仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第三十六話  作戦

翌日の朝、すべてのアーマードライダーがチームガイムの拠点地に集合し、

全員がテレビで流れているニュースが映っている画面に視線を傾けていた。

電波が最悪な状況であるため、とびとびの音と映像しか映らなかったがそれでも、

言っていることは何となく理解できた。

ユグドラシルが進めていたプロジェクトアークが何者かによって全世界に流され、

それに関与していた政府の官僚、閣僚、警察関係者などが一斉に辞職し、

政府の機能がマヒしている……そんなところだった。

湊いわく、プロフェッサーが脱出ポッドで脱出したらしいが……おそらくあいつだろうな。

「ダメだ。相変わらず携帯は繋がらない」

外に出ていたペコが携帯を手に持ち、そう言いながら戻ってきた。

「ユグドラシルのマスターインテリジェントシステムの影響よ。

この街はユグドラシルタワーによって全て支配されているといっても過言じゃないわ。

あらゆる電波が一斉に遮断されてしまっているのよ。本来はオーバーロードを目撃した市民が外へ、

情報を漏らさないようにという目的だったのだけど……今じゃタワーに誰もいない状態だから、

逆に私たちを追い詰めている状況だけど」

「じゃあ、どうにかしてこの町から脱出しないと」

「いや、それも無理だろう。見ろ」

舞の発言に対して否定したあと、俺は近くにあった沢芽市の地図を広げてテーブルの上に置いた。

「沢芽市から外に出る出口は三つほど存在しているがその三つは一本の道からしか、

それぞれ出口の近くまで行けないようにユグドラシルによって再開発されている。

沢芽市の人口が一斉にこの道に集中すればそれだけで負傷する人が出てくる上に、

そこをインベスに狙われればおしまいだ」

「じゃ、じゃあ自衛隊は!? こんな時にためにあるんだろ!? 

インベスは倒せないけど俺達を助けることができるくらいの兵力はあるんだろ!?」

「それも無理ね。自衛隊にできるのはインベスが外に出ないように出口を封鎖するくらい」

「凰連の言うとおり、自衛隊は出てこないわ。ユグドラシルとの契約で,

沢芽市に何が起ころうが我々の指示に従って行動してもらうということになってるわ」

そのことを聞き、ただでさえ低かったモチベーションがさらに低くなり、

室内にはどんよりとした空気が満ちはじめ、目の前の状況に誰も口を開こうとせず、

ただただ空調の音だけが部屋に響いた。

おそらく沢芽市全域にクラックが次々と開いている影響で大量のインベスが蔓延り、

避難し損ねた人は精々、自宅から出ないようにするのが精いっぱいだろう。

「ただ手はないわけじゃないわ」

そう言いながらピーチは床に置いていたジェラルミンケースをテーブルの上に置き、

それを開いて中に入っているものを俺たちに見せた。

「つ、通信機!? 湊さんどうしてこんなもの」

「待機していた黒影トルパーズの待機車があってね。そこからくすねてきたの。

これを使えば今の状況でも連絡は取り合えるわ」

「でも、どうやって外へ住民を逃がすんだ」

「この人数ならできないことじゃないわ。ムッシュ・バナーヌ」

そう言いながら凰連はホワイトボードにくっついていたマグネットを今この場にいる、

アーマードライダーの人数分だけ取り外し、地図に全て置いた。

「確かにユグドラシルが再開発したせいで出口はたったの三つ。

でも区画整備で一つ一つの区画はかなり単純なものになっているわ。

出口に近い区画の住民は避難できたとして出口から遠い、

この町の中心区画に蔓延っているインベスを除去するの。できれば強い人がいいわ。

インベスを除去し終われば避難し損ねた人をとりあえず、

同時並行で駆除した区画へ避難させる。それを繰り返していけば、

少なくとも数日で中心街からは遠ざけられるわ」

流石は戦争の最前線で戦ってきた傭兵……避難し損ねた人の回収の仕方も効率がいい。

「とりあえず、三直君と駆紋戒斗でタワー周辺のインベスの掃討をお願い。

次にタワーから少し離れたところを私と凰連で。残りのメンバーでタワーから、

離れたところの掃討を任せるわ。完了次第、通信で拠点地に連絡を」

湊の指示によってそれぞれに担当区画が与えられると同時に一人一台ずつ通信機が渡され、

舞はこの拠点に残って通信で送られてくる情報の整理を、ペコなどの非戦闘要員は各々、

インベス掃討が終了した区画から市民を避難させることになった。

「それじゃ行くわよ」

ピーチのその声で全員が一斉に拠点から出ていき、ロックビークルを解錠してバイクへと変形させ、

各々、担当の区画へと向かっていった。

俺も戒斗と一緒にタワーへ向かう途中の道までは一緒に行き、タワーの近くで二手に分かれ、

それぞれ別の方向へと向かった。

バイクを走らせ続け、タワーの近くへと近づくごとに徐々にインベスの姿が多くなってくる。

……本格的にこの街はヘルヘイムの連中の手に落とされたな。

バイクを止めるとわらわらと大量の下級インベスが近づいてきて、その中にチラホラ、

上級のインベスの姿も見えた。

1……2……下級が10体、上級が5体か。

『オレンジ』

「変身」

『ソイヤ! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ!』

「はっ!」

解錠したオレンジのロックシードをドライバーにセットし、ブレードを降ろすと、

ロックシードが展開し、上空で滞空していたオレンジのアームズが俺に被さり、

一瞬で鎧が展開されると同時に飛びかかってきた下級インベスを無双セイバーで切り裂くと、

真っ二つに切断され、爆発をあげて消滅した。

…………威力が上がったのか?

以前までならいくら下級インベスでも一撃で倒せはしなかったんだが……まぁ、良い。

トリガーを引き、弾丸を装填してからこっちへ向かってくる下級インベスめがけて放つと、

直撃しただけで爆発し、消滅した。

『ロックオン・一・十・百・千・万・オレンジチャージ!』

「はぁぁ!」

ドライバーからオレンジのロックシードを取り外し、無双セイバーと橙代丸をドッキングさせ、

薙刀のように変形させて無双セイバーのくぼみへロックシードを装填するとセイバーの刀身に、

オレンジ色の輝きが走り、横薙ぎに振るうとオレンジ色の衝撃波が放たれて、

固まっていた上級インベス達に直撃すると巨大化し、閉じ込めた。

「悪いがこの街はお前たちの物じゃない……俺たちの町だ! せいはぁ!」

近くまで寄ってからそう言い、そのまま橙大丸で巨大化し、中に閉じ込められているインベスごと、

エネルギーの拘束具を切り裂くと大きな爆発を起こし、インベスごと吹き飛んだ。

あたりを見渡し、インベスの姿が見えないのを確認してから変身を解除した。

「……随分と静かになったもんだな」

今俺がいる場所は大きな駅。普段ならば時間問わずに駅から降りてくる大勢の人で、

ごった返しているがオーバーロードによって支配されてしまった今では人の姿などゼロだ。

『健太。そっちはどう?』

「こっちは完了した。戒斗の方はどうなってる」

『戒斗も完了したってさっき連絡が来たからチャッキーとラットが逃げ遅れた人を探してくれてるし、

その二人をザックが守ってくれているから大丈夫』

ならいい……オーバーロードに遭遇しない限り、今のあいつの実力ならば、

上級インベスごときに負けることはないだろう。

伊達に今まで一緒にインベスの掃討をしていないからな。

『…………ねえ、健太』

「どうした」

『今の町の様子は……どう?』

…………オーバーロードに支配された現時点で自らの意思でこの町に残っているのは俺達くらいだ。

大体の住人はせっせと必要なものだけを持ってこの町を出たか、

或いは自衛隊が助けに来てくれるということを信じて避難場所に設定されている場所にいるか。

学生なんかの若い連中は出口へ向かっているだろうが高齢者夫婦などは体力もなく、

避難所に避難するのが精いっぱいだろう。

それに……姉貴のことも心配だ。電話はユグドラシルのマスターインテリジェンスシステムによって、

一切の電波が遮断され、通話することはできない。常に圏外の状態だ。

おそらく姉貴のことだから家から近い避難所にいるだろうが……やはり心配になる。

「静かだ。俺達以外に外に出てるやつは誰もいないからな」

『……どうして健太はそんなに強いの?』

通信機の向こう側から舞のすすり泣く声が聞こえてきた。

『この町にはもう私達以外には誰もいない……なのになんで健太は動けるの?』

アーマードライダーの力があるから……そんな理由などでは舞も納得などできない。

沢芽市が支配されてしまった今、この街を覆っているのは絶望。

俺の目的はこれ以上の犠牲を出さずに世界を救うこと……もう半分以上、

破綻しているといってもおかしくはない状況だがな…………もっと力があればこんな状況には。

「救わなきゃいけないからだ」

『……何を』

「…………舞。ドルーパーズに来い。そこでいったん、休憩しよう」

そう言い、舞の言葉を聞かずに俺は通信を切り、バイクに乗ってドルパーズへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうするつもりなの。ユグドラシルタワーを落として」

「カンタンダヨ。ワタシハニンゲンヲシハイシタインダ。ナニモナイトコロデ、

オウサマブッテモアワレナダケ。ワタシハタノシミタインダヨ。ニンゲンガキョウフスルサマヲ、

ゼツボウニウチヒシガレナガラ、イキツヅケルサマヲ……デモ、ワタシハシラナイ。

ニンゲンノコトヲマッタクネ。ダカラ」

そこまで言ったところで緑色のオーバーロード――――レデュエは僕を指さした。

「オマエガカンリシ、ボクガシハイスル。イイトハオモワナイカイ?」

管理と支配がどう違うのか今一分からないけど……僕が人類を自由にできるっていうことは魅力的。

また作りなおせばいいんだ……僕の本当の幸せを。

でも、そのためにあいつも邪魔になるし、こいつも邪魔になってくる……ま、

今は勝てる気がしないから口車に乗っておこうか。

どのみち、あいつはオーバーロードを倒す気だろうしね。

「良いよ。僕が人間を管理して君が支配する。人間を自由にできるんだ。魅力的だよ」

「フフフ。デュデュオンシュ」

レデュエがそう言うや否やご神木の太い幹に開かれているクラックからまるで、

クジャクのような形で羽根が無数に生えているオーバーロードが現れてレデュエの前に跪いた。

へぇ……オーバーロードってほかにもいたんだね。

「カレハナカマダ。サポートシテアゲナ」

「ハイ。オオセノママニ」

貴族の令嬢がスカートの裾を持って両脇に軽く広げる動作のように上品さを醸し出しながら、

無数の羽根が生えている腕を折り曲げて頭を下げると僕の方に向いた。

……思いっきり監視役じゃないか。まぁ、良い。

「じゃあ、行こうか。まずは…………下準備だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほい。俺お手製のカレーだ」

ドルーパーズへ向かう途中で舞と合流し、後ろに乗せたままドルーパーズへ向かい、

店内に入るとそこにはいつもと同じように店を営業している店長の姿があった。

さすがにバイトのあの人はいなくなっているが。

「店長は逃げないのか」

「おう。俺がここから離れたらお前たちの飯はどうすんだよ。ほら、食え食え」

こんな非常事態の中でスーパーなどが群衆によって襲撃されていないだけ、

まだ避難所にいる人たちの理性は崩れ去ってはいないということか……だが、

その理性はいつ崩れるか分からない……そういう時、必然的に女は標的になり得る。

できるだけ早くに姉貴を見つけて俺達のもとで保護したいんだがなんせ家の近くに、

避難所がありすぎるし、区画の解放のための戦闘を割けない以上、

姉貴を見つけるのには少し時間がかかる。

「健太、食べないの?」

「ん? あぁ、ドライバーを長くつけていたから腹減ってないんだよ。良かったら食え」

「うん。じゃあ貰うね」

極度の緊張状態の中で長い間いたせいかかなり腹が減っているらしく、舞はあっという間に、

自分の分のカレーを食べきると俺の分のカレーにも手をつけ始めた。

…………気のせいか? 異様にカレーの匂いがきつい様な気がするが。

舞とは少し離れているのにもかかわらず、まるで鼻の近くでカレーの匂いを嗅いでいるような、

感覚がさっきからずっとしている。

「……舞」

「ん?」

「この町を救えたら……あとはお前の出番だ」

「どういう意味?」

「お前のダンスで帰ってきた町の奴らを思いっきり笑顔にしてやれ。それができるのはお前だ。

俺にできるのはただ戦ってこの世界を救うこと……俺に人を笑顔にできる力はない。

でも、お前はそれを持っている。安心しろ。おれが必ず、最高の舞台を用意する」

そう言いながら舞の頭を軽くなでてやると少し頬を赤くした舞は恥ずかしそうに、

小さく笑みを浮かべ、その恥ずかしさを打ち消すように、

残っていたカレーをまるで飲み物を飲むかのような勢いで口の中に流し込んで飲み込んだ。

そのためには……ヘルヘイムの森の力を掌握、もしくは存在自体を消すしかない。

そんなことを考えているとポケットに入れていた通信機から湊の声が聞こえた。

「どうした」

『オーバーロードよ。それも新しいタイプの。急いできてちょうだい』

「分かった。今行く」

俺は舞のことを店長に任せてドルーパーズの外に出て、

ロックビークルを解錠してバイクへと変形させ、湊から指示された場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イイノカァ?」

「何が?」

「アイツラトハナカマダッタンダロォ?」

デュデュオンシュはそう言い、翼が無数に生えた腕を前方へ向けるとそこには、

あたりを警戒している様子の湊陽子と三直健太の姿があった。

今回の目的はあいつらを潰すことじゃない……あいつらには準備が整った時点で、

レデュエを潰してもらわないと困るからね。ただ単に威力調査。

「仲間ってのはね。僕の思い通りに動いてくれて僕のことを好きになってくれる人のことさ」

「アイツラハキカナイノカ?」

「あぁ。特に……あの三直健太は邪魔だ。僕の言うことを聞かない上に勝手に秘密をばらして、

英雄気取りに浸ってるだけの障害だよ」

「ズイブントキライナンダネェ」

「お話はここまでだよ。僕が指示したら頼むよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湊と合流したあと、ドライバーを腰に付けていつでも変身ができる状態にしながら、

背中あわせになって周囲を警戒していた。

湊の言うとおり新たなオーバーロードらしき気配は感じる……これも極アームズになって以来、

インベスの気配を感じることができるようになったおかげだな。

「湊。何でお前はユグドラシルから離れ、戒斗についた」

「ユグドラシルが私を切ったから私も切ったまで。そして彼には未来を見届ける価値がある。

だから私は彼についたのよ。貴方にはないものを感じたからね。逆に聞かせてほしいわ。

貴方は何のために戦っているの」

「世界を救うためだ」

「そう……だったら質問を変えるわ。世界を救い終わった後はどうするの」

そう言われ、俺は思わず歩みを止めてしまった。

確かに奴の言う通り、俺は今やるべきことだけを考えて戦ってきたが役目を終え、

俺がやるべきことが達成された後、何をするのかなんて考えたことがなかった。

目的を達成した後、この力は要らないものとなる……だが。

「救い終われば俺は消えるさ……救い終わった後のこの星に俺は要らない」

「…………どういう意味?」

俺は最後の質問には答えなかった。

正直、今はまだ不確定な未来だがおそらくこのままいけば俺はある未来に足を踏み入れ、

この世界にとって害悪でしかない存在になり得る可能性がある。

そのことを舞たちが知るのはもっと後から……未来が確定してからでいい。

「キエェェェェェェ!」

「「っっ!」」

凄まじい叫び声が聞こえ、そちらの方を向くと建物の屋上からクジャクのように背中から羽根が生え、

両腕からも無数の羽根のようなものが生えたインベスが飛び降り、俺たちめがけて突っ込んでくるが、

その場から飛びのくことでインベスの突進を避けた。

『ピーチエナジー!』

『オレンジ! レモンエナジー!』

「「変身!」」

『ロックオン・ソーダ! ピーチエナジーアームズ!』

『ミックス! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ! ジンバーレモン! ハハー!』

それぞれのロックシードを解錠し、ドライバーへとセットした後に互いの方法で、

ロックシードを展開させ、上空に浮いていたアームズをかぶり、

鎧が展開され終わった時点でインベスめがけて矢を放つがそれは奴の腕によって叩き落とされた。

確かに他のインベスとは次元が違うな。

「ハッハァァァァァァ!」

「うぉ!」

奴が急に叫びだしたかと思えば孔雀のように生えていた羽根が一斉に放たれ、

俺たちめがけて無数の羽根が飛んできた。

その羽根を赤い弓で叩き落としていくがすべて叩き落とせるほどの数ではなく、

俺達の鎧にいくつか直撃するや否や小さな爆発を起こし、俺達を軽く吹き飛ばした。

「爆発する羽なんて面倒ね」

「液体になるよりかはマシだ。同時に行くぞ!」

「ええ!」

そう言い、同時に駆けだし、奴が放ってきた無数の矢を弓で叩き落としていきながら接近し、

攻撃範囲に入ると同時に弓を振り下ろすと大きく後ろへ下がったかと思えばそのまま、

降りてきた建物の屋上に戻った。

「行くぞ」

「ええ!」

屋上へと飛びあがろうとした瞬間、大量の下級インベスが上空に開いたクラックから、

雨のように降り注ぎ俺達……どちらかといえば湊の行動を邪魔するかのように俺達に襲い掛かってくる。

「ここは私に任せて!」

「あぁ、頼んだ」

俺は湊に下級インベスどもを任せ、孔雀のオーバーロードが戻った建物の屋上へと飛ぶと、

屋上の中心部で孔雀とすでに変身を終え、俺にソニックアローを向けているメロンの姿があった。

…………お前はそこまでして俺という障害を排除したいらしいな。

俺が一歩、歩みを進めた瞬間に奴が俺に向かって矢を一発放ってくるが、

俺はそれをソニックアローで叩き落とした。

「ああぁぁぁぁ!」

叫びを上げながら俺が駆け出した瞬間、奴も駆け出し、同時に弓を振り下ろすと二つがぶつかり合い、

俺の目の前で火花が散るがそんなこと気にせず、腰のホルダーに収められている無双セイバーで奴の腹の部分を切り裂き、ドロップキックをかまし、大きく蹴り飛ばした。

『キエェェェェェェ!』

「邪魔をするな!」

後ろから飛びかかってきた奴の攻撃をその場から少し退いて避けると奴の腕に生えている羽根をつかみ、

それを俺の方へ引き寄せ、奴の腹にひざ蹴りを加えた瞬間、メロンが俺に切りかかってくるが、

ひるんでいる孔雀をメロンへぶつけ、俺は二人から少し距離を取り、カチドキを解錠した。

『ソイヤ! カチドキアームズ! いざ・出陣! エイ・エイ・オー!』

「邪魔をするな。お前がどんな気持ちで戦っているか知らんが……これ以上、

邪魔をすれば俺は本気で貴様を潰すぞ」

俺はそう言うがメロンはそんなことお構いなしにソニックアローを握り締める力をさらに強め、

俺めがけてメロンの矢と孔雀の羽根が同時に放たれてきて俺の視界が羽根と矢で覆い尽くされたその時。

『フルーツバスケット!』

「っっ!」

『ロックオープン! 極アームズ! 大・大・大・大将軍!』

上空に開いたいくつものクラックからすべてのアーマードライダーのアームズが降りてくると、

俺に向かってきていた無数の羽根と矢がすべて叩き落とされ、俺の周囲を回転しはじめ、

数回転した直後に俺に向かってきたかと思えばカチドキの鎧と一体化し、

鎧がすべてはじけるとその下から銀色の鎧が現れた。

カチドキが重装甲とするなら極は軽鎧で多装備だな。

「来い……王の力を見せてやる」

『キサマガオウヲカタルナッァ!』

『影松!』

孔雀が俺に飛びかかってきた瞬間にドライバーに装着されているカチドキロックシードの右側に刺さっている極アームズを弾くと俺の手元に二本の影松が出現した。

「うらぁ! はっ!」

『ブドウ龍砲!』

「うらぁ!」

「ぐぁっ!」

右腕に持った影松で孔雀を切り裂き、左手に持った影松で振り下ろされてきたソニックアローを防ぎ、

空いた右腕で極ロックシードを弾き、右手にブドウ龍砲を持ち、メロンに至近距離で弾丸をぶつけ、

距離を少し開けたと同時に後ろを見ずにブドウ龍砲を後ろに向けて引き金を引くと、

近づいてきていた孔雀にすべて直撃し、軽く吹き飛んだ。

「お前は少し眠ってろ!」

『極スカッシュ!』

『ぬおぉ!? な、なんだこれは!』

ブレードを一度下し、孔雀めがけて影松を投げつけると奴に突き刺さり、影松がエネルギーに変換され、

マツボックリを形どった檻に閉じ込めた。

『ドリノコ!』

極アームズを弾くと手元に二本のドリノコが出現し、それを握った直後にメロンが矢を数発放ってくるが二本のドリノコで叩き落とし、駆け出して二本を振り下ろすが奴のソニックアローに阻まれた。

「はっ!」

「がぁっ!」

『ブドウ龍砲!』

阻まれたところを奴の腹部へ蹴りを食らわし、奴の体勢を一瞬だけ崩したところへ、

二本のドリノコを同時に振り下ろし、奴をまっすぐ縦に切り裂いた直後に手元に紫色の銃を呼び出し、

至近距離から奴めがけて紫色に輝く弾丸を連続で直撃させた。

「どうした? 俺を殺す勢いはどうした?」

『ロックオン!』

奴は俺の一言に激高したのかドライバーからメロンエナジーのロックシードを取り外し、

ソニックアローに窪みに装着させ、弦を引絞り、俺に照準を合わせた。

「貴様がどれほど強大な力を手に入れようが俺はその上を行く……もう、お前の居場所などない。

居場所を無くした上で俺を殺す覚悟があれば撃ってこい……光実」

「っっ! うあぁぁぁぁぁ!」

『グアァァ! キ、キサマァァァァ!』

奴は叫びながら弦を引き離すと緑色に輝く矢が俺に向かって放たれるが少し、

今いる場所からずれた位置へズレると矢は俺のギリギリのところを通り過ぎていき、

俺の背後にいた孔雀のオーバーロードに直撃し、背後で大きな爆発が上がった。

「俺を殺す気はないのか……それともただ単に臆病なだけか?」

『極スカッシュ!』

ブレードを一度下すとブドウ龍砲の銃口に紫色のエネルギーがたまっていく。

俺はエネルギーがチャージされているブドウ龍砲をゆっくりと上げていき、光実に向けた。

「俺は……お前を殺す覚悟がある」

そう言い、引き金を引いた瞬間、紫色のエネルギーで形どられたドラゴンが銃口から放たれ、

光実に直撃し、大きな爆発をあげた。

爆発が収まり、光実の姿を探すが直撃した際の衝撃を利用してどこかへ飛んだのか、

既に目の前に光実の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ……ハァ……なんで、あいつばかり強くなるんだ! いつもいつもいつも!

どうしてみんなあんな奴について行ったりするんだ! 僕の方が…………潰してやる。

僕がこれから作る世界にあいつなんか必要ない……徹底的に潰してやる」




どもっす。

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