神武、頑張ります!~ちょっと歴史が違う世界の艦これの艦娘になりました~   作:雪たまご

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オリ設定解説話。


召喚。

 形態・・・①ありさま。かたちに現れた姿。形式。「政治ー」

      ②〔心〕ゲシュタルトに同じ。(広辞苑第六版より)

 

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 艦娘には二つの形態がある。一つは通常状態の人間形態だ。そしてもう一つは――――本体の召喚だ。

 

 普段の任務において彼女達が本体を召喚することはまずありえない。何故なら敵・・・深海棲艦もまた人型、もしくは人間程の大きさで出現するからだ。本体で攻撃してもまず当たらないし(もっとも周辺に砲弾が行けば怯ませることはできるし、仮に当たれば駆逐艦でも戦艦を沈めることも可能である。)、深海棲艦からの攻撃を一方的に受けることになるからだ(大してダメージ受けるわけではないがそれでもだ)。

 

 ではどのような場合に召喚するのであろうか。まずは移動や輸送任務の時である。忘れてはならないが、艦娘は兵器で軍艦なのだ。他国の領海に入る時、もしくは領海周辺を通過する場合には本体を召喚・国旗を掲げることを国際法で義務付けられている。また輸送任務については明らかだろう。人型と本体では運べる量に明らかな差があるからだ。二つ目は沿岸部の制圧戦などの場合だ。点ではなく面で攻撃したほうが効率がいいからだ。

 

 最後の理由は二つ目とも関連しているのだが、深海棲艦が本来のサイズで現れた場合だ。先にも述べた通り、でかく面攻撃である方が制圧しやすいのだ。言語を使用できる知能を持つ彼らがそれを理解できないはずがない。そして本来の大きさになった彼らを沈めるにはこちらもそれ相応の大きさになる必要がある。人型のままではイ級ですら撃破できるかどうかすら怪しい(どこぞの戦艦はそれをやりとげそうだが)。最も彼らは基地の接近するまで本来の大きさに戻ることはない。当たり前だが、でかければ見つかりやすくなるのだ。基地に最接近するまで巨大化することはない。つまり、基地の近くで艦娘が本体を召還するのはかなりその基地は危機的状況にあるということだ。

 

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 タウイタウイ泊地・湾内

 

 ウウゥゥゥゥウウ!!ウウゥゥゥゥウウ!!ウウゥゥゥゥウウ!!

 

 警報が鳴り響く。

 

「それでは神武さん、やっちゃって下さい。」

 

「はいよ。来いっ!」

 

 キィィィイイアアアアアアアアア!!!!!

 

 ゴゴゴゴゴゴゴ・・・!!

 

 空間が悲鳴をあげながら割れ、全長425m、排水量約19万tの鋼鉄の巨体が姿を顕す。

 

 

  そして高波が発生した。

 

 

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 さて、何故私が本体を召喚することとなったのかだけど、まぁ訓練だ。

本体はあまり小回りが利かないので、特に私の旋回性能なんて<お察し下さい>だから、いざという時のために動き方とかを合わせておけとおっさんに言われた。イリノイの件、忘れたとはいわさん、とも。

 

「まるゆー船体の点検、どんな感じ?」

 

「左舷は全て完了しました。後は右舷区画ホとチだけです!今のところは問題ありません!・・・って妖精さんが。」

 

「ホ区画、点検終わりました!異常、ありません!」

 

「チ区画同じく!」

 

「よしっ、提督?全区画、点検終わりました!」

 

『ふむ、それでは神武、まずは湾外に出ろ。そこでやるぞ。』

 

「はーい!抜錨!神武行きます!」

 

「あ、ちょっ、ちょっと待ってまだまるゆが、きゃぁ!・・・また水被った・・・。」

 

 航行波によってまるゆが濡れていたが、まぁ彼女は潜水艦だし問題ないよねっ。

 

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 本体召還が躊躇われる理由はまだある。ダメージが大きくなるのだ。例を挙げると、艦娘状態では神武と金剛がぶつかったところで痛いだけで済むが、本体がぶつかった場合、どこぞのアイオワ級5番艦の如く金剛の艦首が折れてしまうこともありえるのだ。

 

 さらに、本体が受けたダメージは艦娘に反映される。艦娘がダメージを受けたところで本体には何の影響もなく、風呂に入って一定期間休養をとれば快復し前線にすぐさま復帰できる。しかし本体が損傷していると該当部位が修理されるまで艦娘も動きが悪くなる。多少の傷・へこみ程度なら痣で済むが、機関部が損傷となると動くことが困難になる。しかも本体で感じる感覚は艦娘の大きさ分の本体の大きさ倍される。特に痛覚など人間が受ければ一瞬でショック死するだろう。・・・余談だがとある提督の調査によると性的感覚も増幅されるとか。憲兵さんこっちです。

 

 ちなみに、であるが。沈んだ船の深海棲艦への変化のしやすさは生前の意識と本体の損傷度で決まるとされていて、意識が濃く本体に傷が少ないほどなりやすい、と考えられている。また希有な例だが、建造途中に何らかの事態で建造中止になった船も深海棲艦化していたことが横須賀で一件報告されているため、建造に携わった人の思念も影響するとの説もある。

 

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 外洋(といっても湾には近いけど)に出た私と一緒に本体を出して訓練するのは、陽炎・不知火・黒潮・雪風・秋雲の陽炎型駆逐艦。私がミスしても避けれるだろうという考えで選んだらしい。

 

『さて、これは彼女達陽炎型にも伝えてあるのだが。神武、お前は私の指示に従うだけでいい。』

 

「ふぇ?何で?」

 

 それは果たして訓練といっていいの?

 

『お前は図体が出たいからな。お前があわせるより、お前に合わせるほうが遥かに安全かつ効率的だ。お前がやることはこれからどう動くかを私から聞き、それを細かく伝えることだ。』

 

「・・・うん、わかった!」

 

『なら早速やってみろ。直進、速度15kn、輪形陣!』

 

「皆ー!直進、15kn、輪形陣だって!」

 

『そのまんま・・・だけどまぁいいか。』

 

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 艦娘のダメージが本体に影響しないのに、なぜ彼女達は沈むのか。また、同じく人型の深海棲艦をどう倒しているのか。どちらも同じ謎のようだがそれは違う。

 

 まず艦娘が沈む理由だが、これは簡単だ。本体への影響はなくても身体の損傷・疲労が激しすぎで、つまり溺れるのだ。溺れながら怨み辛み・生前のことを思っていたら深海棲艦になっていたと、深海棲艦から艦娘に変化した者が言っていた。

 

 さて、深海棲艦をどうやって倒しているのか。実は、倒せていないのだ。艦娘と同じく身体に損傷を負って溺れていく。この際に艦娘になるものもいる。溺れて行き海底に着床すると、ひたすら眠るのだ。そして例え頭が潰れていても再生する。稀に海溝に沈んで水圧で、もしくは海底火山口に落ちて死ぬものもいるらしい。つまり、我々は瀬戸際で対処しているに過ぎないのだ・・・。

 




明日・明後日に私立の入試があるのでたぶん投稿しません。明日までに予約投稿分を書ければなんとか・・・!

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