2人から手紙を受け取り、その内容を把握した後に拠点で待っているみんなのもとへ一度帰還し、
凰連にペコから渡された手紙を渡すとその内容を把握した凰連は一瞬だけ驚いたような表情をして俺の方を見てくるがすぐさまあの二人の決意を確認したのか準備に取り掛かった。
「もう健太! どこ行ってたのよ!」
「悪い。みんな、とりあえずここから出るぞ」
「え? どうして」
「……すぐ近くにインベスの群れがいる。ドルーパーズに避難だ」
チャッキーからの質問をそう返すと同時に凰連が粗方の準備を整えたのか俺の顔を見てきたので、
周囲を警戒しながら拠点に残っていた全員をドルーパーズまで送り届けると突然の来訪に店長に驚かれながらも訳を話し、店に入れてもらえた。
凰連は拠点から持ってきた物をもってキッチンへと向かった。
……自分たちでは勝てない次元にまで進化してしまったチームのリーダーをそのメンバーであった自分たちが止めなければならない……だから内部から崩すことにしたのか。
確かに成功する確率は飛躍的に上昇するかもしれないが失敗したときのリスクは尋常じゃないぞ。
それに戦ってみて分かったのは……奴はただのインベスなんかじゃない。
戦極ドライバーを吸収したことでノータイムでの変身を可能にしただけではなく、
バナナ、マンゴーのロックシード、さらにはレモンエナジーのエナジーロックシードをも吸収したんだ……ただのインベスになっているわけじゃないという結論に至るには簡単だ。
その時、外に二つの何かを感じ、ドアの方を見るとガチャッという音とともに店内にザックとペコの二人が入ってきた。
「よぅ」
「……悪いな。俺たちは健太みたいに強くない……俺たちなりの結論だったんだ」
「なんでっ! なんで裏切る必要があったんだよ!」
2人が失敗したときの結末を察してか否か城ノ内が激昂と悲しみが混ざり合った感情を露わにし、
目からは少し涙を流しながら二人に突っかかった。
「ごめん。城ノ内……でも、戒斗を戦わずして倒すにこれしか方法はないんだ。
成功したらここにくる……来なかったらその時は……三直」
「あぁ……」
「遅くなったわね。出来たわ」
そう言いながらキッチンから出てきた凰連がザックに手渡したのは小さな箱のようなものにケーブルやら導線やらが入り乱れて入れられているものだった。
「大変だったわ。なるべく小さなもので強力なものを作るのわ。ただ、本当に至近距離で爆発させないと相手を一撃で仕留める威力は出ないわ。わかったわね。あと、これがスイッチね」
「あぁ……ペコ。スイッチはお前に頼む」
「あぁ……行こう。ザック」
2人は小さな爆弾を手に持ち、戒斗の元へと戻っていった。
時間にして約1時間……それ以上が経ってもここへ来なければあいつらの作戦は失敗したと同時にあいつらの生命そのものが消滅したと考える。
「とりあえず食べろ。緊張しっぱなしじゃ体に悪い」
そう言い、店長が俺たちの目の前に大きな皿に盛られた大量のフルーツを出してくれると、
城ノ内はイライラを拐取したいのかおもむろにリンゴをつかみ、そのまま口に放り入れた。
城ノ内につられてほかの奴らも果物を食していくが俺はその輪には入らずに店を出て、
少し歩いたところにある大きな川のそばにまでやってきた。
……まさか、果物を見ただけで吐き気がするとはな。
ふと、近くのフェンスにヘルヘイムの植物が生い茂っているのが見え、そのツタには大量のヘルヘイムの果実がぶら下がっており、風に揺られていた。
その果実を見た瞬間に以前ほどではないが急激に食欲がわいてくるとともに旨そうに見えた。
「健太? どうかしたの?」
「……なあ、姉貴」
「なに?」
「……姉貴は怪物になった俺を弟と呼んでくれるか?」
「何言って」
姉貴がそこまで言った瞬間、俺は腕を軽く上から下へ降ろすと俺のそばにクラックが開き、
さらにそこから下級インベスが顔を出すがそれを押し込んでクラックを閉じた。
「もう……俺は人間じゃないんだ」
「そ、それって危ないんじゃ」
姉貴のそんな言葉を無視してヘルヘイムの果実をもぎ取り、果実の部分にかぶりつき、
噛み切って飲み込むと人間の時に抱いていた美味いという感情が湧き上がってきた。
「食べたら怪物になるものを食べても変わらない……こんな俺でも」
俺がそこまで言ったときに姉貴は何も言わずに俺を抱きしめた。
「馬鹿ね……貴方が怪物になっても貴方は三直健太。三直昌の大事な弟よ」
そう言われた直後、今まで引っかかっていた何かが外れたような気がすると同時に両目から蛇口が壊れたかのように大粒の涙が今までに流したことがないほどの勢いで出てきた。
そうだ……俺はこの世界の人類を信じて戦ってきた……だからそれ故に欲しかったんだ……人類の誰でもいいからこの怪物となってしまった俺を信頼してくれる人を。
舞も信じてくれると言った……でも、やっぱり家族が言う言葉は違うな。
「この世界を救い終わったら……また、姉貴の料理食わせてくれ」
「もちろん……必ず帰ってきてね」
姉貴がそう言った直後、遠くの方から騒音のようなものがこちらへ近づいてくるのに気付き、
姉貴を離して空を見上げると俺たちに近づいてくるようにヘリが向ってきていて、
ドルーパーズの近くにある広場に着陸した。
「助けがきたんだ」
「みたいだな……姉貴。先に行っておいてくれ」
「…………これ」
そう言い、姉貴は首のネックレスを外すと俺の首の後ろに手を回し、ネックレスの留め具をつけた。
「約束。これを……世界を救ったら……ちゃんと返しに来て」
姉貴は喋っている途中から大粒の涙を流し、言葉に詰まりながらもそう言った。
「あぁ……必ず」
そう言い、姉貴の手を取ってヘリが着陸したところまで送っていくとすでに自衛隊と思しき男性たちによって店内にいた店長たちがヘリへと案内されていた。
そして俺が立ち止るが姉貴は前へと進み続け、姉貴が2歩も歩くとすでに俺たちの繋がれていた手は離れようとしており、姉貴が3歩目を歩んだ瞬間、繋がれていた手が離れた。
姉貴が無事にヘリに乗り、そのヘリが上空へ上がっていったのを確認した俺はゆっくりと歩み始め、
ドルーパーズへと向かい、店内を覗くが二人の姿はなかった。
そうか……ザック、ペコ……後は任せろ。
ドルーパーズから離れ、奴の力を感じる場所へとゆっくりと歩き始めた。
『……健太』
その時、姿は見えないが俺の近くから舞の声が聞こえてきた。
「悪いな舞……結局、こういう結末だ。どちらかが残り、どちらかが消える」
『……私は』
「分かってる……もう2度とこんな結末は生み出さないように……俺が王となる。行くぞ」
俺が腕を上げた瞬間、上空に大量のクラックが一瞬にして開き、そこから下級・上級入り乱れて凄まじい数のインベスが俺の後ろに降り立ち、俺についてくるように歩き始めた。
俺がヘルヘイムの王となり……2度とこの世界でこんな悲劇は始まらせない。
そんなことを思いながら歩き続けていると前方に大量のインベスを引き連れてこちらへ近づいてきている戒斗の姿があり、その両腕には湊が抱きかかえられていた。
……ザックもペコも行方知らずになり、挙句の果てには湊まで死んだか……これで世界をわがものにしようとしていたユグドラシルの連中はサガラを除いて全員か。
数メートルほど距離を開けたところで俺たちは立ち止った。
「三直。あの時の決着……まさか、俺の運命の始まりであり、俺の運命の終わりだとはな」
「戒斗……お前は弱者が圧せられない世界を作ると言ったな……確かにその理想は正しいかもしれない。
でも、間違っているかは俺にはわからない。分かるのは世界が出来上がってからだ」
「だからその世界を俺が作る。俺は新たな人類でこの星を埋め、貴様は古き人類を救う。
この差は大きい。決して交わることがないほどにな……決着をつけるぞ」
そう言うと戒斗の腰にバナナ・ロックシードが装着された状態で戦極ドライバーが腰に出現し、
さらに頭上に円形のクラックが開いてそこからバナナのアームズが出現した。
『オレンジ!』
それを見て、俺も戦極ドライバーを装着し、オレンジのロックシードを開錠した。
「決着をつけるぞ……」
「あぁ……世界をどちらの理想で埋め尽くすか」
「「変身!」」
『ソイヤ! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ!』
『カモン! バナナアームズ・ナイト・オブ・スピアー!』
「えあぁぁぁぁぁ!」
「おおおぁぁぁぁぁ!」
変身が完了すると同時に大橙丸を握りしめ、同時に駈け出し、槍と剣がぶつかり合った瞬間、
その鳴り響いた金属音を合図に両軍のインベスが駆け出し、乱戦が始まった。
俺たちはインベスの間を通りながら互いを睨み付けつつ横に走り、互いの武器をぶつけあった。
「はぁぁ!」
「うぉ!」
「はぁぁぁ!」
「なめるな!」
振り下ろされてきた相手の槍を剣で弾くと同時に相手に回し蹴りを入れ、倒れたところを追撃として飛びかかるが槍で剣を防がれると同時に腹部を蹴り飛ばされた。
『パイン!』
『ソイヤ! パインアームズ・粉砕・デストロイ!』
「うらぁ!」
「ぐぉ!」
パインアームズへと形態変化を済ませ、遠距離から奴めがけてアイアンを直撃させると同時に持ち手と無双セイバーを装着させ、無双セイバーを振り回しながらアイアンを奴にぶつけていくがすべて奴の槍によって直撃がはばまれていく。
「はぁぁぁ!」
『ソイヤ! イチゴアームズ・シュシュッと・スパーキング!』
『ロックオン! 一・十・百・イチゴチャージ!』
「えあぁぁ!」
「ちっ!」
奴がアイアンを槍で吹き飛ばしたと同時にイチゴへと形態を変化させてイチゴロックシードを無双セイバーに装填し、近づいてくる奴めがけて剣を横薙ぎに振るうとイチゴの形をしたオーラが目の前に出現し、
それが破裂して向かってくる戒斗めがけてイチゴクナイの形をしたオーラが直撃していく。
「ならばっ!」
奴がそう言ってロックビークルを開錠したと同時に俺もロックビークルを開錠して、
バイクへと変形させるとバイクに乗り、互いに横に並びながら走らせた。
「はっ!」
「あぁっぁ!」
片手でバイクを運転しながらインベスたちが闘っている傍を通り抜けていき、無双セイバーとバナスピアーをぶつけながら建物の間を走っていくと目の前に頭に鬣のようなものをはやし、通常の上級インベスの十倍以上はある巨大な体をしたインベスが見え、戒斗はその足元を通り抜け、俺はバイクをロックシードの形へ戻すと同時に巨大なインベスを飛んで避けた。
「隙ありだ!」
「ぐあぁ! まだだっ!」
インベスの足元から出てくる奴めがけてイチゴクナイを何本も投げるとすべて直撃し、
バイクから降ろされるように吹き飛ぶがその最中にタンポポのロックビークルを開錠して、
空中でそれに跨り、上空を飛行しながら俺に向かって光弾を放ってきた。
「俺はこれだ」
光弾を避けながらチューリップのロックビークルを手に持ち、開錠すると二足歩行のロボットに変形し、
それに乗り込むと同時に上空からの光弾が俺に降り注いでくるがチューリップのロックビークルでバッタのように上空へ飛んでそれを避けると同時に急降下の勢いを利用して奴めがけて蹴りを放つが、
奴の方が機動力は上らしく、呆気なく避けられてしまった。
「だったら」
チューリップのロックビークルを操作し、建物が密集している場所へ向かうと戒斗もこちらへ向かってくるが建物が密集しているせいで移動が直線的になっている。
確かに機動力はそっちが上だろうが……瞬発力はこっちが上だ!
「どらぁぁ!」
「ぐぁ!」
追いかけてくる戒斗めがけて方向転換すると同時にバッタのように飛び跳ね、戒斗の目の前まで飛ぶとそのままロックビークルごと回転して回し蹴りを加えると戒斗は吹き飛ばされ、タンポポのロックビークルはそのままビルの側面に直撃して大爆発を上げた。
「どうだうぉぁ!」
戒斗の方を向いているや否や突然、背後から爆風が俺を吹き飛ばし、地面に叩き付けられた。
慌ててそちらの方を向いてみるとそこには龍の姿をした巨大なインベスが上空を旋回し、
俺に向かって直進してきた。
「面白い。俺が捌いてやる」
『ミックス! ジンバーメロン! ハハー!』
『オレンジオーレ! ジンバーメロンオーレ!』
「せいはぁぁぁ!」
コアスロットルを装着し、そこへメロンエナジーロックシードを当て込んでブレードを下すと、
真上から俺に被さるようにメロンエナジーのアームズが下りてきてオレンジのアームズと融合し、
ジンバーメロンのアームズへと変形を遂げた直後にブレードを二回降ろすとソニックアローの刃の部分に緑色いエネルギーが充填されていき、こちらへ向かってきた龍の体当たりを避けながらそいつの体表に刃を当てると直進しているせいか勝手にインベスは真っ二つに切り裂かれていき、尻尾までまっすぐ切り終わったと同時に俺の背後で大爆発を起こし、消滅した。
「三直健太ぁぁぁぁぁ!」
「戒斗ぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
『ソイヤ! カチドキアームズ・いざ出陣! エイエイオー!』、
カチドキのロックシードをドライバーにはめ込み、ブレードを下ろしてカチドキの鎧をまとうととともに背中に装備されている二本のロッドを手にし、戒斗めがけて一本を振り下ろすと軌跡に炎が通りながら、
戒斗のバナスピアーとぶつかり合った。
どもっす。ドライブ始まりましたがなかなかいいので見ます。
やっぱ、主題歌うたっているエターナルの人は良いっすね。