神武、頑張ります!~ちょっと歴史が違う世界の艦これの艦娘になりました~ 作:雪たまご
給糧艦・・・艦隊や前進基地などに食糧を輸送し、供給することを目的とした軍艦。間宮や伊良湖などがこれに当たる。
@@@@@@
建造の際に必要な存在として資材の量と比率が知られているが、実は秘書艦も関係することを知るものは少ない。建造する妖精が秘書艦娘の思考を感じ取るのだろうか、秘書艦娘と縁のある艦娘を造るのだ。姉妹艦だったり、同じ部隊だった艦などというように。決して仲がよかった艦ができるわけではなく縁がある艦ができるために、できた途端に喧嘩することもある。前に北上を秘書艦にした際、阿武隈が建造されたのだが、完成して意識が覚醒した瞬間に互いに頭突きをして、阿武隈は大破、北上は中破となった。
神武は電が秘書艦になったときに建造された。24分・・・ではなく24時間という数字、秘書艦が電というところから小沢司令官は神武だとわかったらしい。崇神は時雨のときだ。意外と戦艦と駆逐艦は仲が良く、ロリコンな提督程、艦が充実しているのはこういう理由だったりする。
それでは神武を秘書艦にすると誰が造られるのだろうか。一回目は翔鶴が建造された。彼女はよく神武と組まされていたので当然だろう。ちなみに翔鶴に秘書艦と建造の関係性を教えると喜んでいた。彼女にとって妹のような存在の神武に覚えてもらっていたのが嬉しかったのだろう。そして今日、二回目の建造が始まる。
@@@@@@
タウイタウイ泊地・工廠
「さて今日は二回目の建造となるわけだが。」
「わくわくするねー。」
秘書艦をやってる神武だよ。建造をしに工廠に来ています。私とおっさんが協力して新たに艦が生まれる。
「そう、まさに愛の巣!」
「何を言っておるのだ。」
「何って・・・ナニ?」
「・・・こほん。配分を決めようと思うのだが。」
「そうは言ってもね・・・弾薬とボーキ、ほとんどないよ。油と鉄を突っ込むしかないと思うけど。」
「では、それで。」
「軽ッ!?」
『投入しましたです~。しばらく~お待ちください~。出来上がり~予定は~二時間五分後です~。』
間延びした妖精の声が聞こえてくる。
「軽空母かな?」
「しかし、同じ部隊にはなったことないはずだ。」
「そうなんだよねー。ま、待つしかないよね。愛を育みながら待とうよ!」
「職務中だ。」
「いけず~。」
<時間経過>
現れたのは割烹着を着た140cmくらいの娘。栗色の長髪は後ろで一括りにされている。割烹着の上からでもわかるふくらみ、やや吊り目で勝気そうながらもすべてを受け入れてくれそうなその雰囲気、それらは彼女から母性を感じさせる。
「どうも始めまして。給糧艦『伊良湖』です。イナゴじゃないよ、イラゴだからね!・・・ってあんたは!?」
「げっ、イナゴ!」
「イナゴじゃない!・・・ここであったが百年目!今度こそあんたに認めさせる!」
「できないことを言うものじゃないよ。」
「できる!給糧艦の意地を見せてやるんだから!」
「はんっ!なら見せてみなさい!あなたの
おはぎを!!」
@@@@@@
神武と伊良湖の因縁は1950年代まで遡る。神武の艦内設備はとても良いもので、調理兵も質の良いものばかりが集められた。ゆえに伊良湖は神武においしくないと言われることを覚悟していたのだが・・・しかし伊良湖が給糧艦として聞き逃せないことを神武は言ってしまった。
「おっさんのおはぎのほうがおいしい。」
伊良湖は憤慨した。何しろ60過ぎの、しかも艦の精神体に出会うたびに胸、尻、足ばかり見るエロ親父(といっても別に嫌いなわけではない。)が作ったおはぎのほうがおいしいと言われたのだ。黙っていられるわけがない。何度もおはぎを作り、神武に食べさせ、その度に否定された。
ちなみに作らされたのは霊感のある料理人で、食べさせたのは霊感のある将校である。そして神武と伊良湖が喧嘩しているときに神武から発せられる超々々々々弩級戦艦の殺気を浴びたのもこの二人で、後にどんなものにも恐れを抱くことがなくなったという。
しかしこの二人の関係は第三次世界大戦中に終わりを告げた。ソ連の原潜が日本の水雷戦隊との交戦中に放った魚雷が、数km先の輸送部隊に向かい伊良湖に直撃、大破した。その後持ち直したものの、基地への帰還中に中国の水上打撃隊との交戦に入り、沈められてしまったのである。神武の人見知りが加速した瞬間でもあった。
@@@@@@
そして今。再び二人のおはぎをめぐる熱き戦いが始まるッ!!!
「今度こそ!!」
「馬鹿め、と言ってあげるよ。」
『今台詞を盗られたような・・・。』
『気のせいじゃないかしら~。』
続くかどうかは未定です。