プロローグ
茹だるような夏の暑さ。
絶賛真夏日であるここ、第三東都区。
俺たちの住む世界では高校入学と共に『聖剣』を手に入れる。
都市伝説にあるような、所謂「ヤンキー」なんて奴はいない。
高校に入れない=聖剣を所持する権利はないからだ。
そんなの小学校の時から言われてるし、中学校の教師や親にとって生徒(子供)が高校に入れないのは自分の名前に傷が付く。
だから、徹底した処置がとられていた。
昨日まで金髪に染めて「やんきーぶってる」奴が、次の日に黒に戻し頭を丸めることも多々あった。そういえば、あのときの山田君は今でも元気にやってるかな?
つまるところ、世界中のほぼ全ての人間が『聖剣』を持っている─────
─────ばすなのだが、
「まぁ~たお前か!」
そう、誰でも高校入学すれば手に入れるはずの『聖剣』をこの俺─────
─────奥斑慎哉は持っていない。
◇◆◇◆◇
「何故?どうして?Why?」
「そんなに聞かれてもわかんないです よ!」
「普通ならこの
この剣石を持つことによって
そのはずなのに、俺は未だに『聖剣』を手に入れられてない。
「俺も
「んなわけあるか!同じ学校の同じ学年に二人も特異者が現れてみろ、うちの学校が世界中に注目されるぞ!?」
「アハハ、はぁ。じゃあなんで俺には『聖剣』が?」
「うぅむ、何度もこの生徒指導室に来てはいるが未だに解明しないんだよなぁ」
何故、俺用の『聖剣』が現れないのかはわかっていない。
特異者というのは剣石を持ったとき、身体の中にある波動に石が耐えられず割れてしまう事象を引き起こす者のことである。
特異者は"名前付き"の『聖剣』を顕現させることができる。そして、この学校の同い年に一人、特異者がいる。
そいつの名前は、
「おーい、アンタまだ『聖剣』出ないの?」
今目の前にいる少女こそ、この学校の特異者にして俺の幼馴染、稔原実悠である。
「うっさい!」
「なによ、心配してあげてんのよ?」
なにが心配か、ならそのニヤケ面をやめなさい。
「馬鹿にしにきた、の間違いだろ?」
「あ、バレた?」
なんだとこの野郎。
しかし言い返せないのも事実。
「そうだ、稔原よ」
「なんですか?」
「お前が奥斑を手伝ってやれ」
今なんと言ったか、この教師。
まぁ、実悠がYESと答えるわけもないだろうしな。
「なにいってるんすか「お前は次に、実悠は忙しいから無理っすよ!と言う………」実悠は忙しいから無理っすよ!………………ハッ!」
「にひひ、一回やってみたかったんだよねぇ、これ」
なん、だと…?
まずい、このままだと………。
「この後暇なので構いませんよ、」
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!!」
どうでしたか?
ぜひ感想をください。
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