私立駒王学園、近辺の私立では最も設備が整っている事で有名な学校である。また、ここの特徴としてつい数年前に共学になったばかりであるため女子の割合が大きく、女子の意見が強いという物があった。
そんな学園の中庭で一人の少年が寝そべっている。腕は空へ伸ばしており、両手は何やらワキワキと動かしていた。
「あ~、おっぱい揉みてぇなぁ」
おっす!俺は兵藤一誠。ちょっと女の子のおっぱいが好きな高校二年生だ。おい!そこ!変態っていうな!ただでさえ学校で変態三人衆って言われてんだぞ!あ、ちなみにあと二人は松田と元浜だ。二人ともそれぞれ『セクハラパパラッチ』、『スリーサイズカウンター』という恐るべき異名を持つ猛者であり、俺の心の友でもある。
学校の女子は俺達を嫌悪してるけど俺は胸を張っておっぱいが大好きだって言うね、胸だけに。大体、男なんてみんなエッチな事で頭がいっぱいなんだよ。彼氏持ちの女子ども!お前らの彼氏だってきっとおっぱいのことばっか考えてると思うぞ。いや、そうに違いない!絶対そうだ!
「おーい!イッセー、素晴らしい覗きスポットを発見したぞ。松田が待ってるからさっそく覗きに行こうぜ!」
あの周りに人が居たら通報されるであろうセリフをはきながらこっちに向かって来る坊主頭は松田だ。その目はまるで宝物を見つけた様に輝いている。ふぅ、全く覗きだなんて。俺がそんな犯罪めいたことをするはずが……
「何だと!こんな事してる場合じゃねえ!早く案内しろ、松田ァ!」
あるんだな~、これが。だって覗きスポットだぞ!そんな場所があるのに行かないのは男じゃねぇだろ!それに松田が素晴らしいっていうレベルだ。これは期待できるぞ。ぐふふ~、おっぱい達が俺を待ってるぜ!
だけど松田に案内されて着いた場所はただの倉庫だった。
「おい、松田、元浜。ここのどこが覗きスポット何だよ」
「ふっふっふ、そう焦るなイッセー。倉庫の周りを良く見ろ」
「なっ!こ、ここはまさか!」
「そうだ。この倉庫は女子剣道部の部室と隣合わせになっている」
俺は全身が雷に打たれたような気がした。素晴らしい!まさに目から鱗だ!なんでいままで気づかなかったんだ。学校にこんな覗きスポットが存在していたなんて!
「うおぉぉぉ!!!よっしゃあ!それじゃあさっそく覗こうぜ!」
「まて、イッセー。ここの覗き穴はそこまで大きくない。だからこのスポットを見つけた俺らが最初だ。お前は後」
「まぁしょうがないか。早くしてくれよ!」
うー、そう言われたら黙るしかない。ここを先に見つけたのは松田達だもんな。
松田が僅かに空いている穴を覗き始めた。ちくしょう、顔がニヤついてるのが丸わかりだぜ。
「かぁぁ!片瀬いい足してんなぁ!」
「うおお!村山の胸、マジでけえ!」
何だと!村山はうちのクラスでもかなりおっぱいが大きい女子だ。壁の向こうにはあのおっぱいがあるのか!俺だって目を付けてたんだぞ!
「二人とも早く変わってくれ!」
「待て!もうちょっと、もうちょっとだけ!」
くそ~、二人ともなかなか穴から離れねぇ。早く退いてくんないと剣道部の着替えが終わっちまう!
「……何か聞こえない?」
やばっ!気づかれたか?
「みんな!隣の倉庫から覗いてる奴がいるよ!」
「やべぇ!ばれた!」
ちょっと騒ぎ過ぎたせいか剣道部に覗いてることがばれちまった!俺まだ覗いてないのに~!
「あっ!変態三人衆がいるわ!きっとこいつ等よ!」
「おい!逃げるぞ!」
『逃がすかゴラァァァ!!!』
ひゃ~!剣道部の女子が竹刀持って追いかけてくるよ!完全に女子の出す声じゃないし!目も血走ってるぞ!あれ?俺今回なんも悪いことしてなくね?
「まずいっ!このままだと追いつかれるぞ!奴ら尋常じゃない!」
「くそ!こうなったら……」
「お、おい!なんで俺の方むくんだ!」
まさかそんなことしないよな?俺たち親友だもんな?
「さらば相棒!俺たちのために死んでくれ!」
「イッセー!お前の勇姿は忘れん!」
「ちょっ!お前等ふざけん……グフっ!」
嘘だろ!あの野郎ども!俺を置いて逃げやがった!何が相棒だよ!
松田にタックルされた俺は体制を崩してその場で転んだ。すぐ後ろには剣道部の追手が迫ってきている。もはや逃げたす時間も無く俺は取り囲まれた。あぁ、皆さん完全にキレていらっしゃる……
「あの~、俺は覗いてないなんて言い訳通用したりは……」
『するはずないでしょ!!!』
「ですよね~」
『天誅!』
「ギャァァァァァァアア!!!」
松田…… 元浜…… てめえ等……絶対にゆるさねぇ……ぞ……
♢
「う~、身体中が痛い……」
ちくしょう、あいつ等散々人の事竹刀で叩いてくれやがって。木刀でなかっただけましと思うべきか…… 大体俺は今回何もしてねぇっつーの!日頃の行いのせいでまるで信じて貰えなかったけどな!
「ふふ、相変わらず欲望に忠実な男だ」
「く、クロウ先輩!」
急に話しかけられたから誰かと思えば何時の間にか三年のアレイ・クロウ先輩が立っていた。アレイ・クロウ、名前から分かるとおりこの人は外国人でありハイパーイケメンだ。同学年にも木場っていうイケメンがいるけどこの人はそいつとは違う。具体的に何が違うって言われると困るんだけど、こう何か違うんだよな。木場が女子に囲まれてチヤホヤされてるのを見ると頭カチ割ってやろうかと思うけど、この人に対してはそんな事は思わない。そもそもクロウ先輩は女子に囲まれるということがない。駒王学園二大お姉さまの一人、姫島先輩がいつも一緒にいるというのもあるけどこの人の前に立つと自分がとってもちっぽけな存在に感じるんだ。なんかこう、オーラみたいな物を感じて、エッチな事を考えるのも恥ずかしくなってくる。絶対普通じゃないよな、この人。
俺はこの人に何故かはわかんないけど気に入られたのか、こうして話しかけられることが多かった。
「間も無く時代は動き出す。それも貴公を中心としてだ。せいぜい死なんよう気をつけることだな、赤き龍の宿主よ」
それだけ言うとクロウ先輩は去っていった。
??? 時代?赤き龍?いつもよく分からない事を言う人だが今日はいつにもましてよく分からなかった。
♢
「ご主人様、先程の言葉は?」
「学内ではそれは辞めろと言ったはずだぞ朱乃」
「ッ!失礼しました」
放課後の学園の廊下を二人の生徒が歩いていた。一人は姫島朱乃、もう一人はアレイ・クロウだ。もちろんアレイ・クロウというのはアレイスターが駒王学園へ潜入する為の偽名である。朱乃がスパイとしてリアス・グレモリーの眷属になって数年後、赤龍帝の篭手の反応が感知された。そして偶然その反応があったのはリアス・グレモリーの縄張りであった。
二天龍は争いを引きつける。暇を持て余していたアレイスターは確実にこの先、何かが起こると思い駒王学園へと潜入していたのだ。
「そう遠くないうちに、あれは目覚めるであろう。人間のまま生き抜くか、それとも人外へと転生するか…… ふふ、楽しみだ」
「アレイ君が楽しそうで何よりですわ。さて、それでは私は今日もリアスの所へ行ってきますわね」
「ああ、今日の夕食はもつ鍋だ。あまり遅くならん様にな」
「あら!それは楽しみですわ」
辺りに他の生徒の姿はない。アレイスターと朱乃の笑い声だけが廊下に響き渡るのだった。
こっからすこし更新ペースが落ちます
1~2週間ぐらいで更新できるといいなぁ