神武、頑張ります!~ちょっと歴史が違う世界の艦これの艦娘になりました~   作:雪たまご

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黒き稲妻。

 闇汁・・・冬などに、各自思い思いに持ち寄った食物を、灯を消した中で鍋で煮て食べる遊び。また、その煮た物。闇鍋。闇の夜汁。(広辞苑第六版)

 

@@@@@@

 

 今日の職務を終えて、夕飯を食べに行こうとすると暁ちゃんに呼び止められた。

 

「あの・・・神武?その、怒らないでね?」

 

 何かに脅えているような、そんな青ざめた顔で暁ちゃんにそんなことを言われた。

 

「何を言って・・・」

 

 ガツンッ!

 

 後頭部に痛みが走り、同時に意識も薄れていく。そんな中で見たのは錨を振り抜いた体勢でニコニコ笑っている電ちゃんだった。

 

@@@@@@

 

 意識が回復すると首から下を縛られてさらに椅子に固定されていた。というか何故亀甲縛り・・・。そして口にはガムテープ。周りには同じ状況になった長門・比叡・青葉・瑞鶴がいた。それから自由の身な第六駆逐隊。

 

「皆怒ってるわね・・・。特に神武と瑞鶴の殺気で倒れそう・・・。」

 

「まったく・・・電のあれはどうにかならないのかな・・・。」

 

「・・・そろそろ説明しない?私、もう気絶しそう・・・いえ、した方が楽なのかしら?」 

 

「大丈夫なのですよ、暁ちゃん。失神しても叩き起こすのです。」

 

「ひぃっ!?」

 

 一触即発だったその場の空気が一瞬で消え、今度は憐れむ空気に変わる。・・・うまいね、電ちゃん。というかガムテープはずしてくれないかな・・・。

 

「これから皆さんには闇鍋を食べてもらうのです!」

 

 っ!?

 

「食材は皆さんの姉妹が持ってくるのです!」

 

「長門のは島風が持ってくるよ。」

 

「皆は食べるだけよ。」

 

 その食べるのがいやなんですけど!?

 

「ちなみに人選には理由があるのです。神武さんは『いつも心配かけて浚われたり無鉄砲に突っ込んでいったりと大変。一度痛い目にあってみて。』とのコメントです。」

 

 崇神ーっ!?

 

「瑞鶴さんは『まったく、いつも提督の邪魔して。これで懲りなさい。』、青葉さんは『尖閣のことを忘れたとは言わさない!古鷹の仇!』とお手紙が来てます。闇鍋のことを金剛さんに話したら比叡さんに食べさせると言ってましたです。」

 

 ・・・。

 

「どうかしましたか?ながもんさん?響ちゃん、テープ取ってあげて下さいです。」

 

「わかった。」

 

 ビリッ!

 

 一気にはぎ取ったからかおばあちゃんは痛そうな顔をしている。

 

「・・・それで何故私まで?恨みをかった覚えはないのだが。」

 

 あ、それは私も気になる。

 

「えっとぉ・・・」

 

「その・・・」

 

「うー・・・」

 

 歯切れ悪いというか微妙な顔している三人。そしていい笑顔(目にハイライトなし)で電ちゃんが言い放つ。

 

「ノリなのです!」

 

 呆然としたおばあちゃんにまたテープが付けられた。

 

@@@@@@

 

「それでは食材の登場なのです!・・・その前に。」

 

 後ろからいきなり目隠しをされた。

 

「闇鍋が終わるまで皆さんにはアイマスクを付けてもらうのです!」

 

「ちなみに食べさせるのは潮ちゃんでーす。」

 

「ひゃあ!?ごめんなさい潮です・・・あ、あの・・痛くないようにしますから、ね?」

 

 待て、ナニをするつもりだ。

 

「では、姉妹の皆さん、食材を投入してくださいなのです。」

 

 ドボン、ドボン、ジュー!!キィアアア!!ニュアアア!!グルガァアアアア!!!

 

 何!?何入れたらこんな音になるの!?

 

「今の出汁の色は・・・うわぁ。・・・ネイビーグレーなのです。」

 

 聞きたくなかった!!

 

「ではながもんさんから順番に食べさせていくのです!テープをはずしてあげてくださいなのです。」

 

 ビリッ!!

 

「ま、待て落ち着け!早まるな!」

 

「ええい。往生際が悪いのです。潮ちゃん、やってくださいなのです。」

 

「あ、あの、ごめんなさい!!」

 

「むごっ!?」

 

 ・・・・・・。一瞬の沈黙。

 

 ガタッ!

 

「あれ?ながもんさん?起きてくださいなのです。」

 

 ペチンペチンペチペチバチンバチンバチバチバチバチ!!!!!

 

「往復ビンタしても起きないのです。」

 

「電・・・長門は私が運んでくるさ。」

 

「任せたのです。」

 

 ・・・響、逃亡。

 

@@@@@@

 

「さて最後は神武さんなのです。皆居なくなったので残り全部食べてくださいね?」

 

 っ!?

 

「ふごごご!!??もごごごごご!!!!!」

 

「あっ・・・ガムテープをとってあげますね?」

 

 ビリッ!!

 

 痛いっ!!!

 

 ・・・・・・。

 

「・・・かくごはできてるということだね?」

 

「キレてる!あれ絶対キレてるわ!どうするのよ、電ァ!!」

 

「ふふ。・・・神武さん・・・。」

 

「なあに?」

 

「私達、その、本当はこんなことしたくないんです・・・。でもやれって脅されて仕方なくやってるのです・・・。」

 

「だれに?」

 

「その・・・伊勢さん・・・です。」

 

 ふうん。

 

@@@@@@

 

 ぞくっ!!

 

「どうした、伊勢。」

 

「いや、今寒気が・・・。」

 

「そういえば第六駆逐隊のやつらに、何か吹き込んでいただろう。何だったんだ?」

 

「ん?ああ、ちょっとね?」

 

@@@@@@

 

「さて、一つ目逝くのですよ~。」

 

「んぐ!?」

 

 口の中にものを突っ込まれるのはかなりつらい。入ってきたのは太くて長くて、でも柔らかい感触。匂いはくさやにチョコ、その他混ざった感じ。味は最悪。甘いような辛いような、でも苦いような。・・・たぶん味と匂いは出汁のものだから・・・。

 

「太・・・巻・・き・・・?」

 

「・・・正解なのです。次逝きましょう!」

 

「むぎゅっ!?」

 

 一発目からきつかったけれど、また危ないのがきた。今度はぶよっとした感触で・・・ううん、なんだろう、うまく言い表せない。というか失神しそう・・・。

 

「これ何?」

 

「ハチノコなのです!」

 

「ハチノコ!?」

 

 

 ・・・このあと滅茶苦茶食わされまくった。

 

@@@@@@

 

 翌日

 

「いーせーさんっ、あっそびーましょっ?」

 

「や、やあ神武。まずはその物騒なものを仕舞おうか。」

 

 物騒なもの=電磁波砲

 

「やだなぁ。しまったらにげるでしょう?」

 

「うん、そうだね。ははははは・・・」

 

「でしょ?あはははは・・・」

 

「逃げるに限る!!」

 

「まってよー!!!あはははは!!!!」

 


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