フェイト達との出会いから約二週間後のクリスマスイブの夜
ブラックウォーグレイモンはとある目的の為に別世界の地球に在る海鳴市と呼ばれている場所に来ていた。
「ふむ、俺が居た地球と何も変わらんな。まあ、そう簡単には変わらんか。とにかく、“目的の物”を手に入れなければな。高性能な物ならばどんな形でも構わんらしいが…ムッ?」
ーーーキィィィィィィン
ブラックウォーグレイモンが一つのビルの屋上でそう呟きながら街を眺めていると、突如として街全体に巨大な結界が張り巡らされた。
そして結界が張られると共に現れた巨大な気配に気が付き、気配の感じられる方向に顔を向けて笑みを浮かべる。
「この気配…そうか…今日がこの地球でのクリスマスの日だったのか」
ブラックウォーグレイモンはゆっくりと遠くから感じる巨大な気配の方へと顔を向ける。
その視線の先では戦闘が行なわれているのか、破壊音がブラックウォーグレイモンの居る場所にまで届いていた。
強敵かもしれない相手の気配にブラックウォーグレイモンの内に在る感情が歓喜に震え、目を楽しげに細める。
「フフフフフ…面白い……目的の物は後回しだ…今は世界を滅ぼす書の力とやらを相手にするか…俺を楽しませろ!」
ーーービュン!
ブラックウォーグレイモンは叫ぶと共に飛び立ち、気配が感じられる場所へと全速力で向かい出す。
そして気配が感じられる方向にある程度進むと、銀色の髪の女性と茶色の髪の少女が、空中で互いに砲撃魔法や射撃魔法を放ちながらぶつかり合っているのを目にする。
獲物を見つけた事にブラックウォーグレイモンは笑みを深めると共に、ドラモンキラーの爪先に赤いエネルギー球を生み出し、銀髪の女性に向かって投げ付ける。
「食らえ!!」
「何!?」
「えっ!?」
突如として自身に高速で迫って来るエネルギー球に気が付いた女性は、寸前の所でエネルギー球をかわした。
それと共に女性はエネルギー球を投げ付けたブラックウォーグレイモンを睨み付け、少女-『高町なのは』も突如として現れたブラックウォーグレイモンの姿を困惑の表情で見つめる。
だが、ブラックウォーグレイモンは二人の様子には一切構わずに、右手に装備したドラモンキラーを、女性-闇の書に向けて構える。
「闇の書! 俺と戦え!!」
「なんだと!?」
「俺は貴様と戦いたい! 幾多の世界を滅ぼした力を宿す貴様と!!」
「ッ!! 黙れ!!」
ブラックウォーグレイモンの叫びを聞いた闇の書は、怒りの表情を浮かべながら、ブラックウォーグレイモンの目の前に瞬時に移動し、ブラックウォーグレイモンの顔に向かって全力で拳を放つ。
---ドゴンッ!
だが、闇の書の全力の拳を正面から受けても、ブラックウォーグレイモンはダメージを受けた様子も無く、その場に佇み続け闇の書に冷厳な瞳を向ける。
「この程度か? 貴様の力は?」
「なっ!?」
「殴るとはこう言う事だ!!」
---ドゴオンッ!!
「グアッ!!」
ブラックウォーグレイモンは叫ぶと共に、ドラモンキラーで闇の書を殴り飛ばし、闇の書は吹き飛んでいく。
そしてブラックウォーグレイモンは闇の書が吹き飛んだ先に瞬時に移動し、闇の書を蹴り飛ばそうとするが、
---ガアンッ!!
闇の書は瞬時に体勢を整えると、自身に向かって来る蹴りの方に防御魔法を発動させ、ブラックウォーグレイモンの蹴りを受け止めた。
「くっ!?」
「ほう、今のを受け止めるか。ならばこれは如何だ!?」
「くっ! 強い!!」
自身の攻撃を闇の書が受け止めた事にブラックウォーグレイモンは笑みを浮かべると、連続でドラモンキラーを振るい、闇の書へと攻撃を放ち続ける。闇の書はブラックウォーグレイモンの攻撃を防御魔法や両腕で捌きながら、ブラックウォーグレイモンの強さに驚きながらも隙あらば攻撃を加える。
そしてブラックウォーグレイモンと闇の書が戦っている間に、なのははアースラへと連絡を取り、ブラックウォーグレイモンの情報を聞いていた。
「エイミィさん! あの人の情報は何か無いんですか!?」
『ゴメン! 多分フェイトちゃんが言っていた奴だと思うんだけど、何も分からないの!? それよりも気をつけて! 如何言う訳だか分からないけど、そいつの周りの空間の位相がずれているの! そいつは動くだけで…いえ、其処に居るだけで世界に悪影響を与えているんだよ!!』
「そんな!!」
エイミィの報告になのはは悲鳴の様な声を上げて、闇の書と戦っているブラックウォーグレイモンを見つめた。
ブラックウォーグレイモンの正体は『ダークタワー』と呼ばれる、位相をずらし環境さえも変えてしまう塔が百本集まり変形、合成を繰り返して生まれた『ダークタワーデジモン』。その為にブラックウォーグレイモンは存在しているだけで世界に悪影響を与えてしまう。
闇の書と同等以上の危険性を持った存在の出現に、現場にいるなのはだけではなく、戦いを宇宙から観測しているアースラメンバーも幾多の世界を滅ぼした悪名を持つ『闇の書』と互角以上の戦いを繰り広げるブラックウォーグレイモンを呆然と見つめるしかなかった
その様になのはがブラックウォーグレイモンの情報に驚愕している間にも、ブラックウォーグレイモンと闇の書は互いに攻撃を放ち続けながら、海上へと戦いの場を移動させていた。
「ディバインバスターー!!!」
ーーードグォォォン!!
ーーーガシッ!
「ブラックシールド!!」
ーーードゴォォン!!
闇の書の放った砲撃に、ブラックウォーグレイモンは自身の背中に翼のように装着している物を腕に装着し、正面で合わせて盾にすると、砲撃を防ぐ。
砲撃が止むとともにブラックウォーグレイモンは、すぐさま両手に装着していたシールドを背中に戻し、闇の書へと殴り掛かる。
「ドラモンキラーーー!!」
「盾!!」
ーーーガキイン!!
ブラックウォーグレイモンの攻撃に、今度は闇の書が防御魔法を発動させ受け止める。
しかし、ブラックウォーグレイモンは寧ろ自身の攻撃を受け止められた事が嬉しいのか、より笑みを深めて、次々と闇の書に向かってドラモンキラーを振るい続ける。
「ハハハハハハハハッ!! 良いぞ! もっと俺を楽しませろ!」
「くっ! 烈火の将以上の戦闘狂か!!」
ブラックウォーグレイモンの連続攻撃を、防御魔法や自身の腕を使い捌きながら闇の書は叫んだ。
だが、何時までもブラックウォーグレイモンの猛攻を捌けるはずも無く、遂に闇の書はブラックウォーグレイモンの猛攻を捌き切れなくなってしまう。
そして闇の書に決定的な隙が生まれた瞬間に、ブラックウォーグレイモンは渾身の一撃を闇の書に向かって放つ為に、ドラモンキラーを振り上げる。
「もらったぁぁぁぁぁーーー!!」
「しまっ!?」
だが、ブラックウォーグレイモンの一撃が闇の書に決まろうとした瞬間に、ブラックウォーグレイモンの体に突如として橙色と緑色の鎖が巻き付いてくる。
『チェーンバインド!!!』
ーーーガシィン!!
「何!?」
「ディバインバスターー!!」
「ブレイズキャノン!!!」
突如として巻き付いて来た鎖に、ブラックウォーグレイモンが驚いた声を上げて自身に巻きついている鎖を見つめていると、背後からなのはとクロノがブラックウォーグレイモンに向かって砲撃を放った。
そして鎖に寄ってブラックウォーグレイモンの動きが止まったのを確認した闇の書も、自身の右手を上に掲げて頭上に黒い球体を生み出し、ブラックウォーグレイモンに向けて黒い球体を振り下ろす。
「闇に染まれ! デアボリック・エミッション!」
ーーードゴオオオオオオオオオオオオオン!!!
なのはとクロノの砲撃、そして闇の書の広域空間攻撃魔法にブラックウォーグレイモンは飲み込まれ、大爆発を起こした。
自分達の攻撃がブラックウォーグレイモンに直撃したのを確認したなのは達は安堵の息を吐き、闇の書へと顔を向けた瞬間に、念話が届く。
『外に居る魔導師の方! そこに居る子の保護者の八神はやてです!!』
「はやてちゃん!?」
『なのはちゃん!! なのはちゃんが戦っていたんか!? それよりもお願いや! 管理者権限取り戻す為に、そこに居る子を何とかしてくれへんか!?』
「えっ? え~と?」
はやての言葉になのはが疑問の表情を浮かべていると、横に居るクロノがはやての言葉の意味を説明する。
「つまり、手加減無しで魔力ダメージを与えろと言う事だ、なのは」
「うん! だったら任せて!」
クロノの言葉に、なのはは元気よく答え、闇の書に向かって全力で魔法を放つ為にレイジングハートを構えようとした瞬間、背後から静かだが怒りに満ちた声が響く。
「貴様ら、覚悟は出来ているんだろうな?」
『ッ!!!!』
聞こえて来た声になのはとクロノは体を僅かに震わせ、ソッと背後を振り返って見ると、魔法を食らったにも関わらず傷一つ付いていないブラックウォーグレイモンが怒りに満ちた視線をクロノとなのはに向けていた。
自身に二人の目が向いているのを確認したブラックウォーグレイモンは、右腕を振り上げて怒りの叫びを上げる。
「貴様ら、よくも俺と闇の書の戦いの邪魔をしてくれたな!」
「ひっ!!」
ブラックウォーグレイモンの殺意に満ちた声に、なのはは恐怖に染まった悲鳴を上げた。
恐怖に震えるなのはを庇う様にクロノは一歩前に出ると、ブラックウォーグレイモンを睨み付けながら、デバイス-S2Uをブラックウォーグレイモンに向けて構え、なのはに声を掛ける。
「なのは、君は闇の書の方に行くんだ。奴は僕とアルフ、そしてユーノが抑えるから、闇の書の方は頼む」
「……うん! 此処はお願いね!」
クロノの言葉を聞いたなのはは少し考える様な表情を浮かべるが、すぐに頷き、闇の書の下に向かおうとした瞬間に、なのはの目の前にブラックウォーグレイモンが現れる。
ーーービュン!!
「何処に行く気だ?」
「あ…あ…あ…ああ」
自身の移動しようとした先に、突如として現われたブラックウォーグレイモンの姿に、なのはは恐怖に染まった声を出した。
そしてなのはと同じ様にクロノも恐怖の表情を浮かべるが、すぐに冷静に立ち直り、ブラックウォーグレイモンに向かって自身のデバイスを構えて砲撃を放つ。
「ブレイズキャノン!!」
ーーードグォォォン!!
「そんな物が効くと思うな!」
ーーーバシュンッ!!
『なっ!?』
自身に向かって放たれた砲撃を、ブラックウォーグレイモンは唯の腕の振りで発生した風圧で消滅させ、砲撃が消滅したのを見たなのはとクロノはあり得ないと言うように声を上げて動きが止まってしまう。
動きが止まってしまっているなのはに向かって、ブラックウォーグレイモンは腕を振り下ろそうとするが、再び鎖がブラックウォーグレイモンの体に巻き付いて来る。
ーーーガシィン!!
「むっ?」
「なのは! 今の内に向かうんだ!!」
「コイツはあたし等で抑えるから! 早く行くんだよ!!」
「ユーノ君! アルフさん! ありがとう!」
鎖を放った民族服を着た少年-ユーノとオレンジ色の髪に犬の様な耳を付けた女性-アルフの言葉に、なのはは笑みを浮かべて礼を告げると、今度こそ闇の書の方へと向かい出した。
それを見たブラックウォーグレイモンは、なのはを止める為に自身に巻きついている鎖を破壊しようと力を込め始めた瞬間に、無数の魔力刃がブラックウォーグレイモンに向かって放たれる。
「スティンガーブレイド! エクスキューションシフト!!」
ーーードゴオオオオオオン!!
クロノの放った無数の魔力刃は全てブラックウォーグレイモンへと着撃し、煙が渦巻き、ブラックウォーグレイモンに魔力剣が直撃するのを見たクロノ達は安堵の息を吐く。
しかし、次の瞬間に、煙の中から無傷のブラックウォーグレイモンが飛び出し、クロノに向かって腕を振り上げる。
「ドラモンキラーー!!」
「なっ!! 馬鹿ガアッ!!」
『クロノ!!』
自身の最強の魔法を受けても無傷のブラックウォーグレイモンの姿に、クロノが驚愕している間に、ブラックウォーグレイモンは瞬時にクロノの目の前に移動し、クロノを殴り飛ばした。
クロノが吹き飛ばされるのを見たユーノとアルフがクロノの名を叫び、助けに向かおうとした瞬間に、二人の前にブラックウォーグレイモンが瞬時に移動し、怒りに満ちた視線を二人に向ける。
ーーービュン!!
「貴様らだな、さっきからの忌々しい鎖は?」
「…だったら! 如何なんだい!?」
ブラックウォーグレイモンの言葉に、アルフは震えながらも自分を奮い立たせて、ブラックウォーグレイモンに殴り掛かる。
ーーードン!
だが、アルフの全力の一撃を受けてもブラックウォーグレイモンは平然としながら、赤いエネルギー球を生み出し、アルフに向かって放つ。
「消えろ」
ーーードゴオンッ!!
「アアァァァァァァーーー!!」
「アルフ!!」
ブラックウォーグレイモンの放ったエネルギー球は、アルフに直撃し海へと吹き飛んで行った。
それを見たユーノがアルフの救助に向かおうとするが、背後からブラックウォーグレイモンがユーノを蹴り飛ばす。
「貴様もだ!」
ーーードゴオン!!
「ウワァァァァァーーー!!!」
ブラックウォーグレイモンの蹴りを背中に受けたユーノはアルフと同様に海へと吹き飛んで行った。
自身の邪魔する者が居なくなったのを確認したブラックウォーグレイモンは、闇の書へと向かおうとするが、目の前にクロノが浮かび上がって来る。
「行かせないぞ!!」
「……いい加減に俺も我慢の限界だ。これ以上邪魔をすると言うのなら、覚悟は出来ているんだろうな?」
「くっ! お前は一体何が目的なんだ!?」
ブラックウォーグレイモンの殺意に満ちた声に、恐怖に震えながらもクロノは自分を奮い立たせて、ブラックウォーグレイモンに向かってデバイスを構えながら叫んだ。
その問いに対して、ブラックウォーグレイモンもクロノに向かって両腕のドラモンキラーを構えながら答える。
「俺の目的は唯一つ、闇の書と戦う事だけだ!」
「なっ!? そんな事の為に!?」
ブラックウォーグレイモンの目的に、クロノは信じられないと言うように叫んだ。
闇の書は下手をすれば、確実に世界を滅ぼしてしまう物だと言うのに、ブラックウォーグレイモンは世界を護る訳でもなく、ただ闇の書と戦いたいと言う自分の欲望の為だけに動いている。クロノのような人を護ると言う考えを持つ者には、ブラックウォーグレイモンの考えを理解するのは不可能に近い。
最もブラックウォーグレイモンも理解されたいとは思っていない。自分の信念を理解出来るのは、自分自身しか居ないのだから、クロノに理解されるとは微塵も思ってもいない。
そして案の定クロノは怒りに満ちた表情をしながら、ブラックウォーグレイモンに向かってS2Uを構えだす。
「お前は世界が滅んでも良いと言うのか!? 沢山の人が死ぬんだぞ!!」
「貴様らだけには言われたくないな。多くの世界を救う為と言う理由で、この世界でアルカンシェル等と言う空間消滅兵器を使おうとしているではないか?」
「なっ!? 何でその事ガアッ!?」
アースラメンバーしか知らないはずの情報を知られている事にクロノが驚愕している隙にブラックウォーグレイモンは、瞬時にクロノの目の前に移動し、三本の鍵爪の様なドラモンキラーの刃でクロノを切り裂いた。
そしてクロノが傷口を手で押さえながら激痛に呻いている隙に、ブラックウォーグレイモンはクロノのバリアジャケットの中からカードを一枚奪い取る。
「グッ!! それを返せ!!」
「断る。これは後で俺が有効に使ってやる。お前も、消えろ」
ーーードゴオン!!
「ウワァァァァァーーーー!!!!」
ブラックウォーグレイモンは言葉と共に、再び赤いエネルギー球を生み出し、クロノへと放ち、クロノもユーノとアルフと同様に海へと消えて行った。
それを確認したブラックウォーグレイモンは、今度こそ闇の書へと向かおうとするが、その動きはすぐに止まった。
何故ならブラックウォーグレイモンの視線の先には、八神はやてを囲む四人の騎士の姿と、海面に浮かぶ黒い淀みが存在していたのだ。
「おのれぇ……よくも…よくも! 俺の邪魔をしてくれたな!! 赦さん! 絶対に赦さんぞ!!」
自身の目的が阻まれた事に気が付いたブラックウォーグレイモンは怒りの叫びを上げながら、はやて達の下に向かおうとする。
だが、その瞬間に、左右から桜色と金色の砲撃がブラックウォーグレイモンに放たれる。
「エクセリオンバスターーーー!!ブレイクシュート!!」
「プラズマスマッシャーーー!!」
「むっ!!」
自身に向かって来る桜色の砲撃と金色の砲撃を見たブラックウォーグレイモンは驚きの声を出しながらも、直撃する寸前に砲撃をかわし、砲撃を放った二人-険しい表情を浮かべている高町なのはとフェイト・テスタロッサを睨み付ける。
「今度は貴様らか。俺に勝てると思っているのか?」
「何でこんな事が出来るんですか!? 闇の書が暴走したらどうなると思っているんですか!?」
「さっきの小僧にも言ったが、俺には関係無い。俺の目的は闇の書と戦う事だけだ」
「ふざけるな!! そんな事の為にユーノを、クロノを、そしてアルフを傷付けたって言うのか!!」
ブラックウォーグレイモンの言葉を聞いたフェイトは怒りの表情を浮かべながら、フルドライブモードのバルディッシュ・アサルトをブラックウォーグレイモンに向けるが、それを見てもブラックウォーグレイモンは表情を変えずに、なのはとフェイトに向けてドラモンキラーを構え始める。
ブラックウォーグレイモンからすれば、自身の邪魔をする者は全て敵。例え認めた相手でも、戦いの邪魔をする者達は彼にとっては全て敵として認識する。当然、子供であっても例外は無い。
そしてなのはとフェイトに攻撃を放とうした瞬間に、突如としてブラックウォーグレイモンの頭の中に聞いた事も無い声が響く。
(…ミ…ツ…ケ…タ)
「何だ?」
(ナ…ガイ…ナガイ…アイダ…サガシテイタ)
「誰だ? 俺に話しかけている貴様は?」
『えっ!?』
突如として自身の頭の中に響いた声に、ブラックウォーグレイモンは疑問に満ちた視線で声の主を探す為に辺りを見回す。
その姿になのはとフェイトが、突然に攻撃を止めたブラックウォーグレイモンの行動の意味が分からず疑問の声を出した瞬間に、海上に在る黒い淀みから無数の触手が飛び出し、ブラックウォーグレイモンを拘束する。
ーーーガシィン!!
「何だと!?」
(……ヨ…ウ…ヤ…ク…ミ…ツ…ケ…タ…ワタシ…ノ…タッタ…ヒトリ…ノ…アルジ!!)
「何!? ウワァァァァァーー!!」
聞こえて来た声に、ブラックウォーグレイモンが驚愕の声を上げると、触手は淀みの中へと戻り始め、ブラックウォーグレイモンは淀みの中へと吸い込まれて行く。
触手から逃れようとブラックウォーグレイモンは暴れるが、黒い淀みの中に飲み込まれた。
活動報告でもご連絡いたしましたが、『漆黒の特別編』は削除いたしました。
詳しい理由は話せませんが、別サイトにも迷惑が及ぶ事態になるかも知れなかったので急遽削除に踏み切りました。
読んでいてくれた方には本当に申し訳ありませんでした。