魔剣伝説   作:夢雨麻

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第十一振

 空間が震える。空気が悲鳴を上げる。物質が破壊されていく。

 聖剣『エクスカリバー』は、その姿形を変えていく。

 そして、凍てつくほどの聖光が止んだとき、聖王剣『コールブランド』が顕現する。

 

「この剣はあらゆる魔を屠った、聖なる剣。貴様の魔剣も我が『コールブランド』の前では鉄屑に過ぎん………」

 

 気のせいだろうか、性格も変わっている気がする。

 その力を使うための代償は強大であるのだろう。

 考えていると、シルヴィオンは剣を構える。

 

「さぁ、これで終わりにしよう。貴様の命、頂くぞ?」

 

 マズい、なにがというのはわからないが、この場に止まっていたり、あの攻撃を受けるのは危険すぎる。

 圧倒的オーラを放ちながら、突進してきたシルヴィオンに対し、跳ぶことでその攻撃を避ける。

 そして、隙のできた背に攻撃を加える。

 はずだったが、そこにシルヴィオンの姿はなかった。

 

「なッ!?」

 

 どこに、それを言う間もなく弾き飛ばされる。

 しかし、それは斬撃ではなく鈍い打撃であった。

 

 

「………………ふむ、流石にそれは見逃せません」

 

 

 シルヴィオンの攻撃を、当然であるかのように受け止めている。

 それは、俺のクラスの担任の先生、ナナバ先生だった。

 

「邪魔をするな、貴様も殺すぞ?」

 

 理性という箍が外れているようなシルヴィオンは、ナナバ先生に追撃しようとする。が、それを流されて首筋に手刀を入れられる。

 途端に意識を失うシルヴィオン。

 そして、駆け寄る実悠。その後をビクビクと歩いてくる雅。

 

「慎哉君、怪我はありませんか?」

 

「は、はい」

 

 一体全体、この先生は何者なのだろうか。

 そんな疑問を持ったが、それよりも先に確認すべきことがあった。

 

「あの、先輩は大丈夫なんですか?」

 

 そう問うと、先生は驚きの表情を露わにしていた。

 

「先程まで貴方を殺そうとしていた娘を心配してあげるなんて、先生は慎哉君の将来が心配です。でも、やさしいんですね!」

 

 ほんわか笑顔の先生に褒められて、疲れがすべてどこかにとんでいったような気分になる。

 とりあえず、無事でも何でも保健室に連れて行こうとするが、運び方で悩んでしまう。

 

「保健室へ連れて行くべき何ですが、先生は忙しいし実悠さんは女の子。雅君からは変なオーラを感じるので、慎哉君に任せますね!」

 

 それでは、と去っていくナナバ先生。

 嫌な予感がする。何故、俺が運ぶのか。

 なんだ、雅からの変なオーラって。

 なんだ、実悠は女の子だからって。

 しかし、俺は考えることを放棄し、俗に言う『お姫様抱っこ』でシルヴィオンを運ぶことにした。


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