今回はバルバトス無双はなし。
『貴様ら、こんな所で長々と何をしている?
鼠ように逃げおおせるか、この場で死ぬか、どちらか選べい!!』
『さらせぇい!! 術なんぞ使ってんじゃぬぇい!!』
『抜かせぃ!! 後退の二文字はぬぇい!!』
『選べぃ!!』
『来いよぉ……』
『くたばりやがれ!』
『ぶるぁぁ!!』
『まとめて殺してやる、だんざぁぁぁぁい!!!!!』
「うわあああああ!!!!!」
一夏はベットから跳ね起きる。
「はぁ…はぁ……
ゆ、夢か……」
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あれから、バルバトスの凶悪コンボを受けた一夏は一時間ほど立ってから保健室で目を覚ました、そしてセシリアと同じ状態に陥っており。
『あははははは』
と渇いた笑いを延々としていた。
やはり瞳にハイライトがなかった。
それはもうみんな心配した
途中でのほほんさんがセシリアを連れて来て一夏の隣に座らせ、『あははははは』『うふふふふふ』と笑う二人を眺めて、『大変だねぇ』とコメントしていた。
そこへ丁度やって来た千冬が取り敢えず、のほほんさんを叱り、一夏を見据え
『何をしている、さっさと正気に戻れ』
と、出席簿で一夏の頭を叩きつけた。
『ハッ!?俺は一体何を!?』
すると不思議なことにおかしくなっていた一夏が正気に戻り、瞳のハイライトも戻っていた。
織斑千冬、本当に何者か分からない女であった。
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朝から悪夢を見てネガティブな状態で教室へ入り席へ着いた一夏の耳に入ったのは転校生の話。
何でも2組に中国から転校生がくるらしい。
みんなキャイキャイと話ている。
バルバトスがいないから。
バルバトスはまだ教室に来ていない、だからこそこんな時だけは楽しく喋りたい。
ていうか何で真面目に教室に来るのか、IS乗らないのにISの授業を受けてどうするんだよ、と。
てかそもそも、あの光線とかは一体何なんだ……
「あら、わたくしの存在を今更ながらに危ぶんでの転入かしら?」
話を聞いたセシリアがやって来る。
おお、セシリア治ったのか
「うふふ」
ハイライトはないままだった……
千冬姉……なんでセシリアは治して上げなかったんだよ……
「どうかなさいまして? 一夏さん」
しかし、着実と元に戻りつつあるセシリアだった。
話は進み、クラス対抗戦は頑張れ一夏!というような話になり、一夏はふと思う。
「クラス代表……バルバトスでいいんじゃ「ダメ!!」え?」
一人の女子が口を挟む。
「ダメよ! クラス代表まであんなのになったら色々とまずい事になるよ!!」
その顔は必死そのものだった。
そんなに嫌か。
いや、嫌か。
「でもほら、専用機を持ってるのは今の所、一組と四組だけだから織斑くんでも大丈夫だよ!」
別の女子がそう言った瞬間
「---その情報、古いよ」
クラスの入り口から声が響く。
そこには髪をツインテールにした如何にもツンデレそうな女の子が立っていた。
「二組も専用機持ちが代表になったの、そう簡単には優勝できないから」
そう言った人物を見て一夏は驚く。
「鈴? お前鈴か?」
「そうよ、中国代表候補生、【鳳 鈴音】 今日は宣戦布告に来たってわけ」
ふっと小さく笑みを漏らす
「何格好付けてるんだ?すげえ似合わないぞ」
「んなっ……! 何てこと言うのよ、アンタは!」
一夏にからかわれ動揺する鈴。
---そして、奴がやって来る---
「おい」
「なによ……っ!?」
後ろから声をかけられ、それを声を荒げながら振り向く鈴、その顔が驚愕に染まる。
「邪魔だぁ」
そう、歩くチート、バルバトスが立っていた。
バルバトスの言葉に冷や汗を流しながら後退りし、道を開ける鈴。
鈴が男だったら、この時点でアウトだったろう。
そんな鈴をバルバトスはチラリと見て、興味を無くしたかのように席へと歩いて行った。
「だ、大丈夫か? 鈴」
一夏が心配し、声をかける
「な、なによ、アレ……」
「バルバトス・ゲーティアって言って二番目の男のIS操縦者らしい、ISに乗らねえけど」
「あ、アレが……」
信じられないといった表情でバルバトスを見る鈴。
「ま、まぁ、取り敢えず、今は教室に戻れよ」
「え、ええ、そうね
また、来るわ……」
そう言い、鈴は自分の教室へと歩いて行った。
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授業が終わり、学食へと向かった一夏達。
そこで見たものは……!
「ベリーメロォン!!!!」
何故かメロンを恐ろしい速度で食べているバルバトスだった。
「何だ、アレは」
「もはやツッコミきれなくなってきた……」
頑張れ、一夏達。