相応の対応をしますわ。よければ、そのことに関して今度、じっくりとお話を「では、卒業したらマグルの世界で自立することにします」―――なんですって?」

 

アンブリッジの言葉を遮って告げた言葉に、アンブリッジは表情を強張らせた。

 

「魔法界でお店が出せないのであれば、マグルの世界でお店を出すと言ったんです。マグルの世界であれば魔法界での身分証明は関係ありませんしね。あぁ、確か魔法省はイギリスの首相と繋がりがあるんでしたか。でしたら国外―――フランスか日本とかに国籍を移すというのも手段の一つではありますね。フランスの国籍は元々持っていますし、日本の文化には前々から興味がありましたから、ちょうど良いかもしれないですね」

 

結局のところ、アンブリッジの言っていることはイギリス魔法界の支配が及ぶ範囲内でのみ有効なものに過ぎない。フリットウィックも言っていたように、魔法省というのは規模に差はあるものの、魔法文化を有する全ての国に存在する機関だ。世界各地の魔法省同士による交流は行われているが、必要以上の干渉は行われないし出来るものでもない。下手をすれば国際的な信用を失うこともあり得るのだから当然だ。そして万が一、国際的信用を失った場合にその負債を最も受けるのは魔法大臣―――イギリス魔法省であればファッジである。ファッジが大臣の座に固執している以上は、自らの立場を危うくするようなことを行うとは考えられない。

 

「ですが、その場合はとてつもない苦労をすることになりますよ。生まれ住んだ国を離れるということは、言葉で言うほど簡単なことではありませんし、若いうちから独立するというのは、そうそうできることではないですよ」

 

フリットウィックの言うことは当然理解している。もし本当にイギリスを離れると言うことになったら、それ相応の苦労があるだろう。

 

「勿論、わかっています。幸い、フランスの方には知人もいますし、日本にもお世話になった人がいます。昔、困ったことがあれば遠慮なく頼ってくれと言われたので、そのときになれば頼ろうと思います」

 

「―――そのようなことが認められると思っているの?」

 

「この件に関してはアンブリッジ先生や魔法省の許可が必要とは思えませんが?」

 

アンブリッジの言葉に対して、皮肉を込めた言葉を返す。僅かな間アンブリッジと視線を交差させていたが、廊下が騒がしくなったことでそれも終わった。

 

「少し長居し過ぎたようね。次の授業の準備があるから失礼するわ」

 

アンブリッジが足早に部屋から出て行き、私も次の授業があるために教室へと向う。とりあえず、今回の話し合いでは私の第一志望は自営業ということでフリットウィックに伝えた。フリットウィックは私の希望―――特に国外へと行くことに難色を示してはいたが、まぁ気にすることではないだろう。

 

「そもそも、私が卒業するまでに今の魔法省があるとは思えないしね」

 

ファッジを魔法大臣とした現在の魔法省は、そう遠くないうちにヴォルデモート率いる闇の陣営によって陥落するだろう。今はまだ組織力という点で優位にあるために過干渉はされていないが、ヴォルデモートが力を蓄えていることを鑑みるに時間の問題である。

そして、ファッジが魔法大臣の座から降りればアンブリッジの後ろ盾もなくなるということであり、先ほどアンブリッジが言っていたことも出来なくなる。余計なのがいなければ、私も必要以上に労力を労する必要がないということだ。

 

尤も、そうなった場合に今度は別の問題が出てくる。ヴォルデモート率いる闇の陣営が権力を握るということは、今までは取り締まられていた活動が合法化されるということだ。人殺し、人攫い、闇の魔法、純血主義による差別。それらが合法化されることによって生じる被害がどれほどのものかは、想像するに難くない。今の魔法省も余計なことを必要以上にしてくる無能の役立たずではあるが、ヴォルデモート支配の政治よりはまだマシである―――はずだ。

一番の展開は、魔法省の膿を全て一掃したあとに、ダンブルドアを大臣に据えることなのだが。

 

「ま、無理でしょうね」

 

 

 

 

「ねぇ、アリス。アリスからもハリーに言ってちょうだい」

 

試験も一ヶ月先に迫り、多くの生徒で溢れかえる図書室の一角。いつもの指定席で勉強をしていると、ハーマイオニーがハリーとロンを引き連れてやってきた。この二人はいつもハーマイオニーに引っ張られているなという、比較的どうでもいい感想はさておき。

 

「いつもいつも唐突ね。今度は何をやったのかしら?」

 

「今度はって、どういうことさ」

 

「あら? ついこの間、アンブリッジの部屋に潜り込んでシリウスと話していたのは、誰だったかしら?」

 

反論してきたハリーに対して一言言って黙らせた後、ハーマイオニーへと視線を向ける。ハーマイオニーの話を聞くに、ハリーは未だにスネイプとの“閉心術”の訓練に戻っておらず、頻繁に見るようになってきた夢にのめり込んでいるらしい。ハーマイオニーが何を言っても返事をするだけで行動に移そうとせず、ロンもどっちつかずの態度なので痺れを切らしたようだ。

 

「はぁ―――あれからどれだけの時間を無駄にしているのやら。ハリー、この件が貴方一人だけの問題ではないというのを理解しているのかしら?」

 

呆れを含ませてハリーへと問いかける。

 

「言われなくても分かってるさ。僕だって、いつも好きで見ているわけじゃないんだ。少しでも夢の中に入っちゃったら、自分の意思とは関係なしに動いているんだ」

 

私の言葉に僅かにでも苛立ったのか、語気を荒げながら視線を真っ直ぐ私へと向けてくる。

 

「そう―――まぁ、自由意志がきかない状況のことについて、どうこう言ったところで意味はないわね。尤も、そのような状況にならないための“閉心術”であるわけだけど。一つ聞くけれど、自由がきかないと言っても、抵抗の意思までなくしてはいないわよね? 精神的な干渉は完全に精神を支配されていても、強く抵抗の意思を続けていれば僅かに緩み、干渉者に隙が生じた瞬間に支配から抜けることが可能なのだから。これは、前にも言ったわよね」

 

「あぁ、うん。ちゃんとやってるよ。でも、相手の隙なんて見つからないんだ」

 

「―――嘘ね」

 

ハリーの言葉を一言で叩き切る。

 

「う、嘘じゃないよ! 本当に夢の中じゃどうしようもないんだ!」

 

「いいえ、嘘ね。夢の中では本当にどうしようもないのかもしれないけど、ハリーはそんな状況に陥っていても抵抗する気なんてないんでしょ? 最初は抵抗していたみたいだけど、今となっては夢の続きを見ることを自ら望んでいるわよね?」

 

「おい、アリス。流石に言いすぎだろう? ハリーだって頑張ってるんだぜ。夢を見ていたときはいつも苦しそうな様子なんだ。それに、何でそこまで確信しているように言えるんだよ」

 

ハリーの言葉を全て否定していると、ロンが横槍を入れてくる。その際に、ハリーが微かに安堵の息を吐いたのを私は見逃さなかった。

 

「ロンが助けに入ってきて安心するのは勝手だけれど、するなら気づかれないようにしたほうがいいわよ。あと、何で確信しているように言えるかだけど―――勿論、確信しているからよ」

 

「アリス、それってどういうこと?」

 

「簡単なことよ―――ハリーって、本当に“開心術”対して無防備よね」

 

その一言で理解したのか、三人は驚愕といった感じで目を見開かせる。

 

「これが今のハリーの実力よ。相手が“開心術”を使っていることにすら気がつかないレベルね。僅かにでも違和感を感じ取れれば“開心術”を疑って、“閉心術”を使うなり視線をずらして逃れたりするものだけど、ハリーはそれ以前の問題」

 

「“開心術”を使ったって―――で、でも、スネイプとの訓練じゃ、心を覗かれるときは嫌な圧力みたいなのが押しかかってきたんだ。スネイプは、その、“閉心術”にしろ“開心術”にしろ、優秀なんだろう? そんなスネイプからだって覗かれているって感じることが出来たのに」

 

「それはスネイプがハリーにも感じ取れるように、わざと荒く“開心術”をかけていただけね。そもそも、“開心術”に気づくこともできなければ訓練も出来ないでしょう? 優秀な術師は、相手に一切気づかれずに心を覗くことが出来るものよ」

 

尤も、それは実力に開きがある場合であり、拮抗している場合はその限りではない。私やスネイプがハリーへと“開心術”を掛けた場合は気づかれずに出来るが、私とスネイプが互いに“開心術”を掛けた場合は、どちらもそれを感じ取ることが出来る。

 

「自分がどれだけ無防備に心を晒しているか分かったかしら? ハリーはヴォルデモートとの繋がりがあるみたいだし、余計に過干渉されるわよ。それを防ぐために、ダンブルドアがスネイプに“閉心術”を教わるように言ったのだろうから、素直に訓練を再開することを勧めるわ―――自分の意固地で、周りの人達を危険に晒したくはないでしょう?」

 

もう話すことはないと、荷物を手に持って席を立つ。とてもではないが、勉強をする気分にはなれない。適当に気分転換でもしたいので、久しぶりにピーブズにでも会いに行こうか。最近のピーブズは、以前にも増して悪戯への熱が上がっているので、中々捕まえることが出来ない。というのも、数日前にフレッドとジョージの二人が自首退学した際に起こした騒動が原因であり、二人がピーブズへと自分達の役割を引き継ぐように発破をかけたのだ。二人が行った数多くの悪戯にピーブズは尊敬の念か何かを抱いていたのか、二人の残した言葉通りに暴れ回っている。普段以上に暴れ回っているので、いつもなら教師によって取り締まられているのだが、悪戯の対象がほぼアンブリッジと、アンブリッジに与する者達に絞られているので、取り締まるどころか逆に支援しているほどだ。あのマクゴナガルでさえピーブズの悪戯に手を貸しているのだから、アンブリッジの嫌われ様がどれ程のものかが窺える。

 

そんなことを考えながら歩いていると、玄関ホールへと続く階段の上に浮かんでいるピーブズを見つけた。手には特大の如雨露を持っており、階段に向けて中身を撒き散らしているようだ。ピーブズは如雨露の中身を巻き終えたのか、その場から離れて移動し上階へと登っていった。

一体何を巻いていたのか近付いて確認してみると、階段には水とは違う光沢をした液体が巻き散らかされている。それを指先で掬い取り確かめると、どうやら油のようだ。このことから、ピーブズは大量の油を如雨露に入れて階段に撒き散らかしているということだが―――。

 

「これは悪戯にしては危なすぎるわね」

 

アンブリッジだけが引っかかるならともかく、この階段は多くの生徒が使用するので、このままでは非常に危険だ。杖を一振りして油を消し去ると、ピーブズを追って上階へと登っていく。ちょうどいいので、折檻ともっと効率のいい特定人物をピンポイントで狙える悪戯を教えるとしよう。

 

 

 

 

六月に入り、ついにO.W.L試験の日がやってきた。ここ数日間、五年生と七年生はかなり神経質になっており、食事も満足に取らずに復習に時間を割いていた。談話室は夜遅くまで明かりが灯り、時には夜通しで勉強をしていた生徒もいたらしい。

 

朝食が終わり、一旦玄関ホールへと出されてから再び大広間へと入ると、四つある寮テーブルは片付けられており、一人用の机が等間隔で並べられていた。試験官の指示通りに次々着席していき、準備が整ったところで始まりの合図が告げられた。合図と共に一斉に羊皮紙を捲る音がし、次には羽根ペンを走らす音が静かに響き渡る。

 

私も羽根ペンを手に取り、インクに浸しながら羊皮紙に書かれている問題を読んでいく。最初の試験は呪文学の筆記試験で、午後には実技試験が控えている。

 

~~~~~~~~~~~~~

【Ⅰ-ⅰ】

(a)物体を飛ばすために必要な呪文を述べよ。

(b)さらにそのための杖の動きを記述せよ。

 

【Ⅰ-ⅰⅰ】

(a)閉じられた鍵を開錠するために必要な呪文を述べよ。

(b)またその呪文の反対呪文を述べよ。

(C)またその呪文では開錠することの出来ない場合はどのようなときか述べよ。

 

【Ⅰ-ⅰii】

(a)光を灯す呪文とその反対呪文を述べよ。

(b)この呪文で灯すことの出来る平均的範囲はどの程度か述べよ。

 

~~~~~~~~~~~~~

 

一通り問題を眺めてから、一つずつ問題を解いていく。全部で五十問あるが殆どは基本的なもので、最後の十五問が応用問題という構成だ。試験時間は二時間だが、全ての問題に淀みなく答えられたことで、一時間後には全ての回答を埋め終えた。

午前の筆記試験が終わり、昼食と休憩を挟んだ後に実技試験が行われた。何人かのグループごとに、待機している小部屋から大広間へと呼ばれて試験が行われていく。

開始から一時間程経ったころに私の名前が呼ばれ、大広間へと出て行く。どうやらドラコも同じグループであるらしく、部屋を出て私を一瞥したあと試験官が座っているスペースへと進んでいった。

 

呪文学の実技試験は“浮遊呪文”や“変色呪文”、“開錠呪文”、“閉錠呪文”、“成長呪文”、“呼び寄せ呪文”、“燃焼呪文”、“凝結呪文”といった指示された呪文と、試験官が提示した中から選択する呪文を行った。結果は順調で、これといった問題もなく全ての呪文をこなしていった。

正直なところ、O.W.Lとしての試験がこんなに簡単でもいいのかと思ったが、パドマ曰く、私のような意見は限りなく少数派であるようなので、口には出さずに心の内に留めておいた。

 

 

火曜日は変身術の試験が行われた。午前の筆記試験では、学科自体の難易度の違いなのか、呪文学よりも難しい問題となっていた。変身術における様々な定義や法則、禁忌とされる事柄を正確に記述しないといけない上に、問い一の答えを元に問い二の答えを求めるという、最初で躓いたら連鎖的にそれ以降の答えも不正解となる厄介な問題も多数あった。

実技は、マッチ棒をゴブレットに変身させるような基本的なものから、鼠を小型以上の動物に変身させるもの、“消失呪文”で自らが変身させたものを消失させることなどだ。

 

水曜日は薬草学の試験で、筆記試験は各種薬草や魔法植物の効能や生息域、それぞれの飼育法や注意することなど。実技試験は用意された薬草を分別することと、同じく用意された魔法植物のおかしな部分を見つけ、それを治すにはどうすればいいかを考察するというものだ。

 

木曜日には闇の魔術に対する防衛術の試験が行われた。筆記試験は特徴が記述された魔法生物の名前を答えるものから始まり、魔法生物の対処法と必要な呪文、杖の振り方、特定魔法生物の特徴など。その中でも、最後の問題である「これまでの問題で取り上げられた魔法生物以外の魔法生物について自由に記述せよ」というのが多くの生徒を苦しめた。明確な答えが求められているわけではなく、何をどう答えるかが全て自身で判断しなければならない問題だ。一つのことについて詳細に答えるのが正しいのか、詳細でなくとも多くの答えを出すのが正しいのか。はたまた両方なのか。

実技は魔法薬と同じように、小部屋から何人かのグループごとに呼ばれるかたちで行われた。試験官が放つ呪文を防衛呪文で防ぐ、魔法が掛けられた道具に正しい対処を行う、人形相手に指示された呪文をぶつける、ボガートを初めとする魔法生物と実際に相対して退治するなど。

 

それら全てを間違えることなく達成して退出しようとしたその時、銀色の光が大広間の端から放たれた。反射的に振り向いてそれを見ると、牡鹿の守護霊が大広間を大きく旋回しており、ほどなくして霞みとなり消えていった。同時に守護霊が放たれた場所から拍手と褒め称える言葉が聞こえ、そちらに視線を向けるとハリーが杖を構えて立っている。ハリーは試験官と一言二言話してから退出し、扉前で様子を見ていたアンブリッジへと一瞬だけ顔を向けて出て行った。

試験官に一言声を掛けてから私も退出し、大広間から出て行く。何でハリーは守護霊を出したのか気になったものの、大方どこかでハリーが守護霊を創り出せることを聞いた試験官が、見せてくれないかとでも言ったのだろうと結論付ける。守護霊はN.E.W.T以上の呪文なので、五年生のハリーが使えるとなれば、試験官としては気になるのだろう。

 

その後も、金曜日に古代ルーン文字学、土日を挟んで月曜日に魔法薬学、火曜日に魔法生物飼育学、水曜日の午前に天文学、午後に数占い学、その日の夜に天文学の実技が行われた。あとは、今日の午後からの魔法史の試験が終わればO.W.Lも終わりだ。

 

しかし、問題というものは起きるものらしい。

水曜日の夜、天文学の実技を行っている最中にそれは起こった。アンブリッジが四人の魔法使いを率いてハグリッドの小屋を襲撃したのだ。その結果、ハグリッドは襲い掛かる魔法使いを気絶させての逃亡、騒動を止めに来たマクゴナガルは同時に放たれた“失神呪文”を胸に受けて意識不明の重態となり、現在はマダム・ポンフリーが治療に当たっている。この一件についてアンブリッジを非難する声が上がるも、校長に対して不敬な物言いをした者は退学という言葉を盾にされてしまい、黙殺されてしまう。

 

翌日、魔法史の試験を行っている時にも問題が発生した。問題と言うよりはちょっとした騒ぎだが。というのも、試験が終わるかという時に、突如としてハリーが大声を上げながら椅子から転落したのだ。大広間は騒然とし、誰もがハリーへと視線を向けていたが、ハリーが試験官の一人に連れて行かれると共に、残った試験官の声に従って試験へと戻っていった。

試験が終わり、解散が言い渡されると同時に、ハーマイオニーとロンが大急ぎで大広間から出て行った。恐らく、ハリーのところへと行ったのだろう。一応、私も二人に続いてハリーを探しに向うことにする。これでも、一応は騎士団に入っている身なので、ハリーの異常を見過ごすことは出来ないのだ。以前に、ハリーが激しい頭痛を引き起こしているときは、ヴォルデモートが何かしらの干渉をしてきている可能性が高いということは聞かされている。ならば、今回のもヴォルデモートの干渉によるものである可能性が高い。

 

とりあえず、体調不良ということで連れ出されたため保健室へと向ってみるものの、そこにハリーはおらず、何故か怒っているマダム・ポンフリーがいるだけだった。マクゴナガルがベッドにいないので尋ねてみると、昨日の夜のうちに聖マンゴへと移されたらしい。

 

「さて、と。保健室にいないとなると、どこを探したものやら」

 

当てもないので、混雑し始めた廊下を適当に歩いていると、すれ違う生徒が気になることを話していた。話の内容は、誰かが廊下に“首絞めガス”を散布したから、その通路一帯が通行禁止になっているというものだったが、その場所というのが気になったのだ。そこはアンブリッジの部屋がある廊下であり、急いでもいない限りは滅多に生徒は通らない場所である。そんな場所に、試験が終わってすぐに“首絞めガス”なんてものを流す者が、はたしているのだろうか。いたとしても何のために?

 

「―――誰も近付かせたくない、ということかしら」

 

無色のガスという話だが、そんなものは実際に“首絞めガス”の被害にでも合わない限り、本当にあるのか分かりようがないし、被害にあった者がいるならば保健室に運び込まれているはずだ。散布した本人であれば分かるだろうが、犯人が現場に留まっているわけもない。であれば、“首絞めガス”が散布されているという情報自体が嘘だという可能性が十分にあり得る。

 

「嫌な予感しかしないわね」

 

恐らく避けられないだろう事態に溜め息を吐きながら、アンブリッジの部屋目指して階段を登っていった。

 

 

 

 

 

 

「やっぱりね」

 

アンブリッジの部屋から僅かに離れた柱の影、そこに“目くらまし”をしながら様子を窺う。アンブリッジの部屋の扉は閉じられているものの、アンブリッジの声が大きいために会話は丸聞こえだった―――アンブリッジの声のみだが。

来る途中に上海を呼び出して、城の外からアンブリッジの窓を通して部屋の様子を窺わせることで、部屋の様子は把握できている。部屋にはアンブリッジとハリーの他に、ハーマイオニー、ロン、ルーナ、ジニー、セドリックと、ドラコを初めとする尋問官親衛隊がいるようだ。恐らく、騒ぎを起こしてアンブリッジの部屋で何かをしようとしたが、失敗に終わって現在にいたるといったところだろう。セドリックがいながら、何でこのような危険な行動に出たのかは分からないが、アンブリッジのヒートアップぶりを聞いていると、そう悠長に考えている暇もなさそうだ。

 

「―――ドラコ、スネイプ先生を呼んできなさい」

 

アンブリッジの言葉が聞こえ、少しの間を置いてドラコが部屋から出てくる。ドラコは扉を閉めると、地下室に向って走り出した。今ここでドラコを気絶させて、隙を見て部屋を制圧しようかとも考えたが、狭い部屋の中では乱戦になる可能性があるし、ハリー達を盾にされても面倒なので、この案は見送ることにする。

 

少しして、ドラコがスネイプを引き連れて戻り部屋へと入る。どうやら、アンブリッジはスネイプに“真実薬”を寄こすように言っているようだが、どうにも上手く事が運んではいないようで、癇癪を起こしている。スネイプがアンブリッジの言葉に素直に従って部屋を出ようとする瞬間、ハリーが突如として叫んだ。アレが隠されている場所で、パッドフットが捕まったと。

アンブリッジは、ハリーが何を言っているのか分かっていないようだが、スネイプも私も、ハリーが何を言っているのかが理解できた。パッドフット―――つまりシリウスがヴォルデモートに捕まったということだ。あの場所、というのが私には分からないが、この際場所は関係ない。問題はシリウスが捕まったということだ。もしそれが事実であれば、騎士団の秘密の殆どがヴォルデモートに知られてしまう可能性があり得る。シリウスは、騎士団本部に滞在している時間が最も多いため、必然的に多くの情報を知りえる立場にあるのだ。

 

「さて。ポッターが何を言っているかなど、皆目見当もつきませんな」

 

スネイプはハリーの言葉を切って捨てているが、それは仕方のないことだろう。態々アンブリッジの前で、馬鹿正直に受け答えするはずがない。

スネイプは部屋から退出し、少し歩いたところで足早に走り出した。

 

「―――スネイプ先生」

 

スネイプに併走しながら小声で話しかける。スネイプは僅かに顔を強張らせるが、すぐにいつも通りの表情に戻る。

 

「マーガトロイドか。いまここにいるということは、凡その事情は把握しているな。我輩は事の真偽を確認する。お前はポッター達を見張れ。トチ狂ってホグワーツを抜け出されては面倒だ」

 

「ハリーの自制がきかない場合は?」

 

「気絶させてでも行かせるな」

 

そう言いきると、スネイプはいっそう足早に去っていった。私はその場で引き返し、アンブリッジの部屋に戻る。それにしても、アンブリッジがハリーに何かしないか見張れ―――ではなく、ハリーがホグワーツから出て行かないか見張れとは。まるで、ハリーが今の状況を抜け出すことが分かっているかのような言葉だ。まぁ、私もハリー達がこのまま大人しくしているとも思えないので、概ね同意見ではあるが。

 

上海を通してみる様子だと、アンブリッジがハリーとハーマイオニーを連れてどこかへと行こうとしているようだ。私がアンブリッジの部屋の近くに戻ると同時に、三人が部屋から出てくる。三人はそのまま、ハーマイオニーが先導する形で移動していった。

三人が見えなくなったのを確認して、ローブの裏に作った隠しポケットからカードが収納してあるホルダーを取り出す。ホルダーを捲り、その中から一枚のカードを取り出すと同時に呪文を唱える。呪文を唱えると、カードに描かれた魔法陣が僅かに発光して、“姿現し”をしたような音と共に蓬莱が現れた。

 

「アンブリッジとハリー、ハーマイオニーの三人を追って頂戴。気づかれないようにね」

 

蓬莱は了解の意を返すと、姿を消しながら廊下の向こうへと消えていった。

今回私が使ったカードは、離れた場所にいる人形や道具を呼び出す魔法具だ。これは、“呼び寄せ呪文”と同系統の呪文が込められているカードを使って、そのカードに対応するものを呼び出すものである。一見すると難しそうな呪文と思えるが、実際にはそこまでのものではない。魔法具として使用できるようにする加工が手間であって、呪文そのものは低学年生でも使用できる。上海のことも、このカードを使って呼び出したのだ―――ヴワルから呼び出せるようにするまで、かなりの試行錯誤をしたものだが、その甲斐はあったと思っている。

 

改めて、上海を通してみる部屋の中を確認する。ロンとネビルが抵抗しているようだが、完璧にホールドされているため効果はなさそうだ。セドリックは冷静に隙を窺っているようだが、ジニーとルーナが杖を突きつけられている現状では行動に移し辛いか。

 

扉の前まで音をたてないように移動し、杖を出して奇襲の準備をする。上海は一度窓から離れさせて、ランスを持って待機するように指示した後、タイミングを見計らい全力でランスを部屋目掛けて投擲させた。

硝子が砕ける音と同時に部屋へと侵入。素早く杖を振るい、“失神呪文”を無言呪文として放つ。連続で放ったそれは、寸分の狂いなくドラコ達に当たり、全員がその場に崩れ落ちた。

 

「えっ、アリス!?」

 

「こんにちは、ジニー。怪我はなかったかしら?」

 

最初に私に反応したジニーへと適当に返答しながら撃ちもらしがないかどうかを確認する。

 

「ど、どうしてここに?」

 

「それは寧ろ、私が聞きたいことだけどね。まぁ、大体の予想は出来ているから別にいいけれど。 インカーセラス ―縛れ」

 

気絶しているドラコ達を縄で縛り上げていく。これで目が覚めても暴れられることはないだろう。

 

「そうだ! 急いでハリーとハーマイオニーを追わないと! アンブリッジの奴が何する前に助けなきゃ!」

 

「待ってロン! ネビル、大丈夫?」

 

「だ、大丈夫。ありがとうジニー。僕なんかより、早くハリーのところへ」

 

「だけど、追うにしても三人がどこに向ったのか―――アリス、ハリー達がどこへ向ったか分からないかい?」

 

ネビルが立ち上げるのに手を貸しながら、セドリックがそう聞いてくる。ネビルの顔にできた痣と鼻血を治療しながら、禁じられた森へと視線を向ける。

 

「三人なら、今は禁じられた森にいるわね。結構奥まで行っているみたいだし、早めに追いかけた方がよさそうね」

 

セドリックの問いに答えつつも、ネビルの治療を終える。ロンも怪我をしているようだが、軽症のようだし、本人も気にしてはいないようなので治療はいいだろう。

ハリー達を追っている蓬莱と視覚を繋ぎながら廊下を駆け出して森へと向う。私の後ろにセドリックとロンが続き、その後ろをネビル、ルーナ、ジニーが追ってきている。階段を降り、夕食中の賑やかな声がする大広間の前を通り過ぎ、校庭へと飛び出す。外はすでに薄暗くなっており、もうすぐで夜になるだろう。

 

途中で上海と合流し、森へと入る。森の中は校庭よりもずっと暗く、木々の間から零れる僅かな光しか光源がないため、注意して進まないと生い茂る植物の蔓や棘に引っかかってしまう。流石に、蓬莱と視覚を繋いだままでいるのは危険が大きかったので、大まかな場所を確認してから視覚共有を切る。

こうも植物が鬱陶しいと魔法で一気に焼き払いたくもなるが、この森でそのようなことをするのは非常に危険であるため考えるだけに留める。

 

「―――え?」

 

「どうしたんだ?」

 

暫く歩き、倒れた大木の隙間を通り抜けた時、ハリー達を追っている蓬莱から連絡が入っきて、その内容に思わず疑問の声を上げてしまう。

 

「何があったの? ―――はぁ!? 止めなさッ―――もう飛んでいってる!?」

 

「アリス? 一体どうしたの?」

 

ジニーが何があったのかと尋ねてくるが、私はそれにすぐに答えずにいた。というのも、蓬莱から教えられたことに対して、非常に呆れていたからだ。

 

「アリス?」

 

「―――ハリーが魔法省に向って行ったらしいわ。ちなみに、ハーマイオニーも一緒よ」

 

そう伝えると、全員が驚きを露わにする。無理もない、アンブリッジに連れて行かれた二人が、いつの間にか魔法省へと向っているのだから。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれよ! どうしてそんなことが分かるんだ!?」

 

「二人の後を蓬莱が追っていたのよ。その蓬莱から連絡が入ったの」

 

「アンブリッジはどうしたの? それにどうやって魔法省に?」

 

「セストラルで移動しているみたいよ。アンブリッジのことは分からないわね。まぁ、二人でセストラルに乗りながら魔法省へ向っているということは、近くにアンブリッジはいないでしょう」

 

「そんなこと話している場合じゃないだろう! 早く二人を追いかけなくちゃ!」

 

確かに、ロンの言うとおりだろう。今ある情報から推察するに、シリウスが捕まっている場所というのは魔法省である可能性が高い。もしそれが事実であれば、今の魔法省には死喰い人が潜入しているだろう。そんなところにハリーが乗り込んでいったら、どうなるかなど考えるまでもない。

ハリー達と同様に、セストラルで追いかけるために分かれてセストラルを探す。幸いにも、そう時間を掛けずにセストラルの群れを見つけることが出来た。私やルーナが、手伝いながら全員をセストラルの背に乗せていく。そうして、全員の準備が終えたところでセストラルが一斉に羽ばたき空へと舞い上がった。

 

「エクスペクト・パトローナム -守護霊よ来たれ」

 

本格的に移動を始める前に、守護霊に伝言を乗せてスネイプへと飛ばす。こうなってしまった以上は、何とかスネイプに騎士団へと連絡を繋いでもらって応援を送ってもらうしかない。魔法省にて、最悪死喰い人と戦いにでもなったら私達だけで切り抜けるのは困難であるし、ヴォルデモートが加わりでもしたら目も当てられない。

ハリーが飛び立つ前に合流できていれば、力尽くでも取り押さえることが出来たのだが、いない以上はそれも出来ない。本音を言えば、敵の巣穴に向うなんていう真似をしたくはないのだが、簡単に見捨てる訳にもいかない。

 

「はぁ」

 

これから訪れるであろう事態に溜め息をつきながら、暗闇に覆われる空を掻き分けるようにロンドンへと向っていく。

 

 

 

 




【ハーマイオニー・グレンジャー】
公式(微)チート

【勧誘活動に勤しむドラコ】
(将来的に)禿げるセールスマン

【最近アリスがチートになりつつあるのでは?】
安心しろ、作者も同意見だ。

【アズカバン脱獄】
見張らない見張りほど役に立たないものはない

【ふられたネビル】
前話のせいで感想欄が大いに荒れた元凶の末路。
元々この時点でアリスとネビルをくっつける気など毛頭ない。
主人公候補が必ず恵まれるなんてのは幻想だ。

―――あっ、そげぶさんは来ないでくださいね。


【騒動にことかかないホグワーツ】
一番平和な学校はボーバトンだと思う

【オマケが本命】
食玩目当てでお菓子を買うのと一緒

【自営業】
成功すれば理想的な職場(多分)。
魔法界の職業は、自営業以外は総じてブラックだと思う。

【身分証明】
今後一切出てくる予定はないので無視してくだしあ。

【魔法界が駄目なら、マグルの世界に行けばいいじゃない】
かの有名なマリー・アント○ネットの迷言。
国籍云々については適当。実際には色々と問題があるようです。

【マインドスキャン】
煽り耐性ZEROならぬ、魔法耐性ZERO。
個人的に、心読む系は最凶だと思っている。小五ロリとかペガサス(人間)とかコンパクトさん(チェーンソー的な)。

SEKKYOUになってないかが不安要素。
―――手遅れ?

【ピーブズ】
画面外でキャッキャウフフしてます。

【O.W.L】
結果など分かりきっている。

【ハリー達が捕まった!】
タイミング的に不自然過ぎるのに何故実行した。
セドリック止めてやれよ。
―――本当、なんでセドリックは止めなかったのか

【スネイプ】
素直になれない大人
―――つまり、普通の大人ということですね。

【デッキ(ヴワル)から上海と蓬莱を特殊召喚!】
召喚系って、難易度はピンきりな気がする。
ドラコとか、二年生で小型ですが生物(蛇)召喚してますし。

今回は、カードの召喚術式とヴワルの転送術式による同期にとって可能とした(という建前)。人形だし、生物召喚よりは難易度低いんじゃないかな。

【フライング・ハリー】
フライング①=飛ぶ
フライング②=先走る
ハリー   =ハリー!ハリーハリー!!ハリーハリーハリー!!!

アリスが到着する前に魔法省へと向わせた。
だって、アリスがいると力尽くで拘束できちゃうから。

【敵地となっている可能性大な場所に向う】
アリスらしくない?
作者だってそう思ってるよ! でも話が進まないんだ!

自分>他人だと言ったばかり?
神は言っている。まだその時ではないと。



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