「・・・で、君が言うあの怪物は魔女と呼ばれるものの尖兵・・・使い魔って事か?」
「そうよ。 そしてその魔女を狩るのが私みたいな魔法少女と言う訳なんです。」
戒翔が経営している喫茶店に巴マミ、美樹さやかと鹿目まどかの三人が同じテーブルに座り先程の説明を受けていた。
「なるほど・・・で、魔女の成り立ちは知っているのか?」
「キュウベエ・・・さっきまでいたあの白い生き物だけど説明していた事だけど、魔女とは人間の負の念の集まりと言っていたわ。 私達はそれを狩って人々に危険が及ばない様にしているの。」
紅茶を一口飲んで言葉を紡ぐ。
「その・・・御坂先生があそこで戦えていたのに答えてくれませんか?」
「その事だが、他にも話さないといけない人がいるんだが・・・来たか。」
まどかの言葉にどう言おうか迷う前に他にも話さないといけない人物が来るのを待っていた戒翔はドアを開け放って呆けた顔をしている少女を見る。
「マミ! な、なんでアンタがここにいるんだよ!?」
「佐倉さんッ!? そ、それをいうなら私だってそうよ!」
「二人とも落ち着け。 巴さん、杏子は俺の所で居候という立場にあるんだよ。 杏子、巴さんはまどかやさやかの二人を魔女と呼ばれる存在の使い魔から助けてくれたからその後の事情を聞くために来てもらっているだけだ。」
「・・・そう。」
「・・・分かった。」
マミは納得した表情で、杏子は渋々納得したという表情をしてその場は一旦収まる。
「それで御坂先生が使い魔? になんで普通に攻撃できたのか教えて下さい。」
「それは私も気になるのよね? 普通の人ならまず使い魔と戦闘する事自体自殺行為だというのに平然と素手で攻撃していたもの」
「ハァッ!? 使い魔相手に素手!? 戒翔! どういう事だよ!!!!」
まどかの疑問に被せる様に補足するように告げたマミの言葉に杏子が仰天し、戒翔を睨み付ける。
「・・・俺もまた魔法を使う存在だからと言って納得するか?」
暫く口を閉ざしていた戒翔だが、間を開けて告げた言葉に四人は訳が分からない様な表情をする。
「え・・・? てことは御坂先生も魔法少女?」
「まどか、俺の何処を見て少女の要素があると思った?」
まどかの天然発言に頭を抑えながら指先を少し動かして胸元からアクセサリーを四人に見える様にした。
「これが俺の魔法を使う上で使用しているバハムート・ナハトだ。 ナハト、自己紹介しろ」
『初めましてお嬢さん方、僕の名前はバハムート・ナハト。 戒翔のインテリジェントデバイスをしえいるよ。』
「しゃ、喋ったッ!? ペンダントが喋ったよ!?」
「厳密には待機形態がペンダント型で起動形態だと俺の武器であり防具でもある。」
「・・・もしかしてディアーチェ達も?」
「・・・さぁな。 詳しく聞きたいのなら本人達に聞くと良い。 俺は俺の事しか教えん。」
一同がペンダントが喋った事に驚き、それを代表するようにさやかが声を上げ、それをみていたまどかはおずおずと戒翔に聞くが、戒翔はそっけない返事をしてコーヒーを飲む。
「先に言っておくが巴さんや杏子の様なルーツで魔法使いになった訳じゃないからな? 俺達の魔法は資質が在る無しで決まるから誰もがなれると言う訳じゃない。」
「そうなの?」
「まずは俺達の魔法は体の中にリンカーコアと呼ばれる魔力精製器官を有している事が大前提だ。 そしてそこから魔力量を測定したり空戦陸戦の適性検査をする。 適性検査をするうえで自分に合ったデバイス・・・俺にとってはこのバハムートの様に使って行くわけだ。」
「色々と聞いた事の無い単語が出て来たけど、その・・・御坂先生は何者なんですか?」
「・・・ここでは一教師であり、喫茶店を経営しているオーナーの様な立場って事だけで充分だろ? それにあまり深く知ろうとするはあまり関心はしないな。 好奇心は猫をも殺すって諺があるからな・・・?」
マミが疑問を口にしつつ戒翔に問うが、戒翔は遠回しに詳細を話す事は無いと告げる。
「・・・で、今回の事でまどかとさやかが危険になった事で思ったが少し警戒線を張った方が良いかもしれないな。 さっきの魔女の使い魔の張った結界は周囲の空間に割り込む形で発生し、その場所にいる生物を空間内に取り込むみたいだからな。 一応、2人には非常時の防衛手段を渡しておいても大丈夫だろう。」
そう言って戒翔は虚空に手を翳すとその翳した空間に歪みが出来るのと同時にまどかとさやかの目の前には桃色と水色の宝石が置かれていた。
「・・・これは?」
「うわぁ・・・綺麗」
「それはお前達が危険と思った事を俺の方に思念として送る送信機の様な物だ。 万が一の事があればそれを握って俺の名を呼べ。 そうすれば俺が直ぐに助けに行けるし、お前達の居場所も直ぐに分かる。」
そう言って戒翔はバハムートを服の下に戻す。
「・・・さやかちゃん」
「私達にはさっぱりだけど・・・この宝石はGPSみたいな物なの?」
「そう捉えて貰っても構わない。 肌身離さずしっかりと持って置く事。 一応杏子と巴さんにも渡しておく。」
「アタシたちがやられるなんて絶対に無いと思うぜ?」
「杏子、世の中には絶対という言葉がいかに脆いか知っているか? 慢心や増長して足下を掬われた者を俺はその多くを知っている。 だからお前もしっかりと持って置く事。」
そう言って戒翔は手に持った朱色の宝石を投げ渡し、マミには黄色の宝石を渡す。
「また詳しい話を教えてほしいとかいうのであれば機会があれば・・・説明する事もあるだろうが・・・相談事ならいつでも受け付けているからな?」
そう言って戒翔はニヒルに笑うのであった。