何がいいたいかと言うと、申し訳御座いません。
シルヴィオンが、剣を一振りするたびに空気が斬れる。生身に受けたら一溜まりもない。
そもそも、西洋剣というのは「斬る」のではなく「叩き潰す」ことで、相手にダメージを与えるはずである。
当然のように、普通の『聖剣』では「斬る」ことはできない。
しかし、"名前付き"となると、下手をすれば触れるだけで斬れるほど、研磨されているモノもある。
その一つが、実悠の持っている聖剣『アロンダイト』。
そして、シルヴィオンの持つ聖剣『エクスカリバー』もそれに属している。
「お、おいっ!危ねぇ!」
「殺すつもりなんだ。『危ない』ではすまさん!」
この通り、本気で殺る気ですよこの少女。
自分と数㎝しか背の違いがないシルヴィオンを少女で表現するのは些か気が引ける慎哉。
しかし、そんなくだらないことを考えている暇はない。
シルヴィオンの攻撃を避けつつも、こちらも攻撃を加える。先程から自分の攻撃はいっさい当たらないが、シルヴィオンの攻撃は徐々に慎哉の服を切り刻んでいく。
「くッ!!」
段々と追い詰められる慎哉。
ただただ、無表情で攻撃を加えてくるシルヴィオン。
慎哉の顔に苦渋の表情が浮かび始める。
「だァ!全然当たらねェ!!」
隙を見て攻撃をしているつもりが、まるで第三の眼があるかのように紙一重で避けられる。
そして、見事に慎哉の死角から攻めてくる。
「あれじゃ勝てないわよ、全く」
ぽつり、と声を発したのは実悠だ。
「なんでですか?」
実悠に対し問いかけるのは雅。
「"名前付き"の『聖剣』所持者っていうのはね、常人は持たない感覚、所謂第六感が芽生えるのよ」
その問いに対する解を述べる実悠。
「つまり、勘が鋭くなる、ってとこですか?」
「そうね、簡単に言えばそうなるわ」
更に問いかけてきた雅に対し解を返した実悠。
その表情は険しいものだった。
彼女、シルヴィオン・アーサーの狙いは奥斑慎哉の死である。最強の『聖剣』を扱う彼女に、素人の自分と慎哉が勝てるわけがない。
慎哉が抵抗できなくなったところで、シルヴィオンは慎哉のことを殺すかもしれない。
そう考えると居ても立ってもいられない。
「大丈夫だと思う」
突然、隣にいた雅が実悠に対して喋った。
「なんつーか、あいつはこんなことじゃ死なないと思うよ」
根拠のないことを言う雅に対し、何を言っていると糾弾したい気持ちを抑えつつ、勝負の行方を見守る。
「ふっ、『魔剣』も所詮その程度か。どうやら無駄足だったようだ。楽に殺してやる」
「殺されてたまるかってんだ!!」
「
何かを詠唱したかと思ったら、突如聖剣『エクスカリバー』が眩い光に包まれる。
遠くから見ていた他の生徒や教師も何事かとこちらを見ている。
そして一言、彼女はこう叫ぶ。
「魔を裁け、聖王剣『コールブランド』!!!!」