Angel Beats! the after story   作:騎士見習い

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記憶戻しの野球試合⑤

激しい攻防を繰り広げついに最終回裏俺らの守備が始まる。

本日3回目の円陣を俺らは組む、日向もランニングホームランを打った後でさすがに疲れているのが分かる。他の連中も疲れているが気迫は衰えず最終回を迎えますます強くなっている、そんな俺も最初は渋々だったが今は本気でこのチームを勝利に導きたいそんな気持ちが込み上げる。

 

少しの静寂の後、両チームが同時に叫ぶ。

「「この回絶対抑えるぞ「逆転するぞ」!!!」」

 

キャプテンの声に応えるかのように全力でチーム全員が叫ぶ。

「「「「「「「「おぉぉおおーーー!!!!」」」」」」」」

 

そして緊迫する中、両チームお互いの場所に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(これが俺の最後のピッチング)軽く手首をほぐしながらそんなことを考えていたがあまり重く考えないようにする。またあの時みたいに迷惑を掛けてしまうかもしれないからだ。これからのピッチングは自分のためではなくチームのために全力で投げるそう決意した俺はキャッチャーの指示を確認する。

 

 

(外角低めにカーブ)指示を確認し終わりピッチングポジションに入る。そして、おもいっきりボールに勢いをつけてキャッチャーグローブめがけて投げる。投げたボールは綺麗に曲がり『バシィ!』という音と共にキャッチャーグローブに収まる。

「ストライク!」

 

そのまますぐキャッチャーの指示を確認する。

(内角低めにストレート)そしてすぐにボールを投げる。

意表を突かれたバッターはすぐに構えてバットを振ったがボールはバットの根元部分に当たりボールはコロコロとサードに転がりアウトになる。

 

 

俺は次のバッターのために深呼吸をして気持ちを切り換え、次のバッターを見る。

(打順てきに4番か…)決して恐れているわけではなくその逆でもっと自分のピッチングをしたい、そういう衝動に駆られワクワクしている。バッターはバットを構える。俺はキャッチャーの指示を確認する。

 

(内角高めにカーブ)そう指示がきたが首を横に振り次の指示を確認する。

(外角高めにフォーク)また俺は首を横に振る、キャッチャーは不満の表情で見ていたが俺の考えに気づいたらしく驚きの表情を隠せないでいたが、俺を信頼しグローブを構える。

 

 

俺のわがままに付き合ってくれるキャッチャーに感謝しピッチングポジションで上げた左足をおもいっきり地面に踏み込みその勢いを利用し全力でボールを投げる。そのボールは高くも低くもなくましてや変化すらしない、そう俺が投げたボールはど真ん中のストレートだ。

「ストライク!」

 

バッターは身動き一つしなかった。多分一球見逃したのだろう。

また俺は同じところに全力で投げる。2回連続ど真ん中だと思わなかったバッターはまたしても見逃す。

「ストライク2」

 

バッターを追い込んだが俺は気を抜かず集中を保つ。バッターは追い込まれても慌てずただ集中してバットを構えていた。その気迫にまたしても俺は相手が中学生だということを忘れていたがそんなのはこの際関係ないと思い、ピッチングポジションに入る。肩が壊れるような勢いでボールをおもいっきり投げる。

一球投げるのに集中しすぎてキャッチャーがグローブでキャッチした音もボールがバットに当たった音すら聞こえなかった。審判がジャッジする、そしてはっきりと聞き取れた…

「ストライクー!!」

試合は終わっていないが喜びが込み上げてくる。

「よっしゃー!!」

 

正々堂々と真正面から挑んで勝てたことがなんとも言えなかった。

そして最後のバッターがバッターボックスに入る。

 

今の俺は集中をし続けたせいで疲れて苦しくなってきている、そんな体にムチを打ってキャッチャーの指示通りにボールを投げる。

「ボール」

コントロールを落ちなかなかストライクにならない、それでもここまで繋いでくれたみんなのために歯を食いしばりながら、もう上がらない肩でボールをおもいっきり投げる。投げたボールはバッターのタイミングとピッタリ合っていた。それを見て俺は地面に四つん這いになりそうになったが、バッターの打ったボールはセカンドの頭上に上がる。後でキャッチャーから聞いた話によると俺の手の汗でボールが無回転で投げられフォークみたいな球になっていたらしく、それを知らない今の俺には奇跡としか言いようがなかった。

 

 

「オーライ、オーライ」

セカンド守備の日向がボールの捕球体制に入る。俺は咄嗟に走っていた、日向が消えるんじゃないかとだが途中で気づく

(俺らは現実で生きているんだ…)嬉しかった。これが死後の世界ではなく現実ということを知って。

 

「アウトー!!、ゲームセット」

 

日向が無事ボールをとったらしく試合は終わった。

 

「「「「「よっしゃーーーーーー!!!!!!!」」」」」

 

全員が喜び日向を中心に集まりお互いの健闘を讃えている、俺もその輪に入りもみくちゃにされながらも喜びあう。練習試合でも、なんとも言えない達成感で満足する。

 

そして両チーム初めと同じように1列で整列する。

審判の声で結果を言われる。

 

「2対1で大学サークルチームの勝ち!両チーム礼!!」

「「「「「「「「ありがとうございましたーーー!!!」」」」」」」」

 

俺は散々労いやらなんやらの言葉をもらい時間が経つ。

 

 

俺、日向、かなで、ゆり、ユイ以外は全員帰っていった。俺はかなでとゆりとで後片付けをしている中、日向とユイはグランドのマウンド近くで夕陽を見ていた。ここからじゃ何も聞こえないが今のこの状況はあの時にとても似ていた。

そして微かに会話が少しだけ聞こえた。

 

「ひなっち先輩、私との約束覚えていますか?」

 

「あぁ、あいつらのおかげで全部思い出したよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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