仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第二十二話 オリジナル

「はぁ!」

今日も今日とて、開いたクラックから出てきたインベス達を掃討していた。

が、今日は普段と違って上級の姿は見えないが下級の数が半端なく多く、

普段の三倍以上の数は出ていた。

それだけヘルヘイムの活動が活発ってか!?

「はぁ!」

上空へ矢を一発放つと矢がレモンの形になると同時に弾けて果汁があたりに飛ぶように、

黄色い矢が上空から何発の降り注いで、周りにいるインベス達を次々と消し去っていく。

『オレンジスカッシュ! ジンバーレモンスカッシュ!』

「どらぁ!」

ブレードを一回おろし、近くにいたインベスを蹴り飛ばしてインベス達を一か所に集めた場所へ、

吹き飛ばすと周囲のインベスを巻き込んで大爆発を起こし、すべて消え去った。

周囲を見渡すと開いていた二つのクラックは姿を消しており、インベスの姿は消えていた。

それを確認し、ホッと一息ついてから変身を解除した。

「……近づいているということか」

この前、貴虎から聞いたヘルヘイムの森の真実とあと十年もすればこの世界は、

ヘルヘイムの森にのまれてしまい、地球の文明は崩壊してしまうということ。

今でも多いと感じているインベスによる襲撃があと十年以上もすれば、

これよりもさらに多くなるということを考えればそう急に解決しなければならないのは事実。

だが、その方法が分からない。

現に奴は犠牲を出してでもこの世界を救うという方法を出しているが、

俺はまだ一切、方法を出せていない。

どうするべきなのか……犠牲を出さずに救う方法などどうやればいいのか。

「け~んた!」

その声とともに突然、後ろから押され、数歩よろけた後に後ろを振り返ってみると、

幼い子供が悪戯を成功させたときのような笑みを浮かべている舞が立っていた。

恰好から見るにダンスの練習に向かう最中か。

「何ぼ~っと突っ立ってたの?」

「ちょっとな……お前は練習か?」

「だったんだけどみんなの予定が合わなくて今日は中止。これから自主連しようかなって。

よかったら健太も来る?」

「あぁ、そ」

舞に返事を返そうとした瞬間、突然、舞の背後……つまり俺の前方に、

灰色のオーロラのようなものが現れたかと思えば、そこから黒い腕が現れ、

舞のリュックを掴もうとしたので俺は慌てて舞を俺の方へ引っ張ってその黒い腕から引き離した。

目当ての物が取れなかった腕は一度、灰色のオーロラの中に引っ込んだかと思えば、

そこから漆黒のアーマードライダーが現れた。

俺とおなじ戦極ドライバーを腰に装着し、ドライバーにはめ込まれている錠前は、

黒に染められており、同様に全身の鎧も黒だけしかなかった。

そしてその手には刀身にギザギザの突起物が大量に生えている刀が握りしめられており、

奴の頭からは二本の角が生えていた。

「誰だ、お前」

「我が名はロット。その女は貰うぞ」

「下がってろ」

舞を下がらせた瞬間、丸腰の俺めがけて遠慮くなく振り下ろされてきた漆黒の刀を、

その場から飛びのいて避けると同時に腰のドライバーにオレンジの錠前をはめ込んだ。

「変身!」

『ソイヤ! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ!』

ブレードを下ろすと頭上に浮遊していたオレンジのアームズが俺にかぶさり、

物の数秒で展開されると俺の右腕にオレンジ色の湾曲した刀が出現した。

「はぁ!」

相手が振り下ろしてきた漆黒の刀をオレンジの刀で弾き、相手へ振り下ろすが、

相手も俺の刀を避けるために後ろへと下がり、刀は空を切った。

さらにトリガー付きの刀に弾丸を装填し、不意打ち狙いで五発を連続で放つが、

そのすべてが漆黒の刀によって叩き落とされた。

「我の力、思い知るが好い」

『ロットオレンジアームズ・腐の道・ON・ステージ』

奴がドライバーにはめられていた漆黒のロックシードを取り外したかと思えば再び、

ドライバーにはめ込んでブレードを一回おろすとその音声とともに鎧が変化し、

オレンジが腐ったような色の鎧へと変化し、その手には黒に染まったオレンジの刀が握られていた。

「オレンジ……だと」

「貴様と同じものだと思うなよ……格が違う!」

『ロット・オレンジスカッシュ!』

「うあぁぁ!」

奴がブレードを一回おろすと刀に黒い光が走り、刀が縦に振り下ろされた瞬間、

縦に伸びた黒い斬撃が衝撃波となって俺に向かって飛んできた。

俺は刀で弾こうと思ったが刀に直撃した瞬間に予想以上の衝撃が走り、

そのまま黒い衝撃波に大きく吹き飛ばされてしまった。

何だこの力は! 新世代ライダー以上の威力だ!

「だったら!」

『ロックオン・ソイヤ! パインアームズ・粉砕・デストロイ!』

『ロット・パインアームズ・腐砕・デストロイ!』

俺がパインにアームズを変えたと同時に奴もアームズを変えたかと思えば、

俺が今持っているアイアンを真っ黒に染め直した色をしているアイアンを手に持っていた。

アイアンを振りかぶって奴めがけて振り下ろすが奴が振り下ろしたアイアンとぶつかりあい、

金属音を響かせたあと、俺のアイアンが大きく吹き飛んだ。

さらに回転しながら奴めがけてぶつけようとするが奴が大きく跳躍したことで空を切り、

逆に急降下しながらの奴のアイアンを直撃してしまった。

「なんと脆いか……終わりだ」

『ロット・パインスパーキング!』

「なに!?」

「はあぁぁぁ!」

奴がブレードを三回連続で下ろすと奴がアイアンを振り回し始めたかと思えば、

回転のたびに打撃部分が巨大化していき、その巨大に膨れ上がったアイアンが俺に直撃し、

そのまま大きく吹き飛ばされて地面に叩きつけられたと同時に変身が解除されてしまった。

なんなんだ……ここまでの力の差が!

「きゃっ!」

「舞!」

「この女は貰うぞ」

そう言い奴は舞を気絶させ、背負って灰色のオーロラのようなところへ消えた。

「待て!」

俺も慌てて奴が消えたオーロラの中へ入り、やつを追いかけようとするが、

俺の目に入ってきた光景は先ほどまでいた沢芽市の景色と同じものであり、

俺は慌てて周囲を見渡してみるが奴の姿はなく、

先ほどのオーロラだけが俺の背後にあった。

……背後にあるということは確かに俺はオーロラの中を通ったんだよな。

俺は頭の片隅でそんなことを考えながらも舞を連れ去った奴を探すために、

周囲を見渡しながら走りだすが奴らしい姿はなく、ただただ人々が通り過ぎていくだけだった。

「……沢芽市なんだよな。ここ」

前方には普段から見慣れているユグドラシルタワーがそびえ立っているがただ一つ、

違う点は音楽が流れていないことだった。

道に立っていた時計を見ればお昼の十二時。この時間帯なら……いや、

ここは別の世界と考えた方がよさそうかも……ん?

その時、前方にコソコソと見た目から怪しい男二人組が何やら物陰に隠れて、

話し合いをしていた。

俺はその二人組に気付かれないように後ろから近づいていくと徐々に声が聞こえてきた。

「良いな?」

「あ、あぁ……行くぞ」

「何がだ?」

そう尋ねると二人は驚きのあまり肩を盛大にビクつかせながら慌てて後ろを振り返った。

大体こういう反応するときは何かヤバいことをする時だ。

「な、なんだてめえ!」

「いや、お前たちが怪しすぎる行動をしていたからな……早急に聞きたいことがあるんだが」

「ばれちゃしょうがねえ! 行くぞ!」

「おうよ!」

そう叫ぶと二人はポケットから戦極ドライバーを取り出して腰に装着し、

マツボックリのロックシードを解錠してドライバーにはめ込んでブレードを下ろすと、

浮遊していたアームズが二人に覆いかぶさり、一瞬で展開されて黒影となった。

……なんでこいつらがドライバーをもっているんだ。

「死ねぇ!」

二人が振り下ろしてくる黒い槍をよけ、二人から距離を取ったところで俺もドライバーをセットし、

オレンジのロックシードを解錠すると何故か二人はおろおろしだした。

「まぁ、良い。変身」

『ソイヤ! オレンジアームズ・花道・ON・ステージ!』

オレンジのロックシードをドライバーにはめ込んでブレードを下ろすと、

上空で浮遊していたオレンジのアームズが俺にかぶさり、

鎧が展開されると同時に俺の右腕にオレンジの刀が握られた。

「な、なんだこいつ!」

「とにかくやっちまうぞ!」

そう言いながら二人は槍を同時に突き出してくるがそれを回し蹴りで弾くと奴らの手から槍が離れ、

地面に落ちると二人は武器を無くしたせいかさっきまでの威勢はどこへ消えたのか、

急に雰囲気が弱弱しくなった。

「おい、俺をぶっ殺すんじゃなかったのか?」

「う、うるせえ!」

そう言いながら殴りかかって来た黒影の拳を避けると同時に相手の足を引っ掛けると、

盛大に顔面から地面に倒れ込んだ。

こいつら、ただ単にアーマードライダーの力まかせに殴りに来てるだけか。

「うらぁ!」

「あめえよ」

「ぎゃっ!」

が、こんなやつらでも作戦があったらしく放置していたもう一人が槍を拾って握りなおし、、

背後から振り下ろしてくるが地面に映る影で分かっていたのでオレンジの刀で、

振り下ろされてくる槍を防ぐと同時に腰のホルダーに入っている刀で腹部を一閃し、

トリガーを引いて至近距離から銃弾を三発連続でぶつけると軽く吹き飛んで地面に叩きつけられ、

変身が強制的に解除された。

「うおらぁぁ!」

「だから甘いって」

「うおぁ!」

前を向いた状態で銃口だけを相手に向けてトリガーを引くと残っていた二発の弾丸が直撃し、

鎧の上で盛大に火花を上げると残っていたやつも変身が解除された。

「おい」

「ひ、ひぃ! すみませんした!」

俺も変身を解除して二人に近づくと二人してキョドりながら後ずさった。

「何もしねえよ。俺は聞きたいことがあるだけだ」

「き、聞きたいことですか?」

「そうだ。黒いアーマードライダー見たことあるか? ギザギザの刀をもった」

そう言うと二人して顔を見合わせて何も言わなくなってしまった。

「おい」

「え、えっとですね。う、噂だけなんすけどなんかそう言う奴がいるらしいっす。

なんか高校生の女ばかりを狙ってる頭の狂ったアーマードライダーがいるって」

高校生の女ばかり……益々あいつが舞を連れ去った理由が分からなくなってきた。

だが、この世界に奴が存在していることはたしかみたいだな。

「分かった。もう良いぞ……それと俺のこと見たっていうなよ」

少々、睨みを利かせながらそう言うと連中は凄まじい速さで首を上下に振ると、

大慌てで立ち上がってダッシュで俺から離れて行った。

やはり俺の考え通り、この世界は俺がいる世界とは全く違う世界だ。

ユグドラシルメンバーでもない奴が戦極ドライバーをもっているくらいだからな……さっさと、

あいつをぶっ飛ばして舞を連れ帰らねえと……沢芽市であるということは、

あの場所もあるってことか。

俺はある場所へと向かうべく、ロックビークルを解錠してバイクへと変化させ、

とある場所に向かってバイクを走らせた。




どうも。最近結構言われてきていたのでオリジナルの話を入れました。
なんかディケイドっぽいものが出てきていましたが出てくるのは、
ガイムだけです! それでは!

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