決闘者のハイスクール   作:豆肉

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タッグフォース、ゼータレティキュラントがでません。メインデッキが作れない。


二十六話

アザゼルの襲来後、話し合った結果アザゼルに教えてもらった特訓法を試してみることとなった。生徒会に行くまでに教えてもらったのだが『黒い龍脈』の持ち主は匙だったらしい。なんか無駄にかっこいい名前なので少し腹がっ立つ。

生徒会に行き事情を説明すると「こちらの特訓にもなるので」と快く引き受けてくれた。

詳しい方法を聞いていなかったので初めは手間取ったが結果からいえばアザゼルに提案された特訓法はうまくいった。

匙は自分にこんなことができたのかと驚いていたが、なんで自分の神器の力を把握していないんだ。

 

 

「で、この状況は何よ」

 

このまま順調にいくかと思ったがそういうわけにはいかなかった。俺が仕事から戻ってくると同時にイッセー&ギャスパーも帰ってきたのだが、帰ってきて早々に元いた教室に逃げ込み「お外怖い」と言い続け出て来なくなってしまった。いったい仕事先で何があったんだ。考えられる可能性としては、新境地を開拓しそうになったイッセーが何かしたか……

 

「イッセーお前何をした?」

「俺じゃねーよ!!」

 

だってお前、男でも可愛ければいいとか言ってたじゃん。信用ならない。

まぁこうなったらもう一回引きずり出すか。神器を発動、『スキルドレイン』を伏せて準備万端、あとは待つだけ。

しかし、イッセーが慌ててそれを止める。

 

「待て待て!今はそんな強引なことしたらダメだって!」

「ショック療法ってやつだよ」

「なんかお前ギャスパーに対してやけに厳しくないか!?」

 

そうだろうか。まぁ確かにうじうじした奴はあんまり好かんし、面倒事はちゃっちゃとかたずけたい性分だなぁ。

たしかに少し厳しいというか雑に扱いすぎたかもしれない。

 

「とにかく、ギャスパーのことは俺にまかしてくれ!」

「わかった。わかったから押すな」

 

ぐいぐいと背中を押され追い返えされてしまう。これ以上ここにいる必要もなさそうなので部室に戻ることにした。

 

「ギャスパー君の様子はどうですか?」

「今、イッセーが説得していますよ」

 

部室には朱乃さんしかいなかった。リアス先輩はサーゼクス様との打ち合わせ、他のみんなは仕事だろうか。

俺がソファに座るとお茶を入れてくれた。ハーブディーだろうか、気持ちが落ち着く。しばらくするとおもむろに朱乃さんが口を開いた。

 

「ギャスパー君は自分の力が怖いのですよ」

 

自分の力が怖いねぇ。何かトラウマでもあるのだろうか。

 

「なにか昔、能力関係で事件でもあったんですか?」

「時間を止める、という能力はとても強力なものです。それゆえにギャスパー君は多くの人から恐れられ、避けられてきました」

 

それに、と続ける。

 

「もう、「大切な人が止まった顔を見たくない」とのことです」

 

つまり今まで自分がおそれられていたこと+自分が仲間を止めてしまう恐怖によって今の、あんな臆病な状態になっているってわけか。

しかしだ、最初のはともかく仲間を止めてしまうってのはどうもピンとこない。神器ってのは無限に使えるわけじゃない。

使っていれば体力を消費し必ずスタミナ切れを起こして神器を発動できなくなる。

 

「いくら止めてしまっても、神器の発動をやめてしまえば元に戻るのでは?」

「ギャスパー君はたぐいまれない潜在能力を持っています。そのため無意識に神器の力を高めていってしまっているらしいのです。そして将来的に『禁手』になるともいわれていますわ。そうなれば相手を永久的に止めることも可能になるかもしれません」

 

自分の意思とは関係なく強まる力、そして将来どうなるかわからない。「もしかしたら永久的に止めてしまうかも」という不安感がある。

なるほど、確かに怖いかもしれない。

だからこそ、そうならないうちに訓練をし力を自在にできるようにすべきなのではないだろうか。

一番の問題は、ギャスパーに自信がないということだ。

だから努力したって無駄、どうせできないなんてことを言っていたのだろう。

 

「なにかあの卑屈さをどうにかする方法はありませんかね」

「難しいですわね。彼の生まれ育った環境もありますし」

 

生まれ育った環境っていうとリアス先輩のもとに来るまでにひどい扱いでもされていたのだろうか。

 

「その、『生まれ育った環境』そんなに悪いものだったんですか?」

「吸血鬼というのは純潔でないものをひどく軽視し、侮蔑します。ギャスパー君はハーフ、しかも妾の子ということで差別され、兄弟からもいじめられてきたとのことです」

 

幼少期から自信を否定されて生きてきたってことか、そりゃ卑屈になるわな。しかし出生で差別するとは腐ってるな。リアス先輩のもとにいるってことは親も何もしなかったってことだ。

 

「許せませんね」

「えぇ、そうですわね」

 

そういう朱乃さんの表情はまるで自分のことのように、悲しそうな表情をしていた。

まぁ今のところはギャスパーを受け入れて、心を開いてくれるのを待つしかないかねぇ。といっても最初の印象が最悪に近い俺はだいぶ遠い道のりだろうけど……

 

そして数十分後、見事ギャスパーの心を開いて連れ出してきたイッセーの姿がそこにあった。イッセーさんマジぱねぇ

 

 

 

 

次の日、俺とイッセーは朱乃さんに呼ばれ、とある神社というか朱乃さんの自宅に向かっていた。リアス先輩も後から来るらしいが、一緒に来ればよかったのに。

何か用事でもあったのだろうか。

 

「いらっしゃい。イッセー君、浩次君」

 

神社につき出迎えてくれたのは巫女服姿の朱乃さん。悪魔が神社に住み、そんな恰好でいるとなるとかなり異様だ。口には出さないけど。

 

「変でしょうか?」

 

ニッコリとわらいこちらに問いかけてくる。

口には出さなくてもこの人の前では意味がなかった。

 

「いえ!最高です!」

 

イッセーが目を輝かす。相変わらず平常運転、今日も元気にエロスである。

 

「そちらが、赤龍帝と例の―」

 

背後から見知らぬ声!しかもこっちを知っているときた!このパターンからしてやることは一つ!振り向きながら神器を発動、さらに『天罰』『六芒星の呪縛』『攻撃の無力化』をセット!『光の護封剣』を宣言なしで発動!光の剣が瞬時に展開される。

 

「『光の護封剣』、あんたは3分間攻撃ができない」

 

とりあえず条件であるカードの説明をする。

振り向いた先にいた人物は若い男性で頭上に金色の輪、金色の翼、こいつ天使か。天使と会ったのは初めてだがまさかここまで絵にかいたような天使だとは思わなかった。

 

「噂通り、警戒心が強いようですね」

 

いきなり術を掛けられてのに当の本人は全く意に介していない。この程度いつでも敗れるということか?

 

「自己紹介が遅れましたね。私はミカエル。天使の長をしております。どうか警戒を解いてくださいませんか?」

 

そう言いにこやかに笑う。しかしいくら天使の長だといってもそう簡単にはできない。トップだというのに喧嘩を吹っ掛けてきた前例がいるくらいだし。

 

「浩次君、大丈夫ですから。神器をしまってください」

「……わかりました」

 

朱乃さんに促されしぶしぶ神器をしまう。朱乃さんが大丈夫だといってるくらいだし危害は加えてこないのだろうけど、やはり心配だ。

俺からの警戒心を読み取ってかミカエル……さんは苦笑いをする。

 

「今日はこれを赤龍帝の彼に授けるためにきたのですよ」

 

そういって取り出したのは一本剣。神聖なオーラのようなものが出ているところを見ると聖剣か?

 

「それを俺にですか?」

 

突然のことで驚いたようでイッセーはおどおどしている。まぁ相手が天使の長ってのもあるのだろうが、しかしなんでいきなりそんな贈り物をするんだ。

天使側からすると簡単に渡せてしまうほど聖剣ってのは安いものなのだろうか。

 

「この剣は『アスカロン』。龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の聖剣です」

「どらごんすれいやー?」

『ドラゴン専門の殺し屋、及びそいつらの使っていた武具の総称だ。少しは勉強しろ』

 

いつの間にかイッセーの神器が発動していた。

イッセーの神器というかドライグは俺との特訓の結果、日に日に力を増していき今では勝手に神器を発動させるしゃべり出すようになっていた。そのうちイッセーが乗っ取られるんじゃないかと心配である。 

そんな状況にミカエルさんも少し驚いたようだがすぐに平静になり説明を続ける。

 

「このアスカロンは特殊儀礼を施してあるので ブーステッド・ギアに取り込ませればこの剣に宿る力を使えるはずです」

「そんなことできるのか?」

『神器はお前が望めばそれにこたえる』

 

そういわれてもやはり不安なのかイッセーは悩んでいる。まぁ当然といえば当然か。

ここは俺が一肌脱ぎますか。

 

「俺が『融合』でその剣と合体させてやろうか」

「それはやめてくれ」

『やめろ』

「やめたほうがいいと思いますが」

 

全員から否定される。なんでだよ。

 

『お前のやつは『融合』なんだろ?融合ってのは混ぜて別のものを作り出すことだ、もしそんなことしてとんでもない何かができたらどうすんだ』

 

呆れたようにドライグが言う。そんなことわかっている。そのための対策だってできてるだから大丈夫だ。

 

「『融合解除』って言って元に戻すカードもあるから大丈夫だ」

『大丈夫じゃねぇよ。俺の心情的にな』

 

なんだドラゴンのくせにけち臭いやつだ。まぁ別にいいか。

 

「えーと、とりあえずやってみようぜ!」

 

イッセーがミカエルから剣を受け取り勝手に出てきたブーステッド・ギアに当てる。

 

「これからどうすればいいんだ」

『おまえは神器に集中しろ。あとは俺がフォローする』

 

そういわれ目をつぶりイッセーが集中する。しばらくすると神器から強烈な赤い光が発せられた。するといつの間にか剣は消えておりブーステッドギアの甲の先端に剣が生えていた。

あれだったら別に俺の『融合』でもよかったじゃん。

 

「さて、私はそろそろ時間なので帰りますね」

 

ポンと手をたたきミカエルはそそくさと帰って行った。なんでイッセーにこれを渡したのか気になっていたのに、聞きそびれた。

 

 

 

 

 

 

ミカエルが帰ってから、俺たちは境内の家に案内された。どうやらやっと朱乃さんが俺たちを呼んだ理由がわかる。

やけに重苦しい空気が部屋を支配している。おそらく、これから話される内容も相応に重苦しいものなのだろう。

 

「それで、俺たちを呼んだ理由というのは?」

 

なかなか話が始まらないのでこちらから促す。朱乃さんはしばらく黙ってうつむいたままだったが、意を決しこちらを見据え、翼を広げた。

堕天使の翼は片方が悪魔の蝙蝠のような翼、そしてもう片方が黒い、烏のような翼。堕天使の翼だ。

なるほど、ギャスパーの話のときあんな顔をしていた理由はこれか。なかなか複雑な家庭事情を持っている様子だ。

そうかわかったぞ。おそらくその翼が原因で何か起こったのだろう。

 

「それって堕天使の……」

 

俺以上ににイッセーは驚いたようで金魚のように口をパクパクしている。間抜け面である。

 

「2つほど聞いてもいいですか」

 

ビクリと朱乃さんの方が震える。これはそうとうその翼に負い目があるようだ。

まぁその翼のことは別にいい、問題はその翼が原因で何が起っているかだ。

 

「なぜ俺たち2人だけを呼んだんです?」

 

何が起こってるにしても戦力的に祐斗や小猫ちゃんもいたほうがいい。

 

「昔からいる2人はこのことを知っていますし。アーシアさんとゼノヴィアさんには勇気がなくて……でもあなたたち2人には知っていてほしいと思ったの」

 

リアス先輩ももちろん知っいるだろう。そうか!部長の用事ってのはそれか。

一足早く動いているってことだな。

アーシアちゃんたちに言わないのは、今はデリケートな時期というのもあるのだろう。問題を解決するにしても大事にはすべきではない。ゆえあの2人には伝えずに俺とイッセー、部長だけで動くといことか。

 

「2つ目です。いったい何があったんですか」

「私の母はとある神社の娘で、ある日傷つき倒れていた、私の父であり堕天使幹部のバラキエルを救いました。その時の縁で母は私を宿しました」

 

いきなり身の上話をされた。聞きたいのは出生の秘密ではなく今何が起こっているのかだが。

というか堕天使が悪魔になると片方づつ別の羽になるのか。いやまぁそんなことはどうでもいいや。

とにかく次はもうちょっとわかりやすく言おう。

 

「朱乃さん、問題はそこではありません。俺たちを呼んだのはそれが原因で何か起こっているからですよね?」

「えっそうなんですか!?」

 

さっきまで呆けていたイッセーが覚醒する。

しかし朱乃さんは困ったような顔をしている。

 

「えっと、2人を呼んだのは私が元堕天使だと言うのを伝えるためだったのですが……」

「……なにか事件が起こったのでは?」

「いいえ、何も」

 

気まずい。なにこれキメ顔で言ったのに何もないとか超絶恥ずかしいじゃん。お顔真っ赤だよ?

今すぐここを出ていきたい気分なんですけど。やばいってなんだよマジで。

「ですよね?(キリッ)」じゃねぇんだよ!

全く当たってないじゃん!ノーヒットノーランだよ!!

 

「それで……あの、お二人は私が堕天使だと知ってどう感じます?」

「あっはい、いいと思います」

 

朱乃さんの顔をれない。もうやだ。

 

「えっと、俺もそんなこと気にしないんで!堕天使はあんまり好きになれないけど朱乃さんのことは好きです!」

 

イッセーも何とかこの気まずい雰囲気と吹き飛ばそうと元気よく答える。そして俺に話をふってくる。

 

「な!浩次も朱乃さんのこと好きだよな!」

「ダイスキデス」

 

もうどうでもいいから終わってくれ。本当にマジで勘弁してください。こんなのいつ以来だよ。あぁもうヤダ。

 


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