仮面ライダー鎧武 Another hero   作:kue

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第一話  覚醒

『健太さん! ひどいですよ!』

『私たちは本気でダンスをしてるのにそんな言い方ないでしょ!』

『じゃあ、聞くがこのままガキみたいなダンスを続けて将来に役立つのかよ。

ヘラヘラヘラヘラしながらダンスするなら働いた方がよっぽどマシだ。

二度と俺に話しかけるな。俺もお前たちに話しかけない』

『最低っ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~い。健ちゃん大丈夫?」

「……あ、すみません。店長」

休憩室で休憩中の俺―――――三直健太の顔がよっぽどヤバいものだったのか、

それとも話しかけたいという衝動に駆られるほどのアホ面をしていたのかバイト先の店長が、

非常に心配そうな表情で俺に話しかけてきた。

おかしい……睡眠時間はちゃんと六時間とっているし、毎日の軽い運動、

そして筋トレという名の不良どもとの喧嘩をしている俺がボーっとしていたとは……しかも、

よりによって半年以上前の夢だとはな。

「どこか具合でも悪いの?」

「いえ、悪いわけではありません。電話なってますよ」

そう言うと先ほどから鳴り続けている電話を慌てて店長がとりに行った。

あの様子だと出前だな……。

ふと、視線を移した先にテレビの電源が付いていて、そこで若者たちがステージ上でダンスを踊り、

それを大勢の観客達が歓声を上げながら見ていた。

俺はその映像を見るなり、すぐさまリモコンでテレビの電源を消して、出前の準備を始めた。

バカバカしい……ロックシードだか何だか知らんがあんなもんが将来の何に役立つ。

人事部の奴がロックシードを何個もっていますか? なんて聞くのか?

「ごめん健ちゃん! 実は常連さんの出前がまだ来ていないって言うの」

「謝って新しいのを持っていきます」

そう言うと店長はごめん! とジェスチャーをしながらも、

長方形の紙の箱に入ったピザを渡してきた。

俺はそれを受け取るとすぐさま外に置かれているバイクに跨り、

法定速度ギリギリの速度を出して、すぐさま常連さんのところへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、常連さんが許してくれたから良かったものの出前に行ったバイトが遅刻した理由は、

社会人としてはあるまじきものだった。

“インベスゲーム”が始まったからそれを見ていて行けなかっただと。

それを聞いた店長はすぐさまそいつを本日付で解雇にした。

これで二人目だと店長が頭を抱えて本気で悩んでいた。

「バカバカしい。あれのどこが面白い……あれは」

バイト帰り、大勢の人が集まっているのが見え、ジーッと見ているとステージ上の上で、

青メインの上着を着た四人ほどの集団と赤と黒の色が入っている上着を着ている数名の集団が、

その手にロックシードを手に持ってにらみ合っていた。

そしてその先頭にいるのはロックシードを持った女と男。

……また、ダンスをするための陣地争いか……いや、どちらかといえばあいつら……バロンが、

ガイムに喧嘩を売ったとみた方がいいみたいだな。

『バトル!』

そんな音声が流れ、錠前を持っている二人の間にK1のようなリングが生成されると同時に、

空間にチャックが開き、そこから芋虫に両手足をつけ加えて、それを人型に作り直したような、

異生物が出現し、たがいに睨みあい、同時に殴りかかった。

インベスゲーム―――――あの異物を使役して戦わせるゲーム。

ロックシードはその異物を召喚するためのキーアイテム。

ガイムが召喚した青い体表を持つインベスとバロンが召喚した赤い体表を持つインベスが、

殴り合っていた。パッと見では互角に見えるが……おそらく、相手の方がランクは上だろうな。

俺はその場から離れようとしたとき、

ふと大勢の観客のバックに何かを持ったバロンの構成員がいた。

……まさか。

予想通り、そいつが一連のある動作をした瞬間、女が顔を少し歪ませながら、

手の甲を抑えるとともに錠前が地面に落ち、インベスに一瞬ノイズが走った。

…………ちっ。

俺が走り出したと同時にインベスがフィールドを打ち破って実体となって外へと出て、

ガイムのメンツへと少しづつ向かっていく。

俺は逃げ惑う観客をかき分けながら人に踏まれ、半壊した錠前を拾い、実体化したインベスに、

蹴りを入れて蹴り飛ばし、錠前の錠を閉じると再び空間にチャックが開いた……が、

インベスは戻ろうとせず、俺に向かってくる。

「消えろ」

睨みをきかしながらそう呟くとインベスはおびえたような声を一瞬だけだし、

そのままチャックの中へと消えていった。

ロックシードを見てみると既に真っ二つに割れるんじゃないかと思うくらいに深い、

ヒビが入っており、既に使いものにはならない状態だった。

「ロックシードを手放すとは……ガイムは基本がなっていないようだな。

この勝負は俺達の不戦勝だ。お前たちはここから消えろ」

そう言うとバロンのリーダーらしいロックシードを持った男が俺に向かって、

一枚のカードを投げてきた。

俺はそれを受け取り、カードを見てみると英語でプレイヤーパスと書かれていた。

「だ、そうだ。この期に止めたらどうだ? 舞」

「なんであんたがいんのよ!」

そう言い、ツインテールの少女――――舞は怒鳴りながら俺の手から半壊したロックシードと、

プレイヤーパスをふんだくった。

その後ろにいたメンバーも俺を怒りがこもった眼で睨みつけてくるが一人だけ違うものを、

含ませて見てくる奴がいた。

そいつは俺を見るとすぐに会釈をして、他のメンバーを連れてどこかへといった。

「舞!」

そんな声が聞こえ、声が聞こえてきた方向を向くとガイムの上着を着、

髪を金色に染めたイケメンが舞のもとに駆け寄ってきた。

……こいつが今のガイムのリーダーか。

「ごめん、裕也。せっかく買ってもらったロックシードが」

舞は申し訳なさそうな表情を浮かべながらロックシードを、

縦に割るように深いひびが入った錠前を男に渡すと男は、

笑みを浮かべながら舞の頭を優しく撫でた。

「良いさ。ロックシードはまた買えばいい。それよりも、

チームのみんなに怪我がなかっただけでよかった」

それから二、三話した後に舞はどこかへと走り去った。

恐らく、チームの拠点に戻って練習をするためだろう……何が、

あいつをそこまで引きつけてるのやら。

「久しぶりだな。健太」

「会いたくもなかった……なんで最初からステージにいなかった」

「まあ、諸々のことはいつものところで話そう」

裕也の提案を受け入れ、俺は普段から足しげく通い、すでに常連となっている

フルーツパーラーのドルーパーズというパフェ専門店へと裕也とともに歩き始めた。

その時、ふと俺は足を止め、前方を見つめた。

そこにはこの沢芽市を無理やり再開発し、その支配の象徴として他の建造物の追従を、

許さないほどの超高層ビルで、広葉樹のような形状をしている建物があった。

その建物の名はユグドラシルタワー……この街を支配している巨大企業として有名な、

ユグドラシルコーポレーションという企業の本社ビル。

この街にあのビルが立った時からこの街はあの企業の支配下にはいった……そして。

「健太? 行かないのか?」

「……いや、行こう」

数分後、ドルーパーズへとついた俺達は各々、パフェを注文し、

それを食べながら雑談を交わしていた。

現状のチームガイムの苦しい状況から現在のダンスチームの地位の変動まで。

『ハロー! 沢芽市の諸君! 今回もホットな情報をお届けするぜー!

今回送ってくれた戦いは今注目度ナンバーワンのチームバロンとチームガイムの戦いだ!』

やけにハイテンションなDJの顔を隠すように映像が飛び出し、

先ほどのインベスゲームが流れる。

インベスがフィールドから抜け出し、実体化したところで映像は終了し、

再びやたらハイテンションなDJの話が始まり、ランキングが表示された。

トップはバロン、その他諸々のチームの下にガイムがあった。

もうあの様子じゃ首位を狙うのは不可能だな。

そして、視線を斜め後ろに持っていくと個別スペースに一人の若者と、

黒いトランクケースのようなものを持ち、

」黒い服に黒い帽子という出で立ちの男が何やら話していた。

そして若者は画面を指さすと男性がトランクから一つの錠前を取り出し、札束と交換した。

若者は嬉しそうな顔を浮かべながら錠前を握って店から出ていった。

「今じゃロックシードのランクが高ければチームの地位は上がる。以前のように、

暴力沙汰はなくなったものの……ロックシードの盗難なんかの犯罪が上がったな」

「知るか。さっさとそんなもの捨てればいい。将来」

「社会に役立たない……お前の常套文句だな。

でもまだ、チームのことは気にかけてくれているみたいだな」

その言葉を聞いた瞬間、俺は奴を睨みつけると裕也はおどけた様子で両肩を上げた。

「チームの危険を救ってくれたのはお前だ。もしも、

本当にチームのことなんか考えてなかったらその場からさっさと立ち去ればいい」

「…………」

「ま、チームのことは任せろ」

そう言い、裕也は俺の分も勘定を済ませてから店から出ていった。

「………ふざけるな!」

俺はスプーンを机に突き刺さる勢いで叩きつけると机が丈夫なのか、それともスプーンが、

軟だったのかは知らないがスプーンの丸みを帯びている部分がポキンと折れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、俺は全てのバイトが休みである日曜日。部屋でゴロゴロしていると携帯に裕也から、

面白いものを見せてやるという文面のメール、そして妙な器具が写った写真も載せられていた。

暇だったこともあり先日の礼を言うのも兼ねて裕也に指定された場所に行くと、

そこには裕也以外の先客がいた。

「あんたっ! なんでここに居んのよ!」

「お前には関係ない。裕也に呼ばれただけだ」

「……なんであんたも」

あんたも……ということはこいつも裕也に呼ばれて……ん?

考え事をしながらふと顔を上げると向こうの方に空間に開いたチャックと、

見たこともない植物が見え、未だに怒りの形相でにらんでくる舞を無視してそこへと向かうと、

何故か舞も付いてきた。

「これは……まさかこの奥に」

「裕也が……」

「お、おい!」

舞は何も考えず、開いたチャックに飛び込んで向こうに広がっている世界へと向かった。

俺もそれについていき、チャックの中に入ると木々が何本も生え、

枝には大量の葉っぱが生い茂り、そこからはいくつもの紫色をした果実が実っていた。

「なんだこれ……見たこともない」

試しに近くに実っている二つの果実を手に取ると突然、手に握っている果実がうまそうに見え、

食べたいという強烈な欲求に襲われた。

な、なんだこれ……何故、これが旨そうに見えるんだ。

とりあえず何とかして欲望を抑え込み、舞を探そうと足を一歩踏み出したとき、何か固い物を、

蹴飛ばしたような感じがし、視線を下に向けるとそこには裕也からのメールに、

添付されていた写真にあった妙な器具があった。

「あ、それ裕也が見せたいって……ふん!」

舞の反応は置いておくとして地面に落ちているベルトのバックルのようなものを手にとり、

それを何気なく腹部にくっつけると突然、俺の腰回りにベルトが出現し、

バックルが固定されると同時にさっきまで果実だったものがロックシードへと変化した。

ミカンに……イチゴのロックシード?

「え、Aランク! 初めて見た」

「……こっちこい」

「ちょ!」

俺は舞の手を引っ張り、木の太い幹の奥に隠れるとのそのそと二体のインベスが歩いて来て、

木々に巻きつくように伸びている蔦から実っている紫色の果実を引きちぎり、口にすると

一体は美味かったのか喜んだがもう一体はまずかったらしく一口かじっただけで地面に叩きつけ、

何度も足でふんづけた。

……なるほどな。インベスが一体どこから出ているのか不思議だったが……この森全体が、

奴らの住み家であり、人間達が錠前を解錠することで開いたチャックに近くにいた一体が、

こちらの世界へと飛び込んでくる……だが、この森はいったい……。

「舞、いったん出るぞ。危険すぎる」

「ふざけないで! まだ裕也がこの森のどこかに」

『ゴァァァ!』

「っ! 危ない!」

叫び声が聞こえ、慌てて舞の腕を引っ張って俺の方へと引き寄せるとさっきまで舞がいた場所に、

突如、さっきの二体のインベストはかなり様子が異なっている個体が飛んできた。

なんだこいつ……この森にいるからこいつもインベスなのか。

「来い!」

「ちょっと!」

俺は舞の腕を引っ張り、インベスから遠ざかる方向へ無理やり舞を動かして、

チャックが開いている方向へと走り出すとインベスも俺達を追って、俺達が普段、

住んでいる世界へと出てきてしまった。

それと同時にさっきまで開いていたチャックがじーっという音とともに閉じてしまった。

まずいぞ……あれじゃ、インベスがあっちの世界に帰らない。

とりあえず、物が乱立しているところに身を隠した。

「裕也……どこ行ったのよ」

「あいつの心配も良いが今は自分を心配してろよ」

とはいうものの、俺もこの状況を打破する策を見いだせていないのが、

現状なんだが……このベルトと手に持っているロックシードがどうも怪しすぎる……俺に、

自分を使えというオーラを出しまくっている。

ベルトのバックルにある窪みはロックシードの形と酷似している……。

まあそう言う風に俺が感じていると錯覚しているんだと思うんだが……仕方がない。

「ここで待ってろ」

「ど、どこ行くのよ」

「……すぐ帰ってくる」

俺は舞を置き、インベスが暴れているところへと自分からは知っていった。

お前が……お前が俺に使えというならば俺はお前が出しうるすべての力を、

何が何でも使ってやる。

そして俺はインベスを目前にして立ち止まった。

インベスはようやく標的を見つけたのがうれしいのか高らかと遠吠えを上げた。

……いくぞ。

『オレンジ!』

ロックシードを解錠すると何処からともなく音声が流れ、俺の真上に円形にチャックが開き、

何やらオレンジ色のカボチャの形をした物体が現れた。

ベルトの窪みにこいつを合わせれば!

『Rock On!』

そして、ブレードを降ろす!

『ソイヤ! オレンジアームズ! 花道・ON・ステージ!』

上空に浮いていた物体が俺の頭に落ちてきたかと思えば、着ぐるみの頭のようにすっぽりと、

俺の頭全体を隠し、ガチャガチャと音が鳴ったかと思えば明るくなった。

ふと、手を見てみると青色のスーツを身に纏い、

右手には刀身が湾曲しているオレンジ色の刀があった。

『アァァァァァ!』

「っ!」

妙な叫びを上げながら飛びかかってきた普段は見ない姿のインベスを湾曲している刀で、

切り裂くと派手に火花を散らせながら横に吹き飛んだ。

そのまま俺は倒れている相手を起き上がらせ、湾曲している刀を上から振り下ろし、

切り裂き、相手の腹部に蹴りを入れて、大きく吹き飛ばした。

まさか、こんなところで姉貴に無理やり気味に習わされた武道が役に立つとはな。

『グオアァァオォ!』

「うぉ!」

相手が叫んだかと思えば口から緑色に輝く布状のようなものが俺に向かって飛んできた。

いくつかは刀で叩き落とすもその残ったものが俺に直撃し、大きく吹き飛んだ。

「んのやろう……こいつもだ」

脇腹の辺りにぶら下がっていた刀を手に取ると持ち手の少し上にトリガーが見え、

試しに一回引いてみるとキュイーンという音が鳴り響いた。

……まさか。

『ウゴォォォ!』

試しに持ち手の部分にある別のトリガーを引いてみると相手に向かって光の弾丸が、

放たれ、火花を激しく散らせながら吹き飛んだ。

……一回の装填で撃てるのは四発か……十分だ。

俺はもう一度、弾を装填させ、相手の攻撃を湾曲した刀で防ぐと同時に相手の腹部に、

光の弾丸を一発撃ちこみ、湾曲刀で切り裂き、もう一発撃ち込み、今度は蹴り飛ばした。

「気を付けて」

「あ?」

後ろから声が聞こえ、振り返ってみるとそこには見知った顔の少女が立っていた。

髪の色も、服装も全く違うが……顔は舞だな。

「何をだ」

「貴方は運命を選ぼうとしている。その力を手にした時点で、貴方はこの世界を、

貴方の色に染め上げるまで戦い続けることになる」

「……」

『ウオオアァァ!』

インベスの叫び声が聞こえ、そちらの方を振り向かずにもう一度弾丸を装填し、

四発の弾を同時に打ち込んだ。

「上等だ。運命は誰かによって決められるものではない……もともと、ある原形を、

己の人生という工具で自分のものに改造していく……それが運命だ」

そう言うと舞に似た金髪の少女は俺に近寄り、ドライバーのブレードを静かに下ろした。

『オレンジ・スカッシュ!』

『ウオゴァァァァ!』

俺はすぐさま振り向き、湾曲刀を相手に投げると刀は相手にヒットした瞬間に、

跳ね返り再び俺のもとへと帰ってきはじめた。

『オレンジ・スカッシュ!』

俺はブレードを再び降ろすと足がオレンジ色に輝きだした。

「終わりだ」

自分のもとへと飛んでくる刀をエネルギーのようなものを纏った足で蹴ると、

足のエネルギーの分も継ぎ足されたのか刀がさらに強くオレンジ色に輝きだし、

再び相手のもとへと向かい、一撃で相手を真っ二つに切り裂いた。

『ウゴオアァァァァ!』

相手は断末魔を上げながら、地面に倒れ込み、そのまま爆発を上げて消え去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

世界を変える準備は良いかい?

 

 

 

 

 

 

Yes. I completed ready.




書きたかったから書いてみた……だが、恐らく仮面ライダーものの二次創作は、
短編は書いても連載にすることはないとおもう……当分は

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