現在、次元の狭間とやらに2人と1体と1匹で来ている。
あんまり母さんやジェノバさんやオーフィスちゃんと離れると即死するらしい。
なにそれこわい。
そういえば母さんは悪魔という種族らしい。
あんなマトモな母さんが悪魔なら天使とは一体………うごごごご。
え? 教会で槍ぶん投げて来る奴ら?
嘘だろ。天使があんなバイオレンスな奴らだったら世も末だろ。
え? 三勢力の大戦争が昔あった? 世も末なのか…。
ちなみに話は変わるが、右はオーフィスちゃん左は母さんに手を握られている。
………無茶苦茶動きずらいのだが…。
「ダメ。シンラいなくなったら、我、居場所ない」
さいですか…。
ちなみにジェノバさんは相変わらずのニコニコ笑顔を張り付けながらそんな私を時々前から見ている。
パーティー編成的にはこうだろう。
前列:ジェノバさん
後列:オーフィスちゃん
後列:私
後列:母さん
私の使い物にならなさが半端ない。
なぜいるんだし…。
『それはシンラさんがいると私たちというか特に私に支援効果を発揮するんですよ。全能力400%ぐらい』
凄まじい支援効果ですね…。
それはそうと次元の狭間とは思っていた場所と随分違うのだなと私は呟いた。
今、歩いている場所は白く煤けた青銅のような宙に浮かぶ足場を進んでいた。
さらに背景や下上の全てに白い霧のようなものが掛かっており、ここがどれ程広い空間なのか一切わからない。
ぶっちゃけ、FFⅩ-2のラスダン異界の深淵である。
うじゃうじゃと魔物が現れ、私たち一行の前に立ち塞がり続けた。
高いHPの割には旨みの薄く逃げる推奨の巨大な蟯虫のような魔物、アースウォーム。
頑強な甲羅と鋭い爪を持つ巨大な灰紫色の亀のような魔物、アダマントータス。
特に強くない、オメガウェポン。
高いカウンター性能の割に低いHPのせいで空気な4本腕の巨人の魔物、ガグ。
物理で殴る戦法を取ると特に苦もなく勝てるダークエレメンタル。一匹家のインテリアに欲しいところだ。
MPが悲鳴を上げる赤い犬っころ、ティンダロス。
FF名物ボムの上位種、ボルケーノ。
同じくFF名物モルボルの上位種、モルボルグレート。
魔法オール吸収というアホみたいな性能とやたらに高い物理攻撃で苦しめられた灰色のトカゲっぽいドラゴンの魔物、ルブルムドラゴン。というかルブルムドラゴン。貴様は許さん。
これは明らかにラスダンのハズだな…。
たとえ、ジェノバさんが指を振れば斬魔刀よろしく空間ごと魔物が割れたり。
オーフィスちゃんが指から黒いビームを放つと魔物が木っ端微塵に吹き飛んだり。
母さんが魔法を唱えて使うディープフリーズとかメルトダウンで魔物が1発か2,3発で酷い死に方をしたり。
母さんって何の職業なんだ…。
え? 暗黒魔導士? いや、ジョブでは無くてだな…。
だとしてもラスダンのハズだ…なんだこのヌルゲー。
というかよくエンカウントするオメガウェポンの死に演出が長く邪魔で仕方ない。
それを聞いてかどうかオーフィスちゃんは話し始めた。
「次元の狭間、始め、何もない空間だった。でも"死を超越するもの"が次元の狭間に来て変わった。死を超越するもの、たくさんの異世界、他の世界の一部を次元の狭間に同化させた。次元の狭間はたくさんの異世界が連なる異界の1つになった。ここもその1つ。そのせいで色々来た。昔の静寂、もうどこにもない」
オ、オーフィスちゃんが長文だと…。
『素晴らしい』
ジェノバさんが小さく拍手しながら言った。
『ですがそれには間違えがあります。異世界と異世界を繋ぐ技術ではなく、遠い星と星を繋ぐ技術ですよ。それさえあれば面倒な宇宙移動の必要も最小限で抑えられる。なんと素晴らしい事でしょう!』
ジェノバさん大歓喜。
え? なに母さん? もっとオーフィスちゃんに色々聞いて欲しい? カオスブリゲート?
うーん、了解。
「かおすぶりげーと?」
オーフィスちゃんに聞くと首を傾げた。
「我、知らない」
え? なに母さん? そんなハズはない?
うーん、了解。
「我、本当に知らない」
………………ふむ、ならオーフィスちゃん。最近変わったことは無かったか?
「ん」
そう言うとオーフィスちゃんはビシッと私を指差した。
…いや、私では無くてだな。
オーフィスちゃんは指を唇に当てて上を向いた。
「あ」
オーフィスちゃんの頭に電球が灯ったように感じた。
「少し前、次元の狭間の魔物を減らす協力をしてくれると言ってきた。その時、かおすぶりげーとって言ってた」
ほうほう、それで?
「蛇を500匹渡した」
「テロリストに何を渡しているんですか!?」
「次元の狭間の魔物、いっぱい、強い、大変。でも、手伝ってくれるって言ってた」
「純粋ですか!?」
母さんのノリ突っ込みが炸裂した。
母さんの右手のハリセンがふるふる震えている。
これは母さんが物理的にも突っ込みたいが必死で我慢する時の行動だ。
何だかんだで母さんもかなり変な人だ。
というか一体、そのハリセンはどこから出しているのだろうか?
ちなみにこの談話中も絶えずエンカウントする魔物共が虐殺される風景が続いております。
え? まだ聞きたい事がある? ヴェグナガン? 自分が聞けばいいと思うのだが…嫌ですかはいわかりました。
「ヴェグナガン?」
そうそう、ヴェグナガン。ソレはなんなんだ?
…まあ、私は知っているがな。
「ヴェグナガン、この異世界の一番奥にいたおっきな機械」
ふむ………………………ん? それだけ?
「ヴェグナガンとても強い。壊してもいつか復活する。その度に強くなる。もう我とグレートレッドでも勝てるかわからない」
「そんな怪物が…」
「ん、多分最凶最悪の…」
オーフィスちゃんはハッキリと呟いた。
「
九十九神《つくもがみ》とは、日本の民間信仰における観念で、長い年月を経て古くなったり、長く生きた依り代(道具や生き物や自然の物) に、神や霊魂などが宿ったものの総称で、荒ぶれば禍をもたらし、和ぎれば和ぎる幸をもたらすとされる。
九十九神…? スピラを一撃で葬り去る威力の?
なにそれこわい。
「次元の狭間、我より強いのたくさんいる」
ん?具体的に何体ぐらい? いや、だから母さん。オーフィスちゃんは良い娘なんだから普通に聞け…嫌ですかはい、わかりましたよ。
「ブラキオレイドス、プロトバブイル、オメガ、カイザードラゴン、オメガウェポン…」
ん? ち、ちょっと待て! そいつらFF歴代の鬼畜裏ボス共なんじゃ…。
「すべてを超えし者、オズマ、デア・リヒター、アンラ=マンユ、聖天使アルテマ、戒律王ゾディアーク」
うわぁ…、次元の狭間…鬼畜のごった煮宗教みたいな場所だな。
「あと」
「"ヤズマット"」
それを聞いた瞬間、私の前世の記憶が呼び醒まされた。
ヤズマットとは5011万2256のFF最高の超絶HPを誇り、チート染みた回避無効などの性能と理不尽極まりない即死攻撃を持つFFⅩⅡの裏ボスである。
それは初見一周目のプレイ中、ヤズマットのHPを5%も削れずに殺されまくり、逃げてもHPが回復しないことに気が付き、2日以上掛けて90%ほどHPを削った時。
『ふふふ…もう少しで勝てる…』
未だ発狂モードを知らない純粋な頃の記憶だ。
『なに? リフレガ? それよりフルケアっと………………………………………は?』
1つ言えることは、その日からヤズマットがトラウマになり、それ以来2度と挑戦することは無かったということだ。
ヤズマット…本物の奴がいる…ヤズマット…ヤズマット………。
グ…………パァー!
「ライチ!? どうしたのですか! ライチ!」
「シンラ!? 嫌……死んじゃ嫌ぁぁぁぁ!!?」
『いや、大丈夫ですよ。気絶しただけですって』
そうして一行はいつの間にかアジ・ダハーカを瞬殺し、最深部への最後の道を進んだ。
ここでアンケート。
今回、オーフィスちゃんが上げたこの作品の次元の狭間に住まう裏ボス(ヴェグナガンを除く)共の中で…。
アンケートを取り票が多かった裏ボスを
合言葉は……"あなたのトラウマがヒロインになる!"
1人1体です。活動報告へどしどしご応募下さい。