魔剣伝説   作:夢雨麻

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新年、明けましておめでとうございます。
今年も宜しく御願いします。


第十二振

 保健室。そこは怪我をした人が簡単な治療をしたり、体調を崩した人が休憩したりする場所である。

 現在、俺は冷たい床の上で土下座させられている。

 理由は簡単、お姫様抱っこでシルヴィオンを運んでいる最中に、彼女が目を覚ましたからである。

 

「すんませんっしたっ!」

 

「誠意が感じられん!」

 

 ナナバ先生に頼まれたということを伝えるも、信じて貰えずにこの結果である。

 しかし、ここで救世主が出現する。

 

「あら?どうして慎哉君は土下座しているのかしら………………」

 

 彼女はこの学校の保険医である、雪華尊(ゆきはなみこと)先生だ。

 

「セクハラされたんです」

 

 尊先生に対し、間違った情報を渡すシルヴィオン。

 そこまでして俺を嫌っているのか、軽く凹むぞ。

 そして、この先生はとても騙されやすいので信じてしまう。

 つまり………………………、

 

「あらあら、うふふ。セクハラは犯罪よ?責任、責任とって彼女と結婚しなきゃね、うふふふ」

 

 誰情報だ。むしろ責任とって捕まるべきだろ………………。

 先生の勘違いを正そうとすると、声を荒げてシルヴィオンが怒鳴る。

 

「なっ!何故そうなるっ!この男と?………………ハッ!!何を考えてるの私ったら!!………でも、きゃっ!」

 

 あり?怒鳴ってると思ったら突然ピンク色の声をあげる。

 そして、頬は朱く染まりきっている。

 

「あのぉ、シルヴィオン先輩?一体全体、何を考えていらっしゃるので?」

 

「先輩だなんて、呼び捨てでいいの!私たちの中でしょ?」

 

 な、なんだ?この豹変ぶりは………。

 先生は先生で、あらあらうふふ、とかずっと言ってるし………。

 

「えっと、俺を殺すんじゃ?」

 

「あぁ、それね。そんなこと考えてた私を殺してやりたいくらいね。こんな人を殺すなんて………、きゃー!」

 

 あれれれれれ?おかしいなー、別人じゃないか?

 これなんてエ□ゲ?

 隠しきれてないですね、ごめんなさい。

 

「と、取り敢えず!俺、戻りますんで!」

 

 なんとか保健室から逃げ出すと、外で実悠待っていた。

 

「なーんか、仲良さそうだった」

 

 何をふてくされてんでしょうか、この娘は。

 しかも仲良さそうだぁ?

 

「そう見えるなら、実悠の目は飾りってことだろ?」

 

「私の目って飾りだったの!?」

 

 なんだこいつ。あっ、ただのアホの娘か!なるほどなるほど。

 一人で勝手に想像して、納得までしていると、俺の考えたことがわかったのか、実悠がぷんすこしていた。

 

「今失礼なこと考えてたでしょ!」

 

「あぁん?別にぃ、本当のこと考えてただけなんでぇ」

 

 万人が見聞きして、万人がムカつくような喋り方で返す俺。

 

「本当にムカつく!おばさんに言いつけてやる!」

 

「俺も、お前が母さんのことをおばさんって呼んだこと、言っといてやるよ」

 

「ひゃぁ!ごめんなさい!それだけはやめて!!」

 

 実悠は俺の母さんに、とあるトラウマを抱えさせられている。

 まぁ、ここで話すようなことではないが。

 そんなことを話ながら、実悠と家路につく。

 

「はぁ、こないだまでの平和が懐かしいよ………………」


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