Angel Beats! the after story 作:騎士見習い
「ありがとうお兄ちゃん!褒めてくれて!」
お風呂からあがったばかりで肌がうっすら赤みを帯びて、ぽかぽかと湯気を纏わせているのは我が妹、初音である。
もちろんまだこちらは何も言ってもない。この頃の初音はますます退化している。高校受験よりもお受験の方が似合ってるんじゃないかというレベルである。
「いや、何も言ってないからな。ちゃんと聞いてからお礼の言葉を述べなさい」
言葉のキャッチボールは大事だからな。
「うん分かった。に、似合ってる……かな?」
さっきのテンションからのギャップに戸惑うが聞かれたからにはお兄ちゃんとして全力で答える。
「初音は何を着ても可愛いなぁ~。世界一可愛い妹だよぉ」
「えへへ、嬉しいなぁ」
初音の喜ぶ顔が見れて俺も嬉しい。これからが本題と言わんばかりに初音は切り替え、興奮した様子で話し出す。
「お兄ちゃん!この旅館にはゲームコーナーがあるんだよ!行こう!Let's go!」
ゲームコーナー?確か、椎名がそんなことを言っていた気がするが、多分、卓球台とかそういう王道なものばかりだと思うのだが、
「これからすることもないし行くか」
自然と手を繋ぎ、ゲームコーナーへ向かう。
「「ほほぉ~~」」
レトロゲームや卓球台、ビリヤードにダーツといったものがあり、なかなかに楽しめそうな感じだ。
初音の期待にも十分答えていたらしく握られている右手が先程よりも強く握られる。
「やっぱり旅館といったら卓球だね。先に使われる前に早く行こう」
ぐいぐいと引っ張られ、お目当ての卓球台に着いたはいいが、そこには……。
「SMASH!!」
見覚えのある声が打ち返したピンポン玉は想像を絶するほどの回転が加えられ、相手コートに接触するや否や跳ねずに数秒回転した後、ネットと平行に跳ねた。
「甘いッ!!」
これまた聞き覚えのある声が瞬足といえるような速さで移動し、ばごんッと卓球なのかを疑いたくなるようなスマッシュ音を響かせた。
さすがに取れずにピンポン玉は壁にめり込んだ。
「いやいや人類を超越してるだろあいつら」
そう、TKと椎名である。お互い浴衣に身を包みながら卓球を堪能してるのだが、レベルが異次元である。
「では、行くぞ!」
「C'mon!」
椎名のサーブもこれまたピンポン玉がナックルボールみたいなサーブを打ってくる。
「sweet!!」
正確に打ち返すTKだが、TKが返したピンポン玉が分身し始めた。ツッコミたいのだが悪寒が背筋を撫でるような感覚がし、抑えこむ。
「まだまだァァ!!」
分身したピンポン玉と同じ数になるように椎名も分身し、全てのピンポン玉にラケットを正確に当てていく。
「す、全て分身だと……!?」
椎名の分身のラケットは全部空を切る。
「いつ、ワイが打ち返したと錯覚したんや……?本物はこれや!!」
「打ち返したと思ったピンポン玉も分身だったとは……不覚」
綺麗にTKのサーブは椎名のコートに入り、床に落ちていった。
「さぁ!勝負はここからやで椎名!」
「望むところだ!」
なんとも熱い闘いなんだけど、異次元過ぎて疲れてしまった。
「お兄ちゃん。私なんかもう疲れちゃった」
「奇遇だな。お兄ちゃんもヘトヘトだよ」
二人で疲れの溜息を漏らしているのを尻目に先程よりも熱闘っぶりに感服する。
そして、俺と初音は互いの部屋に戻っていった。
本当に久しぶりです。騎士見習いです。
まずはこの度の更新ができなかったことにお詫びします。理由としては、時期的にも忙しかったりと多忙の多忙で瀕死でした。
ようやく、短い内容ですが更新できたことに満足しています。
そして、この海回は次でラストとさせていただきます。できることなら、全てを書きたかったのですが、物語の進行状況の問題で、やむなくそうさせてもらいます。本当に申し訳ありません。
では、騎士見習いでした!(感想、意見、評価お待ちしてます)