─────奥斑慎哉を抹殺すること。
転校してきた彼女─────シルヴィオン・アーサーが、全校生徒の前で言い放った言葉。
そんな彼女から逃げる生活を始めてから、はや一週間。創部間もない『聖神部』の活動もままならない状況で、一筋の光明が見えた。
それは、ナナバ先生。
彼女がこの学校に訪れた理由の一つでもある。
「こら、アーサーさん。廊下を走ってはいけません!」
そう先生が注意する。
しかし、
(`・ω・´)
の様な表情で言われても怖くない。
ただ、とてつもないほどに可愛いので、争う気もなくなってしまう。
そもそも、注意している点が俺への攻撃ではなく、廊下を走っていることなのは、かなりブロークンハートだったりする。
「アンタもホント、災難よねー」
ハァ、とため息まで付いてるのは幼馴染の稔原実悠。先日の事件の際に、寝取られ疑惑が出たが、全くの出鱈目。
事件後に実悠自身が嘘だと言ったため、その件は収束した。
それと、ササガワのことについて。
アイツは俺の
話は戻るが、俺が『魔剣』を手にしたことによって、様々な人間に狙われるようになった。
それを防衛するための組織が、『聖神部』であり、メンバーは今のところ俺、実悠、雅、そしてシルヴィオン。顧問教諭は、ナナバ先生だ。
雅というのは、中学の頃からの友人で、俺は親友だと思っている。
しかし、活動もまともにできないため、防衛も何もなく既に二回ほど襲撃を受けている。
けれど、常に俺を追っている聖剣『エクスカリバー』の使い手、シルヴィオン。そして魔剣『バルムンク』の使い手である俺に対抗できる奴は見たことがない。
二回の襲撃は、両方とも撃退している。
そんなことを考えていると、部室の近くまで来ていたようだ。
部室の確認がてら、休憩をしようとする。
「ほう、私に追われながら優雅にお茶を飲むか………」
「少し休憩しません?」
ガラッ、と勢いよく部室のドアを開けて入ってくるシルヴィオンに、茶を勧める。しかし、
「魔の使い手と飲む茶など、茶ではない」
じゃあなんなんだよ、とツッコミたい気持ちを抑え再び話しかける。
「ほら、あれっすよ!俺らがこんなとこで争ったら、皆消し飛びますよ!?」
と、よく考えたら有り得なくもないことを述べてみると、
「ふむ、それもそうだな。よし、わかった。一旦休憩をとり、その後校庭で死合だ」
◇◆◇◆◇
なんとか延長はしたものの、殺し合いをすることに変わりはないらしい。現に、校庭に出た瞬間から殺気を全身から放っている。
「さっさと始めよう。余り気は長くないんだ」
そう言われ、渋々剣を顕現させる。
「俺は殺し合いなんてしたくないんすけど?」
と、言ってみるが、
「私とて人殺しはしたくない。ただ、お前を殺すのは仕方ないことだ」
何とも理不尽である。ただ、一つ言えることは、
「俺だってね、持ちたくて『魔剣』を持ってるんじゃない。普通の『聖剣』がよかったんだよ!!」