学校へ着き、教室へ行く。
いつも通りの動き。
ただ一つ、違うものがあった。
ヒソヒソ、と。ニヤニヤ、と。
奇異なものでも見るような眼で。
すると、そんな俺に近付く影が。
「おい、慎哉。あの噂、本当か?」
あの噂………、そう言われても何もわからない。
「何のことだ?」
「あ、知らなかったのか?」
知らないも何も、俺には回ってこないだろ?どうせ俺に関することなんだろうし。
「どんな噂だ?」
「えっとだな、お前がササガワに稔原さんを寝取られた、っていう噂なんだが………」
………………はぁ。くだらない。そもそもあいつと付き合ってたわけでもない俺が、どうしたら寝取られるんだよ。
「付き合ってもない女をどう寝取ると?」
「えっ!?付き合ってなかったのかよ!!?」
「逆に俺があいつと付き合ってると思ってた理由を知りたい」
俺があいつと釣り合うわけがない。
今更だが、あいつは美少女中の美少女だ。
「あいつは中学の頃に一日で最高243通のラブレターを貰った伝説があるんだぜ?俺なんか精々121通だよ、はぁ………」
「それでもかなり伝説だよ!!」
俺はそこそこ見た目には自信がある。
いや、断じてナルシストとかではなくて。兄さんは超絶イケメンで妹は超絶美少女。真ん中の俺もそこそこ顔はいい方だと思いたいしな。
「けど、相手があのササガワだ」
「まぁ、『聖剣』適性度90%だもんな」
「それに学年一のさわやか君だ」
実際、顔だけなら負ける気はしない。
ただ、『聖剣』が扱えるかどうかの差で、俺は実悠と釣り合えない。
「そうだなぁ、なんでお前は『聖剣』が使えないんだ?」
うーん、とうなる友人。紹介が遅れたけどこいつは友人の
「知るか、知らないから使えないんだろ」
「魔法はすごいのになぁ~」
けれど、悩んでも仕方がない。と、そんな話をしていたら朝のHRの時間になった。
しかし、いつまで経っても担任の教師が来ない。
何かあったのだろうか、とクラスの奴らが騒いでいると、緊急校内放送が流れてきた。
そして、その内容は─────
『緊急放送です、生徒の皆さんは静かに耳を傾けてください。 緊急放送です、生徒の皆さんは静かに耳を傾けてください。この地域に未所属の聖剣所持者の集団が現れました。教師の誘導に従って適性度80%以上の生徒は校庭に、それ以外の生徒は体育館下のシェルターに避難してください、繰り返します!……… 』
なんだと………、まさか兄さんの言ってたことは、本当のことだったのか!?
だとしたら実悠が!!………………いや、ササガワがいるじゃないか。
『聖剣』も持っていない俺の出る幕はない。
「おい、慎哉!早くシェルターに行くぞ!」
「あ、あぁ。わかってる、わかってるさ」
結局、俺はどう足掻こうと『聖剣』を持っていない。あいつを、実悠を守る資格は………、ないんだ。
一日に三話も投稿しましたね。
書き溜めなんて物はないのでつかれました。
これからも一日に二話くらいのペースでやっていけたらな(遠い目)