深海ヨリ、異端ノ提督カラ   作:UNKNOWN819

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お待たせしてしまい申し訳ありません。
プロローグ3です。


三話 僕らのブイン・Ⅲ

 

 

 

『報告なのです。周囲の視認できる範囲に敵影なし、行軍は順調なのです』

「了解、艦隊は引き続き警戒を。索敵機、あと艦攻と艦爆には十分気を付けて」

『はいなのです』

 

 無線機に繋いだヘッドセットを置いて、息をつく。

 いちおう対空火砲としても使える12.7cm連装砲を二基ずつに13号対空電探を装備する暁型の4姉妹と、20.3cm連装砲を二基と22号対水上電探を装備している天龍姉妹。ブイン基地(ウチ)にある中で彼女らが装備できる最高の兵装を装備してもらっているとはいえども、もともと苦手な対空戦闘において不安が残らない訳がない。相手艦隊はおそらく空母を二隻組み込んだ編成だろうから、もし大量に押し寄せる艦載機を対空射撃で処理しきれず、雨あられのごとく魚雷やら艦用爆弾を落とされるなどしてはたまったものではないのだ。

 とにかく、対空攻撃能力に乏しいうちの艦隊にとって、敵航空戦力はまさに天敵。警戒は怠れない。

 

「あー、やっぱり暁型のみんなには対空用に高角砲…を……ヘクシッ!」

 

 やっぱりさっき体が冷えたのがいけなかったか、なんか風邪でも引いた気がする。

 扇風機のエンジンを切るのももったいないので、窓際に置いて風の通り道を僕から逸らし、換気扇がわりにしておいた。これで適度に外気が入ってくる……はず。

 

「あら、タッツン。風邪かいな」

「うー……駄目だな。出撃した皆が頑張ってるのに」

 

 正面に座る龍驤が机に広げた海図から顔を上げ、傾いたバイザーの向きをなおしながら聞いた。

 皆が多少の怪我は覚悟で出撃してるってのに、司令官の僕が風邪でダウンなんてしたらバカみたいだ。ましてや今は艦隊の指揮を執っている最中。気を抜いていちゃダメだ。……あとで薬のんどこう。

 

「ところで龍驤、僕のヒコーキの整備って」

「完璧やと思うで?午前の内に妖精さんたちに頼んどいたし」

「そっか。なら安心」

 

 僕のヒコーキ…正式名称、『三式指揮連絡機』。艦娘用の式神化された艦載機ではなく、以前に陸軍で使われていた旧式の機体をタダ同然で譲ってもらい(要するに払い下げ)、ウチで整備して運用している機体だ。

 払い下げ機ということで唯一の武装である機銃は外されているものの、まあ哨戒任務ぐらいにしか使わないから問題ない。他国と戦争しているわけじゃあないんだし、別に武装していても意味無いからね。

 

 で、『妖精さん』というのはこれまた不思議な存在で……何だろう、そのまんま『妖精さん』って感じだ。これについてはまた後に。今は見当たる範囲に一人もいないので。

 

「さて。………もうそろそろ、かな?」

 

 首から下げた九三式飛行時計、その針が指す時刻は1323(ヒトサンニイサン)

 演習開始から20分弱。今までのパターンから言って、そろそろ接敵する頃合いだけど………。

 

 

ジリリリリリン!

 

「!」

 

 

 突如けたたましく鳴る無線機のベル。

 

(―――ついに来たか)

 

 そう、嫌が応にも高まる緊張感を押さえながら再びヘッドセットを着ける。だけど。

 

 

 ―――――そこから聞こえてきたのは、全く予想外の事態だった。

 

 

 

 

 

 

 

「ったーく、タイチも心配性だなぁ。言われなくても索敵ぐらいやってるっての」

「そうね~。でも天龍ちゃん、万が一ってこともあるから気を抜いちゃダメよ~?」

「わかってるわかってる」

 

 鎮守府を出てから十数分。指定されたルート通りに歩を進めながら、天龍と竜田が言葉を交わす。

 今回の演習で艦隊の旗艦をつとめる電に、暁、雷、響の四姉妹は天龍たちの前方に展開し、対空電探をフルに活用しながら空を警戒している。相手艦隊に空母が含まれるため、索敵機などの艦載機を警戒しておかないと不意討ちを喰らう可能性もあった。

 電たち駆逐艦が装備する13号対空電探の探知距離はおおよそ25km、対して天龍たち軽巡の22号対水上電探は探知できて10数km程度。そのうえバッテリーの持ちが悪く、長時間の連続稼働は難しい。そのため、まずは早期に敵艦載機の動向を掴める対空電探で索敵をし、艦載機を発見すれば可能な限り撃墜、被害を軽減。艦載機が飛来した方角から大まかな敵の位置を割り出し、起動した対水上電探で探索、射程内に収まり次第攻撃を加える戦法だ。深海棲艦との戦闘(とどめを刺すことはほとんど無いが)ではこの戦法で主に戦っているため、できるだけいつもと同じような状況で訓練しておきたかったのだ。

 

「ねぇ、天龍」

「ん、どーした雷。敵機か?」

「ううん」

 

 電探のモニターから顔を上げずに、少し元気のない様子で話す雷。いつもの天真爛漫な彼女らしくなく、その表情には真剣な、それでいどこか悲しいような色が宿っていた。

 

「明日で『あの日』からちょうど二年でしょ?……司令官、大丈夫かしら」

「……ああ、なるほど」

 

 雷の言う『あの日』。それは、多一の実の父である白鷺洲 洋司(さぎしま ようじ)が、公式には(・・・・)実弾を用いた訓練中の『不慮の』事故で殉職したとされるその日。それは二年前、1940年の9月19日―――つまり明日だ。

 それを思い出した天龍も、あの日の夜の光景が目に浮かび、わずかに表情を曇らせた。

 まるで吼えるかのように一晩中大泣きに泣いた多一はそれから一転、一ヶ月の間まったく何も話さなくなった。

 わずかに表情が変わったり頷いたりはしていたが、泣きすぎ二度と声が出なくなったのではないかという噂がまことしやかに囁かれるほどに声を発さなかったのだ。

 去年も命日が近付いてくるごとに口数が減り、また何かしら体調を崩すのではないかと鎮守府の皆が焦ったのを天龍も覚えていた。

 

「ま、今年は大丈夫なんじゃねえか?今のところは特に異変なしなんだろ?」

「うん……確かにそうなんだけどさ」

「司令官が心配でたまらないみたいだね、雷」

「だ、だって―――」

「やっぱり雷ったら、甘やかしすぎて司令官をダメにするタイプよね」

 

 明るい調子で天龍に言われてもなお、心配そうにする雷を響と暁がからかった。

 すぐにいつもの調子に戻った雷を見てどこか微笑ましいものを見る目で三人を見ていた天龍だったが、その隣で龍田がある異変に気がつく。

 

「あら~?電ちゃん、どうしたの~?」

 

  そう、先程からはしゃいでいる暁型姉妹の中、電だけがじっと食い入るように電探のモニターを見つめていた。

 電が装備する13号対空電探は個体差であろうか、ブイン基地にあるものの中では優秀なものであったし、故障も今のところほとんど起きていないので、電探が故障したというわけでもなさそうだ。

 もしかしたら敵機が来たのかもしれない。心配そうに龍田が覗きこんだとき、電はようやくモニターから顔をあげた。

 

「龍田さん、天龍さん。ちょっとこれを見てほしいのです」

「電探か?………どれどれ」

 

 電が差し出したタブレット型のモニターを天龍が受け取り、龍田もその脇からモニターを覗いた。

 モニターの上には、電探を装備する電の位置をあらわすアイコン中心として探知範囲をしめす円が描かれており、演習用システムとの干渉によるノイズが小さな光点としていくつも浮かんでは消えを繰り返していた。

 

「ん?別に何にも反応してないんじゃねえのか?」

「あら……ねぇ天龍ちゃん、これはなぁに?」

 

 怪訝そうな面持ちで、龍田がモニターの一角を指差す。

 よく見ればその地点は艦隊からおおよそ8kmほどの距離の場所、かなり狭い範囲に何個かの光点が集中しているのがわかった。しかもこの光点、反応はごく薄いものの周りのノイズによる誤反応で表示されたものと違い、すぐに消える事なくモニターに表示され続けている。

 電以外の三人のモニターには反応が無いようだったが、それも整備が行き届かずに動作が不安定な電探にはよくある症状だった。

 

「本当だ……何だこれ、こっちに向かってきてんのか?」

「そうなのです。それもかなりの速度なのです」

「あらぁ……おかしいわねぇ~?」

 

 いくら実戦同様の演習といえども相手となる艦隊の進路はあらかじめ決めてあり、それと別の進路をとることはルール違反となる。破れば無条件での敗北になるため、恐らく相手もそんな事はしないと思われた。つまり反応があった方角から考えて、艦載機らしき航空機が発進したのは明らかにショートランドの艦隊ではない。

 

「龍田、いちおう水上電探を起動しといてくれ。もしかしたらなんか見えるかもしれねえからよ」

「は~い」

 

 龍田・天龍がバッテリーを温存していた電探のスイッチを入れ、当該する方角の水上を探索しはじめる。動作が不安定で正確性は微妙だが、未確認の(恐らくは空母だが)艦艇に攻撃を加えることになった際に距離や方角は重要な情報となるために欠かせない作業となる。

 

「未確認機、距離4キロなのです」

「速いなオイ。龍田、そっちに反応あったか?」

「無いわ~。ほんと、安定しなくて苦労するわね~…」

 

 モニターに映し出される10Km先の海域をしながら、龍田が思わず唸る。

 艦娘はおろか、艦娘を持たない陸軍が保有するような大型艦艇、民間船の影すら現れない。もうすぐ一般的な航空魚雷の射程内というだけあって、艦隊の中では緊張が高まっていく。

 遮られる物のない海の上、真っ青な晴空を背景に黒い点が遠くに見えはじめた。未確認機が目視できる距離まで接近してきたのだ。

 

「あら~?あのシルエット、もしかして……」

「お、艦影発見!艦娘みたいだ……が……あれ?」

 

 探知に成功した天龍のモニターに表示されたスキャン結果、その表示に一同は凍り付いた。

 

 

 

――――「『空母ヲ級』flagship」―――

 

 

 

 出現したのは、この海域にいるはずのないタイプの『深海棲艦』。

 

 唖然とする一同の目前、2Kmの距離まで接近した大量の艦載機が、つぎつぎと魚雷の投下を開始した――――。

 

 

 

 

 

「……はぁ!?………うん、了解。そっちはよろしく!!」

「何や何や、いきなりキナ臭い」

「演習海域に深海棲艦が出現、しかも空母ヲ級『フラッグ』だって」

「何やて!?」

 

 魚雷を回避する機動の途中だったのだろう、電からの必死の無線の内容を聞いて途端に慌ただしくなる執務室。

 すぐに鎮守府じゅうの妖精さんたちが集められ、それぞれに役割が割り振られた。

 妖精さんの身長は小さく、具体的には僕の膝より少し下ぐらいまでしかない。が、なにやら高度な知能を持っているらしく結構複雑な指示も実行してくれるし、普通に言葉を交わして意志疎通もできる。艦娘用に式神化された艦載機を操縦してるのも妖精さんだ。ちなみに撃墜されてもいつの間にかフラッと戻ってきているという謎の特性ももつ。

 適当に近くにいた、カーキ色の飛行服を着た妖精さんを文字通り捕まえて指示を聞かせる。

 

「君、モールス信号でショートランド艦隊に演習停止の連絡をしてくれ。文面は任せる。あ、たぶん旗艦は伊勢だしわかってくれると思うから心配しないで」

「りょーかいー」

 

 びし!と妖精さんが無駄に力のこもった敬礼をしたのを確認して、床に放す。

 すぐにどこからかモールス信号に使う電鍵を取り出してきて発信器につなぎ、ショートランド艦隊に向けて信号を送りはじめた。これで相手への通達は……っとと。

 まだ一番面倒なのが残っていた。

 

「龍驤、悪いんだけどウチの艦隊に連絡お願い」

「りょーかい。何て言う?」

「『艦載機を捌いたらヲ級とは交戦せずに即時撤退、指示を待て』!」

「はいな」

 

 僕がさっきまで着けていたヘッドセットを龍驤が着け、僕はその脇にある電話の受話器をとった。

 微妙に気が進まないのを今は緊急事態だからと抑え込んで、ダイヤルを回す。明るい声の交換手さんにショートランド泊地の番号を告げると、そう待たされる事もなく繋がった。

 

「もし、こちらブイン基地提督の白鷺洲です」

『あぁ?ふざけるなクソガキ!今は演習中だろうが』

「……いえ、緊急事態です。直ちに演習の中止をお願いしたく」

『緊急事態だぁ?』

 

 さすがに緊急事態という言葉には反応したショートランドの辻提督。

 開口一番に暴言を吐いてくるあたり、さすがというかなんというか。

 

「演習海域に深海棲艦が出現しました。現在わがブイン艦隊が艦載機と交戦中です。幸い空母ヲ級単艦の『はぐれ』のようですが……」

『へぇ』

 

 ……何だこいつ。『へぇ』とだけ言ったけど、なんだかその語調は何かを喜んでいるようにも受け取れた。

 小馬鹿にされたようで腹が立ったけど我慢我慢、無駄な時間をとると交戦中の皆が危ない。

 

「撃退すべく攻撃を行う方針ですが、わが艦隊では火力戦力ともに不足しております。そこでショートランド艦隊には支援砲撃という形で攻撃に協力していただきたく」

『必要ない』

「…………は?」

 

 思わず間の抜けた声が出た。

 『必要ない』だって?周辺海域に強力な深海棲艦がいる危機的状況なのに?

 ……本当に何を考えているんだ、あの大佐は。

 

『わがショートランド第一艦隊は当該海域から即時離脱する、後始末はそちらで勝手にやってくれたまえ。残念ながらうちにはその様な雑仕事に費やす燃料弾薬は無いのだ』

「っ…正気ですか!?」

『当たり前だろ?生憎わが艦隊は深海棲艦の駆逐に他基地との演習にと忙しいんだ。お前らみたいなクズ艦隊とは存在価値が違うんだよ解ったか?クソガキ』

「なっ………!」

『分かったらすぐ始末しろ。精々早いうちに済ませるこったな』

 

ガシャン!!

 

「……………」

 

 

 電話は一方的に切られた。

 あまりの理不尽さと、侮辱的な言葉によって腹が立って、しばしの間呆然としていた。

 艦娘は限りなく人間に近い存在だ。故に命もある。それなのに、辻大佐はそれに優劣をつけて分類しようとする。それが腹立たしくて腹立たしくて仕方ない。

 ……知らず、僕は受話器を握り締めたまま凄い顔をしていたらしい。正面にすわる龍驤が僕の顔を見てか、驚いたような焦ったような表情を浮かべていた。

 

「タッツン、その、大丈夫…?」

「んー…………うん。大丈夫、落ち着けた。……たぶん」

 

 少なくとも、表面上は。

 静かに受話器を置いて、龍驤に向き合う。無言でヘッドセットを受け取って着け、送信スイッチを押して声を吹き込む。

 

「ブイン基地司令官より各艦へ。みんな聞こえる?」

『司令官?こちら響。聞こえるよ』

「響。電はどう……いや、やっぱりいい。被害状況を教えて」

 

 無線機は全員が携帯しているため、誰が出てもおかしくないのだけれど、今回の旗艦は電だ。旗艦は本部からの無線に答える役も担当するので、それが応答しないというということは……言わずもがな、かなりヤバい状況か。

 

『だいたい司令官が察した通りだよ。電、雷、天龍、龍田が大破。暁と私は中破だよ』

「何だって!?」

 

 しかし実際の艦隊は、僕が予想していたよりも更に予断を許さない状況だった。

 

 旗艦大破、主力艦・随伴艦大破3、他中破艦2。ちなみに大破した4人は武装、電装系が使用できないものの、自力での航行は可能とのこと。

 ……ダメだ、どう考えてもこれ以上持たない。

 誰かが沈んでしまうまでに、早く撤退をしなければ。

 

「響、よく聞いてくれ。これをもってブイン第一艦隊は交戦海域から離脱。まだ被害の小さい雷と響で上空を警戒しながら、可急的速やかに帰還するように。いいね?」

『了解、いくよみんな。Урааааа(ウラ―――)!』

 

 掛け声とともに小型浮航装置の甲高い駆動音が被って、それから一転、空電ノイズがサラサラと聞こえるのみになった。

 

「クソッ―――」

「ひとまずはお疲れさん。でもまだ気ぃ抜いたら……」

「―――――っう」

「う?」

 

 撤退を下令したけど、どういうわけか深海棲艦が追撃を仕掛けることは稀なため、このまま逃げ切れる公算が高い。……そう思って息を吐いたとたん、急に耐え難い吐き気が襲ってきた。

 顔から血の気が引いて、胃の内容物が逆流してくるのが感覚で分かる。やばい、これはヤバい奴だ……。急いで席を立ってトイレに急ぐ。

 扉を抜けるときに、龍驤が本日二度目ぐらいの驚いた顔をしていたけど、気にする余裕は僕にはない。二階にある執務室から一階まで降りなければトイレが無いのだ。

 ああもう、今は非常時なのに。情けないな僕は!

 

「うっ……。吐く、やばい吐く」

 

 一瞬、もうここで吐いてもいいんじゃね?とか不埒な事を考えてしまったけど、そういうわけにもいかない。掃除や何やといらん仕事がまた増える。

 

 

 ……その3分後、なんとかトイレに駆け込んでそこで胃の中身を全部吐き出した僕は、フラフラと戻った執務室で妙に手際よく(無理矢理にだけど)ソファーに寝かせられ、艦隊の指揮を強制終了させられたのだった。

 

 撤退中の艦隊のみんなにはもう伝達済みらしく、つまりは現在、事実上の指揮官は龍驤ということになる。

 艦娘の指揮を艦娘がやるって一体……と思わなくもないけど、ウチではよくある事なので特に気にはしないことにした。というか気にしすぎるとまた吐きそうで怖い。

 

 

 

 かくしてその40分ほど後、ようやく胃の不快感が治まった頃、龍驤にしっかりと誘導された艦隊は、一人も轟沈することなく基地まで帰投したのだった。

 そしてついさっき、ソファーに寝転んだまま唸っていた僕を見て、龍驤は帰投した皆の入渠の世話をするためにドックに行ってしまった。僕が行くからいいって言ったのに、ついでだからと言って聞いてくれなかったのだ。

 

 なんというか、一応上司でしかも鎮守府(ここ)のトップなのに、こうも使えない僕が情けなさすぎる。

 一人になった執務室の中、ようやく吐き気から解放されてソファーから立ち上がったた僕は、ハンガーラックに掛けられたくすんだカーキ色の飛行服に着替えたのだった。

 僕にしかできない仕事ぐらいは僕がやらなくちゃね。………まあ、皆のやってる任務とは比べ物にならないぐらい楽で安全で、なおかつ楽しい仕事だ。それもなんだか、艦娘のみんなには本当に申し訳なくなってくるほどに。

 

 

 

 

 でも僕はこのとき、まだ何も知っていなかったんだ。

 

 

 

 ショートランドの大佐の企みと、目の前の湾に起きている静かな異変なんて。

 

 

 

 

 




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