仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第四十一話 突入作戦

翌日の朝、俺たちは大型の車で戦極の案内の下、町の外へ繋がる門へと向かっていた。

舞が連れ去られ、ユグドラシルタワーにもまだ多くの住民が幽閉されているということを話し、

戦極の提案に乗ることを言うと反発もなく、全員が乗ってくれた。

まあ、この状況で反発する奴も大概だが。

「ペコは大丈夫なのか。そんな状態で来て」

「あったりまえだ! 確かに俺って戦い慣れてないけど普通のインベスくらいなら倒せる!」

やけに気合が入るのも仕方がないか……目の前で舞を連れ去られたんだ……ゲネシスドライバーの性能であれば、戦闘の初心者であっても下級・上級インベスともに倒すことはできる。

「っ! なんだ」

突然、車両が急停止し、凄まじい衝撃が俺たちに襲い掛かった。

慌てて扉を開けて外に降り、様子を見てみると目の前の道をふさぐかのように大量の上級・下級入り乱れたインベスの軍団が立ちはだかっていた。

なんだこの数は……仕方がない。

「ちょいと待った」

変身をしようとドライバーを手に持った瞬間、ペコと凰連、

そして城乃内が俺たちの目の前に立った。

「この集団の主戦力の貴方達がこんな処で消耗しても仕方がないわ。

ここは私たちに任せていきなさい」

「だ、大丈夫だって! これでも特訓されたんだ! さっさと行け!」

「どうせ、最後まで行っても俺は足を引っ張る。だったらここで俺も残る!」

三人の言葉を聞き、俺たちは頷くと湊を運転手として車に戻った。

「「「変身!」」」

『ドングリアームズ・Never・give・up!』

『ドリアン・アームズ! Mr・Dangerous!』

『チェリエナジーアームズ!』

「行くわよ!」

『ドリアン・オーレ!』

『ドングリ・スパーキング!』

『チェリーエナジースパーキング!』

緑色の数発の光球、土色の数発の衝撃波、赤色の斬撃の衝撃波が目の前のインベスの軍団に直撃し、

一気に大量の数のインベスを消滅させ、開けた道を俺たちの車両が一気につっきぬけ、

隠し入口へと向かって進み始めた。

「城乃内! ペコ!」

「おっ!? し、師匠!」

「あんたが使いなさい!」

車両の窓からパインのロックシードを城ノ内に向かって投げつけ、

俺たちは三人と別れ、隠し通路へと向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……馬鹿だね。君たちは」

僕の目の前には金属製のマスクのようなものを口に当てられ、手足をヘルヘイムの植物によって、

拘束された状態でベッドに眠らされているチャッキーとラットがいた。

そしてその周囲にはあいつの姉を含む人間が二人と同じ状態でベッドに寝かされ、金属製のマスクから伸びているチューブから絶え間なくエネルギーのようなものが中央の機械に送られている。

レデュエ曰く、王様の願いを叶える機械らしいけど……いったい何を企んでいるのか。

「ワルイネェ~。ソノフタリガコソコソトジャマナコトヲシテイタンデネ」

「別に構わないさ。言う事を聞かなかったこいつらが悪いんだ。当然だ。

ところでそろそろ教えてくれないかな? この機械と君がやろうとしていることについて」

「……ソウダネ。ツイテキナヨ」

そう言うとレデュエは静かに槍を上から下へ降ろすと何もなかった場所にクラックが現れ、そこへレデュエが入っていき、僕もそのあとに続いてクラックの中へと入るとそこには以前、

見かけた白色のオーバーロードが立っていた。

「レデュエ。ソノモノハ」

「ワタシノナカマデゴザイマス。オウヨ」

王……オーバーロードにも王様がいたんだね……まあ、ここに人間に似た文明があった時点で王様がいることは間違いないんだけどさ……となると神の果実を有しているのがこいつか。

「ケイカクハジュンチョウデゴザイマス。コノママイケバオウヒハコノヨニヨミガエルデショウ」

ふと見ると王の後ろに棺のようなものがあり、そこへ上空にあいている一つのクラックから太いチューブが伸びており、棺の中へとエネルギーを送っていた。

……なるほどね。だからあんな大量の人間を誘拐したわけだ。

でも、ひとつ解せないな……何故、彼はこんなことを? 

王が神の果実を持っているのは明白なはず。

こんなことをしてご機嫌を取って神の果実を貰うか貰えないかよりも戦って奪ったほうが面倒なことをせずとも神の果実を手に入れられるかもしれないのに。

それこそあの赤いオーバーロードを丸め込めれば。

「ソレトオウヨ。コレハイカガナモノカ」

そう言うとレデュエが槍を空中へ向けた瞬間、槍で刺した場所に光が長方形の形を成すと、

そこに映像が流れ、あの銀色の鎧を身にまとっているあいつの姿があり、

ヘルヘイムの植物を弾き飛ばした映像だった。

「アノチカラハマサニワレラトオナジチカラ……オウヨ。

マサカ、カジツヲジョウトシタノデスカ?」

「マサカ」

そう言うと王は手を翻し、そこに黄金の輝きを放っている神の果実を召喚した。

「アナタノコウイハマサシクテキニシオヲオクルコウイ。キデモクルッタカ! オウヨ!」

「クチガスギルゾ! レデュエ!」

「グァァァ!」

「っっ!」

レデュエがそんな暴言を吐いた瞬間、王がレデュエに向けて手を翳したかと思えば肉眼でも見えるほどに王の手の周りの景色がゆがみ始め、さらにレデュエが壁に叩き付けられた。

……凄まじい力を持つレデュエが強硬手段に出ないのは次元の強さを持つ王に勝つことができないからか……これが神の果実を手にした者の力なのか。

「ワレラフェムシンムノヤクメハツギナルセダイノミキワメ。ダガ、コノセカイノニンゲンナドミキワメルヒツヨウモナイ。ソンナレンチュウニワタシガカジツヲヤルトオモウカ?」

「クッゥ! コレハシツレイ、オウヨ」

そう言い、一礼してからレデュエはこの場から去っていき、僕も彼についてクラックの外へと出た。

「コウナルトミノウケンタハジャマスギルネ……キミガツレテキタオンナヲツカウノモイイカモネ」

…………レデュエに舞さんを預けるのは危険か。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが隠し通路だよ。偽装するのに苦労したよ」

戦極の案内の元、辿り着いたのは屋上にタンクが設置されているだけの四角柱の形をした建造物だが、戦極が何もない壁に手を当てるとピピッという電子音が鳴り響き、地下へと繋がる扉が開いた。

偽装するも何もこいつ以外に開けないだろ。

そんなことを思いながらも地下へと降りていく。

「あ、思い出した」

「何がだ。まさかここまで来て妙なことを」

「違うよ戒斗君。もしものために」

そこまで言った直後、建物内部全体に響くようなけたましいサイレンが鳴り響き、天井に扉が開くとそこから自動戦闘用にアレンジされたらしい、スイカの鎧とチューリップのビークルがそれぞれ、

三体ほど俺たちの目の前に降り立った。

「迎撃システムを作っておいたんだ」

「早く言え!」

そう叫びながら各々、壁になるものの後ろに隠れた瞬間、三体のチューリップのビークルから機関銃が連射され、周囲の壁や床に大きな穴が開けられていく。

たっく、面倒くさい装置を作りやがって。

「三直。貴様は先に行け。ここは俺たちで何とかする」

「頼んだ。戦極、行くぞ」

「はいはい」

ここを三人に任せ、ひたすら階段を下りていくとユグドラシルタワーに近づいているのか壁などにヘルヘイムの植物などが繁殖しているのがチラホラと見えてきた。

まだ、離れているこの場所にも植物が繁殖し始めているとは……繁殖力は驚異以外の何物でもない。

「そろそろユグドラシルタワーの真下」

曲がり角をまがった瞬間、突然戦極が喋るのを止め、前方をじっと見ているのでそちらを見てみると、ユグドラシルタワーへと向かう道に小さな斧を持ち、甲羅を背負っているカメのようなオーバーロードが俺達が行く道に立ちはだかっていた。

「さ、ここは君に任せよう」

「お前も力を貸せ。さっさと片付ける。変身」

「仕方がないな。変身」

『ソイヤ! カチドキアームズ・いざ出陣! エイエイオー!』

『ロックオン・レモンエナジーアームズ』

「はぁぁ!」

変身が完了したと同時に無双セイバーを手に取り、切りかかるが奴が後ろを向き、

甲羅に無双セイバーが直撃し、辺りに金属音が響き渡り、目の前で火花が散った。

『ヌァァ!』

「甲羅で弾いたくらいでいい気になるなよ」

奴が振り上げてきた斧を無双セイバーで受け止めると同時に隙だらけの奴の腹部にひじ打ちを入れ、

数歩後ろへ奴が下がった瞬間、俺に当たるギリギリのところを幾重もの黄色い矢が飛んでいき、

次々と奴に直撃して、軽く吹き飛ばした。

ふと、戦極の方を見てみると目の部分が光輝いた状態で5人の奴が立っていた。

「開発者自らチューニングしたんだ。その性能チェックと行こうか」

再び奴の目が光ったかと思えば一瞬で姿が消えた。

『グァッ!?』

後ろの方で奴の声が聞こえ、振り返ってみるといつの間に移動したのか、

ソニックアローを突き出した奴と地面に背中から倒れた亀野郎がいた。

分身に姿を消す能力か…………奴自身、戦闘に関しては素人と言っておきながら強大な力を持っているにもかかわらず、さらなる補助能力をつけたか。

「おっと」

「っっ! んの野郎!」

突然、奴が姿を消したかと思えば俺に向かって蛇の頭が飛んできて、反射的に無双セイバーで切り付けるが聞いていないのか蛇は頭を二度三度軽く左右に振った後、奴のところへと戻った。

そう言えばあんな蛇もいたっけな……だったら!

「はぁぁ!」

『グヌァァ! ナ、ナンダコレハ!?』

腰についてある火縄大橙DJ銃を手に取り、側面の板をスクラッチしてからスイッチを90度倒すとホラ貝の待機音が早くなり、それを地面に向かって引き金を引くと銃口から凄まじい数の小さな火球が狭い地下通路に反射し、亀野郎に360°の方角からぶつかり始めた。

「なるほど。威力調整もできるのか。ますます気になる能力だ」

「お前に解析などさせるか。これで終わらせてやる。はぁ!」

背中の二本の旗を地面に突き刺すと突き刺した個所から奴に向かって炎が噴き出し、

奴に直撃するや否やその炎が球体に変化して、奴の炎の監獄に投獄した。

『ロックオン! 一・十・百・千・万・億・兆・無量大数!』

無双セイバーと火縄大橙DJ銃をドッキングさせ、一本の刀へと変形させた直後に側面にある窪みにドライバーから取り外したカチドキロックシードをはめ込むと、刃から炎が噴き出し始め、刀身を覆い尽くした。

「だぁぁぁぁ!」

『グアァァァァ!』

炎で覆いつくされた刀を奴めがけて突き出した瞬間、刀身を覆っていた炎が槍のように一瞬で伸び、

奴を炎の牢獄ごと突き刺し、そのまま上へと振り上げると真っ二つに切り裂かれ、

大爆発とともにオーバーロードが消滅した。

……極に目覚めてから力が上がっているのは気のせいではないようだな。

奴が消滅したのを見届け、変身を解除すると心が籠っていない拍手が俺に向けられた。

「できれば極の力を見たかったんだが……君にとっては使う相手ではなかったみたいだ」

「……無駄話はいい。先へ行くぞ」

待っていろ舞、姉貴、チャッキー、ラット……今行く。

 




この話を最後まで書くことができました。
あとは貯めているものを投稿していくだけですが一応、水曜日、土曜日、
もしくは日曜日の三日間に投稿しようかなと思っています。それでは!

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