今年も宜しく御願いします。
保健室。そこは怪我をした人が簡単な治療をしたり、体調を崩した人が休憩したりする場所である。
現在、俺は冷たい床の上で土下座させられている。
理由は簡単、お姫様抱っこでシルヴィオンを運んでいる最中に、彼女が目を覚ましたからである。
「すんませんっしたっ!」
「誠意が感じられん!」
ナナバ先生に頼まれたということを伝えるも、信じて貰えずにこの結果である。
しかし、ここで救世主が出現する。
「あら?どうして慎哉君は土下座しているのかしら………………」
彼女はこの学校の保険医である、
「セクハラされたんです」
尊先生に対し、間違った情報を渡すシルヴィオン。
そこまでして俺を嫌っているのか、軽く凹むぞ。
そして、この先生はとても騙されやすいので信じてしまう。
つまり………………………、
「あらあら、うふふ。セクハラは犯罪よ?責任、責任とって彼女と結婚しなきゃね、うふふふ」
誰情報だ。むしろ責任とって捕まるべきだろ………………。
先生の勘違いを正そうとすると、声を荒げてシルヴィオンが怒鳴る。
「なっ!何故そうなるっ!この男と?………………ハッ!!何を考えてるの私ったら!!………でも、きゃっ!」
あり?怒鳴ってると思ったら突然ピンク色の声をあげる。
そして、頬は朱く染まりきっている。
「あのぉ、シルヴィオン先輩?一体全体、何を考えていらっしゃるので?」
「先輩だなんて、呼び捨てでいいの!私たちの中でしょ?」
な、なんだ?この豹変ぶりは………。
先生は先生で、あらあらうふふ、とかずっと言ってるし………。
「えっと、俺を殺すんじゃ?」
「あぁ、それね。そんなこと考えてた私を殺してやりたいくらいね。こんな人を殺すなんて………、きゃー!」
あれれれれれ?おかしいなー、別人じゃないか?
これなんてエ□ゲ?
隠しきれてないですね、ごめんなさい。
「と、取り敢えず!俺、戻りますんで!」
なんとか保健室から逃げ出すと、外で実悠待っていた。
「なーんか、仲良さそうだった」
何をふてくされてんでしょうか、この娘は。
しかも仲良さそうだぁ?
「そう見えるなら、実悠の目は飾りってことだろ?」
「私の目って飾りだったの!?」
なんだこいつ。あっ、ただのアホの娘か!なるほどなるほど。
一人で勝手に想像して、納得までしていると、俺の考えたことがわかったのか、実悠がぷんすこしていた。
「今失礼なこと考えてたでしょ!」
「あぁん?別にぃ、本当のこと考えてただけなんでぇ」
万人が見聞きして、万人がムカつくような喋り方で返す俺。
「本当にムカつく!おばさんに言いつけてやる!」
「俺も、お前が母さんのことをおばさんって呼んだこと、言っといてやるよ」
「ひゃぁ!ごめんなさい!それだけはやめて!!」
実悠は俺の母さんに、とあるトラウマを抱えさせられている。
まぁ、ここで話すようなことではないが。
そんなことを話ながら、実悠と家路につく。
「はぁ、こないだまでの平和が懐かしいよ………………」