少年の異世界道中~まどか☆マギカ編~   作:クロイツヴァルト

2 / 10
act 1

 

 

 杏子からの話を聞いてから数日後

 

 「さて、今日の献立は・・・」

 

 「父上、今帰ったぞ!」

 

 「「お、お邪魔します」」

 

 「邪魔するわね」

 

 ディアーチェ達の後ろから見慣れない少女達を見つけた戒翔は食器を拭く手を休めてそちらに視線を移す。

 

 「いらっしゃい。 ディアのお友達かな?」

 

 「か、鹿目まどかです!」

 

 「み、美樹さやかです・・・」

 

 「お前達、父上の前で何を緊張しておる?」

 

 緊張気味の鹿目まどかと自身を紹介した桃色の髪をした少女と同じく紹介した美樹さやかは緊張気味の表情で戒翔にお辞儀をする。

 

 「それで、そっちの黒髪のクールな少女さんはどちら様なのかな?」

 

 「睦美ほむら」

 

 「ほ、ほむらちゃん!」

 

 「・・・普通の喫茶店なのね」

 

 「何を期待していたのか知らないけどどこにでもある普通の喫茶店だよ。」

 

 戒翔に施されて名乗った少女は憮然とした態度で名乗り、それに慌てたまどかであったがそれに気にも留めないで不躾に店内を見回したほむらは淡々と告げ、戒翔はそれに苦笑しながらメニューを持って三人をカウンターに案内する。

 

 「それで、初めて来た感想はどうかな? 睦美ちゃんからは普通と言う評価を頂いたわけだけど」

 

 「いえ、とても良い所だと思います。 とても落ち着く雰囲気で」

 

 「だね。 アタシはこういった雰囲気は好きだね。」

 

 「そう言って貰えてうれしいね。 注文はどうするかな?」

 

 「あ、今日はお財布は」

 

 「気にしないで良いよ。 ディアが初めて呼んだ友達だからお金の事は気にしなくて構わないよ。 で、ご注文はどうしますか?」

 

 「じゃ、じゃあ私はこのオススメのコーヒーで」

 

 「アタシもまどかと同じ奴でお願いします」

 

 「私は父上の淹れる物ならなんでもいいぞ。」

 

 「じゃ、淹れてくる間はこれを食べて待っててもらおうかな。」

 

 メニューを下げるのと同時に反対の手には何時の間に持っていたのか分からないケーキの載ったトレーを持っておりまどかたちに配るのであった。

 

 「わぁ、美味しそう!」

 

 「父上の作るスイーツはどれも絶品なんだぞ!」

 

 「え、このケーキってディアーチェのお父さんのお手製なの!?」

 

 「そうだ! 父上の幼馴染の女の親が喫茶店のマスターなのだが、その妻が洋菓子に関しては父上の師匠になるのだ。」

 

 「へぇ~、そうなんだ。 それにしてもディアーチェのお父さんって思ったよりも老けてないんだね」

 

 「さやか、それは我が父上を侮辱しているのか?」

 

 「え、全然違うよ! 私のお父さんとかって結構老けているからディアーチェ達のお父さんって若いなぁってさ」

 

 「そうか? 父上のその幼馴染の親は娘が二十歳くらいの時にも幼少時と変わらぬ容姿をしておったぞ?」

 

 「・・・それって若作りにも程があるでしょ!?」

 

 「私の中でもあの夫婦は謎の多いものだ・・・。」

 

 「それには同意するね。」

 

 コーヒーの香りを漂わせながら三つのコーヒーが載ったトレーを持って戒翔がディアーチェ達のいるテーブルへ近付いて来た。 その途中でカウンターに座るほむらにもコーヒーを渡していた。

 

 「どういう事ですか?」

 

 「そうだなぁ、あの人たちは・・・って言っても桃子さんは違うよ? あ、桃子さんってのは俺に洋菓子を教えてくれた人だけど怒らせるととても怖い人だったなぁ」

 

 まどかが聞くと戒翔がコーヒーを配り終わってトレーを脇に抱えて思案しながら答えるが途中で目が遠くを見つめ始める。

 

 「ち、父上! しっかりするのだ! ここにはあのピンクの悪魔はおらぬぞ!」

 

 「・・・なのはの家系って肉体言語がデフォなのかな」

 

 「あそこの者達は常人と言うカテゴリには絶対に入る事は無いとはいえ戦闘力はありえん。 魔道を極めてもいないのにただの身体能力だけで魔導師を上回るなぞ悪夢のほかではない」

 

 戒翔を現実に呼び戻したディアーチェだが、その本人も思い出しながら戒翔同様遠くを見つめる目になっていた。

 

 「・・・取り敢えず、ディアーチェは何時もこんな感じだけど悪い子じゃないからこれからも仲良くしてくれると助かるよ。」

 

 「い、いえ! 私達の方が仲良くさせて貰っている位だし」

 

 「アタシにしたら勉強を教わってるし・・・仲悪くなんてならないと思うね!」

 

 「そう言ってくれると嬉しいよ。 ディア、シュテル達は?」

 

 「さぁな。 どうせまた探検と言う名の野暮用でもしておるのだろう」

 

 「なんだ? 頭を撫でられて照れくさくなったのか?」

 

 「なっ!? だ、だだだだ誰が照れておると言うのだ!?」

 

 「そうだ。 ディアって学校じゃどういう風にすごしているのかな? 一応親としては心配なんでね」

 

 「ま、まどかにさやか! 言うでないぞ!」

 

 戒翔の今思いついたとばかりの言葉に狼狽えるディアーチェだが、そんなディアーチェを見てまどかは苦笑いしながら答えるのであった。

 

 「そ、そうですね・・・ディアーチェって学校じゃ優等生みたいな雰囲気で転校初日に皆のまとめ役になってますね。」

 

 「そうだね。 クラスの喧嘩とかも率先して仲裁したり両方の言い分を聞いて冷静に対処してるよね。 同じ中学生とは思えない行動だとさやかちゃんは思うね。」

 

 「お、おのれ等! 言うなと言っただろうに・・・後で覚悟しておれよ!」

 

 2人がディアーチェの学校での生活の一部を話されたからか顔を真っ赤にしたディアーチェが半目で睨みつつドスの効いた声で二人に告げる。

 

 「ディアは学校でそういうふうに生活をしている訳か・・・。 昔と比べればいい方だね。」

 

 「昔?」

 

 「その話はまた今度にしようか。 もう少しすれば君達と同じ場所に行けるわけだしね」

 

 「え、それってどういう」

 

 「パパ上~学校の校長って人からお手紙貰って来たよ~」

 

 まどかが何の事か聞こうとした時に、ドアを開け放って入って来たレヴィと後ろからげんなりとした杏子が帰って来た。

 

 「げ、なんでアンタが此処にいんだよ!」

 

 「それはこっちの台詞だ!」

 

 バッタリと会ったさやかと杏子は相手を見るなり嫌な相手に会ったと言わんばかりの態度をとる。

 

 「なんだ、杏子の言っていた相手はさやかちゃんだったのか」

 

 「あ、それは言うな!」

 

 「なに? さやかちゃんの事?」

 

 「喧嘩友達みたいだし俺からは特に言う事は無いけど喧嘩も良いけど仲良くするんだよ?」

 

 戒翔が何気なく呟いた言葉にいち早く反応した杏子は戒翔に飛び付いてそのの胸倉を掴んでゆすりその続く言葉を阻止しようとするが叶わずその場にいるメンバーに聞かれてしまう。

 

 「ほぉー、さやかちゃんが喧嘩友達ねぇ・・・」

 

 「っち、めんどくせぇ」

 

 「杏子、女の子なんだから少しは女の子らしくしたらどうだ?」

 

 「分かってるけど無理だっての! アタシはガサツな女だからな!」

 

 「・・・そうかい。 なら女性らしく振舞えるように講師でも呼んだ方が良いのかな? 適任なのは・・・なのはかフェイト辺りか? はやてだと悪ふざけしそうだしなぁ」

 

 「あの者達も来るのか!?」

 

 杏子とのやり取りの中で戒翔は真面目な表情で呟く。 するとその中で近くにいたディアーチェがいち早く反応する。

 

 「ディアーチェ、そのなのはやフェイト、それにはやてって誰ですか?」

 

 「・・・我たちの母上達だ。」

 

 まどかの言葉に観念したのか話しだすディアーチェ

 

 「達って・・・」

 

 「国外にて複数の者達と婚約できる国に言って式を挙げたんだ。」

 

 「え・・・って事は三人の奥さんがいるの!?」

 

 まどかの言葉に肯定の意を示した戒翔の言葉にさやかが驚きの声を上げる。

 

 「実際には二桁行くよねパパ上の婚約した人って」

 

 「「二桁ッ!?」」

 

 「レヴィ、余計な事言わなくて良い。 確かに二桁も行くけど皆色々な仕事で彼方此方飛び回っているから会うのは数年ぶりになるのかも知れないけど」

 

 そう言って戒翔はトレーを持っている手とは反対の手で頬を掻く

 

 「どんな人なのかな・・・ディアーチェのお父さんの奥さんって」

 

 「ディアのお父さんとか呼びにくいだろうから戒翔でも良いし、苗字は御坂になるけど好きな方で呼んで構わないよ」

 

 そして、その後も取りとめのない話をしてまどかとさやかがディアーチェをからかい、それを見ていたレヴィが参戦したりとわいわいと終始騒いで終わるのであった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。