Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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アンケートの回答お願いします。詳細はあらすじにあります。


海と恋のラプソディ
夏旅行! 初音 project


 

「じゃあ海行こっ!お兄ちゃん」

 

まだ一言も発してないのに会話が成り立ってしまっている。きっと、初音の脳内だと楽しいお喋りが展開されていたに違いない。

 

「お兄ちゃんと二人でか?」

「そんなわけないじゃん。みんなとだよ」

 

悪気がないその言葉が俺のハートに突き刺さった。

 

「でもね……いつかはお兄ちゃんと二人で行きたいな」

 

ハートに突き刺さった言葉が抜け、そこに不死鳥の涙を垂らしたかのように瞬時に回復した。そのいつかのために夏の予定を開け続けなければな。

 

「俺もだよ初音!……で、みんなって誰と誰と誰なんだ?」

 

遊佐、日向、ユイ、かなで、椎名辺りは妥当だとして危険だがTKも含まれる可能性があると予想する。

 

「えっ〜とね。遊佐ちゃんに日向さん、ユイさん、かなでさん、椎名さん」

 

どうやらTKは海いく隊から落ちてしまったらしい。海辺の砂でも後で渡してやるか!

 

「……と、TKさん」

 

「チッ……プスター食べたいな」

 

おっと、危うく舌打ちしたのをバレるところだった。妹の発言に舌打ちなんてしてはいけないからな。

 

「後はゆりさん、野田さん、岩沢さんにひさ子さん、関根さん、入江さんと直井さん、藤巻さんそして大山さん」

 

一気に捲し立てていたが、フルメンバーじゃないですか?初音さん。

 

「は、初音さん。最初のメンバーは兎も角、後のメンバーはどうやって誘ったんですか?ていうか、どうやって知り合ったんだ?」

 

「長くなるんだけどね……」

 

国語力が一般よりも少し乏しい初音の話だとこういうことらしい。

 

まず、日向とユイがガルデモと友達なんだぜ!と自慢したらしくその証拠に岩沢に連絡。そして初音が俺の妹だと分かった瞬間、連絡先を交換し自然とひさ子たちとも交換したらしい。

 

 

ゆりたちだが、これはかなで経由らしく、初音といつの間にか仲良くなっていて、勉強を教える約束だったのだが急な用事でかなでが教えられなくなり、代わりにゆりがその役目を引き受けて、そこから野田とも会って知り合ったらしい。

 

 

直井だが、気がついたら携帯に連絡先が登録されていた……らしい。

 

 

藤巻と大山だが、ひさ子がこの二人に初音のことを伝えたらしく俺がいない時に接触していたとのことだった。

 

 

「とまぁこんな感じか?」

 

俺がいない間にあいつらふざけやがって……初音に馬鹿が移ったらどうするつもりなんだよ。ったく。

 

「さすがお兄ちゃんだね!うん、そんな感じだよ。だから、ね……行こっ?」

 

期待と不安で揺らいでる瞳で見つめてくる。

 

「最初からそのつもりだよ。いつ行くんだ?」

 

この夏は思い出をたくさん作って欲しいしな。それに俺の最高の仲間たちとももっと仲良くなってもらわなきゃいけないし。

あぁ〜かなでの水着が楽しみじゃあぁ〜〜!!!

 

「それはね……」

 

バタンッ!と強くドアを開けた音が聞こえたと思ったら、窓ガラスが割れSAT並の高スペックの装備をした連中が侵入してきた。

 

「今からだよ、お兄ちゃん」

 

「捕えろ」

 

聞き覚えのある声の命令により統率のとれた動きによって、瞬く間に捕らえられる。

 

「対象確保!クリア」

 

「こちらドア。近隣の住人の買収、クリア」

 

「こちら105号室。大家買収、クリア」

 

縄で縛られ、口を塞がられ、目隠しを付けられる寸前に見えた光景は……初音と直井がハイタッチをして喜んでいる姿だった。

 

「連れていけ」

 

「「「ハッ!!!」」」

 

もうヤダこの国会議員……。

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜかヘリコプターでも護送車でもなく見に覚えのあるミニバンに乗り込んでいた。

 

「音なっちゃん起きたようだね」

 

「あ、ああ。ところでどこに向かってるんだ?」

 

思い出した。このミニバンはTKが買ったという新車である。散々写真を送られてきたため悪印象だったし。

 

「どこってそんなの海に決まってるじゃない」

 

「そうですよ音無さん」

 

「記憶障害ですか音無先輩?」

 

前の座席からひょっこりと顔を出したゆりとかなで&ユイ。とりあえずユイは……気にしないでおこう。

 

「やっぱりか……」

 

直井への殺意がピークに達しているのだが、まぁそれは置いといてだ。

 

「───なんで日向と野田は縛られてるんだ?」

 

縄で縛られ口を塞がられていた。必死に解こうとドタドタ暴れてたと思うとこちらを向き、塞がられ口を動かし何かを伝えようとしていたが、大いに想像がつくため嫌でも分かってしまった。

 

「椎名さんが来るって聞いたら逃げ出そうとしたから、こうしたわ」

 

「サークルで遊ぶ約束をしてたので拉致って来ました」

 

二人とも南無。

 

「私はやめた方がいいって言ったんですけど、ダメでした」

 

「何言ってるのよかなで。あんただって音無くんが来るって聞いたから講義休んできたんでしょ」

 

「そ、それは言わない約束だよ!違いますよ音無さん!」

 

座席から身を乗り出しての抗議をただただ可愛いと思っている。愛でるということを覚えた俺であった。

 

 

 

 

「ハァハァ、助かったぜ音無」

 

「感謝する」

 

とりあえず解放する。

 

「許さないからな!ユイ!」

 

「さすがに俺でも怒ったぞゆりっぺ!」

 

日向なら兎も角、野田がゆりっぺに対して怒るなんて……天変地異が起こるぞ。ま、それほどの悪行ってことだろう。

 

さて、このご立腹な二人をどうするのか……。

 

「「ごめんね♡」」

 

顔の前で手を合わせ、甘い甘い声で許しをこう元凶。

 

「ったく、次はちゃんと予定を合わせてくれよな」

 

「怒って悪かったなゆりっぺ。強引なやり方はこれからは控えてくれ」

 

ご覧頂けただろうか……許してしまったぁ〜……。

 

さてここで俺たちが知らないことを質問する。

 

「何泊するつもりなんだ?」

 

「みんなが満足するまでよ」

 

案の定、ちゃんとした答えが返ってこなかった。つまりは一週間以上という可能性もあるという訳だ。

 

「どこに泊まるんだ?」

 

「椎名さんが働いている旅館の分館があるらしいからそこにお世話になるわ。ちなみにお金は直井くん持ちよ」

 

「音無さんのためなら安いです!って直井先輩言ってましたよ」

 

決して悪いやつじゃないだけど、国会議員として大丈夫なのか?

 

「ん?そういえば初音はどこだ?」

 

「初音ちゃんは岩沢さんたちのロケバスに乗ってるわよ。さすが有名人よね、ロケバスを借りるんだもの」

 

ガルデモメンバーと藤巻たちはロケバス。椎名は分館で待っているらしい。さて、残すは直井だが……。

 

「ふっふっふ。僕はここですよ音無さん」

 

 

助手席から顔を出す直井。

 

「てめぇそんなところにいたのか!」

 

「許さんぞォォ!」

 

「そうだぞ直井。やりすぎはよくない」

 

「貴様らを拉致るのにいくらかかったと思っている?後々請求してもいいんだぞ?あっ、音無さんは違いますよ!妹さんにどうしてもと言われたのだ渋々、特殊部隊を出動させたんです」

 

渋々特殊部隊を出動させるのもあれだけどな。だがまぁ初音の頼みを断ってたら死刑執行だったけどな。

 

さすがに請求には敵わないらしく日向と野田は不満な顔で引き下がった。

 

 

そらから着くまでは席替えをしてかなでと楽しく楽しくお喋りに花を咲かせましたよ。どうやら水着を新調したらしいからこれだけでも、十分行く価値ができた。

 

 

「おっ、みんな海が見えてきましたよ」

 

TKに言われて窓からの景色を見ると大海原が広がっていた。

 

「うひょぉおお!!海ですよ先輩!」

 

「ああ!!海だ!!」

「綺麗ね」

 

「まったくだ!」

 

「音無さんすごいですよ!」

 

「本当にすごいな!」

 

ここ数年、海に行っていない俺のテンションはMAXである。かなでたちのテンションも高まっており、各々の目には早く遊びたいという抑えきれない気持ちが出てきている。

 

 

 

無事に旅館に着く。本館と大きさや豪華さを比べると劣ってしまうが、それでも海の近くの旅館ということで潮風によって薄くなっている塗装が趣を感じさせる。

 

駐車場には岩沢たちが乗ってきたであろうロケバスがあった。

荷物をおろし旅館の中に入ると、岩沢たちがフロントで待っていた。

 

「よぉ音無!元気にしてたか?」

 

「音無くん久しぶり!」

 

「おう、元気にしてたぜ!」

 

久々の再会に喜びつつ、大山が年上ということを疑っている俺が心の片隅に存在しているのを確認できてしまった。

 

「結弦久しぶり」

 

「まさみも久しぶり」

 

ハイタッチをする。

 

「えっ!お兄ちゃんと岩沢さんがお互いを呼び捨てにしてる!!も、もしかして、そういう感じなんですか?」

 

「もちろん。痛っ!」

 

「平気で嘘をつくなよ岩沢」

 

俺がツッコミを入れるよりも先にチョップを繰り出したひさ子。さすがキングオブツッコミ!!

 

「そうですよ岩沢先輩。音無くんはみゆきちの物なんですから」

 

「ちょっとしおりん!!何を勝手に言ってるの!!もう!……あう……」

 

なぜかこっちを見た入江はすぐに目を逸らし俯いてしまった。

と、こんな状況になってしまった結果。処理が追いつかなかった初音はシャットダウンしてしまった。

 

「遊佐さん、元気にしてたかしら?」

 

「はいお陰様で」

 

「遊佐っちの天気予報毎日見てるぜ!」

 

「そう言われると少し恥ずかしいのですが、ありがとうございます」

 

遊園地の後、遊佐はローカル番組ではあるが天気予報のお姉さんもとい天気予報の女の子として活動している。天気を伝える時は無表情。だがしかし!伝えた後の『今日一日がんばってください』をいう時は満面の笑みというギャップで今、話題となっている。

 

「今日はよく来てくれた、みんな」

 

椎名登場。野田はというと、徐々に抗体ができているらしく冷や汗しかかいてなかった。

 

「お世話になるわ。それと、もちろん椎名さんも泳ぐんでしょ?」

 

「もちろんそのつもりだ」

 

これで初音が集めたメンバーが揃った。

 

「さて!みんな揃ったということで、満足するまで楽しむわよ!」

 

「「「おおぉーー!!!!!」」」

 

 

 

俺たちの海が始まった。

 

 

 

 

 

 




どうも騎士見習いです。

ついに夏ですね。学生のみなさんは夏休みということで楽しんでいるでしょうか?私も悔いを残さないようにチャレンジしていきます!

今回は事前に予告していた海回ということで、活動報告にも書いた通り、『このキャラとこのキャラの絡みが見たい!』というアンケートをとらせて頂いております。

ぜひこの機会に感想を書いたことのない人とかもドシドシお願いします!!


できる限り、すべてを書きたいと思っています。※短編となる可能性もあります。

では、あらためまして読んでくださってありがとうございます。アンケートの方も回答お願いします。これからもよろしくお願いいたします。

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