決闘者のハイスクール   作:豆肉

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更新遅くなりました。
ふと思ったけどブルーアイズってハイスクールの世界だとどれくらいの強さなんでしょうね。
五大龍王よりかは弱い気がする。
イリナは金髪ではなかったらしいです。なので金髪→ツインテール(ツインテ)に変更しました。
ご指摘ありがとうございました


第十五話

球技大会は一応無事に終わった。

ただ気になることは球技大会から佑斗の様子が悪化しているということだ。

前のように呆けることはなくなったが常に悪い雰囲気をまき散らすようになっていた。

それに何かを決意したかのような目、気のせいと思いたいが超絶嫌な予感がする。

そんなある日、俺とイッセーとアーシアちゃんは部長にある話を聞かされた。

聖剣計画。

計画の内容は簡単に言えば聖剣とは扱う者を選ぶもので、その中でも強力なエクスカリバーを扱える人材を育成するといものだった。

それだけならよかったのだが、佑斗を含めその計画の被験者は誰もエクスカリバーを扱うことはできず全員殺されたそうだ。

 

「そんなことを教会が・・・」

 

アーシアちゃんはもともと教会にいただけあってショックが多きようだ。

まぁキリスト教なんて魔女狩りとか十字軍とか今まで散々やらかしてきた連中だ。

この位のことは平気でするだろう。

 

「そんで、佑斗は聖剣やそれに関わる者に恨みを持っておりイッセーの家で見た写真がきっかけで復讐心を思い出したってことですか?」

 

俺の質問を先輩が肯定する。

 

「忘れてくれるとよかったんだけど……そうもいかないみたいね」

 

先輩は大きなため息をついてから話を続けた。

 

「とりあえずは、しばらく見守るわ。貴方たちも佑斗が元に戻れるように力を貸してあげて」

「はい」

「もちろんです!」

「了解です」

 

俺にできることはあまりないと思うができる限りやってみよう。

 

~~~~

 

次の日 最近ろくなことが起こらない。

今、部室に教会の使者が2人来ている。

片方はツインテール、もう一人は緑のメッシュを入れた青髪の女だ。

何でもリアス先輩と交渉をしたいんだとか。出来れば来てほしくなかった。

ここには教会と関わらせたくない人が2人もいる。

教会から魔女として追い出されたアーシアちゃん。

教会に強い恨みを持っている佑斗。

聞いた話だと昨日イッセーたちのところにもこいつ等が来ていたらしい。

ツインテールの方は例の写真に写っていた子で実は女の子だったらしいがそのことはどうでもいい。イッセーたちのことを悪魔と認識していたらしいが、それで問題を起こさなかったということは人並みの常識はあるとみていいだろう。

まぁ問題を起こしそうなのがこちらにもいるのだが。

さっきから佑斗が今すぐ切りかかりそうな形相で睨んでいる。

只でさえ殺伐とした空気なのにこれ以上変な殺気を放たないでほしい。

そんな中教会側のツインテが話を切り出した。

 

「先日カトリック側および、プロテスタント側、正教会側に保管されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

 

マヌケめ。

この前、興味本位から先輩に聖剣について聞いてみた時があったからエクスカリバーの現状は知っている。先輩から聞いた話によると本当のエクスカリバーはすでに破壊されてその破片を集め7本のエクスカリバーがつくられたらしい。

その7本をカトリック、プロテスタント、正教会が保管、管理しているとのことだ。

 

「それで、なぜわざわざこんなところまで来たのかしら?」

 

問題はそこだ。まさか盗まれましたって報告をしに来たわけでもあるまい。

リアス先輩の問に青髪が答えた。

 

「カトリック、プロテスタント、正教会は各2本づつエクスカリバーを保管している。残り一本は行方不明。そして今回、各陣営のエクスカリバーが1本づつ盗まれた。そして盗んだ連中は日本に逃れ、この地に潜伏しているらしい」

 

つまりエクスカリバーを盗んだアホが今近所に潜伏してるってわけか。

なんでこうイベント盛りだくさんなのかね。涙が出そうだ。

 

「それで、奪ったのは?」

「『神の子を見張る者《グレゴリ》』、そして首謀者はコカビエルだよ」

 

神の子を見張る者《グレゴリ》とは堕天使の組織だ。そしてコカビエルは聖書にも載っている有名な堕天使。なんでそんな大物がこんなとこまで来てるんだよ。それに少し気になったことがある。……聞いてみるか。

 

「少しいいか。まさかあんた等2人だけで奪還なんてことはないだろう?他の仲間はどこにいるんだ?」

 

コカビエルほどの有名人(?)とやりあうのだ、それなりの戦力をそろえているだろう。

そんな連中がこの街で暴れまわるなんて冗談じゃない。

それに多くのエクソシストがこの街に潜伏してるとしたら場所くらい把握してないと不安だ。

だが、帰ってきたの予想外の返答だった。

 

「いいえ、エクスカリバーの奪還は私たち二人だけでやるわ」

 

アホか、いや超絶バカだこいつ等。

少数精鋭にしても2人は少なすぎる。それにこいつらもそんなに強そうには見えない。もう一つ気になっていることがある。ソファーの横に立て掛けてある布に包まれた長物だ。

 

「もしかしてだ、その横にかけてあるの残ったエクスカリバーとか言わないよな」

「へぇ~よくわかったわね」

 

ツインテが感心したような声を上げる。

 

「君の予想通りだよ」

そう言い青髪が立て掛けてあるエクスカリバーを手に取り布を取り払った。

嫌な感じが伝わってくる。ヤバイな。近くにあるだけで気分が悪くなりそうだ。

イッセーなんて顔を真っ青にしている。

 

「これが7本にわかれたエクスカリバーの一つ『破壊の聖剣』だよ」

 

ご丁寧に説明までしてくれた。というかなんだよ『破壊の』って、中学生が考えそうな名前だ……カード名叫んでる俺が言えたことじゃないか。ツインテも紐状のものを取り出す。それを俺たちの目の前で日本刀の形に変えた。

 

「私のは『擬態の聖剣』、この通り形状を自由に変えることができるわ」

 

こちらからも嫌な感じが伝わってくる。青髪にならってか紹介してくれる。わざわざ能力まで説明してくれるとは、ありがたいね。というか悪魔の根城に聖剣が2本もあるって異常な事態だな。まぁ今はそれよりも大事なことがある。聖剣がこの街にある、これは盗んだ相手からすれば絶好のチャンスだ。相手の目的はエクスカリバー。そしてここにエクスカリバーが2本ある。しかもそのエクスカリバーをもって自分たちを追ってきてるときた。

 

「あんたら馬鹿だろ。今の状況、盗んだ相手からすりゃカモがネギ背負ってさらに鍋も持ってきたようなもんだぞ」

「カモ?それは鳥だよな。それに鍋?どういう意味だ?」

 

青髪が首をかしげる。

どうやらこのたとえは外国人には理解できなかったらしい。

 

「つまり、あんた等は相手がほしがってるものをわざわざ取りやすいように持ってきたってわけだ」

「それだからこそ相手をおびき出す餌になるのだろう?」

 

自信過剰なのか、それとも秘密兵器でもあるのか。どちらにせよ無謀なことには変わりない。

 

「まぁ我々としては邪魔さえしてくれなければいいよ。今日はそれを言いに来たんだ。それでは、そろそろおいとまさせてもらうよ」

 

青髪はそう言い出て行こうとしツインテもそれにつづく。言いたいことだけいってこっちの返答を待たずに帰るとか礼儀がなってないな。まぁここにとどまられるよりかはマシだけれど。だが急に青髪がピタリと止まった。二人の視線の先にいるのはアーシアちゃんだ。

 

「もしかして『魔女』アーシア・アルジェントか?」

 

魔女と言われアーシアちゃんは体を震わせた。これはまずいな。危惧していたことが起きてしまった。こうなったからには速攻で終わらせるに限る。

 

「アナタが一時期うわさに―」

「用が済んだならとっとと帰れぇ!」

 

ツインテの言葉を遮り2人を扉の外へ押し出そうとする。たしょう無理やりにでもこの二人を追い出せればあとはどうにでもなる。こいつ等だとて追い出されたのにいちいち戻ってきてアーシアちゃんにケチをつけに来ないだろう。

 

「ちょっと、何するのよ!」

 

だがそれに対しツインテが抵抗する。

力が強いなこいつ!流石エクスカリバー奪還に派遣されるだけはある。

 

「一つだけ聞いていいかな?」

「え、はい」

 

俺と金髪が取っ組み合ってるうちに青髪がアーシアに迫っていた。

 

「君はまだ我らの神を信じているのか?」

 

その問いにアーシアは複雑そうな顔をする。

 

「捨てきれないです……ずっと信じてきたのですから」

 

アーシアちゃんはぽつりと呟くように言った。

それを聞いた青髪はエクスカリバーを布からだし切っ先をアーシアちゃんに向ける。

 

「なら今すぐ私に斬られるといい。今なら罪深くとも我らの神ならば救いの手を差し伸べてくれるはずだ」

 

プツリと何かが切れたような気がした。駄目だな、こいつら超絶ムカつくわ。

我慢できなかったのはイッセーも同じようでアーシアちゃんをかばうように青髪の前に立つ。

 

「触れるな」

 

イッセーが青髪に怒りを込めて言い放つ。

 

「何故だ?彼女に少しでも信仰心が残っているならばここで斬られることを望むはずだ」

「おまえッふざけるな!アーシアがいままでどれだけ―」

「やめろイッセー」

 

イッセーの言葉を遮る。

 

「なんでだよ!」

 

イッセーが怒りを含んだ目で顔でこちらを見てくる。安心しろよ。そいつらの肩を持つわけじゃないから。

 

「そいつらに何言っても無駄だって言うことだ。そいつらは自分たちが絶対正義だと思い込んでるキチガイどもだ」

「なんだと?」

「うるせぇよ。目障りだ失せろ」

 

青髪と言い合ってると横から剣を突き付けられる。ツインテがエクスカリバーを抜いていた。

 

「ずいぶんと言ってくれるじゃない悪魔の分際で」

「お前らこそ神にすがらなきゃ立ってられない木偶のくせに偉そうなこと言ってじゃねェよ」

 

あからさまに不快そうな顔をする二人。

自分でもこんなことしてないでこいつらをさっさと追い出した方がいいとは思ってる。それでは気が収まらない。この件で一番イラついてるのはイッセーだろう。俺がここまで言う権利はない。だが、それでも我慢ができないのだ。

 

「分かったら帰って神様に媚売ってろ」

「そう、わかったわ。あなた死にたいのね」

 

金髪の剣を握る手に力がこもる。

おぉ怖い怖い。こんなもの突きつけられたら対抗するしかないじゃないか。俺も神器を展開する。こっちが売ったケンカだ、やってやるさ。そして好機とばかり一人この喧嘩にくわわろうとするやつがいた。

 

「ちょうどいい。僕も相手になろう」

 

声をした方を見ると佑斗が剣を携えていた。殺気がダダ漏れだ。

 

~~~~~

 

俺と佑斗、金髪と青髪は球技大会の練習をしていたと旧校舎のグラウンドで向き合っている。なぜこうなっているかというと俺と佑斗が売ったケンカを金髪と青髪が買ったのだ。青髪はこれはあくまで私的な決闘で立場等は関係ないと言っていた。

こちらに気を使ったようにも見えるが恐らく気兼ねなくこちらを叩き潰すためだろう。さっきから金髪も青髪もこっちを殺気を含んだ目で睨んできてる。

ちなみにこの周りには朱乃さんが結界をはって外にばれないようにしてくれている。これで好きに暴れられるだろう。

まぁ勝負は一瞬で着くだろうけどな。クケケケッどんな反応してくれるかねェ

 

「浩次君、君は教会に何か恨みでもあるのかい?」

 

佑斗が怪訝な顔で聞いてきた。

というか何となく引いてるような気がするんだが・・・

 

「いいや、教会そのものに恨みはないさ。ただ個人的にあの2人が気にくわないだけだ」

「……そうか」

 

やっぱり引かれてるよな。そんなに引かれるようなことしたっけか?

そうだ、佑斗に言っておかなくちゃいけないことがあったんだ。

 

「佑斗、ちょっと耳かせ」

 

佑斗を呼び俺が立てた作戦を説明する。俺がカードであの二人の聖剣を砕くというものだ。これが作戦と呼べるのかって?こまけぇことはいいんだよ。

だが俺の話を聞きた佑斗が難色を示した。

 

「その話には乗れない。エクスカリバーは僕自身の手で破壊したいんだ」

 

……それもそうか。復讐の対象が他人に壊されましたじゃ俺でも納得できないし。

しょうがないから武器破壊はなしだな。壊しちまったら面倒なことにもなりそうだし、まぁ武器を破壊できなくても心をへし折る方法なんぞいくらでもある。

 

「わかった。剣を破壊するなんてことはしない」

 

剣をはかいしないだけだけどな。さぁてどうしてくれようか。肉体的ダメージはあまり好ましくない。俺がここでダメージを与えてそのあとでコカビエルとかに襲われ死んでしまいましたじゃどうも目覚めが悪いし、なにより聖剣を奪われてしまう。ならば精神的ダメージだ。出来れば奴らの信仰心をひねりつぶすぐらいのものがいい。とりあえず戦闘準備だ。

 

「神器発動!」

 

俺の左手にデュエルディスクが装着される。

 

「一応、名乗っておこう。ゼノヴィアだ」

 

そう言ってゼノヴィアは剣を構える。

 

「紫藤イリナよ。そっちも名乗りなさい」

 

金髪改め紫藤も名乗りこちらに剣を向けてくる。いちいち名乗ってくるあたり根はまじめなのかもしれない。まぁこっちも名乗りますか。

 

「草間浩次だ」

「木場佑斗」

 

俺と佑斗も名乗り神器を構える。

自己紹介とかしてくれたおかげで伏せたカードが使える状態になっている。

ありがたいことだ。

 

「『魔剣創造』か、なかなか珍しいものを持ってるな。そして君の方は……」

 

ゼノヴィアは俺の神器をまじまじと見てくる。

 

「聞いても教えてやらんからな?」

「それは残念ね。でもあんたみたいなのが持ってる神器だし大したことなさそうだけどね」

 

紫藤が吐き捨てるように言う。その余裕いつまで続くか見ものだがな。

 

「イリナ、油断をするな。あの男の神器の能力は不明だ」

「わかってるわよ」

 

ゼノヴィアがイリナに注意を促す。

出来れば油断しててくれた方がこちらとしてはうれしいのだが。まぁいい。

 

「さて、そろそろはじめようや」

 

互いに臨戦態勢にはいる。さて、やるか。

 

「『閃光を吸い込むマジック・ミラー』!」

 

俺が宣言すると同時に紫藤が俺に向かい突進してくる。

ゼノヴィアの方は佑斗の方に向かった。

 

「ハァッ!」

 

エクスカリバーを振り上げ切りかかってくる。確かに速いが佑斗ほどの速さではない。佑斗の剣を見慣れてる俺にとってはこの程度、見切る事なんぞ造作もない。俺は振り下ろされた刃を難なく片手で掴み止める。

 

「……はぁっ!?」

 

一瞬ポカンとしたのち驚きの声を上げる紫藤。ゼノヴィアも佑斗も動きを止めこちらを驚愕の表情で見てくる。計画度通りだ。

 

「どうした、ご自慢の聖剣はこの程度か?」

「そんな……嘘ッ!なんで悪魔が!聖剣に触れるはずないのに!」

 

いい感じに混乱してくれている。

紫藤の言うとおり本来なら俺程度の悪魔が聖剣、しかも刃の部分なんかに触ったら大参事だ。種は簡単、『閃光を吸い込むマジック・ミラー』は本来なら光属性モンスターの効果を無効にするカードだが神器化したこのカードは発動中あらゆるものの神性を奪い取る。よってエクスカリバーは神性を失い、ただの剣に成り下がる。

そんなものを受け止めるなんて容易なことだ。

 

「さぁどうする?」

 

できるだけ悪そうな笑みを浮かべ紫藤に問う。

紫藤は今だ受け止められたことが信じられないようで「ありえない」だの「うそ」だのブツブツ言ってる。ここまでショックを受けるとは想定外だ。

ガキンッ! 横で剣どうしがぶつかり合う音がした。

佑斗が好機とばかりにゼノヴィアに切りかかったのだ。ゼノヴィアは苦悶の表情で佑斗の剣を往なし、避けている。だがそれも時間の問題だろう。佑斗は魔剣を使っている。さらに身体能力も人間の比じゃない。ゼノヴィアも手練れだろうが聖剣の加護もない今、勝ち目はない。むしろまだやられてないだけ流石といったところか。

まぁあっちのことは佑斗に任せて俺の方も仕上げにかかりますか。

 

「うおりゃぁ!」

「ちょ、ちょっと何するのよ!」

 

掴んでいた聖剣を奪い取り全力で遠くへ放り投げる。

あとモンスターでも出せば紫藤は折れるだろう。見た目的に迫力があるのがいいな……よし、こいつにするか。

 

「『ヴェルズ・アザトホース』召喚」

 

召喚したモンスター大して段強くはない。ただ見た目の破壊力は抜群だ。

とにかく見た目が気持ち悪い。なんかこういろんなものが混ざっているようなグチャグチャしたやつだ。

 

「何よ……それ……」

 

紫藤はモンスターにビビり後ずさり尻餅をついた。

そんなに怖がってくれるとうれしくてもっと怖がらせたくなっちゃうだろうが。

 

「これが何かより何をされるかを気にした方がいいと思うぞ?」

 

追い打ちをかけるようにできるだけ悪そうな顔をして紫藤に告げる。そして一歩一歩ゆっくりと近づいていく。

 

「いやっ……くるな!」

 

涙目になりながら必死に訴える紫藤。

やばいな、なんだか楽しくなっていた。ゾクゾクする。

 

「ストップ!やり過ぎだって!」

 

そこへイッセーが紫藤をかばうように割り込んでくる。

 

「そこまでだ、これ以上するというなら私が相手になろう」

 

いつの間にかゼノヴィアも近くに来て俺に剣を向けてきている。というかお前、佑斗と戦っていただろう佑斗はどうした?佑斗を探すため周りを探してみると少し離れたところで突っ立てた。

 

「流石にこれ以上はね……」

 

佑斗の方を見ると苦笑いをしていた。

なんだよみんなして、ちょっとした悪ふざけだろうが。

 

「浩次、イッセーの言う通りよ。やり過ぎだわ」

 

声をした方みるとリアス先輩やほかの皆が歩いてきていた。

皆してなんともいえないような微妙な顔をしている。あと小猫ちゃんの目線が極寒だ。結界もすでに消えてるし、まだ決着はついてないんだけどなぁ……

 

「鬼畜外道……」

 

小猫ちゃんがボソリつぶやく。ちがうって俺はそんなひどい人間じゃないよ。だからその落胆しましたって目止めて!

 

「さて、まさかこれ以上続けるなんて言わないわよね」

 

リアス先輩がゼノヴィアと紫藤を見ていう。

 

「あぁ、これ以上戦ってもこちらが負けるのは目に見えてるしね」

「そうね!やめましょう主もそう言ってるわ!」

 

紫藤が助かったとばかりにゼノヴィアに便乗する。こんなときに神の名をつかっていいのだろうか。それほど怖かったというわけか。いやでもエクソシストならはぐれ悪魔とか見慣れてるだろうしこの程度でそんなに怖がるものだろうか。

ヴェルズ・アザトホースを見直す。

ほら、真ん中の顔っぽいやつとか愛嬌あることないか?……ないな。

 

「浩次、できれば早くその……グチャグチャしたやつしまってほしいのだけど」

 

リアス先輩が嫌そうな顔をしてヴェルズ・アザトホースを指さす。確かに気持ち悪いけどさ。いや、主人である俺がこいつを嫌がってどうする!ここはガツンと言ってやらねば!

 

「そんなふうに言うことないじゃないですか!こいつだって……アレですよ!こう、ほらですから―」

「いいから仕舞ってください」

「……ハイ」

 

小猫ちゃんにきつく言われ渋々しまう。

ごめんよ不甲斐ない主人で。いつか活躍させてやるから、多分、きっと、善処します。

 

「我々は今度こそおいとまさせてもらうよ」

 

そう言ってゼノヴィアはグラウンドから出て行こうとする。

紫藤もその後を追っかける。しばらく歩いたのちゼノヴィアが急に止まりこちらに振り向いてきた。

 

「そうだ、イリナをかばってくれた礼だ。一ついい情報を教えてあげよう」

 

いい情報ってなんだ?

 

「『白い龍』はすでに目覚めているぞ」

 

それを聞いた途端イッセーがビクリと跳ねた。

『白い龍』って知り合いか何かだろうか?目覚めているってことはどこかで眠っていたんだろうか。あとで聞いてみたいがイッセーの表情を見る限り聞いていいものだろうかと迷う。

ゼノヴィア達はそれだけ言って立ち去って行った。




『閃光を吸い込むマジック・ミラー』
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、
フィールド上・墓地で発動する光属性モンスターの効果は無効化される。
《本作では発動中あらゆるものの神性を奪う》
※神性とは
高い尊敬を持たれ、信仰者から尊敬され、聖なるもの、神聖なるもの、聖いものと考えられている、そして、時々宗教的に神として言及される、超自然的また超越的な不死の存在を認識することである。つまり聖なる力です。

『ヴェルズ・アザトホース』
効果モンスター
星4/闇属性/爬虫類族/攻 750/守1950
リバース:フィールド上の特殊召喚された
モンスター1体を選択して持ち主のデッキに戻す。


相手のモンスターをデッキに戻すとか手札に干渉する効果ってどうしよう・・・

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