みんなの魅力をうまく説明できない不甲斐ない私を許してくれ……
「海だぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いえーい!」
「敵の潜水艦を発見!」
「駄目だ!」
「駄目だ!」
「駄目だ!」
バスの中で、女子が声を上げる。
視線を窓へ移せば、確かに青々とした海面が広がっていた。
「海一つでこんなにはしゃぐか、普通」
「海そのものより皆と見る海に興奮してるんだと思う」
ボソッと言い放った俺の呟きに隣の一夏が反応した。
確かに、その場のテンションやノリは大切なものだろう。
「鋼夜、向こうに着いたら泳ごうぜ」
「いいぞ」
「箒もな!」
「う、うむ」
一夏は笑顔で俺と後ろの席に座っている箒に誘いをかけた。
なんやかんやで一夏自身も楽しみにしているのだろう。
臨海学校を。
今、俺たちは臨海学校のためにバスで移動している。
正直、俺は全然楽しみではない。
何が起こるか知っているから。
臨海学校の目的は屋外でのISの使用を学ぶためだ。
そして専用機持ちは各国や企業から届く新装備のデータを取るために参加する。
ラビアンローズからも装備が送られてくるし、そもそも男性操縦者はこういう行事には強制参加なので嫌々ながら参加している。
面倒事は早速起きた。
バスの座席決めだ。
なんと山田先生が決めるのを忘れていたらしく、早速クラス内では一夏争奪戦が始まった。
かくいう俺も、のほほんさんの無邪気な笑顔とラウラの恥じらいだ表情による無言の威圧の板挟みを受けた。
そして俺は苦肉の策として一夏と座ることを選んだ。
男同士で座る。
これなら全員は納得せざるを得ない。
色んな方々からの視線が刺さるが気にしない。
ていうか、男に嫉妬するってどうなのよ。今更だけども。
現実逃避のため、車内はほとんど寝ながら過ごしていた。
まぁ、女子のせいでついさっき目覚めたが。
「そろそろ目的地に到着する。全員席に座れ」
織斑先生の号令に全員が従う。
騒ついていた車内が静かになった。
それからすぐ、バスは目的地であろう旅館の前に到着した。
1クラス一台……四台のバスからIS学園の一年生が次々と降りてくると整列した。
「それでは、ここが今日から三日間お世話になる花月荘だ。全員、従業員の仕事を増やさないよう注意しろ」
「よろしくお願いします!」
全員が旅館の女将さんらしき人に挨拶をした。
届かぬ思いですがね、と心の中で毒づきながら俺もそれに続いた。
「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね。当、旅館の女将をしております清洲景子です」
三十代か二十代後半くらいに見える着物姿の女性はぺこりと頭を下げた。
「それではみなさん、お部屋へどうぞ。海へ行かれる方は別館の方で着替えられるようになっていますからそちらをご利用なさってくださいな。何かわからないことがあれば、お気軽に従業員に訊いてくださいまし」
全員がそれに返事をすると多数の従業員の先導の元、旅館へ入っていく。
「お前たちはこっちだ」
俺と一夏は織斑先生に捕まり、清洲さんのところへ連れて行かれる。
「織斑先生、こちらが噂の?」
「はい。ほら、挨拶をしろ」
「お、織斑一夏です。よろしくお願いします」
「如月鋼夜です。ご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします」
織斑先生に促されて挨拶と共に頭を下げた。一夏も同じく。
「ご丁寧にどうも、清洲景子です。織斑先生、二人とも元気そうないい子ですね」
「元気過ぎて問題を起こすのが玉に瑕ですがね。今回は二人居るために浴場分けが難しかったでしょう、申し訳ありません」
「いえいえ、いいんですよ」
織斑先生と清洲さんが会話をしている。
せんせー、俺はどっちかと言うと問題は起こしてませーん。
起こされたり巻き込まれたりしてます。そして、今回もそうなりまーす。
心の中で清洲さんに謝罪しながら俺はため息をつくのだった。
「こうやん、こうやん」
「どうした、のほほんさん」
旅館へ行かず、この場に残っていたのほほんさんが話しかけてきた。
「こうやんの部屋ってどこ~?一覧に書いてなかったよ?」
「あ、本当だ。俺達の名前が無いな」
横で一夏が声を上げた。
俺はのほほんさんにそう言われ、自身の手元にある部屋割り一覧を見る。
確かに俺と一夏だけ載っていない。
いや、普通に考えれば当然なんだけどね。よからぬことを考える人がいるかもしれないから。
「お前たちはこっちだ。ついてこい」
と、清洲さんとの会話を終えた織斑先生がやってきた。
「のほほんさん、またあとで」
「ばいばい、こうやん、おりむー」
先生に呼ばれたので俺はのほほんさんに別れを告げ、一夏と共に先生の後を追った。
「ここだ」
「ここですか」
織斑先生がドアの前で立ち止まる。
しかしそのドアには『教員室』というプレートがある。
「間違えてません?」
「いいや、合っている」
一夏の疑問を織斑先生はすっぱりと切り捨てる。
「お前は私と同室だ。如月は山田先生と。理由は時間外に押し寄せてくる女子生徒対策だ、分かったな?」
織斑先生は一夏の疑問に対する答えと共に一覧に名前を載せなかった理由を明かした。
確かにそうだ、と一夏は納得していた。
わざわざ分けなくても教員室の隣の部屋に俺達二人一緒でいいのでは?
という疑問が浮かぶがどこぞのゲルマン忍者がこの間、寮のベランダから自室に侵入しようとしたのを思い出したためこの疑問は自己完結させた。
もしかしなくてもラウラである。
ちなみにラウラはハリセンで撃退した。
確か……ラウラの奇行はドイツの部隊の副隊長の入れ知恵だったか?
まぁ、今度からラウラはシャルロットに頼んでなんとかしてもらおう。
「如月、部屋の準備は出来ているぞ。入らないのか?」
「今行きます」
いつの間にか部屋の準備が終わったみたいだ。
俺は一夏達の隣の部屋へ入った。
「すげェ!」
部屋へ入って思わず声を上げた。
ドアを開けて部屋へ入ると、二人部屋にしては広かった。
窓からは海が見え、室内風呂やトイレが完備されていた。そして洗面所は完全に個室だ。
ご丁寧に部屋の中央には仕切りがあった。これで山田先生も大丈夫だろう。
荷物をどこに置くか迷っていると、入り口のドアが開けられた。
「きっ、如月くんっ!?」
「あ、山田先生。お先にお邪魔しております」
「そ、そうでした。確か同室でしたね」
入って来たのは山田先生だった。
俺の姿を見た瞬間に素っ頓狂な声を上げたが、すぐに同室ということを思い出したのか、驚いた拍子にズレたメガネを直すと調子を落ち着ける。
「ごめんなさい、迷惑かけちゃいました」
「いえ、大丈夫です。邪魔にならないようにするんで臨海学校の間はよろしくお願いします」
「はい、こちらこそ」
挨拶とともに頭を下げる。
お見合いだとかは言ってはいけない。
「えっと、お風呂の件についてお知らせしておきますね。如月くんと織斑くんは一応、大浴場も使えますが時間が限られています。これが使用できる時間帯が書かれたプリントです。その時間外は部屋の方を使って下さいね」
「了解です」
そう答え、山田先生から大浴場の使用について書かれたプリントを受け取り、それに目を通す。
「山田先生。使うスペースは奥と手前、どっちにします?」
「如月くんが先に決めていいですよ」
「じゃあ奥で」
俺は部屋の奥へ荷物を置いた。
山田先生も荷物を床へ下ろした。
「今日一日は自由時間です。楽しんできてくださいね」
「わかりました。それでは行ってきます」
荷物から着替えと水着を取り出し、山田先生に見送られながら俺は部屋を出た。
更衣室がある別館へ向かう途中、爆音のようなものが聞こえたが俺はそれを無視した。
「……おぉ、鋼夜か」
別館の更衣室で着替えていると疲弊した様子の一夏がやってきた。
「何かあったのか」
「いや、何も……」
残念ながら俺には分かる。
大方、束さんに会ったんだろう。
一夏には「そうか」とだけ答え、この間買った海パンを履いてメガネを装着する。
「あれ、泳ぐのにメガネかけるのか?」
「いや、だってこれISだし」
「ああ、そっか」
俺自身、これから泳ぐのにメガネをしたままなのは違和感があるが四天を置いておく訳にはいかない。
ちなみに一夏の白式の待機状態は腕輪だ。邪魔にならない点ではいいと思う。
しばらくすると一夏も着替え終わったので、二人一緒に更衣室を出る。
男子更衣室は別館の一番奥にある。
そして別館は直接浜辺に出られるようになっている。
つまり、俺達が浜辺へ向かうにはいくつもの女子更衣室の前を通過しなくてはならない。
さすがに中は見えないが、声は聞こえてくる。
「ちょっとティナ。それ大胆じゃない?」
「ふふん、これくらいは普通よ」
「この牛みたいな胸も普通だって言うのかしら?あー?」
「ちょっ、リン、どこ触って、やめっ……ひゃぁん!」
明らかに知り合いであろう人物のやり取りが聞こえてきた。
「あいつ、何やってんだ……」
「今回は一夏に同意するよ」
俺達は何も聞かなかったことにして浜辺へ向かった。
「いやー、海とか久しぶりだな」
「そうか?むしろ海は毎年に一回は行くだろ」
準備体操をしながら一夏とそんな会話をする。
「海水浴場とか遠くて海に行く機会がなかなか無くてさ」
「所詮、俺は田舎者だよ」
田舎の夏なんて楽しみは山か川か海くらいしか無いんだよ。
「織斑くんと如月くんだ!」
「うそっ!私の水着、変じゃないよね!?大丈夫だよね!?」
「二人ともいい身体してますね~」
「帰ったら夏の新刊に取り掛からなきゃ、ヤバイヤバイ」
周りから様々な視線が突き刺さる。
こう、改めて注目されると恥ずかしい。
「いっちかー!」
「のわっ!」
準備体操中の一夏に何者かが飛び付いた。
先ほどハミルトンさんにセクハラを働いていた疑惑のある鈴だった。
鈴の水着はオレンジと白のストライプになっているスポーツタイプのやつだった。
「準備体操終わった?なら一緒に泳ぐわよ」
「それはいいけど抱きつくな移動するな肩車になるな!」
「いいじゃない、監視塔みたいで。鋼夜、一夏を借りるわよ」
「ああ、どうぞ」
面倒事が起きる前に俺は一夏を鈴に押し付けて貸し出されているパラソルとシートを取りに向かった。
泳ぐのもいいが、まずは楽しもう。
借りてきたシートとパラソルを設置し、日陰に座り込む。
着替えを終えた女子達が続々と浜辺を駆けている。
IS学園の女子のレベルは高い。
下手なアイドルより可愛い人が多い。
そんな女子達の水着姿を眺めずして男と言えようか。
いつぞやの実習訓練の時のスク水のようなISスーツも良かったが、今回はそれぞれが自分の個性満載の水着姿だ。
既に新聞部の一年には匿名でこの臨海学校での写真を予約している。
玲児や泰河に見せる用だ。
そしてこの四天にはハイパーセンサーを流用した超視力がある。
どんな距離だろうと覗き放題。やったぜ。
「こうや~ん」
ふと、聞き慣れた間延びのある声に振り返る。
「どうかな?可愛い?」
「……いや、可愛いけどさ」
振り向いた先に居たのはのほほんさんだった。
彼女はその場でくるりと回り、自分の姿を見せるが……
「それ、水着?」
「水着です」
すっぽりと黄色い布に覆われた身体、耳のついたフード、だぼだぼの袖。
彼女が水着と言い張るものは、どう見ても何かのマスコットの着ぐるみにしか見えなかった。
「かんちゃんも出てきなよ~」
そう言ってのほほんさんは振り向いて手招きする。
そこには建物の端っこから頭だけを覗かせた簪さんが居た。
簪さんは観念したのか、しぶしぶといった様子で出て来た。
「なんで簪さんも着ぐるみなの?」
出て来た簪さんはのほほんさんと良く似た茶色の着ぐるみを着ていた。
のほほんさんの着ぐるみが狐ならば、彼女は狸だろう。
「は、恥ずかしい……」
水着を見せるのが恥ずかしいのだろうが、今の格好も恥ずかしいというジレンマに陥っている一言だった。
「ほれほれ~良いではないか良いではないか~」
「ちょっと、やめてよ本音……」
殿様のようなノリでのほほんさんが簪さんの着ぐるみを引っ張る。
いや、下に水着を付けてるから大丈夫なんでしょうけどね、男の前でやるものじゃないよ。
「こうやんに見せないと、せっかく海に来た意味無くなるよ?」
「そ、それはそうだけど……別にそれだけで海に来た訳じゃないし……」
そして二人で固まり、会議のようなものが始まった。
既に聞いてはいけないものを聞いてしまったのだが……ああ、辛い。
俺はどんな反応をすればいいんだろうか。
「……分かった、着替える。でも、本音も着替えて」
「うん、いいよ~。と、いうわけで着替えてくるから楽しみに待っててね~」
「楽しみにしとく」
のほほんさんに引っ張られ、簪さん達はは別館へ向かっていった。
一瞬こちらへ振り向いた簪さんの頬は朱に染まっていた。
「ヤバいよ清香、このままじゃ出遅れるよ」
「本音が去った今がチャンスよ」
「突撃あるのみですわ」
「う、うん」
そして俺の背後、少し離れたところでは相川さん、夜竹さん、谷本さん、四十院さんの四人が会議を開いていた。
会話の内容までは分からないが、気配や雰囲気でだいたい察した。
「鋼夜ー」
「シャルロット……と、ラウラか?」
声をかけられ振り向けば、そこにはオレンジのひらひらした水着姿のシャルロットとタオルをぐるぐる巻いてミイラ状態のラウラが居た。
「ほら、大丈夫だって」
「わ、私が大丈夫ではない……」
デジャヴを感じながら、目の前のシャルロットとラウラのやり取りを見守る。
「せっかく着替えたんだから見てもらいなよ。おかしなところなんて無かったよ?」
「し、しかし……」
「えーい、こうなったら剥いちゃえ!」
「な、何をッ!?」
痺れを切らしたシャルロットはラウラの身体に巻かれたバスタオルを掴むと、一気に引っ張った。
そして、水着姿のラウラが目の前に現れた。
「わ、笑いたければ笑うがいい……!」
レースをふんだんにあしらった、ひらひらした黒の水着。
シャルロット以上にひらひらしているそれは一見すると、あぶないしたぎに見えるかもしれない。
そしていつも下ろしている銀の長髪は左右で結ばれ、ツインテールになっている。
「……普通に似合ってるけど」
俺は正直な感想を言った。
大人びている格好とラウラ自身の背格好。
普段の堂々としている姿とは違う、恥じらいの表情。
それら全てのギャップが見事に当てはまっている今のラウラは……正直、可愛い。
「ほらほら、自信持っていいんだよ」
「しゃ、社交辞令などいらん」
「お世辞じゃない。正直な感想だ」
ラウラは俺の言葉でさらに顔を赤くした。可愛い。
「ちなみにラウラの髪型は僕がセットしました」
「いい仕事をした。シャルロットもその水着、似合ってるぞ。早く一夏に見せに行ってこい」
「ありがとう。じゃあ、ちょっと一夏を探して来るね」
いえーい、とシャルロットとハイタッチをすれば彼女はそのまま一夏を探しにいった。
そして残ったのは赤面したラウラと俺。
「水着、自分で選んだのか?」
「う、うむ。しかし私はこういうものに疎いからな。部隊の部下に少しアドバイスを貰った」
俺が声を掛けるとラウラは慌てた様子で返事をする。
なるほど、あれは部下の趣味か。
いいセンスだ。
「だ、だから!今度、何かを買う時は一緒に来てくれないか?よ、嫁が選んだものなら私は……嬉しい」
「おうふ」
つい、変な声が出た。
150kmど真ん中の剛速球を頂きました。
デートのお誘いに持ってくるとは……恐ろしい子!
「やべぇよやべぇよ……」
「ヤバいですわ」
「わわわ、私、どうしよう!?」
「まだ慌てるような時間じゃない。私にいい考えがある」
今のやり取りに聞き耳後ろの四人組が騒ぎ出した。
「とりあえず、嫁はやめような」
俺はそう答えるしか無かった。
「如月くん。一緒にビーチバレーでもしない?」
「今ならハンドボール部の期待の新星である清香が着いてくるよ!」
と、ここで先程から後ろで騒いでいた四人組が声をかけてきた。
ビーチバレーの提案だ。
「いいぞ。ラウラもやるか?」
「夫婦の共同作業だな」
「こっちも大丈夫だってさ」
「ボーデヴィッヒさん!ちょっと手伝って!」
俺はラウラをスルーし、谷本達の提案を了承。
彼女達はそそくさとコートの設置に取り掛かっていった。
が、ラウラを連れて行った。
残ったのは俺と相川さん。
「…………」
会話が無い。
隣で相川さんがもじもじしているのは分かるのだが、かける言葉が見つからない。
ふと、相川さんの姿を見る。
白いスポーツタイプの水着。鈴のやつに近い。
露出は少ないが、相川さんのイメージから考えるとかなり似合っているといえる。
相川さんといえばそう、健康的なエロスだ。
「似合ってるよ」
「えっ!?」
「ごめん、セクハラだった」
つい口に出してしまい、それを聞いた相川さんは顔を赤くしながら慌てる。
「だ、大丈夫だよ。むしろありがとう!」
しどろもどろになりながら彼女は言う。
俺ももう一度彼女に謝り、この件は終わった。
そして俺が視線を外すと、彼女は消え入りそうな声で「えへへ……」と嬉しそうに呟いていた。
「なにしてるんだ?」
「お、一夏か」
コートの設置を眺めていると、声をかけられた。
声をかけてきたのは鈴をおぶった一夏だった。
「溺れたのか」
「調子が悪かっただけよ……」
「なんかゴメン」
何があったかを察したので、からかってみれば鈴が本気で危なそうなトーンの声で返事してきたので素直に謝った。
「もう大丈夫だから……ちょっと休んでくるわね」
「お大事に」
鈴は一夏の背中から降りると、ふらふらとした足取りで別館の方へ戻っていった。
「出来たよ!ビーチバレーのコートが!」
「でかした!」
そうこうしている間にコートが完成した。
「面白そうだな、俺も参加していいか?」
「なら、俺と一夏で別れるか」
と、ここで一夏が飛び入り参加を希望。
それを聞いた一部の女子の目が光る。
「ビーチバレーは二人一組……一夏さん!わたくしとペアになってくださいまし!」
「一夏!学年別トーナメントみたいにまたペアになろうよ!」
「えっ……少し困るな」
どこからともなく現れたセシリアとシャルロットの申し出に一夏は困惑する。
かく言う俺も様々な場所から視線を感じるので……
「多人数でやりたいなら、ドッジボールにしようぜ」
「いいねぇ、痺れるねぇ」
「私達も参加するする!」
「水球用に持ってきた手頃なボールがあったよ!」
「でかした!」
俺がそう提案すればセシリアとシャルロットはしぶしぶながらも納得した。
谷本達には申し訳ないと思っていたがノリノリで水球のボールを持ってきていた辺り、あまり気にしていないと判断する。なので私は謝らない。
相手は一夏、セシリア、シャルロット、夜竹さん、谷本。
こちらは俺、相川さん、ラウラ、ハミルトンさん、四十院さん。
外野は……他クラスの生徒ばかりで良くわからない。
そして何故かナチュラルにハミルトンさんがこちらのチームに加わっている。
「頑張ろうね、如月くん!」
ハミルトンさんの水着はシンプルな赤いビキニだった。
シンプルゆえに、彼女の魅力であり武器とも言える抜群のプロポーションが惜しげも無く発揮されている。
まさに絵に書いたような外国人の水着のお姉さんだ。
「ああ」
俺はポーカーフェイスを崩さずに返事をするので精一杯だった。
このあと滅茶苦茶ドッジボールした。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「……疲れた」
ドッジボールを終えた俺はパラソルの下に敷いたシートの上に寝転がっていた。
他の生徒や一夏達は昼食のために別館へ向かっていた。
ドッジボールはあの後、一夏と俺による戦争が始まったり、織斑先生と山田先生が乱入したり、セシリアとぶつかった一夏がそのまま彼女を押し倒すラッキースケベが発生したりと色々大変だった。
俺はプレーに集中しながら動き回る女子達をポーカーフェイスで眺めていた。
投げるときとか、避けるときとかを見てると……ね?
ばいんばいんでしたよ、特に山田先生。
「こうやん、おっつかれ~」
妙に間延びした声と共に、おでこにひんやりとした感触がした。
上体を起こして振り向けば、そこには冷えたスポーツドリンクを持った水着姿ののほほんさんと簪さんがいた。
「…………」
「こうやん、どうしたの?」
「……やっぱり、変?」
二人の水着姿について解説しよう。
まずのほほんさん。
首に引っ掛けるタイプの白いやつを着ている。そのせいで胸が強調されている。
くそっ水着は詳しくないからよく分からん!
肝心の胸部装甲。
でかい、説明不要。
ISの実習訓練の時から気になっていたが、やはりのほほんさんは、デカかった。
次に簪さん。
彼女はラウラと同じようなタイプの水着で色も黒と、同じだった。
しかしラウラほど過激ではない。
頭には黒いウサミミのようなアクセサリーを付けている。
彼女は顔を赤らめ、恥ずかしそうにもじもじしている。
普段目立たない子が頑張ってオシャレをした感が満載である。
しかし、それがかえって彼女の魅力を引き立てている。
「二人とも、凄い似合ってるよ。俺、死んでもいいかもしれない」
「大袈裟だよ~」
「あ、あ、ありがとう……」
その後、赤くなった二人とともに昼食をとるのだが、自分が割とシャレにならない事を言ったのを思い出して落ち込んだ。
さすがに死にたくは無い。
一年経ちました、やったー(まだ三巻)
これからもこの作品をよろしくお願いします
簪が来てるけど別にいいよね!(ラウラと水着が被る痛恨のミスをしながら)
のほほんさんはでかい
相川さんは健康的
ティナは、ぼんきゅっぼーん
ラウラは可愛い
簪はエロい
よし