まーじゃんぱにっく!!   作:ハルハルX

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2にちめ!part1

藤堂悠斗の朝は早い。何の因果か知らないがこの合宿の朝食の調理をしなければならないからだ。理不尽な思いをしながらも抵抗は無駄だと分かっているので1人で食堂にある調理場へと足を運ぶ。

 

 

調理場へ着くとそこには、黒髪で髪をお団子にしている少女がエプロンを着け立っていた。

 

 

「おはようございます、臼沢さん」

 

「ん、おはよう。藤堂クン」

 

 

なぜ彼女が、ここに居るのかというのは昨日の夕食時の話しをしなければならない。

 

 

~1日目、夕食~

 

 

「…じゃあ俺とキョウでこの人数の食事を用意すればいいんですか?」

 

「ええ、そういうことになるわね。材料費なんかは協会の方から出るらしいから安心していいわよ」

 

「確かに俺は一人暮らしですし、料理もある程度はできますけど…キョウほ料理出来るのか?」

 

「基本的なやつならなんとか…」

 

「問題ないじゃない、後は二人で決めてね」

 

 

「ハル、頼む!」

 

 

夕食後、俺とキョウは食堂で話し合おうと思い食堂に行くと着いた途端キョウがいきなり手を合わせて頭を下げてきた。

 

 

「急にどうした、なにか都合でも悪いのか?」

 

「言いづらいんだけど、俺、朝弱いんだ。だから朝食の準備はできないと思う」

 

「マジか…朝から俺一人で料理しなきゃいけないのか」

 

「代わりと言ったらあれだけど、昼食は俺一人で料理するからさ!」

 

「まぁそれなら…」

 

「それで決まりな! 朝はハル、昼は俺、夜は二人でやろう!」

 

 

そういうとキョウは食堂から出ていこうとする。

 

 

「あ、ちょっ、待てって!」

 

 

キョウは俺の言葉を聞かずに食堂から出ていってしまった。

 

 

「俺一人で料理するってことは一体何時ごろから始めりゃいいんだ…?」

 

 

朝7時に朝食を食べ始めるとして、各校5人が8校あるわけだから俺とキョウを合わせて42人分。単純にご飯と味噌汁と焼き鮭とだし巻き玉子あたりだとしても40も作るとなると…

 

食堂に残り調理場で調理器具を確認しながら献立と所要時間を考える。考えれば考えるほど一人では厳しいことがわかる。せめて咲あたりが手伝ってくれれば大分楽にはなるんだが、無理に頼むのも悪いしな。

 

 

「なんとかなるか…? 多分6時前位から始めれば間に合うだろう」

 

 

調理器具の確認も終わり、献立も決めた。明日から何時もよりも早めに起きなくてはいけないから少し早めに寝るべきか。そう思い調理場から出る。

 

 

「ねぇ、確か、とうどうクンだっけ」

 

 

食堂に行くと声をかけられる。そこには一人の少女が佇んでいた。

 

 

「えっと、あなたは宮守の…」

 

「宮守の3年、臼沢塞だよ」

 

「どうしたんですか、こんなところで」

 

「いや、ただ君を手伝おうかなと思ってさ。一人だと辛いでしょ?」

 

「ほ、本当ですか!? ありがとうございます!」

 

「毎日は微妙だけど、とりあえず明日の朝食は手伝ってあげる。何時にここに来ればいい?」

 

「6時に来てもらえるとありがたいです」

 

「じゃあ明日、またここでね」

 

「あ、後名前教えてくれる?」

 

「悠斗、藤堂悠斗です」

 

「これからよろしくね、藤堂クン」

 

 

~2日目、朝~

 

 

「それで、今日は何を作るの?」

 

「はい、和風にしようと思ってスタンダードにご飯、味噌汁、焼き鮭、だし巻き玉子でいこうと思っています」

 

「私は何をすればいいかな?」

 

「そうですね、臼沢さんには…」

 

「はい、それ禁止。これから3ヶ月も一緒に過ごすんだよ? 臼沢さんなんて他人行儀な呼び方はダメ」

 

「じゃ、じゃあ塞さん?」

 

「うん、そっちのほうがいいな」

 

「わかりました。塞さんには味噌汁をお願いしていいですか?」

 

「わかった。任せといて」

 

 

俺と塞さんは作業に取りかかる。ご飯は既に炊いてあるので用意するのはだし巻き玉子と焼き鮭だ。

 

まず、鮭に塩をかけ、グリルで焼く。焼いている間に卵をといてだしを作って混ぜ合わせる。フライパンに油をひいて少しずつ卵を焼いていく。

 

 

「案外手慣れてるね。いつも料理してるの?」

 

「一人暮らしなもんで一応毎日」

 

「へぇーなんだか意外だなぁ。真面目なんだね藤堂クンは」

 

「あ、あの、塞さん」

 

「んー、どうかした?」

 

「他人行儀な呼び方はダメなんですよね? それなら…」

 

「言いたいことはわかったよ。悠斗クン? だけど少し生意気だね」

 

「す、すいません」

 

「ふふっ、別にいいんだよ。男の子は少しぐらい生意気なのがちょうどいい」

 

 

そんな話をしているうちにだし巻き玉子は出来上がり、鮭もいい感じに焼けてきた。

 

 

「味見、してもらってもいいかな?」

 

「ええ、もちろんです」

 

 

塞さんは小皿に味噌汁を注ぐとこちらに差し出してくる。小皿を受け取り味噌汁を口に含む。質素だけど美味しい。俺の好きな味だ。

 

 

「美味しいです、塞さん。料理、得意なんですね」

 

「まぁね。さ、盛り付けしちゃおう」

 

 

食堂には次々と人が入ってきている。もうすぐ7時、朝食の時間だ。

 

 

「毎日これるかは分からないけど、なるべく朝は来てあげる。これからもよろしくね、悠斗クン!」

 

 

そう言って離れていく塞さんの背中を俺は晴れやかな気分で見ていた。

 

 




どうも第四話です。

今回は塞さんに登場してもらいました。毎日塞と会えるフラグを残していく悠斗、最初は誰を堕としていこうかなぁ。

感想は大歓迎なのでいつでも打ち込んでください。ただ、作者は豆腐メンタルなので誹謗中傷はやめてください。

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