漆黒の竜人と魔法世界   作:ゼクス

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外伝 『ディアボロモンの逆襲』 中編

 ネット空間内部の通路。

 オメガモン達と別れたブラックは、目の前に漂っている無数のクラモン達を倒しながら、全速力で通路内部を突き進んでいた。

 

「ウォーブラスターー!!!」

 

ーーードドドドドドドドドドドドドドドゴオン!!

 

『クラクラクラクラクラクラクラッ!!!』

 

 ブラックが放ったウォーブラスターによって、十数体のクラモンは一瞬の内に貫かれ、悲鳴を上げながら消滅した。そのまま更に突き出している両腕を動かして、数え切れないほどのクラモン達を消滅させて行く。

 だが、それでもクラモンの数は全く減る様子を見せずに、逆に生き残ったクラモン達がすぐさま倒したクラモン達以上に増殖し、ブラックの視界を覆い尽くす。

 

「チィッ!!切りが無い・・・・このまま幾ら雑魚どもを倒したとしても無意味か・・・・やはり、一気に倒す為にはこいつ等が『アレ』に進化しなければ不可能だな」

 

 次々と増えていくクラモン達に、ブラックは苛立ちが募った。

 幾らブラックでも無限に増え続けるクラモン達を一気に倒す事は不可能に近い。倒しても倒しても増え続ければ、ブラックも体力を消耗してしまう。そうなればブラックが知るあのデジモンが姿を見せても、ブラックは戦う事が出来なくなってしまう。

 その様な事は絶対に望まないブラックは、一先ず攻撃の手を休める為にゆっくりとクラモン達に構えていた両手を下ろし、現実世界に逃げていくクラモン達の背を見つめる。一網打尽にする為に今は泳がす事にしたのだ。

 何よりもブラックは気がついていた。自身の知る歴史のディアボロモンの動きと、この世界のディアボロモンの動きが違っていた事に。大幅には変わってはいないが、僅かなりともブラックの知る歴史とは誤差が出て来ている事に。

 

(チィッ!!オメガモンがあの場にいなければ当初の計画通りに進められたが、もう無理だ・・・・仕方が無い。出来ればアイツらを巻き込みたくは無かったが、クラモン達にはアレに進化して貰うか・・・最も俺からすれば嬉しい事だ。ディアボロモンも楽しめたが、それ以上にあのデジモンには興味があるからな)

 

『ブラック様!ブラック様!!』

 

「ムッ!ルインか?」

 

ーーーブン!!

 

 聞こえて来た声にブラックが顔を上げて通路の上方に存在していたモニターに顔を向けてみると、現実世界に留まっていたルインがモニターに映し出された。

 

『ブラック様。やはりブラック様の知っていた通りに外の世界にいたクラモン達は東京湾の方に移動を開始しました。現在移動しながらも更にクラモン達の数は増加中です』

 

「やはりか・・・・ならばルイン!お前はオメガモン達を東京湾に送る為のゲートを作れ!!」

 

『宜しいのですか?そうなればブラック様が知っている通りに状況は進んでしまう可能性が出て来ますよ?彼らを危険な目に合わせない為と、オファニモン達の依頼の為に動いていたのに?』

 

「此処まで状況が進めばもはや当初の計画通りには進まん。ならば、俺が知っている歴史通りに進め、クラモン達を『アレ』に進化させる。そうなれば形は違っても最終的にオファニモン達の依頼が完遂出来るからな」

 

『分かりました。では、すぐに準備を行います』

 

「頼む・・・・それに如何やら俺にはかなりの数の客が来ているようだからな」

 

ーーービュン!!

 

 ブラックが言葉を言い終えると同時に、ブラックの背後から数え切れないほどの触手がブラックに向かって伸びて来た。

 しかし、ブラックはその攻撃を読んでいたと言うように避けながら素早く後方に体を向けけ、両手のドラモンキラーで全ての触手を切り裂く。

 

ーーーブザン!!

 

「・・・・フン、やはりまだ残っていたか」

 

 そうブラックが言いながら見つめる通路の先には、顔の下が無数の触手の形をして、同じく顔の下部分から二本の手を出しているクラゲのようなデジモン-『ケラモン』、サナギのような形をして六本の触手を体から生やしているデジモン-『クリサリモン』に、六本の足を持ったクモのような形をしたデジモン-『インフェルモン』が多数存在していた。

 

ケラモン、世代/成長期、属性/ウィルス種、種族/分類不可、必殺技/クレイジーギグル

クラモンの進化系であるツメモンが更に進化した成長期デジモン。成長期になり、より強力になったその口から高速でデータを食し、1秒間に100メガバイトものデータを食い尽くすと言われている。しかし、本人であるデータ破壊は遊びだと思っている。必殺技は、口から破壊力の高い光弾を、笑いながら相手に向かって吐き出す『クレイジーギグル』だ。

 

クリサリモン、世代/成熟期、属性/ウィルス種、種族/分類不可、必殺技/データクラッシャー

ケラモンが進化して硬い殻のサナギのようになったデジモン。常に宙に浮いて生活しており、完全体へ進化するためにエネルギーを蓄えている状態。遠くから距離を取った後に敵に向かって突進し、頭部の角で相手を突き刺す事が出来る。また、体から生えている6本の触手は攻撃の時に使用される。ケラモンの時よりも格闘戦が得意になっているぞ。必殺技は、敵の背後に移動して体から生えている触手で、相手の構成データを破壊する『データクラッシャー』だ。

 

インフェルモン、世代/完全体、属性/ウィルス種、種族/分類不可、必殺技/ヘルズグレネード、コクーンアタック

クリサリモンが進化した地面をクモのように歩くデジモン。6本の手はクリサリモンの触手が進化したモノである。これによって地面を素早く移動する事ができる。あらゆるネットワークに無断に侵入しデータを破壊する。手足と首を体の中に引っ込めて、繭形態に変形する事が出来るが、一直線にしか進めないと言う欠点を持っている。必殺技は、口からエネルギー弾を相手に向かって連発する『ヘルズグレネード』に、手足と首を引っ込め繭形態に変形して、そのまま敵に突撃する『コクーンアタック』だ。

 

『ケラケラケラケラケラケラケラッ!!』

 

『サリサリサリサリサリサリサリサリサリッ!!!』

 

『シャアァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!!』

 

「まだこれだけの数が残っていたとはな」

 

 ブラックはそう呟きながら、自身の周りを覆うように囲んでいるケラモン、クリサリモン、インフェルモンを見つめた。ケラモン達は既にブラックでさえも数え切れないほどの数になっているばかりか、更に周りの通路からも姿を現している。

 オメガモンとディアボロモンが戦っていた場所に辿り着く前にも同様の数がブラックの前に姿を見せていたのだが、その全てをブラックは倒した筈だった。しかし、その時の数さえも超えるほどのケラモン達が次々と通路の奥から姿を現し、ブラックの周りを包囲して行く。

 

「余程オメガモンと貴様らの戦いを、俺に邪魔されたくないようだな?」

 

『トウゼンダ!』

 

「ムッ!!」

 

 ブラックの言葉に答えるように通路内部から合成されたと思われる声が鳴り響いた。

 その合成音の主に気がついたブラックがケラモン達を見回すと、ブラックの考えが正しいと言うように再び合成した声がケラモン達から響く。

 

『オマエハジャマダ!!ボクラト!オメガモントノ!アソビヲジャマスルナ!!』

 

「遊びだと?」

 

『ソウダ・・サンネンマエノトキニ・・・ボクラガ・・・オコナッタ・・・アソビデ・・ボクラハ・・マケタ!!ダカラ・・コンドハ!!ボクラガ・・オメガモンヲタオス!!サッキモ!オマエサエ・・・イナケレバ・・・コンカイノ!アソビハ!・・・・ボクラノ!カチダッタ!』

 

「下らん。貴様らがしているのは『遊び』ではない。互いの命を賭けた戦いだ!二度と『遊び』などと戦いを呼ぶな!!」

 

『チガウ!!タタカイハ・・・アソビダ!!ボクラノ!コエニ!コタエテクレタ!『アノヒト』ハ!・・・ソウイッテイタ!!』

 

「あの人だと?」

 

 ブラックはケラモン達の言葉に疑問を覚えた。

 少なくともブラックが知る限り、ケラモン達、正確に言えばディアボロモンの応答に答えた人間は存在していない。にも関わらずにケラモン達は誰かと会話したと言うような答えを返して来た。

 その事こそが自身の知る歴史と今の歴史の変化を呼んだ事にブラックは気がつき、目を細めながらケラモン達に質問する。

 

「あの人とは誰だ?貴様らにソイツは何を教えた?」

 

『オマエニハオシエナイ!ボクラノアソビヲジャマシタ!!オマエハ!!!・・・・・シネ!!!!』

 

『ヘルズグレネーード!!!』

 

『ケラケラケラケラッ!!クレイジーギグルッ!!!』

 

ーーードドドドドドドドドドドドドゴオオン!!!

 

 合成された声がブラックに対して叫ぶと同時に、ブラックの周りを囲んでいたインフェルモン達とケラモン達が一斉に攻撃をブラックに放ち、インフェルモンが口から放ったヘルズグレネードとケラモン達が笑いながら口から放ったクレイジーギグルは、ブラックに直撃し爆発が起きた。

 それと共に爆煙が発生し、インフェルモン達がブラックの生死を確認しようとした瞬間、爆煙を吹き飛ばす勢いで炎の竜巻が発生する。

 

「ブラックトストーームトルネーード!!」

 

ーーードゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

『ゲラーーーー!!!』

 

『サリーーーー!!!!』

 

『シャギャアァァァァァァーーーー!!!』

 

 煙を吹き飛ばすように発生したブラックストームトルネードによって、ブラックの周りを囲んでいたケラモン、クリサリモン、インフェルモンは炎にその身を焼かれながら吹き飛んで行った。

 最もそれでもインフェルモン達全体から見れば二割にも満たない数だったのだが、ブラックは自身の発生させたブラックストームトルネードの炎の中から全く傷を負った様子やインフェルモン達に周りを取り囲まれながらも慌てた様子を見せる事無く姿を現し、インフェルモン達全員に鋭い視線を向けながら殺気を振り撒く。

 

ーーーギン!!

 

『ッ!!』

 

ーーーガタガタガタガタッ!!

 

 ブラックの凄まじい殺気を浴びたインフェルモン達は恐怖に体を振るわせ始めた。

 彼らは確かにブラックを、そしてオメガモンを倒すつもりだった。しかし、彼らは結局の所は何も知らない子供でしかない。

 三年前に生まれたオリジナルのクラモンは驚異的な速さで究極体にまで進化してしまった。その為に本来ならば普通のデジモンが究極体に進化するまでに学ぶ多くの事を学ぶ事無くクラモンは成長してしまったのだ。だからこそ力は究極体クラスでも、ディアボロモンの精神は限りなく何も知らない幼年期デジモンに近い。当然ながらそのディアボロモンによってコピー、または生み出されたクラモン達の精神も幼年期デジモンでしかないのだ。

 そしてブラックの殺気はそれこそ何も知らない子供が浴びれば、気絶、悪くすればショック死するレベル。何よりもオメガモン達と違ってブラックは、戦う相手は倒すではなく殺すつもりで何時も戦っている。それだけではなくインフェルモン達は知らなかったとは言え、ブラックが嫌っている言葉を言ってしまった。

 “戦いは遊び”と、よりにもよって戦いに拘りを持っているブラックに真剣勝負を汚すような言葉を告げてしまったのだ。その言葉を聞いたブラックがインフェルモン達に行う行動は一つしかない。

 

「俺は貴様らには多少の親近感を持っていた。貴様らは形は違っていても、多くの人間に否定されていたからな。だが、貴様らは戦いを遊びなどとふざけた事を俺に言った・・・・いいだろう。貴様らにはトコトンまで叩き込んでやる!!戦いの恐ろしさをな!!」

 

ーーービュン!!

 

ーーードゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

 ブラックの姿が消えると同時にブラックの周りを囲んでいたインフェルモン達が吹き飛び、それと同時にブラックと数え切れないほどのインフェルモン、クリサリモン、ケラモン達との激闘が通路内部で繰り広げられるのだった。

 

 

 

 

 

 ブラックがインフェルモン達と激闘を繰り広げている頃。

 オメガモン、太一、ヤマト、ヒカリ、エンジェウーモン、タケル、エンジェモンは暗くなった広い空間の壁を調べていた。幾らブラックにゲートが開くと教えられたとは言え、現実世界には既に逃げ出した大量のクラモン達が存在している。

 そのクラモン達が何かをしない筈はないのだから、オメガモン達は少しでも早く自分達の力で現実世界に出られるゲートを作れないのか調べていたのだ。

 

「・・・・駄目だ・・・・閉じられたこの空間から出る為には、かなりの力を使わないと無理のようだ、太一、ヤマト」

 

「そうか。やっぱりゲートが開くまで待つしかないんだな」

 

「ブラックウォーグレイモンの言葉通り、この先に現れる敵の実力がディアボロモン以上だとすれば、力は出来るだけ消耗したくはない。これもディアボロモンの策の一つだったんだろう」

 

「二重三重どころか、それ以上の策だぜ。自分が負けた時にクラモン達が生き延びれるように仕組んでいたんだからな」

 

 そうヤマトと太一は話し合い、ディアボロモンの底が知れない策に恐怖を覚えた。

 オメガモンを倒す為に二体目のディアボロモンを潜ませていただけではなく、無数のクラモン達と言う更なる策まで用意していたのだから、ディアボロモンの策には本当に底が知れない。もしブラックの言う通り現実世界に戻った先にいるのがディアボロモン以上の実力を秘めたデジモンだとすれば、力を消耗したオメガモンでは敗れてしまう可能性が高い。

 その事を考えた太一、ヤマト、そしてオメガモンはブラックの言葉を信じてゲートが開くのを待とうとヒカリ達に告げる為に顔を向けてみると、疑問に満ち溢れた顔をして悩んでいるヒカリを目にする。

 

「ん?おい、ヒカリ?一体如何したんだ?」

 

「・・・・うん、さっきのブラックウォーグレイモン・・・・本当に私達が知っているブラックウォーグレイモンなのかなって?」

 

「・・・・恐らく間違いないだろう。あのブラックウォーグレイモンはこの先に起きる出来事を知っていた。未来の出来事を知っている奴なんて、俺達が知っているブラックウォーグレイモンしかいない」

 

「そうだね、兄さん。未来の情報を知っているとすれば、『異界の知識』を持っているブラックウォーグレイモン以外にありえないよ・・・・生きていたんだよ。あのブラックウォーグレイモンは」

 

『・・・・・』

 

 タケルの断言するような言葉に、全員が言葉も出す事無く顔を見合わせた。

 “死んだと思っていたブラックウォーグレイモンが生きていた”。その事はヒカリ達からすれば本来は喜ぶべき事だったが、同時に疑問が思い浮かんで来る。

 

“生きていたのならば、何故今まで姿を見せなかったのか”

 

 そうヒカリ達は疑問に思うが、それを答えられるブラックは既にクラモン達を追って外へと出て行った為に誰も答えが見つからずに悩んでいると、オメガモンの背後に存在していた壁から光が溢れ、外へと続く通路が姿を現す。

 

ーーーブン!!

 

『ッ!!』

 

 突然に何の前触れも無く開いた通路にオメガモン達は目を見開くが、罠と言う感じは見せる事無く明るい光に照らされている通路だけが静かに存在していた。

 その通路にオメガモンは警戒しながらも足を進めるが、やはり何処にも変な所は存在せず、ただ真っ直ぐな道だけが先に伸びていた。

 

「・・・如何やらこの通路がブラックウォーグレイモンが言っていた道みたいだな」

 

「あぁ、多分、この先にブラックウォーグレイモンが言っていた敵がいるんだろう」

 

「よし、なら!ヒカリ!タケル!!お前らは何とか光子朗に連絡を取って別の場所から現実世界に戻るんだ!この先にいる敵が本当にディアボロモン以上の実力だったら、エンジェウーモンとエンジェモンじゃキツイからな!」

 

「此処はオメガモンに任させるんだ!」

 

「お兄ちゃん!」

 

「兄さん!!」

 

「それじゃ!行くぞ!オメガモン!」

 

「応ッ!!」

 

ーーービュン!!

 

 太一の叫びにオメガモンは背中のマントをたなびかせながら通路内部を駆け抜け、現実世界へと戻って行く。

 それを目にしたヒカリとタケルが顔を見合わせながらエンジェウーモンとエンジェモンと共に通路の中に入り込むと、今度は通路の右側の壁の方に新たな道が出現する。

 

ーーーブン!!

 

『ッ!!』

 

『その先に進みなさい』

 

「誰だ!?」

 

 何処からともなく聞こえて来た聞き覚えの無い声にエンジェモンは右手に握っているホーリーロッドを構えながら叫び、タケルも辺りを警戒する。

 しかし、ヒカリとエンジェウーモンは聞こえて来た声に何処か聞き覚えのあるような気がし、辺りを見回しながら声の主を探すが、声の主は見つかる事無く再び声が響く。

 

『その通路は貴方達が拠点としている場所のパソコンに繋がっています。其処を通れば現実世界に安全に戻れますよ。では失礼します』

 

「待って!貴方はブラックウォーグレイモンの仲間なの!?」

 

『・・・・・答える義務はありません』

 

 そう声はヒカリの質問に答えるとそれ以上何も告げずに通信を切り、後には困惑した顔をしながら現実世界に続く道を進むヒカリ達だけが残された。

 

 

 

 

 

 現実世界東京湾付近の公園。

 その場所でルインは公園に並んでいた椅子に座りながらフリート特製のパソコンを弄っていた。既にブラックから頼まれた事をルインは殆ど終えたのだが、最後の一つの作業だけは手間取っていた。

 

ーーーカタカタカタカタッ!!

 

「中々にプロテクトが堅いですね。民間のパソコンでフリートが作ったパソコンに此処まで対抗するとは、思っても見ませんでした。余程デジモンに関する知識を持っているようですね・・・・まぁ、それもこれで終わりですよ」

 

ーーーポチィッ!

 

ーーーピコン!!

 

 ルインがエンターキーを押すと同時にパソコンの画面に『完了』の文字が浮かび上がり、ルインは安堵の息を吐きながらパソコンの電源を切り、パソコンの蓋を閉じると、東京湾に集まって来ている人々と東京湾の海を覆うほどに集まったクラモン達の大群に顔を向ける。

 

「さて、後はブラック様が知っている歴史通りにあのデジモンが現れさえすれば、私達の計画はほぼ完了です。そしてそのデジモンを倒せさえすれば、依頼は完了です・・・・その為にも、もう一体のデジモンにも早く現れて貰わないといけませんね」

 

 そうルインは呟くと、ブラックの情報に従って大輔と賢と離れ離れになっているであろうブイモンとワームモンの捜索を開始し始めた。

 それと同時に東京湾の海に存在していた無数のクラモン達は次々と空へと舞い上がり、一箇所に集まっていくと、クラモン達は巨大なデジタマへと変化し、不気味な沈黙を保ちながら静かに上空に浮かび続けるのだった。

 

 

 

 

 

 お台場中学パソコン部部室。

 その場所で大輔達に指示を出していた光子郎と後から合流した『太刀川ミミ』は、東京湾の上空に浮かんでいる巨大なデジタマの情報を、現場で調べている京と伊織から送られて来ているデータを分析していた。

 

「このデジタマのデータ量は確かにディアボロモン以上のデータですね・・・・これならばネット空間内部での映像が消える前にブラックウォーグレイモンが言っていた言葉も嘘では無いでしょう」

 

「それは分かったけどさ?如何してブラックウォーグレイモンが生きてるのよ?確か死んだって聞いていたんだけど?」

 

「・・・僕にも分かりませんよ・・・ですが、先ず間違いなくディアボロモンが流していた映像に映し出されたブラックウォーグレイモンは、僕らが知っているブラックウォーグレイモンです」

 

 ミミの質問に光子郎は自身でも答えが分からないまでも、太一達同様にブラックが本人である事を確信していた。

 何故今まで姿を見せなかったのかは光子郎にも分からないが、少なくともブラックがヒカリ達に危害を加える事は無い事だけは確信していた。でなければ、オメガモン達の危機を救いには現れない。自身の姿を見られたくないのならば、オメガモン達が戦闘不能になった後に現れるだろう。

 その光子郎の言葉にミミも納得すると、再び二人で京からデータが送られて来るパソコンに目を向けると、突然にパソコンの画面が光り輝き、タケルと体の色がオレンジ色の四足歩行で、両耳が大きな『デジモン』-パタモンが飛び出して来る。

 

パタモン、世代/成長期、属性/ワクチン種、種族/哺乳類型、必殺技/エアショット

大きな耳が特徴の哺乳類型デジモン。この耳を使って空を飛べるが、時速1キロのスピードしかでないため歩いた方が遥かに早い。本人は納得してないが、必死に飛ぼうとしている姿がとても可愛いため人気がある。素直な性格で言われた事をよく守っている。『ホーリーリング』を身につけておらず、聖獣型にも分類されないが、秘められた聖なる力が宿っている。『古代種』のデータを受け継ぐパタモンも存在するらしい。必殺技は空気を一気に吸い込み、空気弾を吐き出す『エアショット』だ。タケルのパートナーデジモン。

 

ーーーピカアァァァァァァーーン!!

 

『ウワッ!』

 

「ッ!!タケルさん!それにパタモン!一体如何して!?」

 

 突然にパソコンから飛び出して来たタケルとパタモンの姿に、光子郎は目を見開きながら声を上げ、ミミも驚愕に声も出す事が出来ずに二人の姿を見つめるが、タケルとパタモンはそんな場合では無いと言う様にパソコンの画面に詰め寄る。

 

「待つんだ!!ヒカリちゃん!エンジェウーモン!!」

 

「戻って来なよ!!危ないよ!!」

 

「まさか!?ちょっと失礼します!!」

 

 タケルとパタモンの様子に何かに気がついた光子郎は慌てて、パソコンを操作して見ると、タケルとパタモンが通って来た道を逆走しているヒカリとエンジェウーモンの映像を発見する。

 

「タケルさん!!如何してこのパソコンに現実世界とネット世界の出入り口が出来ているんですか!?」

 

「僕とパタモンにも分かりませんけど、閉じ込められた空間に突然にゲートが出現してこの場所に繋がっていたんです!!」

 

「ッ!!そんな馬鹿な!?このパソコンのセキュリティはゲンナイさんが構築してくれたのに!?一体如何して!?」

 

 タケルの報告が信じられないと言うように光子郎は声を上げながら、素早くパソコン内部に保存されているデータやセキュリティを調べてみると、一つの事実に気がつく。

 

ーーーピピッ!!

 

「そ、そんな!?大輔君達が集めてくれたクラモン達が全部別のパソコンに転送されている!!」

 

『えっ!?』

 

 光子郎の報告にタケル、ミミ、パタモンは声を上げてパソコンの画面を見つめてみると、確かにクラモン達が保存されていたゴミ箱のマークに表示されているクラモン達の数はゼロになっていた。

 その事が信じられずに光子郎がゴミ箱をクリックしてみると、内部の扉が開き、クラモン達の代わりに一枚の手紙らしきモノが現れ、光子郎が操作する事無くメッセージがパソコンに映し出され、光子郎は顔を青ざめさせながらメッセージを読み上げる。

 

「『クラモン達は全て貰って行きます。悪用は絶対にしませんので安心して下さい。漆黒の竜人のパートナーより』」

 

「・・・ブラックウォーグレイモンのパートナーだって?・・・・何なんだ?一体何が起きているんだ?」

 

 ありえない筈の情報にタケルは困惑した声を上げ、光子郎とミミ、パタモンも訳が分からないと困惑した顔をパソコンに表示されているメッセージを向けるのだった。

 

 

 

 

 東京湾。

 その場所の上空にはクラモン達が寄り集まって出来た巨大なデジタマが浮かんでいた。

 そして地上の公園や橋の上には沢山の人々が集まり、これから始まるであろうオメガモンとクラモン達の激戦に思いを馳せながら、時が来るのを待っていた。

 その中にクラモン達の行進に巻き込まれてパートナーと離れ離れになってしまったブイモンとワームモンも存在し、上空に浮かんでいる巨大なデジタマを見つめていた。

 

「大輔、早く来てくれ」

 

「賢ちゃん」

 

 そうブイモンとワームモンは自分達のパートナーが来るのを静かに待っていると、背後から銀髪に蒼い瞳を持った右腰の脇にパソコンを抱えた女性-ルインが二体に接近し声を掛ける。

 

「やれやれ、やはりあの方の情報どおりパートナーと離れ離れになってしまったんですね」

 

『ッ!!』

 

「警戒しなくても大丈夫ですよ。私は少なくとも貴方達の敵ではありませんから」

 

 ルインはそうブイモンとワームモンに声を掛けると、二体の横にソッと腰を下ろし、徐々に下降して来ているデジタマを見つめる。

 その様子にブイモンとワームモンは訳が分からないと言う顔をしながらルインを見つめていると、巨大なデジタマをジッと見つめていたルインがポツリと呟く。

 

「生まれますね、『アーマゲモン』が」

 

ーーーバカァン!!

 

『ッ!!』

 

 ルインが声を呟き終えると同時に、空に浮かんでいた巨大なデジタマは中心から二つに割れ、その間から巨大なデジモンが海面に向かって落下し、危なげなく海面に六本の足を着地させた。

 そのデジモンの姿を見ようと、東京湾に集まって来た誰もが巨大なデジモンに目を向け『ソレ』を目にする。

 それはクモのような形をしながらも、大きさはディアボロモンやオメガモンを遥かに超える五十メートルほどの体長を持ち、長く巨大な尻尾の先っぽに赤い刃を生やし、同じように長い首を持ったデジモン。

 聖書における最終戦争の名を持ったディアボロモンの真の切り札。『アーマゲモン』が遂にその姿を世に現した。

 

「ギギャアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーー!!!!!」

 

アーマゲモン、世代/究極体、属性/解析不可、種族/分類不可、必殺技/アルティメットフレア、ブラックレイン

とてつもない数のクラモンが集まり、融合した結果生まれた突然変異の特殊デジモン。種族も属性も謎で、凶悪な性格をしていると言われている。ディアボロモンは自らを大量にコピーする能力を持っていたが、それでは本来持っている能力を多少下げてしまう欠点があった。しかし、クラモンを大量に発生させ融合させることで、能力を分散させるのではなく、1固体に凝縮させることでかなりの力を得ることができた。生みの親であるディアボロモンを超える力を持ち、オメガモンを倒す事だけを目的として生まれたデジモン。必殺技は、巨大な口から破壊のエネルギー弾を相手に向かって放つ『アルティメットフレア』に、背中から追尾能力を持ったエネルギー弾を一度に何十発も相手に向かって発射する『ブラックレイン』だ。

 

「・・・・すげぇ」

 

 アーマゲモンの姿に東京湾にいた誰もが圧倒された。

 それは先に東京湾に訪れていた京、伊織、ホークモン、アルマジモン、そしてブイモンとワームモンも同じだった。彼らはブラックの言葉を信じなかった訳ではないが、それでもディアボロモン以上の実力を持つデジモンはいないと心の何処かで思っていた。だが、アーマゲモンの姿を見ただけで彼らには分かった。

 アーマゲモンの実力はディアボロモンを、そしてオメガモンさえも超える実力を宿しているかも知れない事に。

 しかし、自身の姿に圧倒されている人間達には構わずにアーマゲモンは辺りを見回し、オメガモンを、そして自分達の計画を失敗に導いたブラックが現れないか警戒し始める。オメガモンが現れるのは倒す事を目的としているアーマゲモンからすれば嬉しい事だが、ブラックが現れるのだけは困る。アーマゲモンはクラモンの時に自身の生みの親であるディアボロモンとブラックの戦いを見ていた。その結果、自身と同様にブラックには何かまだ隠された力が存在している事を察知したのだ。

 その力が何かまでは流石にアーマゲモンにも分からなかったが、オメガモンと戦うまでの間にブラックが現れるのだけは本気で邪魔な上に、自身が敗北してしまう可能性も存在している。

 最も既にアーマゲモンはブラックに対する切り札を海中の中に潜ませているのだが、ブラックにオメガモンを倒す邪魔だけは絶対にされる訳にはいかない。アーマゲモンはそう考えながら辺りを見回していると、橋の近くの空間が歪み、閃光がアーマゲモンの横を通り過ぎる。

 

ーーードオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

「ギギャッ!」

 

 自身の横を通り過ぎた閃光にアーマゲモンはゆっくりと首を閃光の走った方向に向けた。

 オメガモン、ブラック、一体どっちが姿を現したのかと、戦々恐々しながらアーマゲモンが顔を向けてみると、体をマントで覆い隠したオメガモンの姿を目にする。

 

「ギギャァァァァァァァァァァーーーー!!!!」

 

 現れたのがオメガモンだった事に、アーマゲモンは歓喜した。

 ブラックと言う得体の知れない存在ではなかった上に、自身の標的だったオメガモンが先に姿を現した。それが意味する事は、ブラックはまだネット世界で自分の仲間達に足止めを受けている事に他ならない。

 アーマゲモンはその事に歓喜し、オメガモンに向かって巨大な口を向けると同時に、オメガモンも自身のマントを背中に戻し、右手の砲身をアーマゲモンに構え、二体は同時に必殺技を撃ち込む。

 

「アルティメットフレアッ!!!」

 

「ガルルキャノン!!!」

 

ーーードゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 二体が放った必殺技は二体の中心でぶつかり合い大爆発を起こした。

 しかし、爆発の衝撃は全てオメガモンの方へと流れて来て、オメガモンは慌てて空へと浮かび上がる事で避ける。アーマゲモンはその隙を逃さずに口から砲撃を連射する。

 そして今の攻防でオメガモンはブラックの告げた言葉が真実だったと確信した。

 デジモンの必殺技は、その名の通り相手を倒す為の最大の必殺技。それなのにオメガモンの最大の必殺技であるガルルキャノンは、アーマゲモンの必殺技であるアルティメットフレアに敗れた。それだけでもオメガモンにはアーマゲモンの実力の方が、自身よりも上だという事に気がつくには充分だった。

 

(クッ!!ブラックウォーグレイモンの忠告を聞いて置いて正解だった。もしゲートを開いて力を消耗した状態で戦っていたら、短時間しか戦えなかった!・・・・そう言えば、ブラックウォーグレイモンは一体何処に?)

 

 オメガモンはそうアーマゲモンの砲撃を避けながら考え、フッと自分達よりも先に外の空間に出た筈のブラックがいない事に気がついた。

 ブラックの性格ならば逃げる所か逆にアーマゲモンと言う最大級の敵に戦いを挑まない筈は無い。それなのにブラックは姿を現す様子さえ見せていない。

 その事がオメガモンには疑問だったが今はアーマゲモンを倒す方が先決だと思い、海面を素早く駆けながらアーマゲモンの砲撃を避け続け、そして海面を勢いよく蹴りつけると、巻き上がった海水の幕で自身の体を覆い隠す。

 その様子にアーマゲモンは砲撃を止め、オメガモンの姿を発見しようとするが、同時に海水の幕からオメガモンが飛び出し、そのままアーマゲモンを飛び越え、体を反転させると同時に右手の砲身から砲撃を連射する。

 

ーーードゴオォン!ドゴオオォン!!ドゴオォン!!

 

「ガギャァァァッ!!」

 

 オメガモンの連射砲撃を食らったアーマゲモンは僅かに苦痛の叫びを上げながら、爆発で発生した煙の中に姿を消して行く。

 その様子を見てもオメガモンは油断無くアーマゲモンに向かって構えを取るが、今度は逆にアーマゲモンが煙を隠れ蓑にしてオメガモンに向かってアルティメットフレアを撃ち込む。

 

「ガアアッ!!」

 

ーーードゴオオオオオオオン!!

 

「グアッ!!!」

 

 煙の中から放たれたアルティメットフレアをオメガモンは避ける事が出来ずに直撃を食らい、海面に向かって落下して行く。

 その戦いを見ていた誰もが勝負になっていない事に気がついていた。オメガモンの放つ攻撃はアーマゲモンに僅かにダメージを与える事しか出来ず、逆にアーマゲモンの攻撃はオメガモンに大ダメージを与えていく。

 圧倒的としか言えない戦いに誰もが絶望感を抱き始めるが、アーマゲモンは関係ないと言う様に今度は背中から何十発ものエネルギー弾を空中で体勢を直していたオメガモンに向かって撃ち出す。

 

「ブラックレインッ!!!」

 

ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドン!!!

 

「クッ!!」

 

ーーービュン!!

 

 アーマゲモンがブラックレインを撃ち出した事に気がついたオメガモンは、即座に海面を駆け向ける事で避けようとするが、何十発ものブラックレインはオメガモンの背にピッタリと張り付き追尾し続ける。

 

「クソッ!!」

 

「ギギャァァァァァァァァーーーーー!!」

 

ーーードオオオン!!

 

「ハッ!!」

 

 追尾して来るブラックレインからオメガモンが逃げ続けていると、突如としてアーマゲモンがオメガモンの前方にアルティメットフレアを放ち、オメガモンの動きを無理やり止めさせた。

 それによってオメガモンを追尾していたブラックレインを背中に全て直撃し、大爆発を起こす。

 

ーーードドドドドドドドドドドドドドドドドドゴオオン!!

 

「ウワアァァァァァァァァァァーーーーー!!!」

 

『オメガモン!!』

 

 苦痛の叫びを上げながら海面に叩きつけられたオメガモンに、離れた所の丘の上で戦いを見ていた太一、ヤマト、そして公園で戦いを見ていた京、伊織、ホークモン、アルマジモンはオメガモンの名を叫んだ。

 しかし、オメガモンは答える事も出来ないのかガックリと顔を下に向けてしまい、アーマゲモンはその隙を逃さずに再びアルティメットフレアを撃ち込もうとする。だが、その直前にアーマゲモンの顔に向かって光の矢が凄まじい速さで飛んで来る。

 

「ホーリーアローーーー!!!」

 

ーーードオン!!

 

「ガアッ?」

 

 光の矢-ホーリーアローはアーマゲモンに直撃したが、アーマゲモンは全くダメージを受ける事無く顔を光の矢の飛んで来た方向に向け、ヒカリを肩に乗せたままのエンジェウーモンを目に捉える。

 

「ヒカリ!!それにエンジェウーモン!!一体如何して!?」

 

 太一はヒカリとエンジェウーモンの姿に驚いた。

 確かに別の方法で現実世界に戻った筈なのに、ヒカリとエンジェウーモンはオメガモンとアーマゲモンの戦いの場にいる。その事に太一だけではなくヤマト、京、伊織、ホークモン、アルマジモンも目を見開くが、アーマゲモンはオメガモンを倒す絶好の機会が奪われた事に怒りを覚え、エンジェウーモンに巨大な口を向けアルティメットフレアのエネルギーを集める。

 

「ハッ!!逃げるんだ!!」

 

「クッ!!」

 

 オメガモンの叫びにエンジェウーモンは即座に応じ、上空へと逃げようとする。

 しかし、アーマゲモンは即座に動き回るエンジェウーモンに自身の巨大な口の照準を合わせ、エンジェウーモンに向かってアルティメットフレアを-撃ち込めなかった。

 

ドゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!

 

『ッ!!』

 

 突然に離れた場所に存在している森の方から響いた凄まじい爆発音にアーマゲモンだけではなく、東京湾にいる誰もが顔を向けてみると、爆発が生じた場所からインフェルモン、クリサリモン、ケラモンが凡そ三十体近く海の方に向かって落下して行く。

 

『ゲラーーー!!』

 

『サリーー!!』

 

『シャギャッ!!』

 

ーーーバリリィィィィィーーン!!

 

「アレは!?クラモン達の進化系!?一体如何して!?」

 

「グルルルルルルルルルッ!!」

 

 次々と海に落下すると同時に消滅して行くインフェルモン達の姿に、オメガモンは疑問の声を上げ、アーマゲモンは憎しみに染まった唸り声を上げた。

 アーマゲモンには分かっていた。自身の目的を阻む最大の敵が現実世界に戻って来た事を。

 そして誰もが突然の現象に動きを止め、爆発によって生じた煙を見つめていると、煙の中からオメガモンと同等の大きさを持った影が姿を見せ始め、ゆっくりと海の方に歩いて来る。

 そして煙の中からそれは姿を現した。漆黒の体に金色の髪。鈍い銀色の輝きを放つ頭部と胸当てを装備し、三本の爪を備えた黒い手甲-ドラモンキラーを両腕に装備した漆黒の竜人。

 アーマゲモンが最大に警戒していた憎い敵。ヒカリ達にとっては忘れられない仲間のデジモン。

 その存在はゆっくりと海面に浮かび上がり、アーマゲモンに歓喜に満ちた顔と両手に装備しているドラモンキラーを構える。

 

「さぁ、始めるぞ・・・・貴様と俺との戦いを!アーマゲモン!!」

 

「ギギャァァァァァァァァァァァーーーーーー!!!!」

 

 漆黒の竜人-ブラックウォーグレイモンはそう自身に憎しみに満ちた視線を向けているアーマゲモンに宣言し、アーマゲモンは憎しみと憎悪に塗れた咆哮を辺りに響かせるのだった。


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