加速世界の銀星号   作:ヴィヴィオ

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銀星号爆誕

 

 

 

 

 インフィニティを手に入れてからしばらく時が過ぎてニコにブレイン・バーストをくれてやった。ニコもハマってくれたようで毎日楽しそうだ。可愛い子なのでついつい強化パーツをほいほい上げてしまうせいか、ニコは瞬く間に小学生低学年のくせして既に4レベルを超えて無制限フィールドで暴れまわっている。

 

「ヒカル、領土戦に出てくんね?」

「ふむ。ヒカルとしては面倒なのだが……そもそも、いや。いいだろう。ただし、ニコがこれから髪を下ろした状態で居るのならだ」

「え!?」

「ヒカルはオデコを出すのは感心できない。将来大変な事になるぞ」

「……わかった。それでいいから参加してくれよ。道化師の野郎をボコボコにしてやんだ!」

「ふむ。いいだろう。ヒカルが666コンボ決めてやろう」

「いや、それ以前にヒットポイントがなくなるって」

「軟弱な。ダンジョンの最奥のエネミーはヒカルの777コンボまで耐えて見せたぞ」

「そもそもダンジョンの最奥に一人で行くんじゃねえよ!」

 

 現在、ヒカルはプロミネンスに所属している。理由は簡単だ。レギオンダンジョンに入る為だ。何時でも脱退は自由という事でプロミネンスとネガ・ネビュラスを行ったり来たりしている。

 

 ニコの要請で領土戦に参加したが、ヒカルの圧倒的勝利だった。ここで間違ってはいけないのは、プロミネンスの勝利ではない。ヒカルの勝利という事だ。ニコと適当に一人追加した三人で、ヒカル単体で大暴れしてやったからだ。黄色奴の領地を結構分捕ってやった。

 

「お疲れ~」

「うむ」

「今日はありがとう。助かったよ」

「赤いのか、子が世話になっているから構わん」

 

 膝の上にニコのスカーレット・レインを乗せて抱きしめている。当然のように逃げようとジタバタするが無視だ。

 

「離しやがれ!」

「ヒカルは却下する。それよりも何か面白い情報はないのか?」

「そうだな。サフラン・ブロッサムの事を聞いたか?」

「? なんだそれは」

「全身鎧の強固な強化パーツを身にまとった物で、何やら白達が動くらしい」

「ほう。それはそれは……何時だ?」

「それは知らないな。サフラン・ブロッサムの居場所はすぐわかるが」

「どこだ?」

「ここだ。ここに毎日ログインしている」

「そうか。ならばヒカルはやる事が出来た。プロミネンスを脱退する」

「何をする気だ?」

「白の野望を打ち砕き、その全身鎧を手に入れる。あれはヒカルの物だ。邪魔をされなければヒカルが手に入れるべきものだった。そう、あの緊急アップデートが無ければ!!」

「そっ、そうか、頑張れ」

「あたしもついてこうか?」

「レインはまだ弱い。銀星号たるヒカルに追いつけ」

「わかった」

 

 ヒカルは既にレベルを上げてレベルは8となっている。9にはしていない。9になるのは鎧を手に入れてからだ。

 

「何時になるやら。俺だってまだレベル7だぞ」

 

 そう、まだ誰もレベル9にはなっていない。

 

「では、行ってくる」

「ああ」

 

 プロミネンスから脱退したヒカルは無制限中立フィールドを使って目的の場所に移動する。そこでは既にサフラン・ブロッサムとクロム・ファルコンが居た。いや、ある意味丁度だった。何故ならば……ヨルムンガンドによりサフラン・ブロッサムがエネミーキルされている所だった。ならばやる事は一つ。

 

「銀星号、ここに推参!」

 

 重力制御を使い、上空からの飛び蹴りをヨルムンガンドに叩きつけ、弾き飛ばす。

 

「「「なっ!?」」」

「えっと」

「サフラン・ブロッサムか?」

「そっ、そうですが……」

「契約だ。ヒカルにそのディスティニーを譲渡せよ。そうすれば奴等をヨルムンガンドもらおともヒカルが全損に追い込んでやろう」

「「「ふざけんなっ!!」」」

「「「奴を止めろ!!」」」

「ヒカルが話しておるのだ、黙れ!」

 

 グラビテーションフィールドを発動して周囲一帯の重力を上げて地面に押さえつけてやる。

 

「そ、それは……」

「早く決めよ。それともここで無駄に死ぬのか? 彼氏を見捨てて?」

 

 ヨルムンガンドがこちらに襲いかかって来る。それを受け止めて、流して投げ飛ばす。

 

「……わかりました」

「フラン!」

「ファル、ごめんなさい」

 

 トレードウィンドウが開かれてザ・ディスティニーがヒカルの物となった。ヒカルは早速着込んで再度突撃してくるヨルムンガンドを連中の方に投げつける。

 

「くそぅっ!!」

「ふはははは、ここに魔王たるヒカルが爆誕だ! 暴れるぞ!」

 

 クロム・ファルコンを突撃してから引っつかんでサフラン・ブロッサムの方へと投げてそこら一体で暴れまくる特に白いのをボコボコにする。連中の攻撃はザ・ディスティニーによって完全に無効化される。そもそも滅多に命中などさせぬのだ。

 

「や、やめっ」

「却下だ!」

「こんな事をしてプロミネンスが……」

「既に抜けてきた!」

 

 鎧の防御力がヒカル自身を傷つけていた威力からも待ってくれる。故に全力で全身全霊破壊できる。腕を引きちぎり、胴体を蹴り抜いて、頭部を粉砕する。瞬く間に殺し尽くし、復活を待つ。残念ながら少しの奴に逃げ切られたが問題ない。ヨルムンガンドにも手伝わせた。ついでにテイミングをしてやった。

 

「あの……」

「助かった」

「言っておくが、鎧は返さんぞ」

「はい。わかってます」

「それより、お礼が言いたかったんだ。ありがとう」

「ありがとうございました」

「そうか。お前たちの目的は知らんが、この鎧のお礼だ。こいつをくれてやろう。お前達が恐怖を克服できるのだったらだが」

 

 ヒカルはヨルムンガンドを渡してやる。

 

「だ、大丈夫です」

「あっ、ああ。でも、いいのか?」

「これから狙われるかもしれない。そのアフターサービスだ」

「そうか」

「そうだ。友達になってください」

「む? 構わんぞ。ヒカルは基本的無制限中立フィールドで遊んでいる。用があれば呼ぶといい」

「はい!」

「ではな」

 

 ヒカルはさっさとログアウトする。目を開けると目の前にはニコが居た。それもヒカルの上に乗って。

 

「おい、苦情が来たってレッドが言ってたぞ」

「プロミネンスを脱退しているのだ、問題はない」

「まあ、レッドもそう言ってたな。むしろ、ヒカルが送ってきた事のほうが胸糞わりい」

「全くだ。ああ、レッドに言っておいてくれ。これからヒカルは重点的に白を殺すとな。ヒカルは泣いて謝るまでやめないとな」

「りょーかい。アタシも参加しよ」

「ああ、これをやる。EKの動画だ」

「確かに受け取ったぜ」

「後は任せる。ヒカルは……宿題をする」

「あ、アタシも教えてくれ」

「構わない」

 

 それからニコの勉強を見たりして、ヒカルは適当に過ごす。そして、アップデートが告知された。追加されたのは芝公園地下大迷宮《コントラリー・カセドラル》だ。ならば手に入れよう。玉座はヒカルが死蔵する。

 

 

 

 

 

 


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