翌日、学校へ登校しようと家を出ると、塀の外でとある人物が待っていた。
「………………朝から何か用ですか?」
「お、おはよう………。一緒に、学校行こ………………?」
何この可愛い生き物。あれ?ここにいるのってシルヴィオン先輩だよね?
まじで、何でここにいんの?
どうしてこんなにもじもじしてんの?
「………………嫌?」
驚きのあまり言葉がでなくて、それを拒否されたと思ったシルヴィオンが助けを求める小動物のような目でこちらをみていた。
「あっ!いや、別にそれくらい大丈夫っすよっ?」
思わず疑問系になる。
別に、一緒に登校するぐらい、断る理由もないので構わない。
だから了承すると、おもちゃを買ってもらった子供のように顔がパァッ、と明るくなるシルヴィオン。
「よしっ………!」
何か小声で言った気がするが、特に気にしないでおこう。
しかし、ここで一つ問題が発覚する。
「あぁ、先輩?」
一緒に登校はするが、と、あることを伝えようとすると、隣の家から一人の少女が出てきてこちらに突っ込んできた。
「おはよー、で、何でこの人がいるの?」
「あのぉ、先輩?実悠も一緒に行くんすけど………………」
そう、実悠だ。家が隣なので、毎朝一緒に登校している。
すると、実悠の存在に気付いたシルヴィオンの顔が、みるみる不機嫌なものになっていく。
「どうして、貴様が?」
「それはこっちのセリフです。私は慎哉と
一緒に、の部分をやけに強調してシルヴィオンに対してそう言った。
それに対しシルヴィオンは、勝ち気な表情になっていた。
「ふっ、残念だな。今日からは私が一緒に、登校するんだ。誰にも文句は言わせん。無論、慎哉にもな」
やはり、昨日のアレがひいてるのか?
これは一発、尊先生に物申さなければならない。
「何でそうなるんですか!」
「何でも何も、慎哉は責任をとって私と結婚するんだ。夫婦が一緒に登校するのは当然だろう?」
あちゃー、やっぱり俺の読みは当たってたかー。
「ちょっと、慎哉!これどういうこと!?」
「そう言われても、俺もイマイチさっぱりなんだよ………。先輩が勝手に言ってることだしな」
はぁ、とため息をつくとシルヴィオンが近付いてきた。
何かされるのでは?と身構えるが、何もこない。
「先輩じゃなくて、呼び捨てして!」
そういえば、昨日もそんなこと言われたなぁ、なんて思い出していたら、実悠も近付いてきた。
「昨日は仲良くないって言ったじゃん!」
あぁ、もう!どうしたらいいんだよ!
どうにもできなくなって困っていると、俺の家のドアが開いた。
「おい、そんなにのんびりしてていいのか?遅刻するぞ?」
出てきたのは兄さんで、そう言われ時計を見ると、今から走って遅刻ぎりぎりだった。
「ヤベェ!急ぐぞ!!」
「あっ、ちょっと待ちなさい!」
「待て!私をおいていくな!!」
走って学校へ向かう三人を見送った和騎は、ため息をはく。
「あれで本当に、世界を護っていく存在になれるのかね………?あ、あとうちの家計ってやっぱり謎のフラグをたてるのな………、はぁ」