仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第四十五話  命削りの力

レデュエを倒し、オーバーロードへと覚醒を遂げてしまった俺は少し休憩した後、何もない空間で試しに腕を軽く振ってみると目の前にクラックが開いた。

……神の果実の一端でありながらここまで一つの生命体を変えるのか……。

自分の体の変化に戸惑いを感じつつも開いたクラックを通り、元の世界へと戻ると階段が見え、

階段の近くへと向かうとすぐ前方に人だかりが見えた。

そこに凰連、湊、戒斗、ペコたち、そして囚われていたであろう人達が一か所に集まっていた。

「健太!」

姉貴が俺の姿を見つけるや否や目に涙を浮かべて俺に抱き付いてきた。

「良かった~。ケガとかしてない? ちゃんと食べてる?」

「普通、俺が言うんだがな……でも、無事でよかった。凰連、ペコ、城乃内も無事でよかった」

「な、なに言ってんだよ。お、俺からしたらあんなもんちょろいぜ!」

「何照れてんのよ。ここは胸を張りなさい」

恐らくあの場所に凰連だけが残ったとしても俺たちが消耗せずにタワーに到着はできなかっただろう。

ペコ、城乃内が残ってくれたからこそ今の結末があるわけで……それに湊やザック、

戒斗達にも感謝しないとな。俺がレデュエの幻覚に囚われている間に人々を救出してくれたし、

光実を一応、倒してくれたからな。

………そう言えば戦極も途中で逸れたな……一応、あいつも回収しないとな。

その時、救出された人々から小さな叫びのような声が聞こえ、彼らの向いている視線の先へ振り返ると、

階段の上に上級インベスが数体、俺たちを見下ろしていた。

「インベスっ! こんなところで暴れられたら」

「その必要はない」

そう言い、俺がカチドキのロックシードと極ロックシードを奴らに見せびらかしながら、

二つを同時に開錠すると圧倒的なまでの実力差を一瞬で感じ取ったのか俺たちに何もせずに、

インベスたちが俺たちの近くから去って行った。

この町に残っていた人たちもすでに出口近くの避難所に集合させてある。

あいつが徘徊していたとしても出会う確率は少ないだろう……それに操っていた奴らが全滅した今、

恐らく下っ端の奴らは目的ありきで人を襲うこともないだろう。

「とりあえず、この人たちを出口まで案内してくれ。戒斗……少し話がある」

そう言い、凰連たちに人々の送迎を頼み、俺は戒斗とタワーの階段近くに残った。

「何の用だ。俺を残して話など」

「……その腕の傷。長くはないんだろ」

そう言うと一瞬、表情を顰めた戒斗だったが諦めたのか服の袖をめくり、腕に巻きつけていた包帯を取り払うとレデュエが消えた今なお、傷口は緑色に淡く発光しており、一瞬だけ見た時よりもさらに進行していた。

インベスに切り裂かれた奴はインベスとなる……ドライバーの効果で若干は抑制されているんだろうが、

進行が止まっているわけではない。

「ふん。長かろうが短かろうが俺には関係ないことだ。俺が滅ぶか世界が滅ぶか。

オーバーロードも全て消え去った今、俺が見据える敵は貴様だ」

……以前、サガラが言っていた残った者同士で戦いあう結末……勝ったものがこの世界の王となり、

新たな世界の創造主として頂点に君臨する。

俺の究極の目的としては神の果実を手に入れ、ヘルヘイムの王となることで森の寝食をコントロールし、

俺たちのこの世界を救うこと……だが、それと同時に俺はこの世界の王にもなる。

「最後に勝ち残った者だけが王となり、この世界を支配する。戒斗……決着をつけるのは完全に敵を消し去ってからだ。俺が勝つか、お前が勝つか…………決着をつけよう。あの日、つかなかった決着をな」

俺が初めて俺以外のアーマードライダーと戦い、そしてその時の決着がまだついていない。

「良いだろう……戦極を探しに行くぞ」

「あぁっ!」

歩き出そうとしたその時、突然、頭に痛みが走り、映像が再生され始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「高司舞君の体の中に神の果実がある。それを取り除かねば彼女は持たないだろう」

プロフェッサーは変な機械から発せられる光で舞さんの全身を調べてるとそう言った。

そんな……舞さんの体の中に神の果実があるなんて……舞さん。

僕は手術台に横たわっている舞さんの頬を優しくなでてあげるけどいつものあの笑顔が僕に降り注がれるわけもなく、ただ単に繰り返し、行われている小さな呼吸だけが聞こえた。

「安心したまえ。時間さえあれば完璧に取り除ける。これでも私は医学も学んだ男だ。果実を取り除くなんてものは今の現代医学でも簡単だ……ただ、それには障害がありすぎる」

「三直健太」

「そうだ……君に排除を願いたいがエナジーロックシードは取られちゃったね」

「……ないんですか?」

「ん?」

「何かないんですか!? 三直健太を倒せるほどのロックシードは!」

プロフェッサーに詰め寄りながらそう叫ぶとプロフェッサーは僕を少し離すと僕に背を向けて近くにある机へと向かって歩いていき、その机の引き出しを開けて一つのロックシードを取り出し、

僕にその姿を見せてきた。

茶色と緑が混ざったロックシード……どこか僕のブドウロックシードに似ているのは気のせいか?

「あることはある。危険のあまり、実験を途中で中止したロックシード。

その名も……ヨモツヘグリロックシード。強すぎる力は装着者を蝕む……君にその覚悟はあるかな?」

プロフェッサーはそう言いながらヨモツヘグリのロックシードを僕の目に前に持ってきた。

「……良いよ。あんな奴の手に舞さんが渡るくらいなら……僕が彼女を守る。

三直健太を倒した後は残りの連中も僕が全部消し去ってやる……だから絶対に舞さんを」

「わかっているとも。約束だ」

僕はプロフェッサーからヨモツヘグリのロックシードを受け取り、今いる部屋から出て、

三直健太がいる場所へと向かうべく、歩き始めた。

待っててください、舞さん……僕があいつらを倒して……貴方を幸せにしてみせます。

 

 

 

 

 

 

 

 

光実が戦極からロックシードを受け取った瞬間、頭の中の映像は消え去った。

……今の映像は……だが、これで奴の居場所が分かった。

「どうした」

「戒斗。沢芽病院だ。戦極はそこにいる。恐らく舞も」

「なんだと?」

「俺を信じろ……俺は奴と決着をつける」

そう言うと戒斗は一瞬で誰のことなのか理解したのか一度、首を縦に振ると凰連たちが進んでいった道を歩いていき、俺は戒斗と別れてロックビークルに乗り、奴のもとへとバイクを走らせた。

沢芽病院まで歩いて行っても一時間はかかる……戒斗達に舞の救出を託すとして、

俺は光実との決着…………舞。お前はやつを無条件で許すだろうが……許せ、舞。

そう思いながらバイクを走らせること数分、曲がり角を曲がった瞬間、前方に奴の姿が見え、

慌ててバイクを止めた。

「……ようやく見つけたぞ」

「三直健太。僕は舞さんを守る……お前みたいな奴にあの人は渡さない!」

「光実……お前、あいつが今までやってきたことを忘れたのか」

「関係ないよ。あの人は舞さんを助けると約束したんだ……僕はその障害となるものをすべて壊す!」

バカが……俺と舞の精神があの時、一瞬だけ繋がったのは俺たち二人に同じ力があるからだ。

ロシュオが言っていた舞に与えた役目……それは蛇に唆されたイブ。だが、それ以上に危険なのは戦極という危険な考えを持つ人間の手の中に神の果実を宿した舞があるっていうことだ。

「光実。一つ言っておく……大人っていうのはな自分の利益のためならば平気で他人を殺す。

社会的にも精神的にも肉体的にも……子供の喧嘩とはわけが違うんだぞ」

「プロフェッサーは舞さんを助けるといった……お前は邪魔なんだよ! 舞さんは僕が幸せにする!

オーバーロードがいなくなったとしても僕は舞さんの傍にいる! お前は邪魔なんだよ!」

『ヨモツヘグリ』

光実が叫びながらロックシードを開錠した瞬間、本来ならクラックが円形に開くはずが奴の頭上に暗雲が円を描くように現れるとそこから落雷の音が周囲に響き渡り、その暗雲の中からヨモツヘグリのアームズがゆっくりと降りてきた。

「光実……お前は俺が止める。これ以上、あの人が悲しまないために。変身」

『ソイヤ! カチドキアームズ・いざ出陣! エイエイオー!』

「変身!」

『ヨモツヘグリアームズ・冥・界・黄泉・黄泉・黄泉』

「うおあぁぁぁぁぁぁぁ!」

奴がロックシードをドライバーにはめ込み、ブレードを下した瞬間、暗雲から光実の周囲に落雷が落ち、

暗雲からヨモツヘグリのアームズがゆっくりと降下し、奴に被さるとバチバチと音を立てながらアームズが展開されていき、大部分が茶色に染めあがり、兜と胸の中心にある装飾が緑色の新しい龍玄が現れた。

光実の叫びと同調するかのように鎧の茶色い部分が黒に染まりあがり、周囲に衝撃波が放たれた。

「この力で……このちからでお前を殺す!」

『冥界・デェムシュ・アームズ』

そんな音声がドライバーから響いたかと思えば奴の目の前に暗雲が発生し、

そこからデェムシュが使っていた赤色の剣が落ちて、奴の手に収まった。

……死んだ奴が行くとされている黄泉の世界から武装を召喚か……だが、なんだこの……嫌な予感は!

「えあぁぁぁ!」

無双セイバーを手に取り、奴が振り下ろしてきたデェムシュの剣を受け止め、

鍔迫り合いを行いながら、横走りしていき、廃工場の壁を突き破って工場内へと戦場を移した。

「はぁあ!」

横なぎに振るわれてくる剣を避け、奴の鎧を無双セイバーで斜めに切り裂くと後ろへ後ずさるが、

奴が俺に何かを向けたかと思った瞬間、衝撃が走り、俺も数歩後ずさった。

奴の手をよく見てみるとその手にはブドウ龍砲が握られていた。

なるほど……黄泉からの武装召喚と自らの武装を自由に使えるのか……。

それにあのロックシード……理由はわからないがほんの数秒という間に変身した直後よりも俺に放たれる圧力が大きくなっている。

ちんたらカチドキで行くわけにはいかないな。

『フルーツバスケット!』

『ロックオープン! 極アームズ・大・大・大・大・大将軍!』

『影松! ブドウ龍砲!』

「はぁあ!」

『冥界・レデュエ・アームズ』

「えああぁぁぁ!」

互いに駈け出すと同時にブドウ龍砲の引き金を引き、紫色の光弾がぶつかり合って火花を散らす傍で、

影松とレデュエの槍をぶつけあい、蹴りなどを加えようとするがブドウ龍砲を放り棄て、

長い槍で相手の蹴りを防ぎ、刃で切り裂こうとするが鎧には当たらず、刃同士がぶつかり合い、

目と鼻の先の距離で火花が散る。

「うっ! ぐあぁぁ! ハハハハハハッ! 良いよ、良いよ良いよ! この力なら倒せる!

もっと僕に力をよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「うぉっ!」

すぐそばで苦しみだしたかと思えば奴の鎧の茶色い部分が黒い煙のようなものを上げ始め、

さらに先程の変身した直後にはなたれた衝撃波とは比べ物にならない勢いのものが至近距離で放たれ、

耐える間もなく吹き飛ばされてしまった。

まさか、あのロックシード! 光実からのエネルギーで!

「はぁ!」

「くっぁ!」

が、ちょうど後ろに放り投げたブドウ龍砲のそばに倒れこんだのでそのまま横ばいになりながら、

ブドウ龍砲を手に取り、引き金を引くと隙を突かれたからなのかレデュエの槍で防ぐ間もなく、

すべての紫色の光弾が直撃し、吹き飛んだ。

生命力……それらををロックシードに吸わせれば吸わせるほど強大な力を……バカが!

「命をこんなところで浪費してまで何がしたいんだ! お前が頼っていたオーバーロードはいない!

こんなところで戦うよりもこの世界を救った方が舞と過ごせるかもしれないんだぞ!」

「黙れ! 黙れよっ! お前にはわからないだろうね! 自分が好きになった人が全く違う人のことを見ていることの悔しさが! 何をどうやっても振り向いてくれないときの絶望感が!

僕はようやく光になれたんだ……お前を殺せばあの人は……舞さんは僕に振り向いてくれる!

世界を救うなんて難しいことよりもこっちの方が簡単なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

『ヨモツヘグリスカッシュ!』

「うあぁぁぁぁぁ!」

「っ! ちっ!」

『パインアイアン!』

『極スカッシュ!』

「だぁっ!」

『冥界・デュデュオンシュ・アームズ』

奴が一度、ブレードを下すとレデュエの槍の先端に紫色のエネルギーが充填されていき、

その槍が横なぎに振るわれたと同時に跳躍して一撃を避け、空中で極ロックシードを一回弾き、

足元にパインアイアンを呼び寄せ、さらにブレードを下してエネルギーをまとわせた蹴りをアイアンにぶつけ、奴めがけて蹴り飛ばすが進路上に現れた暗雲から凄まじい数の羽が射出され、

アイアンとぶつかり合って大きな爆発を上げた。

「ハハハッ! どうだっ! これが僕の力だっ! 光になれた僕の! うぐあぁぁぁ!」

奴が話している最中にもヨモツヘグリロックシードは容赦なく吸収していく。

俺は奴を倒す……そう決めたはずだ……だが、舞。お前は

「光実。舞は悲しむだろうな……俺たちが闘っているのを……お前が死ぬのを」

「黙れ黙れ黙れ! お前が消えればっ! お前が消えればそれで済む話なんだぁぁぁぁぁ!」

『冥界・オール・アームズ!』

『イチゴクナイ! ドンカチ! 無双セイバー! 影松! ドリノコ! ソニックアロー!

バナスピアー! メロンディフェンダー! キウイ激輪!』

光実の前方に巨大な暗雲が発生したと同時に俺も一気に武装を召喚し、奴めがけて放つが、

すべての武装がまるで向かってくる武装を避けているかのように一切の接触なく、

向かうべき相手へすべて直撃した。

「ぐあぁぁ!」

「うあぁぁぁぁぁ!」

……突き刺さらなかっただけマシだが……鎧の上からでも俺の皮膚をざっくり切るとはな。

鎧の下からでもわかるほどに全身に激痛が走ると同時にあちこちから下へ向かって、

液体……つまり血液が向っていく。

だが、それは奴も同じ……いや、俺以上か。

奴も何とかして立ち上がろうとするが両肩にはイチゴクナイが貫通しており、

所々の鎧に亀裂が走り始めている。

「まだ……だっ! 僕はっ! 生きてるっ! あいつを殺すまではっ!」

『冥界・デェムシュ・アームズ』

『無双セイバー! 火縄大橙DJ銃!』

互いに最後の一撃の準備を整えた。

これが最後だ……この一撃ですべてが決まる。

『ヨモツヘグリスパーキング!』

『極オーレ!』

「光実ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

「三直健太ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

互いの名を叫び、エネルギーが充填されきった武装を手に駈け出した!

「はぁぁぁぁ!」

「だぁぁぁぁ!」

互いの鎧の色に輝いている得物をぶつけあった瞬間、凄まじい衝撃が俺たちを中心にして周囲にぶちまかれ、

ボロが来ている壁はすべてはじけ飛び、地面は衝撃波でえぐられていく。

……威力がさっきと比べて……なるほどな。

「はぁ!」

「なっ! うあぁぁぁぁぁ!」

ドッキングさせた火縄大橙DJ銃から無双セイバーを抜き取ると銃からのエネルギーを受け取ってか、

刀身に炎が巻き付いており、そのまま相手の剣を銃で押さえつけつつ相手のドライバーを狙って、

刀身に炎がともっているセイバーを振りぬくと光実が吹き飛ぶと同時にヨモツヘグリごと、

戦極ドライバーを叩き切った。

切られたドライバーはヨモツヘグリロックシードが壁となって破損は免れたがロックシードの方は直撃した影響で真っ二つに切り裂かれた。

「ぐあぁあ! なんでだよ……なんでだよっ! 危険なんだろ! なのに……なんでなんで!

なのになんで負けるんだっ! なんでなんだよぉぉ!」

叫び散らしているのを見ながら変身を解除すると鎧の下から流れ出ていた血液が一気に地面に落ち、

地面を赤色に汚した。

「ヨモツヘグリロックシードは確かにお前の何かを吸収し、力を与えた。

その力は吸収したものの強さに比例し、俺と対等なまでの力を得た……だが、後半。

お前の心にほんの小さな戸惑いが芽生えたんだ……自分が死んだら舞と一緒に過ごせないと」

「っっっ!」

「そのほんの小さな戸惑いを受け取ったヨモツヘグリは力の供給を止めたんだ」

大好きな人と一緒に過ごすことができない……それは奴にとっては大きな衝撃だった。

「そん……なっ! また……また僕は影に」

光実はそう言うとその場に泣き崩れた。

「お前を拘束していたものはすべて俺が取っ払った……ヨモツヘグリに与えたものはもう戻らないだろう。

その短い人生でお前が何をできるのか……その行動次第でお前は光にも闇に……もっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三直健太がその場に倒れて動かなくなったのを見た僕は両肩に開いた大きな穴の痛みを我慢し、

必死にプロフェッサーがいる病院へと歩み始めた。

偶然なのかその最中にインベスにも遭遇せず、僕はただひたすらに歩みを続け、

病院のドアを今にも尽きそうな力で何とか押し開き、プロフェッサーがいる部屋へと入ると、

プロフェッサーが何かしゃべりかけてくるけど僕はそれを無視して舞さんが眠っている手術台へと近づき、

血に染まった手で彼女に触れようとした時、足の力が突然、無くなりその場に倒れこんでしまった。

もう……少し…………もう少しで届きそうなんだ……僕が…………心から欲したものが

地に汚れた手で必死に腕を伸ばしたとき

『ミッチー』

「舞……さん」

彼女の声が聞こえ、目の前に彼女が立っていた。

地に汚れた僕の手を嫌な顔せず、舞さんは取ってくれると笑みを浮かべた。

「は……はぁぁ……やっ……と……ぼ…………くに笑って…………くれま……したね」

『ミッチ』

「ま……いさん…………だい……すき……です」

今まで……一目見た時から今までずっと言いたくて言えなかった言葉がようやく言えた。

そう言うと舞さんは今までと変わらない、とびっきりの笑顔を浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――なんだ

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――こんなにも簡単だったんだ

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――想いを

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――伝えるなんて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「馬鹿だね~。とっくに舞君は死んでいるというのに。まあ、所詮は子供だね。

大人が約束を守るとでも? 神の果実と舞君の心臓は一体化していたんだ……果実をとれば、

心臓も鼓動を止める。それにヨモツヘグリは君の生命力を糧に力を与えるんでね。

まあ、あの世で見ているといいよ。僕が神になる瞬間をね」


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