神武、頑張ります!~ちょっと歴史が違う世界の艦これの艦娘になりました~ 作:雪たまご
艦橋に跳ぶと、皆深刻そうな表情をしていた。
「・・・何があったの?」
「・・・arkがいた。」
「・・・え?」
ark級。最近現れた深海棲艦の種類だ。flagshipの上位互換で、一番最初の個体は・・・私。深海棲艦化していた際に放っていたあの虹色の光、あれがarkの特徴だ。性能は飛躍的に上昇しており、とても危険だ。
「ここから東に100km、そのあたりで虹色光を観測した。発見されないために近づいていないため詳細は不明だ。」
東に100km・・・今沖縄島の南東250kmだから、沖大東島あたりかな。それにしても・・・
「この周辺の警備の娘はどうしたのさ・・・ここら辺って普天間の管轄でしょ?」
「事前の情報ではarkはいなかったようだし、あれだけ目立つものを見つけられないとは思えない。恐らくつい先ほど現れた個体か・・・もしくは進化したか、だ。」
「そっか。・・・」
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これが創作だというのなら私達は深海棲艦に見つかっていたのだろう。そのほうが読者にとっていい展開となるからだ。だがしかし、これは現実である。私達はうまく見つからずにやり過ごし、横須賀までたどり着いた。
「神武の姉ちゃんありがとなー!!」
「ばいばーい!!」
横須賀で客人たちとお別れをすると、いよいよ・・・
「本土で休暇なのです!!」
「楽しみだ。」
「大和ミュージアムというところにいってみたいわ。」
「・・・それは呉よ?」
「一週間あるじゃない!!」
本土での一週間の休暇が始まる。
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さけ【酒】(サは接頭語、ケはカ(香)と同源)・・・①米と麹(こうじ)で醸造した、日本特有のアルコール含有飲料。日本酒。「熱燗のー」
②アルコール分を含み、飲むと酔う飲料の総称。「ーに酔う」「ーが回る」「ーに溺れる」
③酒宴。さかもり。「ーの席」(広辞苑第六版)
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「ねぇねぇ日向、神武達が酔っ払ったらどうなるか見てみたくない?」
「いや、どうでもいい。」
「うんうん、そうだよねーやっぱり気になるよねー!!ということで!!」
「いや、話を聞け。」
「神武達にお酒を飲ませてみよー!!」
「・・・闇鍋の件で追い掛け回されたの忘れているのか・・・?」
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本日の対外演習は私達三姉妹と北上・大井、矢矧で行ってきた。演習相手はブルネイ基地の艦娘。何故か演習の始めから相手はガクブルしていたので、イラッとして思わず開幕で
「・・・神武、何でそんなに怒ってるの?」
「・・・怒ってない。」
「・・・怒ってる。」
「怒ってないってば。しつこいよ?」
「・・・む。・・・どう見ても怒ってる。」
「だーかーらー!!」
「あの・・・お姉様方?」
「「応神は黙ってて!!」」
「はい・・・。」シュン
うー!!なんかイライラする・・・やっぱり崇神の言う通り怒ってるのかな・・・。そう思った時に現れたのは。
「やー、神武。酒でもグイッといかない?すっきりするよ?」
伊勢と翔鶴だった。
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「ささ、駆け出しいっぱいグイッと。」
「ん。」
ゴクゴクゴクゴクゴク・・・
神武の喉を大吟醸が流れていく。
「プハー!!・・・ふぅ。」
一升瓶の中の酒がすべてなくなり、神武が一息つく。その目はすわっていた。
「・・・あん?おどれら殺んのか!?」
「ええー!?」
「神武お姉さまー!?」
「・・・。」
「やっぱりこうなるのね・・・。」
殺気を放ちだした神武に戸惑う伊勢・応神、そしてやはりとそのまま飲み続ける翔鶴と崇神。この後伊勢は滅茶苦茶絡まれました。応神?・・・年齢が。
「一人だけ素面はつらいですわー!?」
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姉妹・・・現実と理想は違います。
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タウイタウイ泊地名物、神武+応神対崇神の追いかけっこ。不定期に開催されるこれは多くの艦娘に賭けの対象として扱われている。
「・・・ちょっとこの服を着るだけだから。」
「応神に変なもの着せるなぁ!!」
「・・・変なものじゃない。ちゃんとしたヴィクトリアンメイド仕様。」
「そういう問題じゃない!!」
「・・・?・・・神武のもあるよ?」
「お こ と わ り!!」
「・・・提督が見たいって」
「さぁさぁさぁ早くそのメイド服渡して?ほら、応神もおとなしく。」
「神武お姉さま!?」
本日の勝敗。
神武(寝返り)・崇神ペアの勝ち。
見事予想し、艦娘達から間宮券を巻き上げたのは翔鶴だった。
「ふふふ。」
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電・・・特Ⅲ型駆逐艦四番艦。1932年11月15日竣工。1934年6月29日、済州島南方で演習中に「深雪」に衝突、艦首部を喪失し「深雪」は沈没した。軽巡洋艦「那珂」に曳航され、後進で佐世保に帰投、修理は呉で約三ヶ月間かけて行われた。1934年11月から「暁」「響」「雷」と共に第6駆逐隊を編成し、1940年11月、第1艦隊第1水雷戦隊に編入され太平洋戦争を迎えた。1947年、「神武」が竣工すると第6駆逐隊は護衛艦隊となり、「響」以外はその生涯を終えるまで「神武」と共にあった。1963年9月8日日本海にてソ連艦隊との交戦中に、ソ連製巡航ミサイル「スティクス」の直撃を受け轟沈した。
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私が初めて彼女を見たのは、1946年呉でのことでした。あまりにも場違いな巨大な艦影。艦長さんと、暁ちゃん達といっしょに「大きいねぇー」とびっくりしたものです。
目覚めたての彼女は、男の子みたいでした。戦争後の基地見学などで訪れる国民学校の低学年の子にそっくりだったのです。天龍さんから「教育」のしかたを教えてもらっていて助かりました。
朝鮮戦争、日韓戦争、と様々な戦役で私達は活躍しました。神武さんが私達には手強い相手を容易く沈め、逆に神武さんには対処できない潜水艦などは私達が沈め(さすがに体当たりで浮上中の潜水艦を沈めたときは驚いたのです)、といい組み合わせだったと思っているのです。今でもそれは変わりません。
国内外問わず神武さんと私達、それから大体一緒にいた翔鶴さん(他にもいましたよ?)とで最強の海軍部隊と言われていました。そのことが慢心になっていたのかもしれません。
第三次世界大戦。中立を保っていた大日本国帝国が参戦することとなった戦いで私は沈んだのです。噴進弾が飛んできたと思うと私にぶつかり、爆発しました。今でも忘れていません。別れを告げた時の彼女のあの取り乱しようは。
艦娘として新たなる生を受けた私はタウイタウイ泊地所属でした。司令官さん以外はまだ誰もおらず、司令官さんと二人三脚です。なんと司令官さんは神武さんの艦長だった小沢さんで、ちょっとエッチですが優秀な人です。でも時折不安げな顔をしていました。
ある日司令官さんに言われて新入りさんを迎えに建造室に向かうと、そこには・・・
「お目覚めですかーって、はわわわー!!神武さんの主砲は危ないのですよー!!」
「あれ?電ちゃん?ってことはやっぱりここはあの世なの?」
神武さんがこちらに主砲を向けていました。すぐに主砲を下ろし、警戒を解いてくれたのですが・・・すごい違和感を感じたのです。仲の良かった友達がよそよそしくなったような、そんな感じです。目も光がなくちょっと怖いと思ってしまいまs
「電ー、何書いてるの?ご飯食べに行かない?」
「・・・わかったのです。激辛麻婆豆腐を食べさせてあげるのです!!」
「え!?暁ちゃん止めて!!」
「・・・響」
「・・・雷」
「・・・翔鶴」
「私には無理よ。おとなしく食べなさい。」