仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第四話  邂逅

数秒間、たがいに睨みあったが奴が変身を解除したことでピリピリとした空気はなくなった。

「ここはどこなんだ」

「俺もよく知らん」

変身を解除しながら近くにあった森の果実を取ると果実が光輝きだし、

一瞬にしてCランクのロックシードへと変化した。

それを見ていた奴は驚きながらも自分の近くにあった木になっている果実を手に取ると、

果実が光を発してマンゴーの装飾が施されたロックシードへと変化した。

「この果実が……ロックシードなのか」

「正確にはロックシードの前身がこの実であってこれ自身がロックシードじゃない。

ベルトなしで触れても変わらなかったからな」

「……この戦いはいったん中止だ」

そう言い、バロンはどこかへと歩いていった。

俺も先ほど手に入れたランクCのロックシードをポケットに入れ、

取り敢えずスタート地点から歩き始めた。

とはいっても景色が全く変わらないせいか、本当にまっすぐ歩けているのかという、

不安を抱きながらも歩き続けるが特に目新しいものは見つからなかった。

「…………」

俺は何も考えず、さっき手に入れたCランクのロックシードを、

草が生い茂っているところへ投げると一瞬、金属音が聞こえたかと思えば、

草の中からメロンを思わせる形、色をした楯を持ち、緑と白のアーマードライダーが現れた。

そいつは何も言わず、俺がさっき投げたロックシードを拾って解錠すると何処からともなく、

下級インベスが現れた。

……何をする気だ。

そいつはインベスの足もとにロックシードを投げてそれを食わせて、

下級インベスを上級のインベスへと進化させた。

……俺の強さを試そうってのか。

『ロックオン・ソイヤ! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ』

上級インベスが俺の姿を見て、突っ込んでくるがトリガーを引っ張り、

銃弾を装填しつつ、それを避けると同時に足を引っ掛けると、

盛大に顔から地面に激突した。

そして、インベスが立ち上がると同時に四発の弾丸を一気に発射し、

再び弾丸がなくなれば、装てんして撃ち続けるを続けると呆気なく、

インベスは膝をついた。

『ソイヤ! オレンジスカッシュ!』

「はぁ!」

相手に近づくとともにブレードを降ろし、湾曲した刀にエネルギーをためて、

相手が立ち上がると同時に切り裂くと大爆発を起こして消えた。

「この程度のインベスで俺の相手が務まると思ったのか?」

「……なるほど。クズの中では一線を超している」

メロン野郎はそう言うと刀を強く握りしめながら俺にゆっくりと近づいていき、

俺もゆっくりと相手に近づいていくと突然、奴が弾丸を放ってくるが俺はそれを、

横に飛んで避けると同時に残っている弾丸を放つが全て盾に防がれた。

地面に着地したと同時に両手に刀を持って走り出すと相手も同時に走り出しており、

相手の剣と俺の剣がぶつかり合い、火花が散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……どこにいるんですか、健太さん」

僕―――――光実は何度も健太さんに電話をかけているけど一向につながらないどころか、

圏外みたいで留守番サービスにもつながらなかった。

でも、僕はそんなことをしているだけじゃなかった。

「おや、これはチームガイムの坊ちゃんじゃねえか」

僕は今、ドルーパーズにいる錠前ディーラー・シドに会いに来ていた。

僕は財布から兄から預かっているクレジットカードを取り出し、

シドの近くにそれを置くと彼の前に座った。

「欲しいものがあるんだ」

「悪いが呉島の奴には売らないようにしてんだよ……どちらかというと、

あんたの兄貴に厳命されているんだ。お前に、

戦極ドライバーとAランクのロックシードは売るなってな」

「……シドさん。なんで蝶蝶がサナギになって羽化すると思いますか」

シドさんは紅茶をすすりながら面白いものでも見るかのような目で僕を見てきた。

「今の自分よりももっと強い存在になって大空を舞うためです」

「……つまり、坊ちゃんは兄貴よりも強くなると?」

僕は何も言わずにシドさんをジーっと見ていると、何が面白いのかシドさんは、

大きな声で笑いながら普段から持ち歩いているロックシードが大量に入っている、

キャリーバッグからあるものを二つ、取り出して何も言わずにテーブルに置き、

立ち上がって出口付近にまで歩くとそこで立ち止まって、僕の方を向いた。

「坊ちゃんは良い子だから忘れ物を届けてくれるよな?」

笑みを浮かべながらシドさんはそう言うとそのままドルーパーズから出ていった。

「……本当にいい子ならね」

僕はテーブルの上に置いてある“忘れ物”を手に持ち、ダンスステージへと向かった。

健太さん……あなただけに戦わせません。

そう思っていると僕の後ろから多くの学生たちが通り過ぎていった。

嬉しいことに僕達のチームにファンがたくさんいてくれているのは知っているけど、

そのファンのみんなは必ずといっていいほど、

僕達のユニフォームに似ている服を着てくれていた……まさか。

僕は慌ててダンスステージへと向かうと予想通り、

チームインヴィットのリーダーがAランクの錠前を、

持ってステージの目の前に立っていた。

インヴィットがAランクを持っていることは……やっぱり、

あの噂は本当だったんだ。

バロンが複数のチームを傘下に付けて巨大化したって言うのは。

「おや、チームガイムの坊ちゃんじゃないか。今日は用心棒を居ないね」

「……インベスゲームですか……良いですよ」

「ミ、ミッチー!」

舞さんの声を無視して、

ポケットからさっき貰った物を取り出すと周囲からのざわめきがより一層大きくなった。

「お、お前もアーマードライダーに!」

腰にドライバーを触れさせるとドライバーから固定具が放出され、

僕の腰とドライバーを固定すると左端にあった何も書かれていないプレートに絵が現れた。

『ブドウ!』

ロックシードを解錠するとその音声が流れ、僕の上空に円状のチャックが開いて、

そこからブドウの形をした浮遊物が現れた。

健太さん……あなただけに戦わせません……僕も……僕もあなたと一緒に戦います!

「変身」

『ハイー! ブドウアームズ・龍砲・ハッハッハ!』

ドライバーの窪みにロックシードを押し込み、ブレードを倒すとそんな音声が響き渡り、

銅鑼と二胡による中華風テイストの待機音が流れると上空に浮いていたものが僕の頭に覆いかぶさり、

一瞬、視界が暗くなったかと思えばすぐに明るくなり、手には銃が握られていた。

「行け!」

インヴィットのリーダー・城乃内さんがイチゴのロックシードを解錠すると、

上空にチャックが開いて、そこからムササビのように飛膜を広げて、

空中を飛ぶインベスが現れた。

インベスは口から火球を何発も僕に向かって放ってくるけど、それら全て、

銃の引き金を引いて放たれた紫色の光弾で撃ち落とした。

健太さん……貴方が帰ってくるまで、僕はこのチームのために戦います!

『ハイー! ブドウスカッシュ!』

ブレードを一回降ろすと銃口の先にいくつにも重なった紫色の光弾が装填されていき、

インベスが僕に向かってとびっきり大きい火球を放った瞬間、

引き金を引くとまるで龍のように銃口から放たれたいくつもの光弾がインベスを貫き、

大爆発を起こした。

その瞬間、相手の手からイチゴのロックシードが僕の手元に飛んできた。

「くそ!」

城乃内さんは憎たらしげに僕のことを睨んでから観客を押しのけて、

どこかへと消え去った。

Aランクのロックシードはとてもじゃないけど僕たちみたいに正社員でもない若者が、

手を出せるような金額じゃないし、ロックシードは全部シドさんが管理している……やっぱり、

最近噂になっているバロンがほかのチームを吸収して……。

「凄いじゃないミッチー!」

「ま、舞さん」

舞さんが僕に抱きついてきたのを期にチームのみんなまでもが僕に、

抱きつい……というよりも、タックルに近い威力で突進してきた。

健太さん……待ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ!」

メロンが放ってきた弾丸を飛んで回避すると太い木々にあたり、

一瞬で大きな穴ができるとメキメキメキという音を鳴らしながら地面に倒れた。

あれから一体、どれだけ戦ったんだか知らないが……そろそろ、

向こうもこっちも体力的にヤバくなってきた。

「はぁ!」

相手が斬りかかってきたのを二本の刀を交差させて防いだ。

「その若さでその強さ……異常なことだ」

「そりゃ、どうも!」

至近距離で最後の一発の弾丸を放ち、相手を怯ませてから蹴りを入れて距離をとり、

ベルトに引っ掛けてあったパインのロックシードを手に取った。

悪いがこれ以上、あいつらを放置しておくとヤバい気がする。

『ソイヤ! パイン・アームズ! 粉砕・デストロイ!』

『ソイヤ! パインスカッシュ!』

ブレードを一回降ろした直後にパインの鉄球を相手のすぐそばの地面めがけて蹴飛ばすと、

巨大になった鉄球が地面にたたきつけられた瞬間に大爆発を起こし、

大量の砂をまき散らせて相手の視界を完全に遮った。

その隙にバイクを準備し、俺はこの物騒な森から元の世界へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でも、まさかミッチーまでもアーマードライダーになるなんてね!」

「こうなったらもう、健太はお役御免じゃない?」

「……いえ、そう言う訳にもいきません」

僕たちはダンスを終え、拠点にしているガレージで休憩していた。

チーム・インヴィットに勝ったといっても複数のチームを傘下に置いた今のバロンには、

得点でも順位でも、そして戦力でも勝てていない。

確かにチームガイムにはアーマードライダーが二人いる……でも、

僕一人でバロンに勝てる自信はない。

「で、でも」

「もう少し、健太さんには用心棒をお願いします。それに」

次の言葉を言おうとした瞬間、乱暴に扉を開けた音がガレージ内に響き、

そっちの方を向くとチームバロンのリーダーである駆紋 戒斗さん、

そしてインヴィット、レイドワイルドのリーダーである初瀬 亮二、城乃内 秀保が入ってきた。

「な、なによあんた達!」

「ここに来る理由は一つしかないだろ」

「……外に出ましょうか」

そう言うと三人とも外に出て、僕もドライバーを手にして外へと出た。

「一つ提案があるんだが……お前たちもバロンの下に入らないか」

確かに今、僕達のチームはほかのチームからすれば下位のチームだし、

メンバーの平均年齢も低い。それ故に購入できるロックシードもおのずと、

低ランクのものになってくる。

バロンの下に付けばチームガイムは一気にトップの座に行くことができる。

「でも、傘下にしたチームからダンスがうまい人だけを引き抜いて、

事実上の崩壊状態にしているんでしょ」

「それがどうした。力がないものは力あるものに吸収される……返事は?」

「お断りします。変身」

『ブドウアームズ・龍砲・ハッハッハ!』

「そうか……なら、消えろ」

『バナナアームズ・ナイト・オブ・スピアー』

相手が変身を終えた直後、二つのロックシードを同時に解錠すると僕達を囲むように、

インベスゲームのフィールドが展開され、さらに上空から実体化したインベスが現れた。

じ、実体化したインベス!?

「その様子じゃ知らなかったようだな。ドライバーをつけた状態で解錠すれば、

インベスは実体化した状態で出現する……行け」

「くっ!」

二体のインベスが僕に向かって突進してきたのを確認し、一体に弾丸を当てて怯ませ、

もう一体は銃をトンファーのように持ち替え、持ち手の部分で殴り飛ばした。

やっぱり、実体化したインベスじゃ一撃は無理だ!

「はぁ!」

「うわっ!」

バロンが向かってくるのを確認し、弾丸を放とうとするけど、

その前に相手のスピアが僕の鎧を切り裂いた。

リーチが長いだけじゃなくて攻撃に移る早さも早い!

「これなら!」

僕はトリガーを引っ張り、単発発射から連続発射に切り替え、バロン目がけて放つけど、

相手は二体のインベスを引き寄せ、それを楯にして僕の弾丸を防ぐと、

二体のインベスを踏み台にして空中から落ちる勢いも利用して、

僕に槍を突き刺してきた。

「くっわぁ!」

その場から離れて槍を避けたものの目を離したインベスがその鋭い爪で僕を切り裂き、

さらにバロンの槍での攻撃もくらってしまい、地面に尻もちをついてしまった。

「どうした。この程度か?」

「まだだ!」

僕がブレードを下ろそうとした瞬間、インベスゲームのフィールドのちょうど真上に突然、

チャックが開いたかと思うとそこからバイクに乗った健太さんが地上に降りてきた。


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