東方晴天録   作:あおい安室

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なんとか体調も落ち着いてます。
そして不運は好調で、今回は2000文字ほど無駄に消えました。
はあ。


第20話+:行くべき場所は日本。

「………おかしい。夜、あの街ってステルス技術を付けたりしてた?」

 

『さあ………私は覚えてないよ』

 

ずいぶんと長い事空を飛んでる。だけど、街は全然見つからない。もう既にアフリカやユーラシアとかアメリカ大陸を調べたけど………全く見つからない。

夜になってからその大陸ごとに調べてるけど、街の特徴ともいえる大きな明かりがない。

明かりがあってもそれは新しく生まれた人間が作った小さな町で、僕らの求めてる街じゃない。

 

『………もしかして、街がなくなった………?』

 

「まさか………夜を改造した方の永琳は元々自分のいた世界が滅亡するまで生きてたんでしょ?それなら僕の姉の方の永琳も生きてるはずだよ………」

 

『………忘れた?晴は元々この世界にいなかった存在、イレギュラーなんだよ?私もそうだけど。そんなイレギュラーがいるって事は既に未来は変わったのかも………』

 

っ………後調べてないのは日本とかの小さいところか………

 

「一応全部調べてみようよ………転生する前の僕がいた国とか」

 

『へえ………なんて言う名前?』

 

………説明に困る。いや、ニホンって言うだけなんだけど。こんな質問、元の世界じゃ多分されないからなぁ………

 

「ニホンだよ。ここからそんなに離れてないと思うし、すぐに行けるよ」

 

『ふーん。ニホン………ニホン………ニッポン………合衆国ニッポン!!』

 

何それ!?

 

『言わなきゃならない気がしたの………というか合衆国って何?ニッポンって?』

 

「それもっと答えに困るからねー!?というか夜なんでそんなネタを………うわっ!!」

 

愚痴りながら空を飛んでると、急に下から飛んできた光弾が目の前を通ってきた。

すぐに気付けたからかわせたけど………なんで下から?

 

『………街が下にあって見つかったとか?ステルス技術を開発してるとしたら可能性はあるよ?』

 

「なるほど………下は………日本!?」

 

僕の下にあるのは紛れもない………日本だ。涙が、こぼれてきそう………

懐かしい………!!

 

「街があるかないて関係ないっ!日本よ、僕は帰って来たぁぁ!!!」

 

『え、ちょっ、晴ーー!?テンションおかしいよー!?』

 

夜が何かを言ってるけど………関係ない!今は日本に行くのが先決だ!

 

 

 

 

 

「ちっ………やってくれるじゃねえか、このガキ!!」

 

「きゃぁぁっ!!」

 

「霊力を使った攻撃とかなぁ………正直食らうと面倒だったから俺でも弾くことしかできねぇんだよ………よくもまあ妖怪相手に楯突こうとしてくれたなあ!?」

 

………旅の陰陽師から教えてもらった覚えたての霊力を使って弾を飛ばす攻撃を、私はこの妖怪にした。

少しでも時間を稼いで、妖怪から逃げたかった………

ところが、この妖怪は私の霊力弾を上に向かって弾き飛ばした。

そして………石を投げて、私の右足に命中させた。

今も右足はすごく痛い。私はもう立つこともできなかった。

 

「………ほう。お前人間の癖にいい面構えしてるじゃねえか?どうだ、俺の奴隷にならねえか?」

 

「っ………い、嫌です!!」

 

「ちっ………それならもうてめえは用済みだ!!」

 

そういって、妖怪は私の両肩を掴み………腕を握り潰そうとしてきた。

 

「あ、ぎゃぁぁぁ!!いだぃいだぃいだぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

………心が、痛みで、潰れる。

 

「ははは!!無様だなあおい!!所詮人間ってのはか弱い玩具にしかすぎねえんだよ!!」

 

………何を言ってるのか、うまく聞き取れない………

 

「ぁぁぁ………ゲホッ、ゲホッ!!………」

 

「?おい………もっと叫べよ人間!!」

 

バキャァッ!!

 

………何の音だろ?………なんだ。腕が折れたんだ………心も、かなあ。

声も、もうほとんど出ない………

 

「ぁ、ぁ…………」

 

「ちっ………興ざめだ。もう死にな。お前には飽きた」

 

そういって妖怪は、私を空高く放り投げた………

ああ。空ってこんなに綺麗だったんだ。この世界は、こんなに美しかったんだ。

この綺麗な世界で………もっと生きたかったなあ。あの私が死んだ世界のように、薄汚れた世界じゃないところで。

綺麗な物を見る夢は、終わりに近づこうとしていた。

体が落下を始めた。地面に叩きつけられて死ぬんだろう。そして………あそこでニヤニヤ笑ってる妖怪に食べられるんだ。

ああ………あの世界と同じだ。どうして、私には悪夢が続くんだろう。綺麗な物を望んで、何がいけなかったんだろう………

もう、諦めていた………その時だった。

 

「よっと!!大丈夫ですか!?」

 

空を飛んでいる………一人の緑色の目と髪の毛を持った少年に抱き抱えられた。

 

「ぁ………?」

 

「酷い………両腕と右足がボロボロだ………」

 

「っ!てめえ!!どうしてそいつを受け止めた!?そいつは地面に落として殺すやつなんだよ!!」

 

妖怪が、地表から少年に向かって叫んだ。

 

「えっ………殺す?」

 

「………!ああそうだ!そいつは悪い事をしたやつだからなぁ!!殺すんだよ!!」

 

「………あなたって悪人ですか?」

 

違う、あいつが嘘をついているんだ………と。言おうとしたけど声がうまく出なくて………

 

「ぁ………ぁ………」

 

としか言えなかった。

 

「………ちょっと待ってくださいね」

 

そういって少年は私の頭に手をおいた………なんだろう。なんだか、とても暖かい………

 

「………わかりました。さーてと………嘘をつくなんてどうかと思うよ!!」

 

そういって彼は、腰から銃を取り出して、妖怪に向かって放った。

すると妖怪は後ろに吹き飛ばされた。

………エ、エアガン?

そんなものをなんで持ってるの………?

 

「な………なにしやがるてめえ!!」

 

「一発目は単なる牽制射撃だ!………命が惜しかったら帰れ!!」

 

「は、よく考えてみりゃあ………威力のない攻撃じゃねえか!お前天狗だろ!?威力のないやつといやあ風。風を操れるやつといやあ天狗だしな!!天狗が人間に味方するとか一族の笑い者だぜ!?馬鹿だろてめえ!!」

 

「………天狗、ね………そんなのもいるんだ」

 

「さあ、とっととそのガキを落としな!!そいつは俺に楯突いた悪人なんだよ!!今なら腕の一本くらいの分け前はくれてやるからよお!!」

 

「………そう………そのつもりなら!!」

 

彼は、私を抱えたまま地面に降りて………私を地面に降ろした。

 

「お?お前まさかこいつを自分の手で殺すのか?いいねえ………だが、こいつ、もう叫ばねえぜ?」

 

彼は、妖怪の方に向かって歩き出した。

 

「………ん?てめえ………まさか、俺とやりあう気か?」

 

「………お前に価値なんてない」

 

「は?何言ってんだ?」

 

一歩。また一歩近づくごとに………髪が、黒く染まっていく。

 

「………無論、僕の中では、だけど………はっきり言わせてもらう。お前は………」

 

消えろ、と。彼は強く言った。そして彼は自分の右手を………取り出したナイフで切り落とした。

そして、彼が切り落としたところから………闇としか表現できない黒が溢れだしてきた。

 

「な、なんだよお前!!天狗なんかじゃねえな!?」

 

「ああ、そうだ………僕は天狗なんかじゃあないし、人間でも、妖怪でも………神でもない。僕は………イレギュラー、八意 晴、転生者だ!!」

 

闇が、妖怪を切り裂いた。何が起こったのかわからなかった。

 

「か………あ?」

 

ただ、わかっているのは………彼が妖怪を倒した。それだけだ。

 

「さて、と………意識はあるみたいだね。この辺りに川か何かあればいいけど………ん?」

 

いつの間にか近くにいた彼の足をボロボロになった腕で私は掴んでいた。

何を言うんだったか。どうすればいいのか。いろいろなことが頭を巡っていたけど………これだけは言わなきゃならない。

 

「……あ………り…………が……………と…………………」

 

「ん………どういたしまして」

 

そういって微笑み返してくれた彼の顔は、凛々しく見えるけど、ところどころに幼さの残る………かっこいい少年の顔だった。

 

 




視点を途中で変えてみました。謎の少女の正体は如何に。
先に言っておきますとハーレムものにはならないですよこの作品。

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