神様転生した者だけど毎日が苦痛   作:八雲 紅

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年内最後になると言ったな、あれは嘘だ



途中経過の第3話

「で、どうなんだ?」

 

「あ?」

 

「とぼけんなよ、噂になってるんだぜ」

 

「話題の転校生とお前の恋仲が、な」

 

 

世の学生が大好きな曜日である日曜日。

俺は自宅に友人を呼び、三人でゲームに勤しんでいた。

その最中に、友人の一人が唐突に話題を振って来た。

 

「お前らが考えてる事は違うからな」

 

友人の問いに俺は嘆息しながら答える。

でもゲームのコントローラーを動かす手は止めない。

 

「いやいやいや、絶対出来てるよお前ら」

 

「あり得ない」

 

話題を振ってきた張本人である友人の天田玲児(あまだ れいご)に短く、ぶっきらぼうに返す。

黒寄りの青い、片方の目が隠れるか隠れないかの絶妙な長さの髪型にクールな印象とは正反対の人懐こい笑顔が特徴だ。

 

「でも日笠がお前以外と話してるとこ見たことないぞ」

 

少し長めのツンツンした黒髪と一般中学生より少し高い身長の友人、黒川泰河(くろかわ たいが)が追撃してくる。

 

 

この二人とは小学校からの仲で、なんというか……波長が合うのだ。

一緒に居て心の底から楽しいと思える奴らだ。

 

 

俺は泰河を無視してゲームを進める。……よし!

 

「おら!ハイドラ完成!」

 

「「ちょっ!?」」

 

二人は驚愕の声を上げ、ゲームへ向き直った。

今俺たちがしているのは超生命体ピンクボールが不思議なマシンに乗って争う、三大友情破壊ゲームとして名高いとあるゲームだ。

 

 

「フフフ、怖いか?」

 

「や、止めろ!俺のデビルに近寄るなァァァーーーーーッ!!!」

 

「に、逃げるんだよォォォーーーーッ!!!」

 

「このハイドラの前では全てが無駄無駄無駄ァッ!」

 

 

 

如月鋼夜、結構中学生ライフを満喫しております。

 

 

 

「で、日笠とお前の関係についてまともに話をしよう」

 

「誤魔化せなかったか」

 

「当たり前だ」

 

ゲームを中断し、各々が持ってきた菓子やジュースを摘まんでいると泰河が先程の話を蒸し返してきた。

 

「お前はなんたって『日笠係』だしな」

 

「泰河、それはやめてくれ」

 

日笠係とは、転校初日に凄まじいぼっちっぷりを発揮した箒さんに度々俺が話しかけているのを目撃したクラスメイトやその他生徒が俺に言い渡した役目みたいなものである。下の名前で呼ぶのはマズかったか、反省している。

 

「日笠はお前に任せる!応援してるから!」「とりあえず如月くんお願い!応援してるから!」と、盛大に誤解を受けて任命されたのだが大元は接しにくい箒さんを俺に押し付けたかったのだろう。イジメか。

……まぁ、そのおかげで俺も結構動けるようになって今では箒さんもクラスに馴染んでいるし計画が大いに進んだのは嬉しいが、周りのクラスメイト達の反応が非常にうっとおしい。

 

「この間の調理実習なんて、脈アリだろ?」

 

「玲児……違うんだよ」

 

あの子は良くも悪くも一途なんだよ……。

 

玲児が今言った調理実習。

それはつい先日の出来事なのだが家庭科の調理実習の時、日笠係の俺はクラスメイトの陰謀により箒さんとペアを組んだ。

まぁ、それは別に良かった。しかしこの後が問題だった。

この時授業ではチャーハンを作ったのだが、いざ食べてみればチャーハンには味が無かった。味の無いチャーハンだった。ディアッカのチャーハンの方がまだマシに見える。

何かのデジャヴを感じながら箒にこの事を伝えると、彼女は俺にこう言ったのだ。

 

「やはり料理は出来た方が男は喜ぶのか?」、と。

 

特になんでもない一言。

ツッコミ所を上げるとしたら何故俺に聞いた。一夏の事を思うのは別に構わないけどさ。

 

しかし周りの奴等の脳内は絶賛ピンク一色のお花畑。

この言葉をいいように湾曲させた奴等によって俺と箒の恋仲説はどんどん尾ひれが付いていった。

 

ノリ良すぎだろお前ら……。

ノリがいいのは嫌いじゃないが、ノリが良すぎるのも問題だと思うんだ。

 

ちなみに箒は終始、頭に疑問符を浮かべていた。

箒も大概に鈍感だよね。あの時はそれに感謝したけど。

 

 

「それに一緒に東京まで行ったんだろ!?」

 

「どっからどう見てもお似合いだぜお前ら」

 

「部活の全国大会に行っただけだ馬鹿」

 

 

これは剣道の夏の全国大会で、個人戦県代表になったのが俺と箒だっただけの話だ。

団体戦は惜しくも負けたため、俺と箒の二人が東京に行く事になった。

ちゃんと引率の先生居たからね?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「なぁ、如月」

 

「なんだい箒さん」

 

「トーナメント表に織斑一夏という名前はあったか?」

 

「いや、無かった」

 

「……そうか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

っていうエピソードがあったけども。

 

ちなみに一夏の名前は大分前に聞いた。話し始めて直ぐに「あの道場に織斑一夏という奴が居たんだが覚えているか?」と聞かれたからだ。その問いには「知らんがな」と答えておいた。

その時に織斑一夏が、初代モンド・グロッソの覇者である織斑千冬(おりむら ちふゆ)の弟だという事も聞いた。

 

 

……前世という色眼鏡を外しても、その時の箒さんの反応は恋する乙女にしか見えなかった。

 

あ、ちなみに剣道の大会は俺も箒も優勝しました。

 

 

「お前ら付き合ってんだろ?」

 

「白状しろよ」

 

「……お前らには教えてやろう」

 

これ以上誤解されるのもうっとおしいので俺は親友二人に説明した。

日笠さんは小さい頃に離れ離れになった幼馴染の男の子に恋している、というかなり大雑把な説明だが俺のいらない疑惑を払拭するには充分だ。

 

 

「ふられてやんのー」とか「元気出せよ」と、文面では伝わりづらいが一言一言の間にwが入っていそうな慰めの言葉を二人から貰った。

 

 

「お前らそんなに俺のゲムヲを本気にさせたいか」

 

「「やめてくださいしんでしまいます」」

 

「だが、無意味だ」

 

 

慰めのお返しに、俺は二人を二つ目の三大友情破壊ゲームである某大乱闘ゲームでフルボッコにした。いやぁ、神ゲーだよね。

良い子の皆はリアルファイトに気を付けてね。




実は主人公が日笠係になるのは強制イベ
話しかけようが無視しようが箒に関わるのは強制でした

え?親友二人が何処かで見たことある?気のせい気のせい(迫真)

次回でようやく原作に介入出来そうだ
年内投稿はこれが最後です、皆さんよいお年を

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